2024/08/14 のログ
ご案内:「黄泉の穴」にさんが現れました。
> さて、今夜も依頼が入った。危険地帯で有名な【黄泉の穴】…の、周囲に出現した怪異を間引くお仕事だ。

(…ってか、一度間引いたくらいじゃ直ぐまた発生するんじゃねぇかなぁ…仕事だからやるけど。)

心中でぼやきつつ、赤毛の少年は目を細めて黄泉の穴とその周囲を少し離れた場所から眺める。
腰の左右と後ろには、相変わらず細い鎖で抜けない細工が施された四刀。
その内の1本を腰の後ろから抜刀…ならぬ抜鞘。鞘ごとベルトから引き抜いて左手に提げる。

「う~~む、見た感じ小型の怪異が多数…あとは中堅の怪異がちらほら?うわぁ面倒。」

嫌そうに呟きつつも、依頼だからまぁやるしかないよなって。
そのまま、小高い場所から滑り落ちるように下って、疎らながらそれなりの数の怪異が徘徊する穴の周囲へ。

> ちなみに、少年は別に怪異退治の専門家でもなければ対怪異の知識が豊富な訳でもない。
風紀時代も怪異と相対した記憶はあまり無いレベルだ…素人よりはマシ程度。

「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ…うーん、やっぱ数えるのも面倒なくらい数が多いわなぁ。」

それだけ、あの【穴】がヤバいんだろうなぁ、と思う。中は異次元空間なってるそうだが。
色々と危険だが便利なアーティファクト等もあるらしいから、お宝の山が眠っている宝物庫でもある。

(ま、俺みたいな三流剣士じゃ穴に飛び込んだら真っ先に死にそーだし?触らぬ神に何とやらってな。)

そう呟きながら、小型の怪異の幾らかがこちらに気付いた。
昆虫型、獣型、爬虫類型、魚類型…魚!?空中を泳いでるみたいで面白いけど。

「怪異専門のスペシャリストとか居たら仕事も楽なんだけどなぁ…。」

生憎とそんな知り合いが殆どいねぇ…俺はもっと人脈を広げないと駄目だと思う。

> 取り敢えず気負わず自然な足取りで接近。【穴】に近づきすぎるとヤバそうだからそこは注意だ。
まず、真っ先にやって来たのは獣型の群れだ…連中で一番足が速そうだから、まぁそうなるよな。

「…うーむ、転移荒野のドラゴンの旦那とか魔獣の群れを相手にした後だからなぁ。」

油断はならんけど、あれらに比べるとインパクトが足りない!
いや、インパクト強い怪異さんが出られても俺の仕事が増えるので遠慮したいけど。
飛び掛かってきた獣型の群れを、どう見えてもスローな動きで隙間を縫うように擦り抜けて。

「ほいっと。」

左手の鞘を振るって獣型の背中を”打ち抜いて”沈黙させる。よし、次。
今度は魚類型…うわぁ、空を飛ぶ魚って変な光景だ…まぁ、それはそれとして。

「こういう怪異って食えたりすんのかねぇ。」

なんて呟きながら、交差する瞬間に魚類型を”斬った”。
鞘で斬るという芸当を平然とこなしつつ、左手の刀をくるん、と一回転させて。

「うーし、このくらいなら俺でも何とかなりそうかな。」

> なんて油断してたら、羽音と共に高速で接近する物体…昆虫型か!!

「…っていうか、よく見たらどう見ても台所の黒光りする王者じゃねぇか!!」

女子は特に嫌がりそうだなぁ、あのシルエット。しかも何倍も大きいのがこっち目掛けて飛来するのだ。
ある意味で精神ダメージは中々凄いかもしれないが、落第街とかスラムに黒い王者は沢山おりますので。

「――動きが直線的で話が早いしな!」

紙一重でひらり、と交わすと同時に胴体を鞘でこれまた”打ち抜いて”即死させる。
こういう物理的で小型な怪異は、割と普通の武器でも仕留められるから助かる。

で、後は爬虫類型――あ、やっべ。即座に身を翻すと同時にギリギリ掠める飛沫。

「…うっわ、毒液か何かかよ?まともに喰らったらやばそう……ん?」

服に違和感を感じてちらり。ジャケットの裾が溶けていた。…硫酸か何か!?毒液よりタチ悪い!

> 続けて地面を這い回りながら、連続して酸液を浴びせかけて来るが、どれもこれもギリギリで回避、回避、回避!
動き事態は超高速という訳でもないのに、何故か直撃しない…奇妙な動きだ。

(案外一番面倒なのは爬虫類型かもしれんなぁ…っと!)

何度目かの酸液を交わすと同時に身を捻った回転を利用して爬虫類に踵落とし。からの鞘で頭を串刺しにする。丈夫な鞘だ。

「…ふぃー。…って、まだまだ数が居るんだよなぁ。」

これ、一人で間引くの地味にきっついんですけど…お仕事は大変だ。
流石に数が地味に多いので、群れで四方八方から突っ込んでくる。一応脅威と認定されたっぽい。

「…熱烈ラブコールは美少女か美女にしてくれねぇかなぁ…。」

鞘に付いた怪異の体液を、軽く払い落としながらゲンナリした様子でぼやく。

> かといって、熱烈ラブコールが殺意的な意味だったら全力でお断りしたいけども。

(しっかしあと数十匹は間引かないといかんかなこれ…数百じゃないだけマシか?)

こういう時、雑魚散らし的な広範囲攻撃があるといいのだが、残念ながら少年にそんな範囲攻撃は出来ない。
なので、一匹から数匹を地道に攻撃、ないし迎撃してコツコツ片づけていくしかない。

無手だった右手も腰の後ろのもう1本を抜鞘して二刀流…ならぬ二鞘流。
この場に棒立ちになっていてもただの的なので、歩く速度で前進しつつ、都度怪異の波状攻撃を迎撃していく。

(突進、時間差、酸、噛み付き…空襲、空襲、酸、突進…同時、背後、足元…そんで首狙い)

心の中で呟きながら、一つ一つ地道に捌いて確実に撃破していく。
幾つか掠めたりはしてしまうが、直撃だけは一発も貰ってはいない。

> 「…えーと、今何匹やったっけ?…数えるのも億劫になってきたぞ。」

あと、紙一重で交わしたりしてても怪異の体液とか結構飛び散るからたまーに掛かりそうになるんです。
既にあちこち掠めたせいでジャケットが悲しい事になってますが。…予備はまだある!

「見た感じ、3分の2くらいはもう片付けたっぽいか?」

大型とか明らかにヤバそうな怪異は出ていないのが楽で助かる。出たら逃げたい。
両手の鞘を軽く振って再び怪異の体液やら一部モツやらを振り払いつつ。

「変にやべーのが出る前にちゃっちゃと片づけないと…な!」

先ほどと違い、今度は滑るように高速で間合いを詰めて。
両手の鞘で的確に怪異の胴体、口の中、脳天などを撃ち抜いたり切り裂いて仕留めていく。

懸念だったドラゴン化(一部)も今の所はそんな様子も無いので一安心だ。