2024/08/31 のログ
■ノーフェイス >
「夜祭の時期は、もう過ぎたかな……」
物言いに、苦笑した。
普段から目立つ装いしてんだろ、なんて冗談も。
無貌と、仮面の間には、取り交わされるはずもない。
ずいぶんな難儀を背負った彼女に、ねぎらいも寿ぎも、まだ早い。
――追いついて、追い越すような。
狼であることを、期して。
「最期の友ね。詩的な響き。
死は、寄り添うもの……。
それがキミの結論か。いま、旅の途中、ひとまずの……」
月を仰ぐ。隠れていた。
時間は過ぎていった。熱い季節も。
夜長の足音を聞きながら、ポケットから銀にひらめく何かを取り出して。
投げてよこした。
「落第街大通りの十四番をふたつ曲がったとこに『Zorro』ってビルがある。
その303号室をちょっと前まで使ってた。狭いけど電気と飲めない水が通ってる。
――あるモノは好きに使いなよ。その代価は出世払いでいいから」
鍵だ。
落第街での活動の足がかりにはもってこいの場所。
寮とここでは、距離が遠いので。使うかどうかは、あなた次第。
「―――、」
不意に、振り向いて。
「消え方はサマになってるじゃんか」
肩を竦めた。見送る顔は、仮面の奥のアナタに向けての。
ご案内:「スラム」からノーフェイスさんが去りました。
ご案内:「スラム」から黒面の剣士さんが去りました。