2024/10/15 のログ
ご案内:「スラム」にF.U.R.Yさんが現れました。
F.U.R.Y > スラムにある開け放たれた酒場の一つ。

「っは~…」

男が一人、何をするでもなく酒を飲んだくれていた。

酒の味が分からなくなってからどれ程か。
何を飲んでも砂を噛むように無味だが、酒のアルコールだけは多少体を温めることができるから、もっぱら飲むといえば酒になっていた。

昔はつるんでいた連中とよく飲んでいたのだから、変わりないといえばそうなのだが。

「つまんねェ」

とはいえ今は誰ともつるんではいない。
酒を飲む相手もいないなら、酔いくらいしか暇を潰す娯楽もなかった。

F.U.R.Y > 前に多少暴れて以来、自分に手を出す相手も今はおらず。
腫物扱いは慣れているとはいえ、張り合いのある相手がいないのは少々難儀だ。
喧嘩するにも相手がいなければやりようもないのだ。

「スラムの連中も何時ぞやに比べりゃずいぶんと良い生活してやがる」

少し前は、それはもうひどい有様だった。
銃声に爆発音、危険を知らせる音はどこからでも聞こえて。

戦争でもしてんのかってなもので。

F.U.R.Y > とはいっても、この地は無法地帯。
平穏な喧噪はいつだって鳴り響いている。
食い逃げだなんだと怒号を背に走っている輩が通り過ぎようとすれば、足の一つもひっかけてやろうか。

「飯食ったら代金くらい払うのが筋ってモンだぜ」

追いかけてきていた店主につき出せば、お礼とばかりに賄いの何かの揚げ物、渡されて。

はてどうしたモンか。

F.U.R.Y > スラムの揚げ物は味は兎も角中身に何が入ってるか分かったもんじゃないことで有名だ。
今となっては味もわからない男にとっては、中身の方が気に…も、ならないが。

「ま、いィか」

一つ手に取ってぱくり。さくさくとして熱い餡。それ以外の事は何もわかりやしないが。

それ酒のつまみに、もう一杯酒を呷る。

度数なんて気にもしてない。どうせ悪酔いできるような体ではないのだから。
度の高い酒でどうにか体が火照る程度なのだから、楽しみもへったくれもない。

F.U.R.Y > 要は腹が収まればいいのだ。

「はふ。…はっ、熱さはわかるのは儲けモンだな」

食って、飲む。
金に関しては先日の乱闘で多少潤っているから問題はない。負けたら金目のものは奪われる、落第街の基本だ。

もとより、そうやって生きてきたから誰がどこに金目の物を隠してるかなど粗方予想もつく。

折角だ、ここの酒を飲み干すくらいはしてやろうか。

「親父ィ! 酒の追加だ!
 強ェのどんと持ってきな!!」

金はつかってなんぼ、それが落第街の流儀。

F.U.R.Y > そんな風にしてれば、後ろから声をかけてくるごろつき達も現れ始め…

「ァ…?」

見ればこの間喧嘩をした、違法部活の構成員たち。
傷が治るには随分と速いようだが…しかし包帯や絆創膏の類はつけてるものの、やる気は十分なようす。

「ハッ、何だかわからないがやる気じゃねェか」

そういうことなら、と。
ふらり立ち上がって応じる構えを取る。

ご案内:「スラム」にエボルバーさんが現れました。
エボルバー > 月が照らす闇の底。無いものとされる学園の影がそこにある。
剥げたバラックに囲まれながら暴力の潮流が蠢こうとしている。
無秩序な暴力は、必ずその環境をかき乱す。

そう、
変化が生まれる。

対面し火花を散らさんとする男たちの頭上から
何かがちらつく。
それはよく見れば光を吸い込むような真っ黒な何か。
その黒い降雪はあっという間に空間を包み込む。

かつ、かつと。
荒れた地面を踏みしめる軽い足音。
黒い雪に包まれる闇の向こうから次第に大きくなる人影。

F.U.R.Y > 「…ァ?」

なんだ、ケンカかと思えば見ない顔がさらに増えやがった。
軽い足音の方に視線を変えて。

「なんだ、助っ人か? 上等だまとめてきやがれよ」

とはいうものの。
ガラの悪い男たちも何もわかってない様子で。
やってきた謎の人物の方を見て困惑するばかり。

エボルバー > >対象補足
>目標:5

>超自然反応検出


ドラム缶の上に灯る炎がソレを照らした。
淡く紅く、揺れる黒い髪が露になる。
黒い闇の彼方から現れたのは、黒いパーカーを身に着けた
一人の女。
その女は乱れぬ様子で規則正しく歩みを進め、男たちへ近づく。
右手には朽ちかけの鉄パイプのようなもの。

十分に近づいてくればその歩みをぴたりと止め
男たちと赤髪の髪を見渡すようにゆっくりと見つめる。
特に赤髪の男には興味深そうにじっくりと。
やがて、女は口を開く。

「僕は今から君たちを、殴る。」

それは透き通るように綺麗な、
しかし何処か不気味な無機質な声。

F.U.R.Y > 「…”達”ィ?」

どういうことだ、というように首を傾げ。
女の姿を眺める。

「悪いが女殴るのは趣味じゃねェんだ。帰り…」

言ってる傍から。
知るかというように、自分と、女に殴りかかるごろつき達。
ナイフを黒い溶岩の塊のような左腕で掴んで受け止めるが、もう一方…女に向かう方はどうしようもない。

する気もそう、ないが。

そう思いながら見ていれば、頭をガツン!!とバットで殴られる。

「邪魔」

殴られた拍子に軽く、血が飛び…

それが地面につく前に、右こぶしをバットの方へと殴りぬけた。

「してんじゃねェよ!!!!」

鉄砲で弾かれたように、ごろつきの一人吹き飛ばしながら。

エボルバー > >超自然反応増大
>種別:肉体強化


怒号とともに訪れる暴力劇。
殴りかかられた赤髪の男が発動した異能のようなものに
女は興味深そうに見つめていた。

だが悠長に観察している暇はない。
その女にも男に一人が殴り掛かってきたのだから。
太い腕から金属の鈍器が女に向かって振り下ろされる。
男の筋肉から繰り出される全力の一撃。
喰らえば女などひとたまりもない。
そう、
普通の女であれば。

鈍い音が響く。
ただそれは、
女が殴られた音ではなく、
女がバットを右手で受け止めた音。
異様な振り返りと共に打撃を受け止められた男は
声にならない息を漏らす。

そして瞬きを許さぬ程に。
次の瞬間に、鈍く低い電子音のような響けば
女がいつの間にか男の至近距離まで潜り込む。
男を見上げながら、女の形をしたソレは首をつかむ。
異様な力。
そのまま、小石を投げ飛ばすような軽さで
男をそのまま飛ばした。
地面に強打し気絶した男が、赤髪の彼の横を
とてつもない勢いで滑り去る。

F.U.R.Y > 「―――」

横を飛びそうになる男の体、空いた右手で受け止めて。
そのまま適当なところに放り投げる。

並みの連中とはどうも違ェな…?

「こっちが本命ってことかィ」

なら、他の連中はどうでもいいか。
ナイフの男も適当に投げれば。

「さっさと消えとけ、怪我じゃ済まねぇぞ」

と、言う前に、ごろつきどもは危険を察知して退散していた。
こういう時の危険には敏いものだ。ああいう手合いは。

「いィぜ。 丁度暇してた所だ。

 来いよ」

右手でくいっ、と誘って。

エボルバー > 有象無象が退場した一角で
赤い髪と黒い髪が向かい合う。

「そう、させてもらう。」

それは硝子を転がすようなそんな音。
鉄パイプを握っていた女の左手が不気味に黒ずんでゆく。


>新規アーキテクチャ構築中...


その黒ずみは鉄パイプを完全に覆いつくしていき...
棒状の、真っ黒い鈍器へと姿を変える。

女はその武器を握りしめると
金属が擦れあうような甲高いせり上がる無機質な音。
そんな生物からは出ないような音と共に
女は彼へと一直線に勢いよく駆け飛んで行く。

F.U.R.Y > 「(金属音?)」

鉄パイプが何かに変わった。が、気にすることはない。
金属音に関してもすぐに聞こえた、という情報に成り下がる。

振るわれるのは鈍器に変わりない。弾けるようなスピードは…人間ものじゃねぇか。

なら。

「…らァ!!」

正面から、黒い左拳で受け止める。
固いものなら、固いもので。
こちとらこれが自分の獲物の中で一番固い。

互いの一番固いものがぶつかり合う音。
ギィン!!!!!という激しい衝撃が周囲にこだましながら、相手の力量を見る。

「テメェ…
 ナニモンだ?」

少なくとも女で、これだけの力を発揮する奴。
落第街で聞いた事はねぇな。

だとしたら風紀の連中か。と一瞬思うもそれも風体からするに違う。

何物か、と、一瞬考え。

しかし

「誰でもいいわな」

そんな思考をすぐに捨て…右の拳をすぐさま顔面にぶちこまんとする!

エボルバー > >超自然反応増大


異形と異形がぶつかり合う。
耳を貫くような音と空気を圧しだす衝撃。
強力なエネルギー同士がつかの間の均衡状態を作り出す。

赤髪の男の異能は恐らく肉体強化。
このぶつかり合いを許容できるとは
彼の変形は強力な構造を作り出しているといえる。
燃え盛るような力の波動が女の手元へと伝ってゆく。

「僕は、変化を求めるモノだ。」

対する女の力は、端的に言えば不気味で気持ち悪い。
全くムラのない均一化された無機質なパワー。
それはまるで、工場の重機械と力比べしているような。

だがその力比べは長くは続かない。
間髪入れずに振るわれた男の右腕。
女の虚ろな翡翠の瞳に反射する拳。

そして衝撃。

その顔面に無慈悲な一撃を叩き込まれた女は
言葉を発する間もなく勢いよく地面へと叩きつけられる。
その余りに暴力的な一撃に耳を塞ぎたくなるような鈍い音を発しながら
女はぼろ雑巾のように地面へと転がる。

F.U.R.Y > 「意味わからねェな」

右こぶしは、左のそれとちがい筋力以外は通常のものだ。
それでも大男を殴り飛ばす程度の力がこもるそれを女が受ければ、当然、こうなる。

単純な話。

「(ずいぶんとパワーはありやがる。が……戦い方は素人に毛が生えたようなモン)」

「テメェ手ェ抜いてんのか?」

力比べ、だけであるなら。
この男のそれは無類の強さだ。
たとえ大型重機を持ち込まれようと、負ける気はないと自負するほどに。

だからこそ。
絡め手がないならば、押し合いだけなら。
左腕で受けて右で殴りぬける。これだけで勝負がつく。

が…これで終わったとは、到底思えなかった。

「その程度なら終いだ。
 探り合いならの相手探しな。

 …”そうじゃねェ”なら、すぐに出すんだな」

吹き飛ばした女に、そう声を投げかける。
どうせまだ、”何かある”

エボルバー > しばしの空白。
赤髪の男が呆れたように息を漏らした。

しかしそれも束の間の安息だ。


>取得情報精査完了
>再計算...
>キャトムマップ更新中...


また金属を転がすような異様な共鳴。
その瞬間に地面に伏せていた女が、
まるで”逆再生するような”、
もはや生物とは断じて言えない挙動で起き上がる。

起き上がった女の儚げな顔には男の拳によって付いた傷。
ただし、そこからは鮮血ではなく黒い粉のようなものが漏れ出ていた。

「君は、非常に面白い。」

唇から零れ出た吐息のような一言。
間髪入れずに、女は地面を蹴る。
奇妙な電子音と共に再び赤髪の男の元へ駆け飛ぶ。

今度は女の手に武器すらない。
その華奢な拳を彼へと叩き込もうと試みる。
虚ろな視線が捉えたるは
そう、彼の”左腕”。


F.U.R.Y > 「気色の悪い動きしやがる。テメェ”マトモ”じゃねェな」

逆再生のような立ち上がり方。それを見て一言。
血も出ない、起き上がり方も異様。
おかしな奴はこの地では至る所にいるが、しかしそのどれとも違う…


例えば、自分のような。

「ハッ

 そんな軟腕で勝てるか――――!!」

拳を向けるなら。
こちらも拳で返す、ように。


何の変化があるのかも、これには見当もつかぬゆえに。