落第街、スラムの最奥の岬近くに存在する巨大な「穴」、通称「黄泉の穴」。
今から4年ほど前に発生した災禍の爆心地。《大変容》セクトの一つであり、違反部活の一つである「新世魔術師会」の拠点が存在した。
「新世魔術師会」が蒐集した膨大な禁書類を用いて「無名の恐怖」なる存在を召喚しようとした結果、儀式は失敗。
膨大な魔力が暴走し巨大な「穴」が出現し、「新世魔術師会」は消滅した。
風紀委員会などの活躍により、周囲に発生した怪異については抑え込むことができたが、「穴」を完全に封じることはできなかった。
場所が場所だけに常時監視することも難しく、現在は魔術的なバリケードのみが施された状態である。
現在も穴の状態は不安定であり、周辺では怪異の発生も確認されるが、落第街の中に入ることはない。
穴への侵入を学園は禁じているが、穴の内部には「新世魔術師会」の残した膨大な魔導書やアーティファクトが未だ残されているため、それらを手にしようと穴へと侵入するもの絶えない。ここで発掘された物品は闇市場へと流れていく。
黄泉の穴の内部は異界化しており、内部は非常に危険である。
【PL向け】
上の説明文にある通り非常に危険な場所として設定しております。出現する怪異等も危険なものを想定しています。
必ずしも何かしらの被害に遭わねばならない、危険な怪異に遭遇しなければならないというわけでは勿論ありませんが、上記のような場所として設定しておりますので、その点にご留意の上ご利用ください。
参加者(0):ROM(1)
Time:08:23:10 更新
ご案内:「黄泉の穴」から龍 翠蓮さんが去りました。
■龍 翠蓮 >
「――さて。素晴らしい素材も手に入りましたし、そろそろ失礼するとしましょうか。」
原石をジャケットの内側にしまい、手にした煙管をくるりと回転させれば、幻のように煙管は消える。
そのまま、白いチャイナドレスの女は黄泉の穴に背を向け、小さく足音を立てて去っていく。
「下手に欲を掻いて踏み込み過ぎて、得たモノを落としたら勿体ないですからね。
何事も命あっての物種、「まだいける」は、「もう危ない」ですから――」
くすり、くすりと小さく笑い声を遺しながら、白い人影は落第街へと足を向け、歩き去る。
普通なら目立つ筈のその影は、やがて幻のように見えなくなった。
■龍 翠蓮 >
ぐるりと周囲に広がった白い煙は――その色を徐々に変えていく。
白い和紙がまるで血を吸って赤くなるように…白い煙は徐々に赤みを帯びていき、やがて真っ赤な煙へ。
心なしか、煙の量すら増えているような雰囲気である。
「……素晴らしい。
此処まで大きな「憤怒」を、まさか一つの場で得られるとは。
しかも…この純度。」
すん、と、赤い煙の香りを嗅ぐ仕草を見せる、白いチャイナドレスの女。
にや、と口の端が持ち上がる。
「……まるで雑味がない。素晴らしい純度です。
恐らく…たった一人の「憤怒」。
一人だけでこれほどの「憤怒」を撒く事が出来るとは…誰とは知らずとも、恐るべき逸材ですね。
これは――――」
すい、と再び黄金の煙管を動かし、まるで綿菓子を巻き取るような仕草。
その仕草に、周囲に満ちた赤い煙は吸い寄せられるように集まり、密度を高め――――
とん、と、煙管から煙草を落とす様な仕草を空き手に向けて行えば、
ぽとりとその掌に落ちるのは、まるで血のようにも、炎のようにも見える、真紅の宝石…の原石らしきもの。
サイズは…少し大振りなビー玉程度か。
「……期待以上です。
まさか、個人が振り撒いた「憤怒」だけで、これほどの「罪玉」が精製出来るとは。
久しぶりに、腕の振るい甲斐のある素材が手に入りましたね…!」
くす、くすくす、と小さく笑う声。
掌の原石からは、燃えるような光が漏れ出ている。
■龍 翠蓮 >
「………おや?」
少し歩くと、バリケードが破られた跡。
そこから少し先に、何やら争いと思しい痕跡もある。
「何処の何方かは知りませんが、随分とまた無茶をなさる。」
とは言え、これは幸運。
バリケード越えは簡単な事ではない。
風紀委員に見つかれば、1日2日で閉じられてしまうだろう。
これ幸いと軽く足を進める。
「奥にまでは行きませんので、御目溢し位は…ね。」
微かに口元をほころばせ、そんな言い訳じみた独り言を漏らしつつ、
足を踏み入れ――――――
「……おや。」
表情が変わる。
最初は真顔。少し周囲を見回して、たちまち喜色満面に。
「おや、おやおやおや!
一体全体、何方様が暴れたのかは知りませんが…それなりに時間が経っている筈ですのに、
この「憤怒」の残り香は――素晴らしい、実に素晴らしい。」
ぱちぱちぱち、と軽く拍手をしてから、小さく右手を振れば、手品のように
現れ出でるは黄金の煙管。
「これは、良い拾い物になりそうです…!
年が変わったからと惰眠を貪っていたら、見落としてしまう所…有難い事で…!」
口元に煙管を近づけ、軽く一服。
そのまま、ふぅ、と、煙を吹き、その煙を煙管を使って軽く混ぜ、広げるような仕草。
■龍 翠蓮 >
黄泉の穴。
今は無き「新世魔術師会」による「無名の恐怖」召喚、その失敗の痕跡である大穴。
災いの中心点といえる其処を、まるで探し物でもするように、赤と白の人影がゆらりと歩を進める。
「いつ来ても、此処は辛気臭い場所ですねぇ。」
ため息ひとつと共に愚痴をこぼすは、白い長髪の女。
その目は、閉じられたようにしか見えない程に細められ、周囲を眺めている。
「あまり長居をして、困った方に絡まれるのも事ですし。
何か、近場に面白いものでも落ちていると良いのですがね…。」
奥まで踏み入って、この辺をねぐらにするならず者や、口煩い風紀委員に見つかるのは好ましくない。
適度に散策し、目ぼしい物が見つからねば、早々に引き揚げるつもりだった。
ご案内:「黄泉の穴」に龍 翠蓮さんが現れました。
ご案内:「黄泉の穴」からF.U.R.Yさんが去りました。
ご案内:「黄泉の穴」からイスラさんが去りました。
■F.U.R.Y > 「食らいつくせると思うなよ、俺を」
ハッ、とにやり顔、無理やり作って。
余力なんざとっくの昔に尽きてはいたが、しかしそれも”どうでもいい”
やるならやり返すまでだ。その先に残るのは一人のみとしても。
…だが、今日は少なくともその日ではないらしい。
去っていく姿をにらみつけながら、完全にその気配が消えるまで、敵意は消さず。
邪な気配が消えるのを見れば、ふぅー…と息を吐く。
「……日本語しゃべれっつってんだろォが」
最後のセリフだけは聞き取れなかったようで、そんな風に独り言ちて。
そのまま座り込めば、はぁ、はぁ、と息を切らす。
そんな満身創痍といっていい獣に、近寄れる怪異達はそこにはいなかった。
その”強さ”を知らしめるには、十分すぎる程の大立ち回りは見せていたのだから。
「…次こそぶっ潰してやらァ」
■イスラ >
あたりに少女のような姿は見えない。声も聞こえない。
本当に死んだか、砕け散ったか。そう思わせるような静寂。
ずる。
男の耳が良ければ聞こえるのは、小さな小さな何かが引き摺るような音。
あたりに付着した肉片…ではなく、地面を紅く染める血漿が蠢く。
ずる、ずる、ずるずる、ずる。
それは、邪視に侵された身体を男が無理矢理に動かし、失った血液までもを含めて。
地面をおびただしく濡らした、F.U.R.Yの血液までも、意思も持ったかのように蠢き、ずるずると移動していた。
それらが集まった先は、潰れず転がった、少女?の眼球───ごぼん。と一際大きな音が立ち───。
「……本当は」
「此処に用も、あったんだけどね?」
薄ら寒い笑みはそこにはない、声色にも遊びはなく、ただただ男とは正反対に冷たく。凍った様な。
ゴボゴボと集った血液が一気に立ち上り、人の形を創る。やがてその血柱から、白磁の肌を晒す一糸まとわぬ姿の少女?が現れれば、冷たい輝きを称えた金色の瞳で男を睨めつけていた。
「……お前の名前…は、いいか。
こんな怪物、調べればすぐに判るよね…どうもキミは此方にとって邪魔者らしい……。
──"君たちの怒り"、十分に伝わったよ。…無駄に命と血を減らされるのは好きじゃない」
「まだピンピンしているキミとやり合うのは、お断りだね。
次はちゃんと、キミを飲み込めるくらいお腹を空かせてから会いに行くよ───」
ひた、ひた。と。
踵を返し、背を向ける。
「Ne vedem curând, monstru」
一言だけを残し、その姿は血煙となってその場から掻き消えていった。
また会う、次は命まで飲み干すと宣言を残して───。
■F.U.R.Y > まるで爆心地のようなクレーターの真ん中に、一人ぽつんと残る男。
二つの拳は既に限界に近いようで、ボロボロと外殻が崩れかけている。今にもちぎれ飛んではしまわないかと思うような様相だ。
「っはぁ、はァーーーー……Fusyuuuu………」
限界は近い、が、まだ気は張り続ける。
最初に”殺し切れなかった”時点で、相手が理解の及ばないバケモノだということはわかっているのだ。
だが……
「効いただろォが。”俺たち”の怒りはよォ…」
見開いた目が見えた。
一泡吹かせるには足りたか。
無為でなくとも無常に殺された者たちの”怒り”は、上位種を名乗るバケモノ相手に。
「…どォする。まだやるか?
俺ァぴんぴんしてるぜェ…?
それとも、本当におっ死んじまったか?」
減らず口。
だが、やるのであれば本当にこの獣は”まだやる”のだろう。
たとえ腕がちぎれようとも。
本当の意味で負けるまで。
■イスラ >
首元を濡らした血を拭う。
薄皮一枚、首が切れていた。
ぬるりと、白指に感じる感触。
視線を落とせば、鮮やかな朱を纏った自指──。
「(……根幹に刻まれた一刃。彼の苛烈な怒りの一撃に煽られて、傷が開いたのか…?)」
まさに、スラムの一角で駄食に興じていた時に手向けられたもの。
そして今しがた彼の放った一撃も、それに連なる怒りより齎されたもの。
内に取り込んだ、連中の僅かばかりの"命と魂"も、加担したか。
「───!」
そんなことを僅かな時間に考えてしまった。
僅か、驚いた様に見開いた丸く大きな金眼が捉えたのは──眼の前に迫る、灼熱に滾った両方の拳だった───。
………爆発とも思える衝撃。
残火すら残ろうクレーターには、少女?の着ていた制服だっただろう焼け焦げた襤褸布。
そして血漿と砕け散った肉片や毛髪、灼けた骨の欠片が粉々に飛び散る凄惨な光景をその場に残していた。
■F.U.R.Y > 実際、ラースオブドゥオは何発も打てるようにできてはいない。
怒りのボルテージを爆発させて放つ一撃は、片腕で今まで打ったのでも二撃、それも自壊を伴ってのものだった。
それを何度も続ければ、当然元が人間である俺は”砕ける”
だが…
「ブッ壊れるまで殴れば壊れんだよ…!」
”だからなんだというのだ”
気に食わない奴がいるのであれば、自分がどうなろうが知ったことじゃない。
折れるまで殴る、砕けるまで殴る。
勝つまで殴るしか能のない獣だ。
殴れなくなったなら、それは俺がそこまでだったまで。
だから焦りもしない。躊躇なく”二撃目”の怒りの鉄拳の準備をする。
瞬間――――一瞬生まれた、相手の”隙”
「―――――――どこ見てんだヌケサクがよォ!!!」
見逃す筈もない。これはバケモノが宣ったように、獣なのだ。
獣は殺すか殺されるかしかない。故に一瞬の隙があるならそこに噛みつく。
その覚悟が、家畜になってたまるかという反骨精神が、あった。
止まったバケモノの正面飛び込み、”支度”を終えた熱拳を大降りに振るう。
左右合わせて二度目の――――
「”ラァス”」
獣の。
「”オブ”」
意地の。
「”ドゥウウウウウオオオオオオオ……ッ!!!!”」
拳が、ぶつかる。
■イスラ >
四方八方から襲われるなら、圧倒的な威力の全方向激で吹き飛ばす。
なるほど、理にかなってる。
「──凄いね、大した出力だ。500匹は死んだかな?……でも」
血の塊となって飛び散った、蝙蝠だったモノの血の雨の向こう。
クレーターの中央にいるだろう彼を見下ろす少女?の姿がある。
「それはあと何発撃てるかな?
ワタシの"命"は、まだまだあるよ…?」
少女の姿をした怪物が嘲笑う。
そして両手を広げて見せれば、更に多くの吸血蝙蝠がその背から湧いて出る様に生まれ、次々に飛び立ってゆく。
これら全てを叩き潰すまで、撃ち続けてみる?と、笑みを浮かべるイスラだった、が──。
「……ん」
ぴく、と身震いする様にその動きを止める。
完全に再生した筈の、その白首から伝う僅かな量の、朱。
……飛んできた破片で切った? いや、そんなものに当たる程喉くない。
違う、これは……、スラムで会った剣士の───。
それはほんの僅かな時間、食事の記憶を辿ったが故に見せた──明確な"隙"だった。
■F.U.R.Y > 「ち……ッ!」
今度は何だ?蝙蝠に姿を変えやがった?
だが、あのおもっ苦しい塊と煮えたぎるような熱さは消えた。
なら、好都合だ。
何千もの蝙蝠の群れに牙を剝かれ皮膚を割かれながら、こちらも反撃の為に両肘を叩く。
ガキンッ!と拘束具が外れるような音…いや、岩が割れるような音だろうか。それを鳴らしながら、二つの拳に焔が灯る。
「ただで食われると思ってんじゃねェぞ…!!
食らわれるならこっちから食ってやらァ!!」
飛び交う蝙蝠のうち数体を自らも”食い”ながら、拳たちに力を籠めて。
「二連続だ、効くぜェ……!!
ラァス……オブ……ッ!!」
右と左、黒い溶岩となったこぶしを軋ませて。
岩壁に全力で、拳を”叩き付ける”
「”ドゥオ”!!!!!!」
瞬間、岩壁だったものは衝撃によりクレーターが生じ。
その石嵐と蝙蝠の嵐がぶつかり合う。
衝撃波と石嵐、それと蝙蝠たちが舞い散り――――
後には何が残ろうか