2024/12/29 のログ
ご案内:「スラム」にF.U.R.Yさんが現れました。
■F.U.R.Y > 落第街にも年末年始は存在する。
とはいっても、祝い事をするような連中は殆どいない。
そんな余裕のない者、手薄になった警備につけ込み悪さを働く者。
だいたいは、そんな所だ。
このスラムの一角も同じ。年末の静けさなど感じさせず、風紀委員の手が届きにくいという理由で暴れるもの数知れず。
スラムの者に、年末休業なんて概念は存在しないのだ。
「ったくよォ」
逆に、この時期は無法者が流れる機会が多い。
それが理由で男は喧嘩にあけくれていた。
縄張りを荒らす連中を好き勝手にしておけば、すぐに無礼な輩の温床になる。
そうなることを防ぐ為にも、こういったまつり事の前は念入りに荒くれものを潰す。
「つまんねェ奴らばっかだぜ」
■F.U.R.Y > やってくる荒くれ共を殴って、殴って、殴る。
対して強い連中もいない。ただの作業のような喧嘩。
欠伸も出ようものだ。
偶に後ろを角材やら鉄パイプで殴られるが、その程度のものが男に効くはずもなく。
「やるならもっとマシな獲物持ってきな!!」
角材を持った荒くれの首根っこを掴み、そのまま周りの連中に投げつける。
膂力、耐久性において、男に敵う連中などそう簡単にいるはずもない。
人の形をしている左腕以外の部分も、その剛腕に耐えれるようにと人外のスペックを有しているのだから。
■F.U.R.Y > 「はぁ、つまんねェ」
ここ最近やってくる連中ときたら、たいして強くもないのに威張り散らかすような連中ばかりだ。
徒党を組んで暴れ、男の縄張りであるスラムの一角を狙う連中。
F.U.R.Yの今のねぐら…seven deadlyと誰かが呼び始めたスラムの一角は、採掘施設があることが原因か利権をめぐる争いが絶えない。
そんな連中を結果的に退治しては回る、そんな日々。
だが、骨のない連中と喧嘩をしても、面白みに欠ける。
欠伸を噛み殺しながら、いつかやった女の風紀委員の事を思い出していた。
■F.U.R.Y > 名前は聞いていたかどうか、いや、名前などどうでもいい。
あいつは強かった。カクトウギという奴が、どんなもんなのかを理解させられる程度には。
力任せに殴る蹴るが喧嘩だとばかり思っていたが、それとは別の強さがあることを知るにはいい相手だった。
「せめてアイツ程度には強い奴じゃねェと、張り合いもねェな」
どんな強さでもいい。だが、あれぐらいに骨のある喧嘩をしたいものだ、と。
そういえば、女といえばもう一人いたか。
不気味な女……腕やらなにやらを変化させる、どこか機械みたいな女だった。
あれも強かった。殴り合いで競り合う程に。
チリのように消えていったが、残した言葉は、死ぬ直前に吐くようなセリフではなかったな。
あいつの正体に興味はねェが……また来るなら相手してもいいだろうな。
■F.U.R.Y > 謎の女に、最近見かけた血なまぐさい現場。
この先もこの街には無くなりもしないだろうな、そういう荒れ事は。
そう言う場所だ、そこで生きる事を選んだ連中だ。
だから誰が何をやろうと勝手。むしろ、むやみに足を突っ込む風紀委員なんぞの連中の方が、邪魔臭い。
島に見放された連中にとっては、真っ当な言葉の方がよほど効くもんだ。
「……」
最近は減ったが、少し前までの学園からの圧力は相当なもんだった。
スラム撲滅を掲げた強制退去活動、それに伴う暴力による弾圧。
実際に焼かれたスラム集落すらあった。
そこに、男だったものもいた。
ここでしかいきれないような半端ものの中に、俺もいた。
■F.U.R.Y > 男と風紀委員の間にある消えない溝の原因。
悪を滅ぼすという思想の下に行われた過激行為があったことを、男は忘れる事はない。
起こした出来事が消える事のないように。
どれだけ風化しようと、忘れる事のない者がそこに残る。
全ての風紀委員がそのような連中でない事はわかっていても。
かつて起こした惨劇の例があるからこそ、この地に踏み入る風紀委員を看過できずにいる。
結局は、自分が過去の遺物なのだろうか。
だとしても――――
ご案内:「スラム」からF.U.R.Yさんが去りました。