2024/11/28 のログ
ご案内:「産業区/農業区」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「産業区/農業区」にDr.イーリスさんが現れました。
エルピス・シズメ >   
 《常世学園おさんぽ同好会⦆を設立したは良いものの、買い替えなければいけない備品も多く悩んでいた二人。
 生活委員を通して相談したところ、『未開拓地区で起きた災害で人手が出払ってしまって果物の収穫の人手が足りていない』とのことで、アルバイトのお仕事を紹介して貰った。

「りんごとみかんの収穫お手伝いと聞いたけど……」

 収穫期は少し過ぎているものの、りんごやみかんはまだまだ収穫期の品種も多い。
 他にも、魔術や科学技術により一年を通して生産されている野菜なども幾らか存在する。

 そんなこんなで、今日はりんごやみかんの収穫のお手伝い。
 マシンやドローンに荷運びをさせながら、道具と手作業の併用による収穫作業とセンサーによる等級分類。

 手作業が混じるあたり、そこそこ良いブランドなのかもしれない。
 いずれにせよ、収穫のお手伝いに来たエルピスとイーリスの前にはリンゴとみかんの木がずらりと並んでいる。

「……すごくきれいな果樹園だね、イーリス。」
 
 ぎっしり実った赤と黄色。
 スラムはそうそう見られない、豊かな大地の光景。

Dr.イーリス > 呑気に日々を過ごしていたけれど、未開拓地区の災害はどうやらとんでもない事になっている様子……。
農業区の方々まで引っ張りだこのようだ。
《フェイルド・スチューデント組》は一応風紀委員と生活委員を兼任しているけど、未開拓地区の災害に関してお呼びがかかっていないところを見るに、相当末端扱いされて委員会に存在自体忘れ去れているかもしれない。実際、落第街やスラムの一部の治安を改善したという実績こそあるものの、活動場所が島の辺境という事もあって、それぐらいの認識しかされていない部署ではある。

ともあれ、各方面で人手不足ということで、《常世学園おさんぽ同好会》の活動兼資金調達として生活委員会に果実の収穫を紹介していただけた。
おさんぽ同好会としての果樹園見物も兼ねたアルバイト。

トラックの荷台にメカを乗せて、エルピスさんに助手席に乗っていただき、イーリスが運転して農業区に訪れる。
トラックを降りると、一面にりんごとみかんがいっぱいの果樹園。

「そうですね、りんごとみかんの素敵な果樹園です! 農家さんが頑張って育てられたのですね。この果樹園のりんごとみかんが島の各家庭で食べられますからね。収穫も丁寧にしなければです」

トラックの荷台で凄く丸くなって乗っていた《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅳ》が降りて、他のメカを出していく。

機械仕掛けの買い物カートような輸送用メカ、カート型メカ。

タンスに機械の四本脚、上部に二本のアームが生えた《タンスガーディアン》。

二宮金次郎像を改造し、背中の薪を機械式の籠に変えて輸送用となった《二宮二号》。

イーリスがかつて造ったメカが降ろされていく。
スマホで地図アプリを開く。

「私達はこの範囲のりんごとみかんを収穫するようです」

地図と実際の光景を見比べる。
二度、三度見比べている。ちょっと唖然。

「凄く広いですね……!? 報酬と釣り合っていないような気がする広さで、今日中に終わるかもあやしいです……!?」

かなりの面積の収穫をお願いされた……。

エルピス・シズメ >  
 
 イーリスの運転するトラックに乗り込み、農業区へと到着。
 途中何度か止められたけれど、風紀委員・生活委員としての業務を行う為に運転免許証が発行されている。

 エルピス・シズメは委員に属していない為、持っていない。
 故エルピスは公安委員時代に同様の免許を取得しており、二輪程度なら動かせるけど今は一般学生の身分。

 そんなこんなで、免許持ちのイーリスの隣で早朝からのドライブを楽しんだ形。
 朝昼ごはん用のおにぎりとお茶も準備済み。

「多分道具込みで……一日仕事かな。」

 事前に使う機械・能力は申請済み。
 糖度と虫食いを測定する機材など、エルピスも現場の道具を貸与する許可を得ている。
 
 広々とした果樹園の中、途方に暮れるイーリスに笑いかける。

「お仕事頑張ったら、売り物にならない果物をおすそ分けしてくれるみたいだから頑張ろう、イーリス。」
 
 機械の配備も終わった所で、区画の一番端の果樹に到達。
 害虫が寄り付かない仕組みがされているのか、袋掛けはされていない。

「ぎっしり実ってるね。えーと、収穫する時は……
 ひとまず、地道にやってみようかな。」

 熟れた果実を収穫していく。
 なるほど。確かに手作業だと大変そう。
  

Dr.イーリス > 今日は本当に早起きであった。
朝早くからのお仕事だけど、その理由がこの広大な収穫量であることを思えばとても納得。

(求人募集をかけても、誰も応募しなかったのでしょうね……)

そんな事を思って、ちょっと遠い目。
この辺りの農家の人達、人手不足と資金不足にとても悩まされているのかもしれない……。

「これだけ広いと、売り物にならない果実をかなりいただけますね! しばらくりんごとみかんの生活で、食費が浮きます!」

食費が浮く、そんな想像をしてイーリスは瞳を輝かせていた。貧乏性……。
食費が浮く代償は、りんごとみかん生活である。

「ひとつずつ丁寧に収穫していきましょうか。獲った果実は、カート型メカや《タンスガーディアン》に入れていきましょう」

カート型メカや《タンスガーディアン》は輸送に優れたメカなので、エルピスさんやイーリスに追随してくれる。

「それでは収穫……」

収穫を始めようとしたイーリスは重大な事に気づいて、顔が青ざめる。。

「た、高いところを収穫するのに便利なメカ……持ってきてません……」

カート型メカ、《タンスガーディアン》、《二宮二号》……。見事に輸送に優れていても高所に微妙に手が届かない……。
高所の果実を獲る用のメカを持ってきていなかった……。

エルピス・シズメ >
「スラムにおすそ分けしてもいいかもね。
 ちゃんと貰えるように、しっかり頑張って働いてから交渉しよう。」

 上手く出来たら暫くは食卓にりんごとみかんが並ぶ。
 ジャムにしてみてもいいかもしれない。

「僕と《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅳ》で収穫するから、イーリスはコントロールに集中してくれれば大丈夫。」

 人手は自分と《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅳ》でこなして……
 ……そう言えば、使えそうな〝まほう〟がひとつあった。

「あと……おねがい、小人さん。(しらゆきひめ)

 指を弾いて、7体の小人さんを呼び出す。
 それらは〝まほう〟で出来たもので意志はないが、エルピスの指示に従い、簡単なお手伝いをしてくれる幻想の存在。

 収穫を手伝ってくれたり、果実を運んでくれたり、ささやかなお手伝いをしてくれる。
 ドローンや機械に混じって、細やかな作業を手伝ってくれる。

「これで良し。僕は転んだり木を傷付けないように注意しながら採取するね。」
 

Dr.イーリス > 柔らかく目を細めて、頷いてみせる。

「そうですね。スラムのみんなに、おいしいりんごとみかんをいっぱい食べさせてあげる事ができます。ふふ、頑張りましょう」

ジャムに、タルトとかアップルパイにしてもいいかもしれない。

「分かりました。《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅳ》に加えて、《タンスガーディアン》もアームを伸ばせば収穫できますし、《二宮二号》も果実を獲ることができますね。私が想像していた高所を収穫する用のメカは梯子型でしたけど、なんだかんだでメカニカル・サイキッカーとタンスメカのアームで高所もなんとかできそうです」

梯子型のメカを持ってきていなかったけど、メカニカル・サイキッカーは体格が大きくていざとなったら腕を伸ばす機能や飛行機能で高所に届く。《タンスガーディアン》のアームはながく伸びる。
丁寧な収穫は細やかな作業。
メカ達は、イーリスの体内コンピューターにより制御されている。イーリスはメカのコントロールに集中する事にした。

エルピスさんが指を弾くと出現する七人の小人さん。
イーリスは小人さんを眺めて、目を丸くする。

「小人さんです!? えるぴすさんの〝まほう〟ですね。この〝まほう〟が目覚めたきっかけは……」

イーリスは少し想像してみる。
しらゆきひめ……。心当たりがあった。
ある事を思い出して、イーリスは頬をちょっと染めてしまった。

「も、もしかして……えるぴすさんが可愛らしいお姫様になって昏睡しているところを私が接吻で目覚めさせようとして、そのときに目覚めた〝まほう〟ですか……!? わ……わわっ……!」

恥ずかしい記憶がまた蘇っていく……。
寝ているお姫様に口づけを交わす直前にイーリスは思いとどまったけど、その時にイーリスの視覚を通じて保存していた映像を間違ってエルピスさんに送ってしまった事があった。

エルピス・シズメ >  
 順調に作業を続けていく最中、話題の一つとして思い出す出来事。
 赤く頬を染めたイーリスと過去の記憶を思い返せば、エルピスも顔を顔を赤くする。

「ぁ、ぅ、えーと……たぶん……。」

 頬を染めて目を逸らす。
 そうと言えばそうなような、違うとも言い切れないような。
 
 いつのまにか思いついて、身についていたものの一つ。
 きっとそうだろう、という事にして恥ずかしさと共に肯いて認めた。

 ポピュラーの童話の一つであるため、イメージし易かった事もあって習熟も早かった。

 使う機会があまりなかったが、いざ手伝わせてみると大分便利に感じる。
 とは言え、無理をしないように休憩をはさみながらの行使。小人さんは出たり消えたりしている。

「たぶん……さ、さぎょうの作業のつづき、しなきゃっ」

 りんごのように頬を染めながらも、作業に戻る。
 思い返したことで内心がどきどきしてるけど、それはそれ。
 広い果樹園の果実をてきぱきと収穫していく。
 

Dr.イーリス > 「あ、あの出来事まで、〝まほう〟になってしまっていたなんて……。うぅ……」

イーリスの制御するメカが一斉にぴたりと止まったりもした。
ちょっと頬を染めていたけど、少し口元を歪ませる。

(それだけ、えるぴすさんが私の事を愛してくださっているという事でもありますよね)

そう思うと、嬉しくもなってくる。
そして、目覚めた〝まほう〟がこうしてとても役立ってくれている事も、とても嬉しい。

再び、メカが動き出して収穫を再開していく。


かれこれ数時間ぐらい経つだろうか。
タンスガーディアンやカート型メカ、《二宮二号》の籠にどんどん果実が入れられては運び出される。
だいぶりんごとみかんを獲った気がするけど、とても範囲が広い……。

「ま、まだこれだけ収穫しなければいけない果実があるのですね……! な、中々終わらないです……!」

メカの制御も疲れてくる。
でもまだ果実いっぱい! やりがいあるおしごと!

「農家さんは毎年大変なお仕事をなされているのですね。えるぴすさん、疲れてないですか?」

エルピスさんにきょとんと小首を傾げた。

エルピス・シズメ >
 秋の終わり、冬の始まり。
 気候としては少し冷えるけれど、身体を動かしていると寒さは和らぐ。
 少し汗をかきながらも、順調に作業を続けて数時間。

「ん、僕は大丈夫。でもちょっと休憩しておこっか。」

 広々とした果樹園の収穫作業も、色々駆使して半分ほど終える。
 この調子なら、残りも日が暮れぬ内に終わるだろう。

 なので、疲れる前に休憩を提案し、持ち込んでいた飲み物とおにぎりを差し出す。
 少し早めのお昼ご飯。中身はしゃけ。

「早起きして作っておいたんだ。ちょっと不格好だけど……」

Dr.イーリス > 「では、少しおやすみです。トラックから椅子を取ってきますね」

イーリスは微笑みながら、エルピスさんに頷いてみせた。
折り畳み式の椅子をトラックに取りに行くべく駆けていく。
やがて折り畳み式の椅子を持って、帰ってくる。
そうして座る場所を確保した。

「お待たせしました。おにぎり作ってくれていたのですね! ありがとうございます、えるぴすさん!」

おにぎりと飲みものを受け取る。

「えるぴすさんが朝早くから丹精込めてつくってくれたおにぎりなので、凄く嬉しいです。いただきます」

おにぎりをお口に入れる。

「とてもおいしいです!」

幸せそうに満面の笑みを浮かべた。

エルピス・シズメ >   
「うん。時間もかかるしお腹も空くと思って……
 果樹園の果物を盗み食いする訳にもいかないしね。」

 二人で椅子に座って、果樹園の中でおにぎりを食べて、
 飲み物──麦茶を飲む。ペットボトルの飲み物じゃなくて、水筒に入れた手作りの麦茶。

 水筒も、桃色と水色でちゃんと二人分。

「良かった。……お仕事しながら、ちょっとしたピクニック。
 これもおさんぽ部の活動に入れていいのかも……。

 徒歩ではないけど、これもおさんぽと言えばおさんぽ。
 広大な果樹園の景色の中で食べるおひるごはんはとても美味しく感じた。
 お仕事をしながら、というのもあるのかもしれないけど……とにかくおいしい。