2025/01/01 のログ
ご案内:「黄泉の穴」にイスラさんが現れました。
■イスラ > 落第街…スラムの最奥の岬近くに存在する巨大な「穴」。
通称「黄泉の穴」───。
今から4年ほど前に発生した災禍の爆心地。
「《大変容》セクトの一つであり、違反部活の一つである「新世魔術師会」の拠点が存在した───か」
「新世魔術師会、ね…」
「"無名の恐怖"に触れようとするのは、人間にはまだ早かったのかな」
クスクス。
小さな笑みを零しながら、眼前に広がる巨大な穴を見やる。
「この島の自治組織はとびきり優秀な筈だけど、
それでも"穴"を閉じることは出来なかったんだね」
一歩、また一歩。
散歩でもするかのように"穴"へと歩み寄る。
そして周囲を封鎖する、魔術式で編まれた強固なバリケードにそっと右手を触れる──。
途端。
浮かび上がった複雑怪奇な紋様がまるで自動で解体されるバズルの様に解かれて───。
大きな音を立てて、朽ち果てたかの様に崩れ落ちた。
ご案内:「黄泉の穴」にF.U.R.Yさんが現れました。
■F.U.R.Y > 黄泉の穴から、気配がする。
ドス黒い邪悪の権化のような、気配。
何物だ?
いけすかねぇ匂い。血だ。血を滴らせてやがる。
どこかで嗅いだ匂い。
「…誰だ」
穴の中からこつり、声が一つ。
こんな穴倉に人などいようものか。いるならそれは人だろうか。
否、人ではないのだろう、すでに。
怒りの権化と化した、人であった何かが。
まだ遠くにいるそれを警戒し始める。
■イスラ >
「~♪」
此方に来てからよく耳にする流行ソングを口遊みながら、少女?はバリケードのあった場所より先へと歩み進んでゆく。
そして、ある"一線"を超えた先で、それは立ち止まった。
「──ああ」
「ここから先が…ってことかな」
愉しげに金色の瞳を薄め見る先。
"穴"へと踏み込んだ先に広がる景色は、然程周囲と変わらないようにすら見える。
しかし肌で感じるのは、世界を踏み越えた様な強烈な違和感だ。
「異界に繋いだままになっちゃってるんだね…?
この不安定さじゃ確かに、迂闊に手は出せないかもなぁ…。
件の荒野といい勝負…いや不安定さは向こうのほうが上かな…?」
さて、もうちょっと進んでみようかと思った矢先。
「おっと…凄いね、こんな場所に先客が?」
「An nou fericit.Frumos.」
声のする先…、虚ろに見える人影に向けて片手をひらひらと振りながら、愛嬌をたっぷりに挨拶を交わそう。
■F.U.R.Y > 「日本語しゃべれよ、わからねェよ」
笑顔に応じる義理はない。
このぷんぷんと漂う死臭、思い出した。スラムで見かけた死体で嗅いだ匂いだ。
それが今、ここでしてる。
ということは……目の前の相手がそう。
小さいからだから邪悪を煮詰めたような臓物よりもキツい匂いに眉をしかめ、拳を握り警戒を強める。
「どこのモンだ、テメェ。
この島じゃ嗅いだことのねェ糞の煮凝りみてェな匂い漂わせやがってよ。
…テメェだな?最近スラムで人食い散らかしてる畜生は」
うなり声のような声。
理性というものがあるのかと思うようなその声を発しながら、赤黒い左腕を構える。
敵だ、間違いなく目の前のコイツは。
何にとってでもない。
自分にとっての、敵。
■イスラ >
「わぁ…随分怒ってるね、キミ…どうしたの?カルシウム足りてる?
良かったらボクの携帯食をわけてあげようか?」
にこにこと笑みを浮かべたまま。
憤怒の色を隠さぬ青年へと、迷いなく靴を慣らし歩み寄る…。
「怒らなくてもいいし、警戒もしなくていいんだよ?
ワタシはきっと、キミの敵じゃない。
仲良くしよう♪同じ"怪物"同士♡」
正気を疑うような言葉を紡ぎながら───おいで、と言わんばかりに両手を広げ、向けるのだ。
会話をしているようで、まるでしていない。
問いかけに対しては、にこりと笑みを深めて返すのみ──そんな瑣末事はどうでもいいよね?とでも言いたげに。
■F.U.R.Y > 「ほざきやがれッ!」
手を広げ向けて、まるで”怖くないよ”なんぞというかのようなその面に左拳を叩き込む。
話の通じる奴じゃないことは分かった。なら、ブン殴るまでの事。
通常の人間なら粉みじんになるほどに力の込めた自慢の拳、躊躇なんざいらねぇとばかりに思い切り殴りぬける。
”どうせこの程度でどうにかなる奴じゃねェ!”
脳みそがそう告げている。だから拳に迷いも籠めねェ。
獣の本能か、あるいは。
その身に込められた”怒り”という根源の感情が反応したのか。
少なくともそれは、見ず知らずのガキ一人を殴るに十分な理由だ。
「ガタガタ言ってねェで構えやがれ。
この程度屁でもねェんだろ。”バケモノ”様よ」
■イスラ >
「─────」
青年の拳がその少女?の顔を捉える瞬間。
その顔は確かに、愉悦にも似た、薄ら寒い笑みを浮かべて───。
ゴチャッッ───。
粘ついた水の中で陶器を叩き割った様な音…。
と、共に──青年の拳には通常の人間の頭部を粉微塵に砕いた感触が残る。
真っ赤な血漿に濡れた拳の先。
千切れ飛んだ白灰の毛髪が舞い散る中、頭部を無惨に失った少女?の矮躯がどさりとその場に倒れ落ちた──。
声一つ残さず、絶命した"見ず知らずのガキ"
その場には、男…F.U.R.Yと、やがて動かなくなるまで四肢だけが痙攣を断続的に繰り返す華奢な身体の一人と一つが───。
■F.U.R.Y > 「――――ァ?」
腕に残る感覚がない。
感じる気配からは確実に”強者”のそれがあった。
なのに、なんて呆気ない。
気配はどこだ。まさか、勘違いか?
いや、違うはずだ。
この空間に土足で踏み入るような輩がマトモなわけがねェ。
「……なんだ?この違和感は」
殴る直前、このバケモン…と感じた何かは確実に”笑っていた”
反応できなかったようにも見えた、だが殺意を受けたときの反応ではない。
死体になったガキ、それが本物だとは、思えないが……確かにこの手でつぶしたのも感じて。
「……」
死体に近寄り、触れて。
確かめてみようとするか。
■イスラ >
「───……」
跳ねるように動いていた手足もぱたりと動きを止め。
そこにあるものはなんら変わりのない"死体"に見える。
頭部を失った細首からはどくどくと赤黒い血が溢れ、床に紅い水溜りを作ってゆく。
──その身体からは確かに"生命"と呼べるものは感じ取れないだろう。
触れれば余計に、冷たい白蝋のようにすら感じる身体は…直前まで体温があったとは思えないものだ。
おそらく感じた違和感の正体…最初から死体だったものを殺したかのような感覚。
死体に近寄り触れるF.U.R.Yの視界の外。
全く動かなくなった筈の、死体の指がぴくりと動く。
■F.U.R.Y > 「冷てェ……
冷たすぎるくれェだ…」
違和感。だが、その違和感があるからこそ、余計に不可解。
見てくれは完全にガキのそれ。潰した感覚も、何もかも、全部。
血に染まる手で感じるのは、命を絶ったという確かな感触と、違和感。
本当に死んだのか?いや、まだ何かあるはずだ。例えば?
こいつは偽物で、まだ他に気配の元がいやがるとか、そんな――――
そんな”柄にもない”思考の中。
指がぴくりと動く姿には、気が付きようもなく――――
■イスラ >
ゴキ、めき、べき、ボキン。
突如視界の外で響いた奇怪な音。
少女?の指が、手が、腕が、あらぬ方向へと折れ曲がり──首のない死体が、青年の身体に絡みつくようにして、しがみついた、
ゴボ…シューッ……コポ。コプ──ヒュー……
首から血が溢れ出すと共に紡がれる、言葉
死んでいる?
死んでいない?
否──常在の"生命でない"怪物だということを、青年に悟らせる様に、
愛しげに、首なし死体はFURYへと抱きついていた──その光景は、さぞ猟奇的で、気味の悪いものだったか。
■F.U.R.Y > 「―――な」
視界の外から、気配もなく。
死んでるはずの身体が”折れ曲がって”絡みつく。
聞こえる声のようなものは明らかにさっきのガキのもの。
だがそれを発する声帯は無い。さっき吹き飛ばして見せたから。
だったら今のこの声はなんでわかる!?
答えも出ずに体に巻き付かれる。うっとおしい、”気味の悪い”抱擁。
「――――ッ!!」
咄嗟に右腕で払いのけ、後退しようとする。
俺が”後退”?
感じたのか?こいつに、得体のしれない”何か”を。
■イスラ >
弾き飛ばされ、転がる少女?の死体。
──それが、まるで上から不可視の糸で吊られるかのように立ち上がる。
手も足も、青年に絡みつくため"だけ"に折れ曲がり、例え頭部があり生存していたとしても立ち上がれないだろう状態のそれが──。
ごぼッ、ごぼぼぽッ……ごぼっ……
複雑に折れ曲がった手足のまま、妙にカクついた動きで、首なし死体は青年へと、歩む。
一歩、また一歩──ふらふらと時間をかけながら、それでも確実に──。
どちゃっ…。
しかし、自らの血溜まりに足を取られ、倒れ込む。
───ああ、やっぱりこのままじゃ不便だね。
ごぼんっ。
血溜まりから赤黒い塊が、首なし死体を覆うように這い出し──絶命した筈の少女?の姿が形創る。
ふわりと、朱を纏った白灰の長い髪を靡かせて───少女?は笑った。
「…あっはは…"怒り"、少しは収まった? ……それとも、"恐い"に変わっちゃったかな…?♡」
血溜まりの上にぺたんと座り込むようにした少女?が自身の首元を艶やかに撫でながら、言葉で視線を誘導し、その金眼で青年を見据える──。
仕掛けたのは、邪視。
恐慌、魅了、石化、延焼……
視線を"長く"交わしてしまえばそれらのどれかに囚われる可能性の高い…極めて危険な呪詛の視線。
■F.U.R.Y > 「テメェ……」
死んでた筈だ。”生き返った?”
そんな訳がねぇ、死んだ奴は生き返らねぇ。
なら、あれで死んじゃいなかったって訳だ。
俺の思った通り、あの程度が通じるタマじゃなかったって訳。
それと同時に感じる、強烈に身の毛のよだつような謎めいた存在の全貌。
こいつはやっぱり人じゃねェ、バケモノでもお釣りが出るような輩だと、神経全てが悟る。
でなけりゃ、”まだ”殺意もなく近寄る訳がねェ。
「収まるかよ。テメェにャ聞きたい事が山ほどあるからなァ!!」
それでも、俺のやることは簡単だ。
というか、それしかできない。
殴る。
ただひたすらに殴って、強弱を決めるだけだ。
それでしか物事を決めれないがゆえに。
それに躊躇いはない。
今さっき消えた。身震いするような得体の知れなさも。
消し去った。関係ねェと言いのけて。
が。
拳が止まる。何だ?
焼けるような熱さと、鉛のように固まる腕と、氷の中に入れられたみたいな震え。
それらが一斉に自分の身体巡り巡って、”固まりながら燃える”
「ッ、グァアアアアアア……ッ!!??」
ついぞ拳は、バケモノの体にあたることなく。
その手前で止まる。凍らされたかのように。
「テメェ……なにしやがったァ…!!」
■イスラ >
「よくないよ。
聞きたいことがあるのなら、必要な手段は暴力じゃなくて、対話、でしょ?」
殴りかかろうと青年は真に決めた。
しかしその動きが阻害されている──そして、それだけてなく。
「ワタシと眼を合わせちゃったでしょ?
ふふ、もちろんそうするように言葉で仕向けたんだけどさ…」
自身の目尻に指をあて、金眼をより大きく、丸く見せつけるかのように。
「それなりの対魔術抵抗の備えがなければ魔王とてボクの邪視には下るだろうね♡。
…でも、見たところ魅了にはかかっていないかな……?
恐慌は怒りで振り切ったのか。やっぱり人間よりも怪物よりだね…?」
「──キミにそれらのの対策がないなら、ボクに解呪を頼るしかない…。
ふふっ♪ ねぇねぇ、どうする?♡ 怒るのをやめて、可愛くお願い♡してくれたら解いてあげていいよぉ?」
凍らされたように動かない青年の眼の前まで来て、嘲るようにその悔しげな顔を覗き込む。
その表情は、思わぬ場所で思わぬ玩具に出会えた、無邪気な愉悦を孕んだような───実に腹の立つ、表情だろう。
■F.U.R.Y > 「うるッ、せェ……ッ!!」
体が固まる。溶岩が固まったような左腕が、完全に動きを停止させる。
かろうじて動く口を気合で動かせば、ぱきりと舌が割れて血が滴る。
「テメェに頼む口なんざねェ…!!
スラムの連中を随分殺したその口に許しを受ける位なら死んだ方がマシだね…!!」
固まった体をどうにか動かそうとして、そしてその度に亀裂が走って血がほとばしる。
そのままいけば自壊は免れないのに、それでもさらに拳を振り絞って……
ぱき、べきぼきばき……ッ
「オレァな……テメェが何の理由でスラムの連中を殺したかを聞きてェんだよ…!
いや、聞けなくてもいィ、テメェの事が”気に食わねェ”…!
だから殴る、理由はそんだけで十分だろォが……っ、ぐ、ゥウウウ……!!」
だから。
お願いなんてしない。する必要なぞない。
砕けはじめた腕をそのまま勢いに任せ”へし折り”、腕を曲げて、足を”砕きながら”屈めて。
「一目見た時からァ……これだけはわかってんだよォ!
”テメェは””オレと””気が合わねぇ”…ッ!!!」
砕け散った左腕を”怒り”に任せて再形成して。
しきれなかった手首から先なぞ知ったことではないと。
再度、拳をバケモノへと殴りつけた。
■イスラ >
「無理して動かないほうがいいよ?
……理解できないなぁ…なぜそんなに怒ってるのか…。
人間なんてどうせ100年もしないうちに死んじゃうんだから、
より上位種の糧になるほうが無駄がなくていいと思わない…?」
どうしてそんなに怒っているのか。
本当にわからないといった様子で困った顔をして首を傾げている。
「牛や豚、鶏といった家畜がなんらかの理由で食肉になれず処分される。
それを人間はきっと勿体ないと思うに違いないのに、理解できないわけはないよね?」
「…っていう理由なんだけど。 どう?怒りは収まった?
……ああ、もう…無理をすると本当に壊れちゃうよ…?」
無理矢理に、動かぬ身体を動かそうとして、悲痛な音が響いている。
血も噴き出して…ああ、勿体ないな……なんて視線を思わず落としてしまう。
「ほら、無駄なことは止───」
再び視線を青年へと向け見上げると、同時。
無理矢理に振るわれた、青年の異形の左腕が、少女?の顔面を薙ぎ払う。
まるで軽い木の葉が舞うかの様、壁へと強かに叩きつけられた、その首はあらぬ方向へと捩子曲がっていた──しかし。
「………ワタシの邪視の支配下だっていうのに」
首が折れ、捩子曲がったままに、それは言葉を零す。
「…改めよう。キミが人間かは疑わしい、そして…怪物というよりも……獣かな」
縛られていた、故に頭部の破壊には至っていなかった。
ごき、ぼきん。と折れた首を自らの手で頭部を掴み、前を向かせる。
口を開けばボタボタと赤い血が零れ落ちるが、気にせず少女?は言葉を続ける。
「リスクヘッジ」
「理由に納得と理解があっても、割に合わないことは冷静に留めるべきだよ、獣くん」