2024/08/07 のログ
ご案内:「スラム」にさんが現れました。
> 先日のドラゴン共闘討伐から一夜明けて。案の定、というか少年は腹を壊していた。

「…やっぱドラゴンの肉を生食なんて試してみるもんじゃねーや…。」

バラックが立ち並ぶ一角にて、壁に背中を預けながらぐったりした様子で呟く赤毛少年。
顔色は少々悪く、先ほどから吐き気やら何やら…闇医者の伝手で胃腸薬を服用はしたのだが。
…それはそれで効果が強力過ぎて、色々と出すモノは出した。お下品でごめんね。

「…まぁ、ドラゴンの部位は手に入ったし、竜の心臓食ったのも正解だったぽいし。」

明らかに魔力が上がっている…と、いうより。体内に独自の魔力炉心が生まれた感覚がある
半信半疑だったが、どうやら上手く”適合”して竜の魔力をモノに出来たらしい。

「…元々、魔力量はカスだったからなぁ。これで少しは魔術も活用できっかも。」

仕事の幅も増えそう…なんだけど、相変わらず依頼は閑古鳥である。
度々、依頼は来るには来るがどれも裏が有ったり癖が強すぎる。昨日のドラゴン退治とか。

ご案内:「スラム」にメアさんが現れました。
> 戦利品である竜の牙や爪、鱗の一部は何か加工とかして貰うべきだろうか。

(…つっても、スラムで腕の良い加工職人ってあんま聞いた事ねーんだよなぁ)

なので、現在それらは塒にてひっそり保管してある。いずれ使うか売る時があるかもしれん。
先日帰還した時は、袋にドラゴンの部位やお肉の一部を持ち帰った事で馴染みの顔から騒がれた。

「……つっても、俺単独じゃねーし、囮やっただけなんだよなぁ。」

竜殺しを達成したのはあの変身少女であって自分ではないのだ。あと…

「痛てて…竜言語魔法って話には聞いてたけど洒落にならんぜアレ…。」

轟雷の無差別爆撃。それにより、少年の全身あちこちは裂傷やら火傷やら。
お気に入りの服もズタボロになってしまったので、今は予備を着ているけども。

「命があるだけ儲けモン…つーか、冷静に考えてドラゴン相手に単独囮やるとかアホだろ…。」

俺が。ああいうとんでもないのは強い連中の出番であってちんけな犯罪者で零細何でも屋が相手するモノじゃない。
腹の調子はマシになってきたが、全身の傷が地味に痛むのでしんどい…痛み止め貰うべきだったかもしれん。

メア > 場違いな少女がとことこと歩いている
肩から下げられた鞄、汚れの無い奇麗な服
肌に傷や汚れもなく整った顔立ちをしているものの暗い目が余計際立つ
そんな場違いだが何かするには怪しく危なそうな子供はバラックのそこかしこをきょろきょろと眺めていた

「…ん、いた……」

やがて、遠目に目立つ赤い髪を発見する
ゆっくりと目的の人物に近付き、声の届く距離までくればたちどまる

「こんにちは、せんせぇ……お腹痛いの…?」

腹をさすり弱った様子に首をかしげる
元気に騒いでいると思っていたらしく、頭の上には大きく?が浮かんでいた

> 「うぉぉぉ!?」

いきなり声を掛けられて驚いたようにそちらを向く。
怪我とか疲労もあり反応が鈍っているらしい。

「…って、何だメアちゃんか。よっす、今日はどうした?
訓練の事なら、すまんが今日はちと勘弁して欲しいんだが…。」

見ての通りちょっと怪我とか疲労があかんので。
衣服でほぼ隠れてはいるが、首筋とか手指とか幾つか包帯が巻かれたりしている。

メア > 「こんばん、は…せんせぇに、見せてもらいたくて…きた……」

驚く様子にメアはあまり驚く事もなく、要件を話し出す

「せんせぇ、ドラゴン…倒したって、聞いて……ドラゴン、見せてほしい……」

今日は訓練目的ではないらしい
ドラゴン殺しを成し遂げたと聞いてそれを見せてもらいに来たらしい
気のせいか暗い目に小さく好奇心の炎が見えた
既に素材として全部売られているとは考えていないらしい

「せんせぇ、怪我…たくさん……大丈夫…?」

> 「…待って?何でメアちゃんにまで話が広がってんの?スラムの馴染みくらいしか知らん筈だが。」

共闘した変身少女がそんな事を吹聴する訳はないだろうし、分からん…どういう事や。
あと、倒しはしたけど俺だけの力じゃないし、そもそも囮役メインでしたハイ。

(…うわぁ、メアちゃんの目が好奇心に溢れてるよ…どうしたもんかね、こりゃ。)

一応、討伐した際に竜の部位は幾つか持ち帰っているし、まだ売りとばしてはいない。
が、塒に隠しているので取りに行かないと見せられないし、そこまでの元気が本日は無い。

「…っていうかドラゴン見せるのはどう考えても無理なんだよなぁ。…んーー…と。」

何か戦利品、手元にある奴で…やべぇ、何も無いかも!!
懐を探っていたら、一つだけ転がり落ちたものがある。
それは竜の牙の一つだ。鋭いソレは同時に死してもなお竜の魔力を帯びている。

「…おー、そういえば一つだけ落としたのを拾った時にポケットに突っ込んでたわこれ。」

拾い上げたそれをメアちゃんに「ほれ、ドラゴンの牙」と渡そうとする。別にあげてもいい。

メア > 「ん、先生が…教えてくれた……」

実際、落第街の中でもそこまで広まっている話ではない
だがメアの言う先生からその話をされたのも事実
時間的にはメアが学園に居たお昼頃にはその話をされていた

「ドラゴン……わくわく…」

わくわくとはかけ離れた表情で呟く
そして今見せられない、と言われれば途端に瞳から好奇心が消えてしまう
暗い瞳、泣きださないだけましかもしれない

「これ…歯……?おっきい……!」

差し出された牙を手に取り、触ってみる
鋭い牙の先端は押し付ければ自分の手なんて簡単に貫けそう
でもその手触りは金属ではなく生き物独特のそれ
本当にドラゴンが居た、そしてそれを目の前のせんせぇが倒した
尊敬の念が高まる

「ありがと、せんせぇ…とっても、すごい……」

> 「…メアちゃんの先生、俺の行動を監視でもしてんの…?」

やだめっちゃ怖い…!!メアちゃんは全然良いけど、その先生とやらを俺はいまいち信用できない。
が、メアちゃん自身が慕っている様子だし、そこはあまりハッキリとは言えないのだ。

(お、おぉぉ…牙一個だけだけど何とかなりそう?)

好奇心の熱が瞳から消えたメアちゃんを見て、内心でうわーーー!?と、慌てるが何とか気分を盛り上げていけたようだ。

「どういたしまして…まぁ、何かペンダント?ネックレス?に加工するとかお洒落かもしれんなぁ。」

そういう知り合いが居ないので紹介は出来ないが、メアちゃんの先生とやらは普通に伝手ありそうだから困る。
竜の魔力の一部が宿っているので、いざという時の護身のアイテム代わりにもなるかもしれんし。

(あと、メアちゃんから尊敬オーラを感じるけど、俺マジで囮しかやってないんだけどね!!)

共闘で倒しました!ドラゴンの隙を作るために囮なりました!肉食って腹壊しました!とかは言うに言えない空気だ…!!

彼女の中で俺の実力とかが過大評価されていない事を祈ろう…うん。

メア > 「監視…?しらない……」

特に監視しているとは言われなかったので分からない
ただ、そんな出所不明な情報でも先生の口からきけばメアは信用してここまで来るのだ
一通り牙の感触を堪能すれば差し出し、返そうとする

「ん、ありがとせんせぇ……凄かった…」

牙1つからも色々と分かる
元々もサイズやその硬さ等
自分が挑んだらどうなるのか、多分異能をフルに使っても分からない

因みに、メアの中では異能を使わず自分を圧倒しドラゴン殺しを成し遂げたすさまじい猛者と認定されている
なぜか?メアが受け取った情報を纏めるとそうなるから

「せんせぇ、名誉の…負傷……お腹も、叩かれた……?」

そして、腹痛も倒したドラゴンを生で食べるなんて思っても居ないので戦いの負傷だと思っていた

> 「そっかぁ、まぁ俺もストーカーされるような覚えは……無い…筈…。」

うん、無い筈だ。いや、どうだろう?何が切欠で粘着されるか分からんしな…。
あと、最初に依頼を受けた時に、件の先生からメアちゃんを酷い目に合わせたら地獄見せる、みたいな脅迫された覚えはある!

「んや、他にも牙は何個かあるし、それはメアちゃんにやるよ。飾ってもいいし加工してもいいし。」

差し出されたそれを、こちらの手でやんわりと押し返して少女に進呈しようと。
…女の子にドラゴンの牙をプレゼント、とか何か酷い気がするけど仕方ないじゃん!?

そして、少年の願いに反して少女からの評価が上がりまくっているのだった。
多分、それを少年が知ったら遠い目になっちゃうかもしれない。

「…ぅ…い、いやぁ…まぁ、腹と言うか全身ダメージあるし…うん…。」

やべぇ、討伐した後に竜の肉を生食チャレンジしたり、心臓を焼いて食ったとかは流石に言えない!
後者の心臓については、結果的に少年の魔力が増大したのでメリットしかない。
…が、生食の前者は流石に不味かった…今更後悔である。

メア > 「ストーカー…?せんせぇ…気を付けてね……」

ストーカーは怖いものという事は知っている
それに狙われているのだろうか、大丈夫だとは思うが心配になる

「いい、の……?ありがと、せんせぇ……」

いつもと比べて嬉しそうに牙を握る
女の子へのプレゼントとして適切化はともかくメアはとても嬉しそう

「ドラゴンの、牙…たくさん試す……」

単純にアクセサリーとして気に入ってる様子ではないが、どちらにせよ最高のプレゼントである

「全身……せんせぇでも、大変だったんだね……
ん、牙のお礼に…せんせぇの、治療…する……!」

鞄の中をごそごそ、少しして取り出したのはピルケースと半透明な湿布の様な物
治療と言ってもメアの異能ではない、物理的に道具に頼るつもりの様子

> 「お、おぅ…。」

いや、マジでストーカーをされてる訳じゃなけどね?
…分からんけど。まぁ気を付けよう…冷静に考えて、メアちゃんの方が普通は危険だが。
異能があるとはいえ、女の子が一人でホイホイとスラムに来るもんじゃないと思います。

(…でも、メアちゃん含めてこの島の女の子色んな意味でみんなつえー感じだし…。)

何人かここ最近知り合った女子を思い出すが……うん、強いのしかおらんぞ、メアちゃん含めて。

「ん、まだ他にも幾つかあるしな。…試す??」

あれ、アクセサリーとかお守り代わりのつもりで進呈したんだけど、メアちゃんどうやら別の目的で使いたいようだ。
まぁ、進呈した以上は彼女の好きに使って貰って構わないので深くは聞かない。

「…へ?あ、いやもう手当は一応して貰ってるし、これ以上は―――…あーうん、じゃあお願いするわ。」

物理的治療のようだが、何か断るのも悪いので結局大人しく治療を受ける事に。
あと、異能で治療されたらそれはそれで怖い。あの影に治療されるのは流石にちょっと…。

メア > メアはこう見えて意外と誰にも声を掛けられなかったりもする
その大きな要因はやはりこの目、小さな子供に似つかわしくない暗い目が危険人物達の本能を刺激するのだ
何となく、リスクを負ってまで関わるのはやめようと

「ん、試す…ドラゴンに異能が、通用するか……
動いてると、危ないけど……これなら、安全………」

ツンツンと陰から伸びる棘で牙を突いてみる
勿論本気でもないので傷もつかないが、全力を出せばどうなのか
ドラゴンに自分の力が通用したのだろうか、そんな想像に思いをはせる

「ん…!お任せ……せんせぇ、痛いとこ…出して……」

擦り傷切り傷、火傷の部位には湿布を張る
薄く皮膚に溶けるようなそれは簡易的な皮膚の代わりになる、うまく張ればなにも張っていない様に見える優れもの
一通り生傷をふさぎ終えれば、次はピルケースを差し出した

「えと…確か、ナノマシン…って言ってた……飲んだら…大体、大丈夫……」

怪しさを隠す気もない銀色の錠剤
よくよく目を凝らせば銀の一錠ではなくとても小さな銀色の物体の集合体なのが分かる
それを飲めとメアは差し出す

> ちなみに、彼女の”危険性”…正確にはその危うさというべきか。朧気ながら少年は察している。
だけど、大事な依頼人だし何だかんだいい子だ。…強くなりたい理由も本人から大まかに聞いているのもあるが。

(そういう意味では、俺も割とチャレンジャーなのかねぇ)

彼女に関わる事がリスクだとしても、関わった以上はきっちり最後まで。
そもそもリスクがあっても将来有望な女の子だ。つまり関わって損はしない!!

「…あー、動かない的みたいな…。」

的は普通動かないモノだけど、まぁそれはそれです。
少女の影から棘が伸びてツンツン突いているが、流石にそれくらいでは牙は全く傷つきはしない。

「はいよ~~…まさか年下の女の子から手当されるとは思わんかったなぁ…。」

擦り傷、切り傷、火傷…ともあれあちこちそれがある。
湿布を貼って貰うとあら不思議。まるで皮膚の代わりみたいな見た目。

「ナノマシン……え、大丈夫なんかそれ。」

ピルケースから出てきたどう見てもやべー感じの銀色の錠剤を眺めて思わず本音が。

(ナノマシンって微小機械のアレだよな?医療用のやつもあるとは聞いた事あっけど…。)

少年、馬鹿だがそれなりに知識はあるらしい。ともあれ、躊躇するように錠剤を睨めっこしていたが。

「…ええい、ままよ!!」

ドラゴンの心臓食ったりナノマシン服用したりと何か凄いな昨日今日で。
あと、よく見ると錠剤じゃなくて銀色の粒粒みたいなものの集合体じゃねーか!!
…集合体恐怖症の奴は無理だろコレ。とか思いつつ意を決してナノマシンを口に放り込んで飲み込んでみた。
ちなみに、味はしない…したらそれはそれでちょっと嫌だ。

メア > 自分に関わるリスク、そんな事を考えてるとは全く思っていないメアはまだ牙を撫でていた
どうも手触りが気に入ったらしい、つるつるの様でちょっとざらついた不思議な感覚

「ん、でももったいないから…大事に試す……」

徐々に試していきそう簡単に壊れないように試すつもりである
そもそも、折角のもらい物なのだから先生にも自慢するだろう
それ位にはドラゴンとは大きな存在なのだから

「手当は、慣れてる……任せて、せんせぇ……」

湿布を張る動きは手慣れている
べたついてぐちゃぐちゃになるお馴染みの失敗もする様子は無い
湿布は貼り付けたまま普段通り生活をして勝手にはがれるのを待つと傷痕が奇麗に治る

「ん、先生のお手製……私も、飲んだこと…ある……」

だから大丈夫と太鼓判を押す
躊躇していると首をかしげるが、飲み干せばパチパチと小さく拍手
呑み込んだ感覚は大き目の錠剤といった所
数分もしない内に胃の辺りから痛みがじわじわと消えていく、30分も経て腹部の痛みは綺麗になくなる筈

> (まぁ、何か放っておけんしなぁ…)

年齢の割にしっかりしているし、強い意志も目的もある。
異能もまだまだ成長しそうだし、後は本人がもうちょっと運動能力磨いたらかなり強くなりそう。
…あかん、これ保護者とか先生目線や。既に「せんせぇ」と呼ばれてるけども。

果たして竜の牙クンの運命や如何に!?
まぁ、暫くは大丈夫だろう…うん。

「…確かに、手際がいいなーメアちゃん。」

応急処置の技術とかがしっかりしている。知識というより経験だろうか?
ともあれ、よくありそうな失敗とかが全くない落ち着いた手早い処置だ。
…むしろ、俺なんかよりも応急処置が上手いわ…尊敬。

「…お、おぅ…マジかーー…。」

何か体内に仕込まれたりしないよな?と、内心で戦々恐々しつつもぐいっと飲み込んだ銀の錠剤もといナノマシン。
最初は何も感じなかったが、数分もすれば明らかに胃痛や腹部の怪我が治るのを感じる。

「お、おおぉ…!何かすげぇなこれ!」

ナノマシン治療なんてまず体験出来ないので、これは新鮮だ…でもこれ体内で分解されるんだろうか?

メア > 運動能力、目下メアに足りてない物のトップに君臨している
歩くのも遅ければメアが走る姿は少なくとも見た事が無い筈
同年代と比べてもかなりそこは劣っており異能が無ければ戦うなんてできるはずもない

「慣れてる…褒められるの、嬉しい……!」

気合を入れて手当てを行う姿ははたから見ればほっこりとする光景
ただ、やっていることは湿布を張って怪しい錠剤を飲むよう迫っているだけなのだそこまで難しい事ではない
技術はともかく綺麗に治そうという意思でカバーしている

「まじ……飲んでもだいじょぶ……」

きちんと錠剤が効果を出している様子に一安心
と、ここでメアは思い出した
この錠剤を飲んだ時の最大のデメリットを

「あ、えと……せんせぇ、暫く…おといれ、びっくりしないでね……」

このナノマシン、体内で分解は一切されない
サイズ的に血管に入り込んだりはしないが役目を終えたナノマシン達は翌日か翌々日に体外へ排出される
そして、慣れていないとソレを確認した時に非常に驚く事になる

> (そういやメアちゃん、まず走ったりしねぇよな…むしろ走れるんか?)

ちょっと失礼かもだがそう思う程度に少女は大体歩いているか動きを止めているイメージだ。
訓練の時も、基本的に本人は動かないで異能制御に集中していたし。

「もうちょい成長したら、そういう技術も勉強してみるといいかもなぁ。」

俺の応急処置なんて戦場とかでありそうな、まさにその場凌ぎの荒っぽい手当だし。
そういう意味では、少女の気合と意思は一級品だと思いますハイ。

「ん?トイレ??……え、まさか…。」

最初こそ「何言ってんのメアちゃん?」って表情を浮かべていたが、徐々に意味を理解したらしい。

「…おう、肝に銘じておくわ。」

どうやら体内で分解吸収はされずに”排出される”タイプらしい。そりゃ知らないと驚くわ…知っても驚きそうだが。

「いやー、でも随分と楽になったわ。ありがとなメアちゃん。」

ニッ、と笑ってメアちゃんの頭を軽く撫でておきたい…むしろ撫でた。

メア > 今更ながらメアを観察してみると、子供とはいえ体が小さく見える
太っている痩せているではなく、小さいのだ
小柄と言えばそうなのだろう、けれどそれだけかどうか?

「保健室、で……教えてくれる、よ……?」

学園での話、そう言えば彼は学園には在籍しているのだろうか?
ふと考えてみたがあの広い学園で会う事が無くても不思議ではないので特に追加で何かを尋ねたりはしない

「ん……おといれ……」

余りそこは深く聞かないでほしいのでそれだけ答える
深く突っ込まれなかったので色々と安心する
恥ずかしいものは恥ずかしいのだ

「どういたし、まして……!」

眼前に手が近付くと少し震え、大人しく撫でられる
撫でられている表情はいつもと変わらないが不愉快そうではない
寧ろ口角がわずかに上がっている気もする

> (…感覚的に、俺との年齢差が…んーと、多分4,5歳くらいか?…多分だけど。)

ただ、それにしても”小柄”だ。華奢とか肥満気味とかではない。純粋に小柄。

――何か成長を阻害している要因がある?と、深く考えそうになって止めた。
推測や思考は幾らでも出来るが、あまり彼女の事情に首を突っ込み過ぎてはいかん。

「保健室かぁ…結構世話になった記憶あるなぁ。」

授業のサボり、怪我の手当て、昼寝場所…何もかも懐かしい。
考えたらつい2年くらい前までは普通に学生で風紀委員をしていたのだ。

(ま、今は手配中の犯罪者でしかねーんだけど)

とっくに学籍は消されてるし、どのみち戻ったら豚箱行き確定だ。
そうなった”理由”はまぁ色々あるが、それを誰かに語る気は少年には無い。

あと、トイレについてはメアちゃんも流石に恥ずかしそうだからここまでにしておこう。
と、いうかそんな話を続けたら俺はただの変態になってしまうので。

「これで何とか仕事を休まずに済むな~。」

まぁ依頼は常に閑古鳥なんですが。たまーにあるのが癖があったり変わり種の依頼ばかりで。
ずっと撫でっぱなしもアレなので、メアちゃんの頭からそっと手を離して。
…なんとなーく嬉しそう?に見えたから、まぁ良かった。
そもそも嫌がられたら、影の異能で反射的にぶっ飛ばされそうな気がする。

メア > 「手当の、仕方とか…救命、とか……いろいろ…せんせぇ、怪我ばっかり……?」

希望者への講義と言う形だが実戦的で役に立つ内容が多かったりする
いつかばったり会ったりも、なんて思ってみたり

細かい事情を知らないメアはそこまでの裏があるなんて考えても居ない

「ドラゴン、倒したのに…すぐお仕事……?」

ドラゴンの素材だけでかなりの額になるのではと首傾げ
少なくとも体の傷がすべて消えるまでは豪遊できたりしないのかなと考える
もしくは、現実は厳しくドラゴンがお金にならないのかもしれないと思ったり

頭から手が離れると少し寂しそうだったり、安心した様子だったり
影から何かが出てくる気配はないが危害を加えようとしたら大いにその可能性はある

> 「んー、スラムとか落第街が、学生街と比べたら危険が多いだろ?んで、そんな場所で何でも屋をやってんだ。
大なり小なり危険な仕事も時にはあるし、怪我だって別に珍しくないんだなぁ。」

スラムに流れ着いておよそ2年。何度か死にかけた事もあるが、何とかこうして今も生きている。
だから、生傷なんて慣れているし、それは風紀時代や孤児の時から変わっていない。

「んー、ドラゴンの素材を売れば金になるけど、何かに使うかもしれんから今は手元に保管中。
一応、まだギリギリ暮らせる程度の金はあるしなぁ。」

先日の依頼人から依頼料もそれなりに貰ったので、まぁ今すぐ無理をする必要も無いといえば無い。
ただ、金銭なんて気が付けばあっという間に無くなるものだ。稼いでおくに越した事は無い。

ちなみに、訓練以外で彼女に危害を加える気は勿論ない。
そもそも、先日の訓練も最後は寸止めで終わらせている。

メア > 「危険、たくさん……おっきな怪我、しないと…いいね……」

危険な仕事をしている以上怪我は仕方ない
せめて致命傷や大怪我にはならないと良いなとおもいつつ、ドラゴン退治をするくらいだからどうにもならないのだろう

「そっか……泥棒、気を付けてね…」

売れば人財産の宝の山、この街では強盗も珍しくない筈
狙われたりしないか不安なので一応伝えておく

「それじゃ、せんせぇ……牙、ありがと……」

一通り手当てを終えて元気な姿をしっかりと確認すればぺこりと頭を下げる
長居しすぎて疲れさせてしまう前に帰るつもりらしい

> 「そうだなぁ、俺も長生き?はしてぇし。」

長生き出来そうも無いが、別に死にたがりでもないので。
怪我をしないに越した事は無いが、人生なんて少し先がどうなるかだって分からんものだ。

「まー、泥棒くらいだったら何とかするけど、一応気を付けてはおくぜ。」

そういうのが日常茶飯事だから、苦笑気味に頷いてみせつつ少年は立ち上がる。調子はすっかり戻ったようだ。

「おぅ―――メアちゃん…手当とか色々あんがとな!気分転換にもなったし。帰りは気を付け…っていやいやいや。」

明るく軽いノリで見送ろうとしたが、やっぱり心配なのでまたまた途中までは送るつもりで。

メアちゃんが拒まなければ落第街のギリギリ辺りまでは一緒に雑談でもしながら送るとしよう。

メア > 「ん、健康第一……
お休みの間、とか…出かけてる、ときとか……がんば、せんせぇ……」

いついかなる時も気が抜けない場所なので応援する
元気な様子に小さな笑顔

「ん、知ってる…せんせぇに、送ってもらう………」

いつもの様に途中まで送ってもらう
もうこれは慣れた事、最初は断っていたが今ではそれに甘えている

小さいけれど大きなお土産を持ってメアは落第街を抜け、家路についた

ご案内:「スラム」からメアさんが去りました。
ご案内:「スラム」からさんが去りました。