2025/02/10 のログ
ご案内:「スラム」にイスラさんが現れました。
イスラ >  
スラムの一角。
細い路地、打ちっぱなしの壁。
見慣れた筈のその光景は、僅か、普段と違って見えている──それは。

「はは、すごい。超能力(サイキック)ってヤツかな。
 ベーシックな異能ではあるけど、単純(シンプル)だけに強力だね…」

見慣れた光景が球形に圧し拉げた、不自然に円形に開けた場所で、
華奢な白髪の少女?が、体格の良い、赤い制服の生徒の頸を締め上げ、軽々と持ち上げていた。

「こんなに強いのに、呼吸が阻害されるだけで死にかけるのか。
 …ふふ、本当に脆くて可愛らしい種族だよね」

掴み上げた頸へと、少女?の鋭い爪が喰い込んでゆく。
人一倍、体格の良かった筈の男子生徒の腕や脚が徐々に細りはじめ、その口は喚くことすらも出来ず、ぱくぱくと餌を求める雛鳥の様に喘いでいた。

イスラ >  
「素晴らしい力だけど、惜しむらくはそんなに脆い身体じゃ扱いきれないのが玉に瑕。
 ──だから、ボクがより有意義に使ってあげるよ♪」

──悲鳴すらもあげられず、やがて絶命し男子生徒はその場にどさりと落とされ、身を横たえた。

「……能力の持ち主の名前くらいは覚えておかないと失礼だよね♡
 えー…と……あったあった…三木島大樹…風紀委員。ああ、風紀委員の制服がこの赤い服なのかな…?」

しゃがみ込み、ごそごそと制服のポケットを漁って出てきた手帳を覗き込み、頷くきながら笑みを零す。
用は済んだ、とばかりに立ち上がれば、掌をかざし───ヴン…、と空間がブレるような音と共に、その亡骸を遥か前方まで吹き飛ばした。

「…うん♪ ボクが今まで奪ってきた、似た力の中でもピカイチかな♡」

発生した衝撃波に白髪を大きく靡かせながら、少女?は満足げに笑み深めていた。

イスラ >  
「用途の限られる異能に比べて、応用が効くのが素晴らしい♪
 それでいて、ボクが使えばこんなに強力♡ 彼には感謝しないとね」

金色の瞳を細め、辺りを見渡して。

「──とはいえ、この辺りにも飽きてきたかな…。
 遊び場にはちょうど良かったけど…"素材"を探すにはやっぱり学園近くのほうがいいのかなぁ」

この廃れた雰囲気も好きなんだけど、と独り言ちて、スラムを歩き始めた。
確か、こっちの方向にずっと進んでいけば、歓楽街?だかに着くはず。間違えていなければ。

ご案内:「スラム」に龍 翠蓮さんが現れました。
紫煙 >  
少女とも、少年ともつかない外見の「それ」が往く道。
その行く末を遮るように、ふわり、と煙が流れて来る。

薄い紫色の、ゆらゆらと揺らぐ、独特な香りの煙。
煙草…に似てはいるが、何処か奇妙な甘い香りを含んだ煙。

精神や肉体などをどうこう、といった効能は感じられない。
あるいは「それ」があまりにも強靭であるから通じない、とも思えるかもしれないが。

――いずれにしろ、その煙を放つ者は、それほど遠くではない。
香りと気配を辿れば、直ぐに見つけられる程度の。

イスラ >  
「おや…」

少女?が足を止める。
ふわりと流れゆく、紫煙。
それはまるで少女?の行く先を遮るかの様に。

「──何かな。ボクへのお誘い?それとも…」

くすりと笑みを深めて、足を進める。
さて、この煙の出所は───。

龍 翠蓮 >  
煙の元を探り、辿れば、奇妙な甘い香りと共に少しづつ漂う紫煙は濃くなっていく。
同時に――当たり前であるが、何者かの気配。
人…にしては、奇妙に強い気もする、奇妙な気配。

そして、辿り着いた先に居たのは。

「――おや、おやおやおや。」

公園と呼ぶには、少々荒れた所の多い広場。
其処に打ち捨てられた、ボロボロのベンチに、優雅な所作で腰掛ける人影。

「何方かと思えば……これはこれは、愛らしいお嬢様で。
このような荒れた街には似合わない――否、却ってよくお似合いでいらっしゃる、かもですね。
ええ、何処か、頽廃的な…何かを感じます。」

笑顔を浮かべ、黄金の煙管から紫煙をくゆらすのは、赤いジャケットに、龍が刺繍された
白いチャイナドレスを着た、白髪の女性。
その長い白髪の両側から、先端が長く尖った耳の先が垣間見える。

豊満といえる体つきではないが――逆に、均整が取れた、美しい体系。
それこそ、座る姿に煙草をくゆらす姿一つが、実に様になる程に。

イスラ >  
Buna seara, frumoasa doamna♪(こんばんわ、美しいお嬢さん)

退廃した街の中に咲いた一輪の力強い華。
そう誇張してもなんら不都合のなさそうな女性。

「なぁんだ。ボクに用があってこの煙を流していたわけじゃないんだ? 残念♪」

お互いの表情がよーく見える位置で足を止めれば、くすくすと笑みを浮かべながらのそんな言葉。

人外めいた、暖かさや血の巡りを感じさせない肌。人ならざる妖しさを秘めた金の瞳。
相対する女ともまた違った、人外の雰囲気───。

「ボクはイスラ。最近このあたりで遊んでるヴァンパイアさ♪
 美しいお嬢さん、君は?」

龍 翠蓮 >  
「ほう、吸血種(ヴァンパイア)。」

自身をヴァンパイアと名乗る、少年とも少女ともつかぬ「何か」に、恐れるでも忌むでもなく、
ただ興味深そうに、そう返事をする女性。

ゆらり、と黄金の煙管から紫色の煙が立ち上る。

「成程成程。先程、少しばかり離れた所で奇妙な空気の流れを感じたと思いましたが…お嬢様の仕業で?
ああいえ、風紀委員に通報しようなど、無粋な真似など考えておりませぬので誤解無きよう。

――ワタシ、ですか。」

にっこり、と、愛想のよい満面の笑顔。

(ロン) 翠蓮(スイリィエン)と申します。
常世渋谷の――少しばかり人目につかぬ場所で、趣味でアトリエを営んでいる、
しがないアトリエオーナーでございますよ。
お暇などございましたら、お見知り置きを。」

くるり、と黄金の煙管を手元で回転させれば、紫の煙が「龍 翠蓮」の文字の形をとる。
覚えるのに充分な程度の時間が経てば、息を吹きかければ甘い香りと共に文字は雲散霧消。

「直接御用があった訳ではございませんよ、宵闇のお嬢様。
――ただ、この煙草は、少しばかり…「罪深い」モノを呼び易くする煙を出しますゆえ。
何か、この煙の香りに感じるものがあったから、こちらに足を運ばれたのでは?」

くすり、と小さく悪戯そうな笑い声。

イスラ >  
「いいんだよ?呼んでくれても♪
 退屈は、ボク達の一番の敵だからね。毎分毎秒、何か起こってくれるほうが本当は望ましい」

胸元に手をあて、謳い上げる様に、仰々しく。

「東洋の名前かな。漢字は形状に趣があるけど覚えるのが大変だ。
 ──へぇ、アトリエ。それはちょっと気になるね。ボクも芸術を愛して止まない性分なんだ」

にこにこと笑みを浮かべ、続く言葉は…より興味を惹かれた様に。

「罪深いモノ……。 それって、人間の基準? それとも世界?」

龍 翠蓮 >  
「おやおや、やはり退屈は長命種という存在についてまわる宿痾という奴なのでしょうか?」

退屈を敵と宣う目の前の吸血鬼に、白いチャイナドレスの女は少しばかり苦笑するような雰囲気。
その瞳は笑みの形に閉じられ、まるで姿を見せない。

「個人経営のしがないアトリエでございますよ。
お嬢様のお目に適うような代物がありますかどうか。」

謙遜するような、しかし何処か不敵なものを含むような声。
続く質問には、また軽く紫煙をくゆらせつつ、口を開く。

「その規模を答える前に。
私の言葉に興味を示して下さったお嬢様には問わねばなりますまい。

罪とは何ぞや?
裁かれるべきモノ? 赦されぬモノ? それとも――――」

それ以外に、何かがあるのか。そう問いかけるような。
まるで禅問答の如きやり取り。

イスラ >  
「欲しくなるかどうかはまた別かな? 芸術は瞳に収めるだけでも価値がある。
 どちらかといえばボクは創る側でね♪ インスピレーションを求めているのさ♪」

故に、アトリエと聞けば興味も湧く。
もちろん、本当に心惹かれる様なものがあれば、糸目をつける性格でもない。

「ふむ」

問い返される言葉。
口元に手をあて、じ…と目の前の女を見る。

「罪とは何か。答えは二つあるね。
 ボクが想う罪。そしてボク達のいるこの空間における罪だ。
 当然、その答えはまるで違う。君の求めている答えはどちらかな。
 無論、後者であってもそれはボクという存在をフィルターとして通したもの…俯瞰的な答えにもそこには差異がある」

「どっちだい? それとも両方なんて、ほしがりさんだったりするのかな?」

龍 翠蓮 >  
「成程、創作者(クリエイター)。」

手を叩く代わり、手にした黄金の煙管を軽く空いている手に打ち付ける。
また少し、ふわりと強さを増す甘い香り。

吸血鬼が語る言葉と再度の問い掛けには、再び黄金の煙管を手元でくるくると回し――
止めると同時に、ぴ、とその先端を吸血鬼へと向ける。

「無論、」

出される言葉は、雄弁に。

お嬢様の想う罪をこそ。
場によって決まるものは、移ろいやすい。
ヒトが、あるいはヒト以外でも、己の心に感じるモノこそが、その人となりを語るモノ。

お嬢様の(主観)に背かぬ、率直なお答えを、ワタシは望むモノです。」

イスラ >  
「それを聞いてどうするのか。
 は、ボクが答えたら教えてくれるんだよねー?」

くすくすと笑みを悪戯に深めながら、それじゃあいいよ、と。

「罪とは何ぞや」

「裁かれるもの?
 ──否、それには法が必要だ。それでは"新たな罪"は裁かれない」

「赦されぬモノ?
 それも、否。罪を赦すも赦さないも各々の裁量。礎となる法が赦す罪だって在る。
 全てをお許しになる、なんてカミサマすらこの世界には存在する」

「ボクが考える罪は、そうだね…」

「──己の意思に、自らが背くこと

「それはボク自身という存在への冒涜に他ならない。これ以上のない罪だ。
 だから、罪深きモノが誘蛾の如くその煙に誘われるのなら…ボク達の出会いはたまたまだね♪」

それもまた良し。
ヴァンパイアと名乗った少女?は実に楽しげに、そう答えた。

龍 翠蓮 >  
「――――――」

少しの沈黙を置き、

「……素晴らしい!!」

満面の笑顔で紡がれるは、ただ一言にして至上の賛美。

「法に(まつろ)わず、神に服わず、只、己の意思のみを以て、己が罪を定める!
嗚呼――――素晴らしきまでの「傲慢」!!」

僅かに頬が上気し、三日月を浮かべる口からは熱を帯びた呼吸。
それほどまでに、その答えが己の求めるモノ通り…あるいはそれ以上だったのか、
白いチャイナドレスの女は黄金の煙管を握り締め、暫し昂る。

そうして息を吐き直し、向き直れば、

「……失礼。
ここ暫くの間、これ程に素晴らしき「罪」に対する答えを聞いてはおりませんでしたので。
少しばかり、はしたない真似をお見せしました。」

コホンと小さく咳払い。そして、白いチャイナドレスの女は改めて口を開く。

「――ワタシは、形はどうあれ「罪」は「力」であると、考えております。
最も、お嬢様の語る「罪」とは聊か概念が異なりましょうが。

暴食…強欲…嫉妬…あるいは、傲慢。
そう、「罪」としての名を与えられたモノ程、最も原始的で、強い力を持つモノである、と。

――つまらぬ考えと、お思いになりますか、宵闇のお嬢様?」

イスラ >  
「ははぁ、さてはキミ、ヘンなヤツだな?」

満面の笑みを浮かべ称賛?の言葉を口にする女。
なかなかの熱量を感じる。この熱は冷え切った自分にはないものだ。

「落ち着いた?」

にこりと笑みを浮かべ、今少し、近くへ寄って。

「いいや? キミがそう定める罪もまた、正しいものだよ。
 罪に限らず、世の中の全ては個々の存在(フィルター)を通して玉虫色に輝くもの──。
 一律の秩序の為に、基準と法が用意されているだけに過ぎないだけで、人も獣も怪物も、本質は同じことさ♪」

「ただ、君の言う罪は、人の持つ罪だね♪
 それを力に置き換えると漏れなく非秩序(アンチモラル)が背中に這い寄ってくる。
 つまらないどころか上等の奇劇じゃあなかろうか?」