2024/09/02 のログ
■伊都波凛霞 >
「後々情報が交錯したりすると不都合もあるしね。
功績だけの問題でもない、ってコト」
自分が真面目すぎるだけ、というのも理解はしつつ、そう告げて。
「んーん、特に決めて動いてたわけでもないし問題なし」
まぁ…事前にあちこちに仕込みをしたりはしておいたけど。
「一応本庁にこの範囲でやりますって言ってから来てたから少し驚いただけ。
私も単独のほうが都合はいいしね」
何度も首を傾げられて、思わず苦笑。
なるほどぉ…こういう人だったかぁ。
写真の印象やデータだけではわからないもんである。
「私は伊都波凛霞。もしかしたら名前くらい聞いたことあるかな?」
なくても大丈夫だけど。
「今回、生半可な戦力では警邏も危険かなって判断でして、
風紀委員のデータを色々参照して、強そうな人をピックアップしたんだ。
その中に君もいた、ってわけ。だから色々調べたりもしたから、詳しいって言ってもそれくらいだよ」
■芥子風 菖蒲 >
思ったよりも問題が在るらしい。
そこまでわかるものなんだろうか。
今まで事務係に迷惑をかけていたの考えると、ちょっと不安になる。
淡々としているが無感情ではない。
事実、その不安が表に表れたのか眉が下がった。
「……もしかして、やめたほうがいい?」
親に叱られた子どものように、おずおずと訪ねた。
「言ってたっけ?あんまり覚えてなかったや、ごめん。
オレはただ、戦力を割きやすいからそうしてるだけ。
アンタは都合がいいって言うけど、一人のが力を発揮できるの?」
数多のものを従える操作系異能。
それを手脚のように自在に操れる特性上
他の委員を他の現場に割きやすい理由で一人になることも多い。
遁走にも生存性も裏付けがあり、危険ではあるがその辺りが単独行動を許される理由だ。
少年自身は特にその辺りを気にしないから組んだりもする。
でも、彼女は違う。何故だろう。おもむろに訪ねた。
「んー……。」
思考をめぐらしながら、背中の糸が動く。
少年の懐から取り出した手錠を、次々と倒れ伏した覚醒者にはめていく。
次の瞬間、バルーンが浮かび上がれば空へと急加速。
フルトン回収システム。大昔の方法だが、技術が上がった今
安全面は確保され、こういった違反者回収に役に立つ。
今頃回収班のヘリの中で、更生室までランデブーだ。
「強いかな、オレ。強くあろうとはしてるけどね。
ただ、人より戦えるってだけ。……いとわ、りんか……あー……。」
ぽん、思い出したと手を叩く。
「吉原先輩とか梶田先輩が名前出してたような。
なんかでっかい人って。……デカい?」
じー、と見上げる青空。
「オレよりちょっと大きいくらいなのに、何がデカいんだろ……?
あ、もしかしてデカくなれる異能持ちだったりする?」
純一無雑。
少年はそういう男の子の下賤話をあんまり理解していなかったらしい。
■伊都波凛霞 >
「他の風紀委員に手柄を譲る、なんかは私はやめたほうがいいかと思うな。
あったことやったことを正しく報告するのが大事だよ」
風紀委員にも色々いる。
手柄のハイエナとまでは言わないけれど…怠慢にも繋がりかねないし、いないとは思うけど悪用も出来そうだ。
「んー…私の場合は、私だけが狙われたほうがやりやすいから…かな?
誰かと組むと、その誰かがイレギュラーな行動をするだけで色々狂ったりもするし、ね」
完璧な計算の上で盤上すべてを手中に収める。
そういったやり方をするには、単独のほうが色々と都合が良い。
単なる戦力特化、力任せとは少し違う。説明するには、少しだけ難しい部分である。
強いかな、とぼやく少年。
実際残した功績や、今しがたギフトの覚醒者を難なく撃破しているのを見れば明らかだ。
意外と自己評価や、第三者的に自分を視るのが苦手なタイプだったりするのだろうか?
「あ、名前知っててくれてた?
…でっかくなる異能はないかなー!なんなんだろうね?もしかして声がでっかかったとかかなあ~」
にこにこ。
■芥子風 菖蒲 >
「それなら次からやめる。……ちょっと心苦しいけど、謝って断らないと。」
元々手柄にも興味はないし、少年はお人好し。
頼まれたり困ったりするとすぐに譲ってしまう。
そこに邪な気持ちがあるとは疑わない。
心苦しいけど、困ったように頷いた。
駄目と言われたやめる。素直なのだ。
「……仲間のことは信用してない?人間嫌い?」
妙な言い方だ。
返って人がいたほうが足手纏いと言っているようにも見える。
個人のやり方があるからそれこそではあるが、棘のある言い方に聞こえた。
不思議そうな表情をしながら、じ、と青空が見上げている。
「? 言うほど声デカくないじゃん。
何がデカいんだろ。…………。」
会話してるこの間も、目はそらない。
少年は無愛想だが、人の機敏には聡かった。
笑って誤魔化す、というよりかは何がデカいかは自覚あるらしい。
でもこれは、あんまりいい感情じゃなさそうだ。
見上げる青空に、心配と不安の眼差しが交じる。
「……大きいのは嫌?」
それが何かわからないし、少年は察する事はない。
だから妙に守護の抜けた間抜けな物言いにはなってしまったが
純粋に彼女の事を心配しているのは確かだ。
■伊都波凛霞 >
「そうしてあげて。
もし、それが後々に何かの事件に繋がったりしたら、
状況をよく知らないその人が困ることになっちったりもするよ」
手柄の譲渡、で済まない例を一応やんわりと伝えながら、
素直なその様子には笑みを浮かべて、頷いて。
「信頼してないとかじゃないよ。人間嫌いでもない。
‥そうだね、言い方はよくないけど足手纏いになるから」
カドの立つ言葉。
でもこの上なくわかりやすい言葉でもある。
なんとなく、雰囲気から考えていることを察して、そう告げる。
「イヤとかじゃないけど、どうにもならないことだからね。
芥子風くんもあんまり気にしないで」
「ね」
笑顔。
でも妙な圧を感じさせる。
これ以上は掘り下げないほうがきっと良い、と。
■芥子風 菖蒲 >
「ん、わかった。気をつける。
ありがとう、ごめんね凛霞。」
そういうことなら気をつけなきゃいけない。
こくりと頷くさまは、見た目以上に幼く見えるのかも知れない。
「……それは強いから?それとも別の理由?
別に強いならその人の面倒見てあげたらいいじゃん。どうして?」
別にカドが立とうか立たまいが少年は気にしない。
言葉はともかく、言い方自体に悪意は感じない。
そもそも強いならそこまで気にする事なんだろうか。
今ひとつ意図が感じれないからこそ、更に質問を重ねる。
そして、普通ならそこでやめたりはするんだろう。
ただ、少年には逆効果ではあった。
この少年が物怖じなど、気にするはずもない。
「……悩みなんだ。無理に聞かないけど、オレでも話位は聞けるよ。
どうにもならないことって言うと……病気……とか?それとも体質?」
優しさ故に聞いてしまう。
よもやもっと下賤な話とは思うまい。
そういうのに興味がなく、無欲だからこそ聞いてしまう。
青々とした空と同じように優しいからこそ、時に無情なのだ。
■伊都波凛霞 >
わかればよし!と笑顔を向けて。
「別の理由…もあるかな。
それは、その人の面倒をみるために不要な手間を割くことにもなるし、
そこに付け入るような相手もいるかもしれない」
可能性の話だけどね、と付け加える。
徹底して、相手から抗戦の可能性を奪う。
或る意味冷徹、或る意味冷酷。
「芥子風くん」
「気にしないでね」
圧が…高まる。
「───、病気じゃないよ、体質は近いかも。
芥子風くんが優しくて心配してくれてるのも伝わってくるけど、
人にはあんまり触れて欲しくないこともあるってこと、知ったほうがいいかも?」
「…あ、別に怒ってはないよ。ほんとほんと」
■芥子風 菖蒲 >
「……それって、ただ人を巻き込みたくないだけじゃないの?
自信の有無はオレにどうこう言えないし、オレも一緒にいたら何時でも守れるワケじゃない。
けど、なんだか凛霞の言い方は、人を巻き込みたくないようにも聞こえる。」
「違ってたらごめんね。」
要するにソイツが原因で敗因を作りたくないという話になる。
だが、少年には妙な矛盾感が拭えない。
そんなに強いなら纏めて守れるだろうし
そもそも何時でも守れる自信がないのは此方も同じ。
戦術的には強ち間違いではないけど、なんだかそれ以外の意図も感じた。
「…………。」
圧が、高まった。
余程触れられたくない事らしい。
この世に完璧な人間はいない。
長所、短所。双方反転する場合もある。
少年は純粋で、お人好しで、無愛想。
触れてほしくないと念を押された。そのうえで尚────。
「そんなにどうしようもならない体質?
何がデカいと良くないかわかんないけど
そんなに抱え込むと、凛霞のが心配になってくるよ?」
純一無雑。
故に、一歩の踏み込みに一切の躊躇がない。
それは優しさから来る短所である。
心配そうに見上げる真っ直ぐな青空はそこに広がっている。
誰でも受け入れるかのように広がっている。
時に人が晴天にうんざりする理由だってわかるはずだ。
人の気持がわからないんじゃない。それでも、と踏み込んでしまうのだ。
■伊都波凛霞 >
「理由っていうのは常に一つじゃない。
芥子風くんの言うようなことも、少しは混ざってる。
色んな理由がまぜこぜになって、結果そういう風に決めて、動いてる。
短絡的なものじゃなくて、よく考えた結果なんだよ」
やんわりと、諭すような声色。
色々な理由があるし、色々な正解がある。
総合的に判断して…単独を選んだ。
これは一番、完璧に業務を遂行可能だと計算して。
「………」
笑顔は変わらない。
でも、困っているような雰囲気にはなった。
そうだ、とぽんと手を打ったのはその時だ。
「その先輩達に聞いてみると、いいんじゃないかな」
…感情の廃された声色。
■芥子風 菖蒲 >
「……なんだか、寂しい言い方だね。
凛霞が決めたことならきっと大丈夫なんだろうけど……
……ん、でもオレも今一人だ。一人と一人で二人?」
「……今二人になっちゃった。どうしよう?」
自分で決めたということが尚そう感じさせる。
孤高と言うより、孤独だ。
仕事に私情を挟む方がどうかしてるけど、何だかそう見えてしまった。
……が、理由はともあれ自分も単独行動中。
そして、鉢合わせてしまった。もしかしてミスマッチかも。
あ、と目を丸くすれば文字通り困り顔だ。
「…………。」
その言葉に、色はない。
それは彼女にとって悩みの種であり、他人に触れられるのも嫌なことだ。
彼女の体を見渡す。別に何もおかしなことはない。
「……別に見た目、他の人と変わらないのにヘンな話だよね。
何処が大きいかもわかんないし、お湯でもかけたらデッカくなるの?」
少年の目からしたら、その姿は何処にいる女性とも変わらない。
結局何が大きいのか全然わからない。謎だ。
少なくとも、その悩みは非常に深刻なものらしい。
それこそ自衛本能が働くほどに、酷く、重く。
「ごめん、ヘンな話しして。
多分、噂されるのも好きじゃないんだよね。
二人にはちゃんとやめるように言っておくよ。」
■伊都波凛霞 >
苦笑する。
「だから、君がこのエリアで彼らを掃討するのなら、私は隣のエリアに移るよ」
最初に伝えた通り。
あくまでも単独のほうが完璧にこなせる。
その計算に間違いはないのだと。
「別にいいよ。噂くらい。
誰かに止められたって、その人がいないところでするだけ。
そこまで厳格に生きてるつもりもないし、ね」
自分には厳格にありたいと思うけれど、それを他人に強要しようとは思わない。
まぁ…風紀委員がそういう話題で盛り上がるのは、少々、不健全ではないかなと思うところはあるけれど…。
それでも警察機構のようなものとはいえ、年頃の男子生徒も多いのだ、少しくらいは仕方がないだろうと思う。
少しくらいは。
■芥子風 菖蒲 >
「厳格っていうか、イヤならやめさせないと。
そんなのダメだよ。凛霞が我慢する事じゃないじゃん。
こんなことで我慢して、凛霞が嫌な思いするの、オレは嫌だ。」
程度の問題ではない。
事実そこに苦しんでいる人がいる。
人の噂は何とやら、その全部を潰すのは無理かもしれない。
わかってる範囲でなら止めれはする。
少年は、やるといったらやる。
その気持ちに呼応するかのように、より一層青は輝いた。
危険なくらいに、青々と煌々としている。
「……?被っちゃたなら別にもう二人でさっさと終わらせて別れようよ。
かぶせちゃったオレが言うのも何だけど、早いよ。その方が。」
それならいちいち移動するほうが手間がかかる。
ならさっさと終わらせたほうが手っ取り早い。
その計算のイレギュラーでは在るが、それ以上に力があると自負している。
■伊都波凛霞 >
「直接触れされるのはちょっとだけど、
別に噂されるくらいはどうとも思わないよ。
我慢もしてないし、嫌な思いもしてないよ」
むしろ今応えに苦しんだのはキミのせい。
とは言わない。なんかすごく傷つきそう。
だってなんだかとっても純粋っぽいんだもの。
「…ヘンなことしちゃダメだよ?
その人達にやめさせようとか、そういうので実力行使されることのほうが、私はイヤ」
これは、はっきりと口にしておこう。
「単純にそっちのほうが都合がいいだけ。
私とキミとじゃ、戦力オーバーだと思う。
それは勿体ないから、早くこの騒乱を終わらせるためにも、私の言うことに協力してくれると嬉しいな」
彼の力を認めた上での、合理的判断。
一人で十分なところを二人がかりでやっても仕方がない。
■芥子風 菖蒲 >
自らの行いがそうさせたのには気付かない。
その純朴さ、加減のしらなさ。距離感。
全てが良い例に働くわけではない。
自分より他人を重んじ、そして心の機敏に敏い。
その雰囲気を感じたがゆえに、見開いた目をよそへと向けた。
「……そんなこと、する奴の方が悪いんだよ?
凛霞がどうしてもって言うならやらないけど、オレはやるよ。」
少年は何故その噂がダメなのか理解していない。
いや、半端な答えだからこそ半ば誤解に近い。
ただ、彼女に関するその噂だけは"よくない"と認識してしまったのだ。
その過程と理由がわからず結果だけ。だからこそ今に至る。
見開いた煌々とした青は本気だ。
少年は、他人のためなら神にも悪魔にもなる。
その躊躇いのなさが強みである、或る意味の狂人だった。
だからこそ、単独での仕事を完遂させるだけの力があるのだ。
「そうかな?すぐに終わったほうが早いと思うけど……。」
そういうところは彼女が言うなら従おう。
■伊都波凛霞 >
「じゃ、どうしてもやらないで。
そんなことで風紀委員の間で揉めごとおこさないの。
やったら本気で怒るからね?泣いちゃうからね?」
念押しの念推し。
純粋、だからこその危機感。
今日会えてある意味良かった。
データだけで判断して斡旋したけど、
取り扱い注意のマークが必要そうだ。
「うん、間違いなく分担したほうが早い。
同じ時間で倍の数を検挙できるかもしれないよ?」
単純計算だけど、こういう話はきっと単純のほうがいい。
■芥子風 菖蒲 >
「じゃあ、適当に蹴散らしてオレはアッチ行くよ。」
そういうことなら納得しておこう。
ただ、少年にも譲れないものがあった。
「……なんで?凛霞が言うことじゃないよ。
そんなに傷ついてまで我慢することなの?それ。」
重なるすれ違い故におきた"何故"だ。
話題が話題だからこそ出てこない主題がない。
結果だけならば少年は納得もしない。
アイツ等の噂で曇った、傷ついた。
許しておけるはずもない。
時に彼は違反者に同情もする、心も通わせる。
それ以上に許せないものには、一切の容赦がない。
聖母は、黙して微笑むのみ。その感情に起因するように、糸は揺れる。
「……とりあえず、帰ってからだな。
オレ、そろそろ行くから凛霞も気をつけてね。」
■伊都波凛霞 >
「だから、別に我慢もしてないんだってば…ああ、行っちゃった」
そろそろ行く、と宣言して逆方向へと向かう少年。
その背を見送りながら、大きな大きなため息が出る。
「風紀委員内でそんなことしてる場合じゃないんだけどなぁ……」
ううん、何か面倒事が起こりそうな気がする…。
芥子風菖蒲、なかなかのアンコントロールっぷり。
まさかまさか、此処でなく風紀委員内部でのイレギュラーは彼だった…?
「さしもの私の眼でも見抜けなかったね…」
戦力は確か、適格かどうかは…再検討の余地アリ。
「──まぁ、後々…今は自分の仕事をこなさなきゃね…」
気を取り直して、少年とは逆の道を歩いてゆく。
目論見通り…と言うべきか否か。
その日のギフト覚醒者の検挙数はそれまでを遥かに超える数字を叩き出すのだった。
ご案内:「スラム」から伊都波凛霞さんが去りました。
ご案内:「スラム」から芥子風 菖蒲さんが去りました。