2024/11/19 のログ
ご案内:「スラム」にF.U.R.Yさんが現れました。
F.U.R.Y > 「あ”ー…」

久々のスラム。
数日間離れただけではあるものの、その数日は黄泉の穴での…常に死と隣り合わせの狩り合いの中だっただけに、表に出れば気も緩むもの。

それでも普段なら他人を寄せ付けないのだが、今日は出くわした相手がよくなかった。

ガキだ。このスラムで生まれ育ったんだろう、浮浪児のグループ。

男はガキが嫌いだった。弱くてすぐ泣き、すぐ死ぬ。
自分もそうだったからなおの事腹が立つ。だからガキに手を出すような真似は譬え飢え死にしかけていても、することはなかった。

それに加え、見たものを放ってはおけない性分であるものだから。

つい、声をかけてしまうなんてこともままあるのだ。


結果として…

「この数日で稼いだ金が随分消えちまったじゃねェか…」

腹をすかせたガキ一人、たまたま顔見知りが寄ってきやがったから。
黄泉の穴で勝ち取った怪異の亡骸売って作った金で、丁度飯を食ってる途中だったから。

一人の相手してたら気が付いたらぞろぞろと。どいつもこいつも腹空かせてやがったから。

んなら好きに食いやがれと屋台に札束叩き付けちまったのが運の尽き。

気が付きゃガキもジジイもババアもやってきてお祭り騒ぎときたもんだ。

宴なんてガラじゃねェってのに。

F.U.R.Y > 「ったくよォ……」

頭をガシガシと掻いて、周りのお祭り騒ぎにため息一つ吐く。

ここの連中は都合がいい事にはすぐに乗っかかる。弱者の常って奴だ。
そして、これも弱者の常という奴で、顔を知ってる奴にはとんと甘いもんな訳だ。

助け合いなんて言えば聞こえはいいが、結局はそうして顔を知って協力しないと生きていけないだけ。

『ひゅーりー、あれやってよあれ!』

『らーすおぶどぅおっての!』

「やらねェ」

俺もこのスラムの中じゃただの”気難しい兄ちゃん”らしい。
いつだか、まぁ何度もスジの通ってねェ連中をノしてきたせいか、勘違いした弱い奴らが寄ってくる。

そいつらのねぐらを、気が付いたら守ってた形になったことも少なくねぇ。

そういうのが積み重なった結果、今こうして弱い奴らどもに群がられてる訳だ。

『おにいさん、今日はこんなの作ってきたんだけどねぇ』

たまにこうして、ジジババから飯まで持ってこられやがる。
自分のねぐらまで用意されるだのもいつもの事だ。


本当に落ち着きやしねぇ

F.U.R.Y > 「他人に分ける前に自分の心配しろバァさん」

苛立ちながらそうお裾分けを突っぱねて、活気づいたスラムのゴミ山の上まですごすごと逃げていく。
スラムだろうと、人は生きてるもんで。
一体どこからこんだけの人数出てくるんだって思いながら、固形肉をつまみに酒をかっ食らう。

「はァ…」

どうせ、ここにいる連中も皆不法住居者。ここ以外に居場所もねェ。
よりどころという奴が必要なんだろう。それを俺に求められるのが気に入らねぇが。


そんなこと思いながら、少しだけ明るくなったスラムの闇夜を眺めるか。

ご案内:「スラム」からF.U.R.Yさんが去りました。