2024/06/30 のログ
ご案内:「医療施設群 隔離病棟」に緋月さんが現れました。
緋月 > 少女が入院となってから、暫しの時が経った。
以前まで使用していたICUからは移動となり、現在は隔離病棟の一室を使っている。
相変わらず面会は事前予約必須、かつ身分証明が必要となる状況だが、本人の容体の安定もあって
こちらに移る事になったのである。

身体に繋がれている管や線の類は随分と少なくなった。
主に役目を果たしているのは、経絡修復の効果を持つ薬液と、通常の点滴、
そして念の為に繋がれている心電図位である。
その心電図も、回復の速度もあってもうじきお役御免になる所だ。

緋月 > さて、そんな少女が今何をしているかというと、

「ぬ、ぬぅぅ……。」

手にした板――最新型の学生手帳であるオモイカネ8と、毛布の上に置かれた取り扱い説明書を
交互に眺めながらの悪戦苦闘の真っ最中である。

「おかしい…日本語が書いてあるはずなのに、どうしてこんなに理解が難しいのでしょう……。」

文明の利器は、時代錯誤気味な少女にとっては扱うのがとても難しい代物だった。
何とか、以前のレンタルの端末からはデータの移動が出来たのが、奇跡と言えるかも知れない。

そんなこんなで、現在彼女は上半身を起こして携帯端末と格闘出来る位には回復していたのであった。

緋月 > 「ぬぅぁ~……。」

気の抜けた声を立てながら、端末を待機状態に戻してサイドテーブルに置き、だらりとベッドに横になる。
牛歩ではあるが、使い方は何とか覚える事が出来ている――筈である。

「――お腹、すきましたね。ご飯、まだでしょうか。」

天井を眺めながら、怠惰な呟き。
ほんの少し前から食事が許可されたので、やっと点滴頼みの空腹から脱する事が出来たのである。
とはいえ、長らく食事を摂っていなかったので、基本は消化に良いもの限定。
おかゆに豆腐、卵にデザートにはバナナといった具合。
贅沢が出来て、ほぐした鶏のささみが入ったおうどん位である。

それでも、暫く食事抜きだった少女にとっては久方ぶりの食事である。
本来なら一気に平らげたい所を、医師からの言いつけを守ってゆっくりと食べているのであった。
強いて要望があるなら、少しだけでよいので濃い味付けで頂きたい、という位か。

「――もうちょっと調子が良くなったら、おかゆに梅干しがつかないか頼んでみましょうか。」

緋月 > 「――――。」

ふと、病室の隅に視線を向ける。
視線の先にあるのは、刀掛台に乗せられた白い刀。
自身の半身とも言うべき愛刀。

「随分と、触ってあげてないからなぁ……。
退院したら、勘を取り戻す為にしっかり鍛錬を積まないと。」

天井を眺めて、ため息ひとつ。
以前よりも遥かに長い入院期間の為、退院した後の身体の鈍り具合がとても心配である。
生徒登録も行われているので、今までと違って訓練施設を比較的自由に使えるようになるはずだ。
その時は、しっかりと稽古を積んで鈍った身体を戻さないといけない。
ベッドに横になったまま、少女は小さく気合を入れた。

そしてそれからしばらく。
食事を持って来てくれた看護師にお礼を述べつつ、ご飯を食べ終えれば、少女はゆるゆると眠りにつく。

尚、今日のメニューはおかゆに冷や奴、デザートにバナナであった。
冷や奴の味付けは薄味で健康にはよかったが、物足りなさは否めない。

ご案内:「医療施設群 隔離病棟」から緋月さんが去りました。