2026/01/27 のログ
焔誼輝夜 >  
「あれー?
 あったかいの、こっちだったよねー?
 くまさんまいごになっちゃったー?」

 違反部活が制圧された後に、場違いな声がやってきます。
 大きな熊の上に乗った、中学生くらいの子供が、きょろきょろと周りを見ています。
 そして、赤い色の混ざったお姉さんを見つけて、「あっ!」と声を上げました。

「ほにゃ、おねーさんだいじょうぶー?
 そっちのおにーさんも、けがしてる!」

 状況を見て、そこだけに目が留まって、真っすぐに無警戒に近づいていきます。
 だってけが人が居るのですから駆け付けなくちゃ、と思うお子様なのでした。
 

火倉 刹那 >  
「…………」

熊に乗った女の子がやってきた。

何を言っているのかわからないと思うけど私にもわからない。

一瞥し、話しかけられた言葉には答えず、オモイカネを再び耳元へと当てた。

「…追加で報告。
 一般人…かどうかわからない女の子がいるから保護しに来て。
 特徴? ……熊に乗ってるわ」

相手側から返ってくる言葉は想像できる。

『は?』

でしょうね。

面倒くさくなって通信を切った。

焔誼輝夜 >  
 のっしのっしのっし。
 全長3mはありそうな熊さんにまたがって、お子様は真っすぐ近づいていくのです。

「おねーさん、どうしたの?
 なにかあぶないこととかあったの?」

 流石にそれくらいはわかったみたいです。
 ただ、喧嘩かな?
 くらいのニュアンスでしたが。

「けがいたくない?
 ちりょーする?
 ちょっとのけがならなおせるよ!」

 そう、両手をぐっとして、熊さんの上からお姉さんを心配するのでした。
 

火倉 刹那 >  
「所属と名前、あと学生証を提示してください」

相変わらず、少女の言葉には答えを返さない。
風紀委員の腕章を引っ張って位置を直しながら。

「此処が立ち入るべきでない場所と知らなかったのなら兎も角。
 そうでないとしたら補導の必要がありますので」

自らの傷など気にした様子もない。
大きな熊も、普通の生徒なら気後れるのだろうけれど、平常心を正さない。
淡々と、自分の職務を忠実にこなすのみである。

焔誼輝夜 >  
「ほにゃ?
 はーい、かぐやは、かぐやでーす!
 えっと、がくせーしょーは、まだないでーす」

 腕章は読めませんでしたが、お姉さんに訊かれたら、元気に手を上げてお返事しました。

「ここ、きちゃだめだったの?
 あのね、かぐやね、あったかそーだったから、あそびにきたの。
 そしたらね、おねーさんたちがいて、けがしてたの!」

 だから心配で近づいたのだ、という事のようでした。

「ねーねー、それ、なおさなくていーの?
 ばんそーこーもあるよ?」

 熊の上からそろそろと降りて、お姉さんに、無警戒にぐいぐいぐい、と近づいていきます。
 熊さんは、倒れてる少年の匂いを嗅いでますね。
 幸い食べそうにはなさそうです。
 

火倉 刹那 >  
「…学生証がない? 保護者の名前は?」

自分よりも一回りは小さな少女を前に。
表情が抜け落ちたような無表情。視線も冷たく、灰を思わせるアッシュグレーの瞳は光なく少女を見下ろしている。

「一般生徒は近づかないことが周知されていると思いますが、生徒でないというのなら…。
 いえ、どちらにせと保護者の責任ですね」

「怪我? …あぁ、そういえばあの男からいくらか喰らいましたか。治療は不要です」

ぐいぐいと近づく少女を制するように掌を向けて。

「…あの熊は? 野生の類なら射殺しますが」

焔誼輝夜 >  
「えっとー、ママは、かぐらママです!
 がっこーのせんせーです!」

 見下ろす目に、赤みのある琥珀色の目がきらきらと輝いて、お姉さんを見上げています。
 どうやらお姉さんから、「あったかい」を感じたようです。

「にゃ、ママがおこられちゃうの?
 ちがいまーす!
 かぐやがおるすばんからダッソーしました!」

 右手を上げて、お姉さんに悪い子は自分です、と正直に言っちゃいます。
 制するような掌にもお構いなしに、身を乗り出しちゃいます。

「そうそう、そのけがー!
 いたそう……いたくないの?」

 不思議そうに首を傾げたりしましたが、熊さんを射殺するって言われるとあわあわと両手を振ってから、頭の上でバッテンを作りました。

「だ、だめー!
 くまさん、かぐやのおともだちなのー!
 きょーも、おやまでおすもーしてから、いっしょにぼーけんしてただけなの!」

 金太郎かな……?
 

火倉 刹那 >  
「かぐら…先生? …学園の教諭ですか…」

オモイカネのデータベースを呼び出し、調べる。

「…嘱託の体育講師。『焔誼迦具楽』ですね」

学園の教諭であればすぐに調べがつく。
見た目以上に幼い少女に気圧されることもなく、淡々と言葉を続けて。

「どちらにせよ、監督不行き届きですから。
 子供のした事は親が責任を取るのが義務ですので。…痛くありませんよ。ご心配なく」

クマをかばうようなそぶりの少女にも一瞥を残し、オモイカネを操作する。

「……では野生の熊ではないですか。
 暴れないのであれば、後回しでも構いませんが」

そして端末がコール音を飛ばす。
当然、データベースにあるだろう焔誼迦具楽の連絡先へ、である。
危険なエリアに子供が一人…くまはおいといて、一人でいる。
保護者に連絡するのは当然である。

焔誼輝夜 >  
「そーです!
 ほむらぎかぐらママです!
 ……わーわー!
 ママはわるくないのっ、おこるなら、かぐやをおこってー!」

 なんてお子様は言いますが、監督不行き届きは間違いないのです。
 お姉さんの言う事はとっても正しいのでした。

「いたくないの……?」

 とっても不思議そうに首を傾げました。

「あばれないよー!
 くまさんもかぐやも、おかたづけのおてつだいだってできるよ!」

 むんっ、とお子様が力むのと一緒に、熊さんも「グモッ」と鳴きつつ、倒れた少年の横にドスン、とお座りしました。

 ですが、お姉さんがどこかに連絡しようとしてるのを見ると、ハッとして、お姉さんに飛びつこうとします。

「だ、だめー!
 ママにはないしょにしてー!」

 お姉さんの豊かなお胸にダイブする勢いでした。
 

火倉 刹那 >  
「いいえ。
 怒って欲しいのなら、母親から叱ってもらってください」

ダメです、ときっぱり。
いくら泣きついても毅然とした態度を崩さない。
けれどそれが意地悪でないのは、子供であってもきっと伝わるはず。

「重ねていいますが、苦痛はありません。
 お手伝いは不要ですので、できれば目立たないように隅のほうにいてもらってください」

どうやらクマは少女の言うことを聞くらしい。
不思議ではあるが、この島のこと。不思議なことはいくらでもある。

「ダメです。仕事ですので」

ぴしゃり。飛びつこうとする少女は片手で制止させ、コールを続ける。
出るならば直接。でないのであればSMSで連絡をつけよう。
あついは風紀委員を通して職員室へと連絡をつけるか。

焔誼輝夜 >  
「やーだー!
 さやママにおこられるー!
 すぶりじゅーまんほんはやだー!」

 どうやら、保護者へ連絡がいくと、相当に叱られるようでした。
 まあ、当然ですね。
 保護者も叱られちゃいますしね。

「ほにゃ……はぁい。
 ぐす、ごめんなさい」

 制止に出された手を、お子様は両手で握って、大人しくなりました。
 触れると、明らかにお子様の体温は普通よりも高く、電熱手袋にでも包まれたような感触があるでしょうか。
 

焔誼迦具楽 >  
 はてさて、保護者へご連絡が着きますと、向こうから「ぎゃあー!」と悲鳴が。

『ああ~もう、ほんとごめんね!
 くっそー、今度はどうやって脱走したんだか……。
 家中の隙間は埋め尽くしたのに』

 端末の向こうからは、心底参ったような声。

『あー、えっと、風紀のヒノクラちゃんだよね?
 ほんっとごめん、仕事中に迷惑かけちゃったよね。
 なるべく早く迎えに行くから、逃げ出さないようにその辺に捕まえておいてもらえる?
 もし逃げだそうとしたり、暴れたりしたら、動けない程度に叩きのめしちゃっていいから!』

 そんな返答の後に『迦具楽先生ー、早くしてくださいー!』と、遠くから呼ぶ声。
 『今行きますー!』と返す声の後に。

『ごめんね、すぐに行けるようにするから、ちょっとだけお願い!
 風紀の詰め所に監禁してくれてもいいから!
 それじゃっ!』

 なんて、慌てた返答と共に、通話は途切れてしまうのでした。
 

火倉 刹那 >  
「謝るのであれば迷惑をかけた保護者に謝ってくださいね」

徹を握る少女。
妙な熱を感じるも、寒空の下、冷えた手には妙に心地よいもの。
それを声や表情には出さないけれど。

そうこうしているうちに連絡が繋がって…。

「………」

台風のような問答。

「…あの、では本庁のほうに連れていきますので。はい、ではそれで」

そう連絡をつけ、ため息を吐く。
この子にして…というような保護者だ。

「迷子として本庁まで連れて行きます。…クマは連れていけませんがどうしますか」

焔誼輝夜 >  
「はぁい……」

 しゅん、と静かになったお子様は、少し潤んだ目で、じーっとお姉さんを見上げます。
 お姉さんのお電話が終わると、こくん、と頷いて大人しく同意しました。
 熊さんは、連れていけないと聞くと、「グモッ」と鳴いて、のっそり立ち上がると、お姉さんに丁寧にお辞儀をしてから、のっそのっそと立ち去っていくのでした。
 どうやら、人の言葉が分かるくらい賢かったようです。
 きっとこのまま、どこかの山へと帰っていくのでしょう。

「ばいばいー、またねー。
 ……あのあの、おねーさん、かぐらママ、なんて言ってた?
 その、おこってた……?」

 お姉さんの手を握ったまま、体をきゅっと縮めながら、こわごわと見上げて訊ねました。
 

火倉 刹那 >  
あのようなクマがいるのだから、この島はまだまだ奥が深い。
わざわざ礼をして去ってゆくクマを一瞥し、視線を少女へと。

「風紀委員の火倉(ひのくら)刹那(せつな)です。
 いいえ、怒っていたというよりは‥…心配していましたよ」

多分。
そう、多分。

まあ、悪戯に怯えさせる必要もないだろうと。

「顔を見れば怒るかもしれませんけれど、
 …まぁ、それも心配しての裏返しでしょうから」

淡々とした言葉に熱は宿らない。
ただそう思ったから、そう口にするだけ。

この現場にはまもなく風紀委員が到着するだろうけれど。車両は表の通りまでのはず。
そのまま少女の手を引いて、表の通りまでは連れて行くことになったのだろう。

焔誼輝夜 >  
「そっか……。
 それじゃ、ちゃんとごめんなさいしないと、だよね」

 うん、と頷いてお姉さんに「ありがとう」って言いました。

「えっと、せつなちゃん、ごめんね。
 おしごとふやしちゃった。
 でも、えへへ……」

 手を引かれながら、お姉さんの体温を感じて嬉しそうに笑います。

「せつなちゃん、やっぱり『あったかかった』。
 あったかいの、せつなちゃんだったんだね」

 痛みを感じないお姉さんは、気づかないかもしれませんが。
 いつの間にか、細かな傷が全部治っていた事でしょう。
 お子様は、『あったかい』お姉さんの言う事を、素直に聞くのです。
 

火倉 刹那 >  
「風紀委員としての仕事をしているだけですから」

仕事が増えるくらいはどうということはない。
もとt厄介な仕事が増えることも往々にしてある故に。

「体温はむしろ貴女のほうが高いかと思いますけど」

そんなどことなくすれ違う会話を交わしながら、戦火の煙が燻るスラムから二人は大通りへと歩いてゆくのだった。

ようやく肩の荷が降りるのは、本庁で少女の保護者に身柄を引き渡し、分厚い報告書を書いてからになったことだろうが。

ご案内:「スラム」から火倉 刹那さんが去りました。
ご案内:「スラム」から焔誼輝夜さんが去りました。