2024/09/06 のログ
ご案内:「スラム」に虞淵さんが現れました。
虞淵 >  
「久しぶりに表に出てみりゃ、何だこの莫迦共は?」

大男の足の下で呻き声があがる。
辺りには叩き割られた白と黒の仮面、打ち捨てられる様に転がった数人の人間が横たわる。

「適当に何かを貰った程度で"理不尽に反逆"なんざ出来るわけねェだろ。なあ?」

屈み込み、突っ伏した男の髪を掴み上げ、仮面に顔を寄せる。

「この世に当たり前にある"差"を、理不尽だなんだと噛みついてる時点で餓鬼もいいところだ。
 "差"を"理不尽"に置き換えてんのはお前らの性根なんだよ。───下らねェ」

掴んだ頭を路地の地面へと叩きつけ、捻じ伏せる。
短く小さな呻きをあげ、男は意思を失い──動かなくなる。

「……ま、吠えるだけでなく噛みつく程度の牙を悪戯に与えてる野郎がいるってコトか」

立上り、煙草を蒸す。
白煙が路地の風に乗り、棚引いていく。

虞淵 >  
この街(落第街)らしいっちゃ、らしい。

「親玉が何考えてンのかはしらねェが」

灰を落とし、続けて吸殻を落とせば、踏み潰す。

「──ま、いい。
 降りかかる火の粉くらいは払わせてもらうか」

借り物で喧嘩するヤツには興味はないが、
それはそれとして噛んでくるなら鼠とて容赦をするつもりもない。

借り物を上手く使えるならそれは一つの才能(センス)だ。
天恵(ギフト)ですらない、紛れもない自分の持つ力。

「面白くなるようなら好しとしてやるか──。"天恵"が"毒"にならなきゃあ、いいがな」

含みのある小さな笑みを浮かべた男は踵を返し、スラムの闇へと消えてゆく──。

ご案内:「スラム」から虞淵さんが去りました。