2024/09/30 のログ
エルピス・シズメ >  
 そんなこんなで、やっと目的地。
 改めて詰め所の様子を伺い、腕章などから《フェイルド・スチューデント組》だと再認識する。

(書類とデータでしか見ていなかったけど。)

 みんな、生きた人間だ。
 不遇な星の元に産まれてもどうにかして今を生きた人間達。

 書類の山と格闘し、生活委員と何度も突き合わせて正規学生の身分を得て、
 保護制度の利用によって一年の学費の免除を勝ち取った者たち。
 大まかな流れは僕が面倒を見たけど、彼らも少なからずなれぬことを頑張った。

「よかった……。」

 大半はイーリスや蒼先生の手柄だ。

 自分がしたことは、少しでも早く正規生徒の身分を整え、
 生活委員につないでよい環境で過ごせる手助けをしたこと。

 自分のしたことが、ほんの一助でも彼らが報われる要素になった。
 うれしさが極まって、自然と涙が零れる。
  
 案内を受け、奥へ奥へ。
 感極まっていて接し方の違和感に気付けなかったけれど、
 小さきイーリスを拾い上げからずっと傍に居たエメラルド田村の姿。

 その姿を認めた辺りで、自分がどう見られているか違和感に気付く。

 男と訂正する前に、エメラルド田村の姿をしっかり目に焼き付ける。
 イーリス製の義手義足。生体ではなく機械で、確かにイーリスのもの。
 集団の中でも一際目立つ、風格と気配。

 それらすべてを認めてから、息を吸って言葉をつくる。
 サングラスを取り出して、一瞬顔に掛けてから胸元に引っ掛ける。
 付けたまま話すのは無礼なので、男の顔を示すための仕草。

「遅れてごめんなさい。はじめまして。僕がエルピス・シズメです。
 ずっとイーリスの傍に居て、イーリスと共に《フェイルド・スチューデント》を、
 運営し続けた方と、聞いています。」

 誤解を解きながらも、思いの丈と尊敬の意をエメラルド田村に示す。
 イーリスにとっても大切な身内であり、立派な人間だ。

 エルピス・シズメにとって、そこに沢山の敬意がある。
 ……それらを伝えてから、イーリスとの関係性を、改めて告白する。 

「……イーリスの、恋人です。将来を見越して、想っています。
 こんな見た目だけど、男として……立派にしあわせにしたい、と想ってます。」

 外付けの経験を除けば、14歳の言葉。
 ませたものと受け取られることも自覚しながら、臆せずに言葉を告げた。
 
 

Dr.イーリス > (……そういえば、エルピスさんが女の子に見えるというのはちゃんと言っておくべきでしたね)

とても愛らしいエルピスさんを見れば、多くの人は女の子と思うはず。
初見で男の子だと見抜いたギフターさんには内心驚いていた。

エメラルド田村 > 《フェイルド・スチューデント組》にとって、エルピスさんは恩人。手続きも大変そうにしていたとは、イーリスから聞いている。
無論、それとは別に更生プログラムを用意してくれてゴミ処理係として受け入れてくれた蒼先生、体を張って鉄拳で更生させてくれた鋼先生にもいっぱい感謝していた。

エルピスさんの事をイーリスの女友達だと勘違いしているので、エルピスさんが涙を流す事に田村や他の組員達は首を傾げていた。
その後、サングラスを一瞬だけかけるエルピスさんを田村他組員達が見守っていた。
エルピスさんの自己紹介を聞く一同。

「ええええぇぇええぇ!!? てめぇがエルピスかよ!?」

組員一同「なにいいいぃぃぃ!!?」

エメラルド田村は立ち上がりながら、他の組員達と共に驚いていた。

「いや、すまなかった。名乗り遅れたな。俺は《フェイルド・スチューデント組》若頭、エメラルド田村だ。この度は、俺達の入学を手助けしてくれてありがとな! エルピスのお陰で、俺達は学園に通えている」

エメラルド田村と他の組員、イーリスもみんなでエルピスさんに頭を下げる。
イーリスの女友達であっても自己紹介するつもりでいたが、彼氏のエルピスさんが来てからしようと考えていたエメラルド田村。

「というか、第一声が『よかった』で涙を流すとか、どんだけ良い奴だよ。こっちが『よかった』と言いてぇよ。あぁ……《フェイルド・スチューデント》はイーリスと、他三人を加えた五人で立ち上げた……。この過酷なスラムや落第街という環境で、イーリスと俺以外の初期メンバーは生きてこれなかったけどな……」

Dr.イーリス > 「…………」

エメラルド田村の言葉に、イーリスは命を落とした初期メンバー三人を想い、暗く視線を落とす。
もう、初期のメンバーはイーリスとエメラルド田村しか残ってはいない。
エメラルド田村は、ずっとイーリスの傍にいてくれて、お互い支え合って《フェイルド・スチューデント》を運営し、この過酷なスラムや落第街を生き残ってきた……。

エルピスさんがエメラルド田村へと告げる想いに、イーリスからもエメラルド田村へと頭をさげる。

エメラルド田村 >  
エメラルド田村は神妙にエルピスさんの言葉を聞き、
そしてエルピスさんに静かに歩み寄っていく。

エメラルド田村 >  
 
 
    「お願いだ……。イーリスのこと、幸せにしてやってくれ!!」
 
 
 

エメラルド田村 > エメラルド田村は、エルピスさんの前で両膝をつき土下座した。

「イーリスはよぉ……出会った頃は楽しそうに機械を弄っていたんだ……。それはもう無邪気にな……。だけどよ、このスラムで生き抜くには純粋に楽しく機械を弄っているだけではいられぇんだ……。俺達は生き抜くために悪い事をたくさんしてきたぜ……。優しいイーリスの手も随分と汚させちまった……。純粋に機械を弄って笑っていたイーリスがだんだん笑顔が消えていってよ……。つい最近までは、虚ろな表情しか見せないようになってたんだぜ……」

生き抜くために盗みなどの悪事に手を染めてしまい、スラムや落第街の闇を知り、イーリスは人生に諦観して、つまらなさそうな表情しかしないようになっていた。

「でもよ、イーリスは一度《常世フェイルド・スチューデント》を離れて……笑顔を見せるようになったんだ。あんたと一緒にいると、イーリスは笑顔に……幸せになれる。エルピス、あんたは俺達のために入学の手続きをしてくれたり、さっきも俺達のために泣いてくれたよな? 俺はあんたの器に惚れ込んだぜ。イーリスは、俺の妹のような存在だ……。だがあんたになら、イーリスを任せられる」

田村は頭を下げたまま、エルピスさんに強い想いを込めて言葉を紡いだ。
エルピスさんに義理を通さなければ、男が廃る。エメラルド田村は、エルピスさんに義理を貫く。
イーリスを任せられるのは、きっとエルピスさんしかいない。

Dr.イーリス > 「……田……村さん…………」

田村が自分のために土下座までしてくれている。
今までずっと、支え合ってくれていた田村。

イーリスは、双眸から涙が零れ落ちていく。

エルピス・シズメ >   
「……うん。そうなんだ。えっと……どんな人だと思った?」

 間違えられることには慣れている。
 ただそれはそれとして、どんな姿をイメージしていたのだろう。

 ふわりと花のように笑いながら、興味と世間話がてらに聞いてみることにした。

「改めてよろしくね、エメラルド田村さん。
 えへへ……どういたしまして。たまたま制度を知ってて、上手くつないだだけだけど……
 ……それでも助けになったなら、嬉しいな。」

「僕もこうして、手を掛けたみんなが元気にしている所を見れたから、安心しちゃって、つい。」

 仕事に不安はなかったけれど、万が一がなくはない。
 順調に引き上げと救済が進み、風紀委員の参加で活動を行えている事には心から安堵している。

 自分の仕事が報われて、元気にしている。
 それだけでも、どうにかしたいとエゴの混じった自分の気持ちが報われる。

「……。」

 二人の素振りをみて、他のものは脱落してしまった事を悟る。
 触れることの出来ない、《フェイルド・スチューデント》の過去。 
  
 真剣な空間の中、エメラルド田村が自分に(エルピス)に歩み寄っていると気付く。
 土下座と共に思いを受け留めてから、静かに膝を付いて視線を合わせた。
 

エルピス・シズメ >  
 
 
    「うん。いーりすを幸せに出来るように……いっぱい、頑張る。」
 
 
 

エルピス・シズメ >   
「どこまで出来るか分からないとか、時には苦しい時もある。
 そう言う細かい話は抜きにして乗り越える。」

「……僕が、ううん。僕やイーリスの周りにいるみんなと、僕が、
 いーりすのことを、幸せにするよ。」

 僕が幸せにすると独占するように言い切りたい気持ちはある。
 でも、それでは良くてそこそこ止まり。

 イーリスや自分の周囲にいる皆が居てこそ。
 イーリスが自由であり、選択に強い意志を持てるからこそ。
 イーリスはとっても幸せになれる。

 イーリスには、善悪の河岸を超えた多くの縁がある認識がある。
 それらもイーリスの試練と幸福の一助と内心で呑み込んで、強く宣言する。

 そこを違えない様に言葉と態度て示しながら、
 エメラルド田村に真剣な視線を合わせて、強く応える。

(……でもいちばんは自分が良いな。)

 内心では、ほんのりとそう思う。
 そんな気持ちが高じて、ちらりとイーリスをみる。

エメラルド田村 > 「どんなって、そうだな……。イーリスがすげぇ惚気てるから、イケメンなんじゃねぇのとは思っていたぜ」

物凄くざっくり。

「あぁ、よろしくな! 学園の制度で複雑なところあるだろ。よくあんなもの把握できるな……。あんた、優秀なんだな」

感心の眼差しをエルピスさんへと向けるエメラルド田村。
昔、学園に入学しようとしたけど、公的にはないものとされるスラムの孤児という立場において不利に働き、突っ撥ねられた事がある。
エルピスさんは相当うまい事やったのだろう。

「俺達が元気にしているのはあんたのお陰だ。感謝しかねぇよ。恩は返さねぇとな。おい、何か困った事があれば俺達を頼れ。力になるぜ」

エメラルド田村がニヤリと笑う。他の組員も快くこくんと頷いていた。

Dr.イーリス > 「……えるぴすさん。ありがとうございます」

エルピスさんの視線に、イーリスは涙を流したままにこっと笑みを浮かべてみせた。
これからも、エルピスさんやみんなと幸せになっていきたい。

素敵な縁、いっぱい……。
これからもそんな縁を育んでいきたい。
そして、エルピスさんと共にこれからも歩んでいきたい。

(……あなたが大好きでいられる私であり続けられるよう、頑張ります)

エメラルド田村 > 頼み事を終え、義理を通したエメラルド田村は顔を上げて立ち上がる。

「そうか。イーリスには、手を差しのべてくれる優しい人達がたくさんいるんだな。そいつは安心だ」

感慨深そうにイーリスを眺めてから、
近くにある椅子に足を組んで座る。

「まあ食えよ、エルピス。そうだ、連絡先交換しとこうぜ」

エメラルド田村は、イーリスが造ったスマホを取り出す。

イーリスや他の組員も席についていた。
席が微妙に足りずに立っている組員もいるけど……エルピスさんはご客人なので席がある。
エルピスさんがもし席を譲ろうとしても、ご客人の席を取ろうとする無粋な組員は一人もいない。

テーブルに並んでいるのはターキーやピザ、フライドポテト、いちごのショートケーキなどなど。
イーリスはエルピスさんが席につくのを待ってから、ピザを食べ始めていた。

エルピス・シズメ >  
「ダメと言わせないだけの知識は、あったから。」

 公安時代ならび便利屋時代の経験(故エルピスから継いだ経験)
 ゴミ処理係への協力組織として実績(既に協力関係にある)事実を起点に、
 スラム在住・住所不定の問題を解決するための空きアパート一棟まるごとの確保。

 二級学生が救出・保護される際、一年(場合によってはそれ以上)の学費免除と共に、
 正規学生へと昇格される保護制度を最大限に活用した。

 他にも、やむを得ないであろう数々の理由と『殺人』が確認されていないことも壁にして、丁寧な不足の無い資料をつくりあげ、更には福祉面を担当する生活委員と何度も何度も整合した事実を用いて、多くの部署や不動産業者を巻き込んで、感情だけで突っぱね返せないだけの資料と情報を叩き付けた。

 《フェイルド・スチューデント》がそのまま風紀委員傘下の《フェイルド・スチューデント組》になった事実も使い、公安委員に風紀委員の管轄であると弁を立てると同時に、《ネオ・フェイルド・スチューデント》に向ける様に陳述書も書いた。

 他にも、こまかいことをいっぱいした。
 そうやって、書類の上の戦いを制した。

「ありがとう。困った時はちゃんと頼らせて。
 僕だけじゃできないこととか、知らないことは沢山あるから……。」

 自分で出来る事には限度はある。
 そして、何度も限度を超えて走った。疲労や傷を負うのは良いとしても、次もそうできるとは限らない。

 だから、自分とイーリスの力になってくれるものが居る事を実感できるとすごく心強い。
 純粋に厚意を喜び、陽に照らされた花の様な明るい笑みを綻ばせる。
 

エルピス・シズメ >  
 
「これから一緒に頑張ろうね。いーりす。
 苦しい時も、大変な時もいっぱいあるけど……信じていこう。
 どんなイーリスでも、だいすきだから。」

 頭の中がイーリスのことでいっぱいになりはじめるけど、
 まだ大事な場面だから惜しみながら抑える。

 

エルピス・シズメ >  
「そうだね。お腹も減って来たし……こんなに美味しそうなもの、
 たべないわけにはいかないや。」

 用意されたものにはエルピスの好物も多い。
 食べ盛りの男の子なので、食の好みが合っている。
 ターキーもピザもポテトも好物。数々の料理に目を輝かせた。

「そうだね。交換しておこう。
 ……これでよし、っと。改めてよろしくね。エメラルド田村さん。」

 連絡先を交換して、エメラルド田村との縁が出来たことに嬉しそうに目を細める。
 見ない形のスマートフォンは、イーリス製かなと想いを馳せた。

「いーりす。一緒に座って食べよ。」

 たくさんの並べられた料理。
 今日ばかりはお祝いだから、いつもよりたくさん食べるところを見せてもいいかな。
 ……案外立ってる方がどこの料理も取れるから、食べる組員は意外とそうするのかもと思ったりした。

 事務所でははしたないかなとある程度で抑えてはいるが、
 エルピスは食べようと思うと沢山食べる子である。身体構造の関係でも少しある。

「どれも美味しそう。どれから食べようかな……
 ピザもおいしそう……イーリス、何のみたい?」 

 食事を楽しみにしながら、隣り合うように椅子を引いて座る。

エメラルド田村 > 具体的に、フェイルド・スチューデントを正規入学させるためにエルピスさんがどのような事をしたのかは、エメラルド田村には分からない。
だが凄く大変だった事は想像に難くなく、それ故に感謝いっぱい。
おそらくエメラルド田村が思っている以上にエルピスさんは大変な事をした事になるだろう。

「エルピスは『数ある事務所』っつーところで便利屋やってるんだろ? イーリスもそこにいるんだ。俺達も臨時要員っつー事にしてくれ。頼んだ」

常に『数ある事務所』にいるわけではないけど、困った時に呼べば駆けつけてくれる、みたいなポジションの集団。
『数ある事務所』のバックに《フェイルド・スチューデント組》がつくともいえるだろうか。

Dr.イーリス > 「はい……あなたと一緒に、ずっと歩んでいきます。どれだけ困難が待ち受けても、これからもあなたとずっと……」

イーリスは、エルピスさんに目を細めた。

「私も、あなたがだいすき。ずっとすき」

頬を赤らめつつ、にこっとエルピスさんに笑みを浮かべてみせる。

エメラルド田村 > 組員A「エルピスの兄貴とイーリスの姐さん、熱いっすね!」
組員B「見せつけてくれるっすね」
組員C「仲睦まじくていいっすね」

組員達がエルピスさんとイーリスを茶化している。

イーリス「う、うるさいです……!」

イーリスは頬を赤らめつつ、組員達を睨みつけた。


「おうおう、遠慮なくたくさん食べろ! 今日は宴だ! おう! 改めてよろしくな!」

エメラルド田村は、にっ、と白い歯を見せて爽やかに笑ってみせた。

Dr.イーリス > 「はい、食べましょう! フェイルド・スチューデントの料理担当さん、赫さん程ではないにしてもとてもお料理が美味しいのですよ。かつては数少ない食料を工面してましたからね……。あと、私がお料理できない主な原因かもです……」

不良時代、役割分担として、イーリスはメカの研究や開発、医療知識を活かした治療、参謀として作戦立案、作戦指揮などを補っていた。イーリスに役割が偏っているけど……フェイルド・スチューデントとはそういう不良集団だった……。
その分イーリスは料理担当さんにお料理を丸投げして、自分で調理する事はなかったのである。他の組員も同様。

「このピザとても美味しいです。エルピスさんもピザ食べましょうよ。ピザと合うメロンソーダがいいですね」

とても幸せそうな笑みを、イーリスはエルピスさんに向けていた。

エルピス・シズメ >   
「うん。書類上では逆……と言うか名前を借りることになるのかも、
 何かあったら色々お願いすると思うから、宜しくね。」

 『数ある事務所』は、正規の組織ではない。
 どちらかと言えば黒に近い灰色。保護区域にあったり、直近の活動を択んだりでギリギリ灰になっている程度。
 
 ナナへの外出用二級学生証の手配を突かれると大分苦しいが、足跡は残してないので何とかシラを切れる。
 今後の学生証の手配は正規の保護の代行に絞り、黒い事は回避しても問題ないだろう。
 事務所の運営は後ろ暗い事をしなくて済む程度には安定している。

「うん。僕もピザと……メロンソーダだね。」

 イーリスと一緒のものを頼んで受け取ってから、カップを掲げる。
 ある程度ピザを食べた辺りで、立ち上がってカップを掲げる。
 
「今日は僕たちの為にごちそう、用意してくれてありがとう。
 気の利いた言葉は中々出ないけど、せっかくだから、えーっと……」 
 

エルピス・シズメ >  
 

 
    「今日のこのたのしい宴会に、乾杯!」
 
 

エメラルド田村 >  
 

    「今日のこのたのしい宴会に、乾杯!」
 
 

Dr.イーリス >  
 

    「今日のこのたのしい宴会に、乾杯!」
 
 

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