2024/07/05 のログ
ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」に緋夜鳥 子音さんが現れました。
■緋夜鳥 子音 >
落第街での怪異との交戦から一夜明けて……
気を失っていたところを他の生徒に回収された子音は、祭祀局員用の病棟に運び込まれた。
発見時は制服―――対穢装束と愛用の和傘こそボロボロだったものの、彼女自身は傷一つない状態だったという。
本人曰く『気絶する前に治癒術を施した』とのことだが、件の怪異は感染する恐れがあるため、どのみち検査は必要。
目が覚めてから全ての検査を終える頃には、すっかり日が暮れていた。
「はぁ~、しんどかった……」
入念な問診と身動ぎひとつ許されない精密検査で凝り固まった肩を回しながら深い息を吐く。
結論から言うと感染の心配は無し。
装束による穢れへの耐性と、炎による焼却殺菌が効いたのだろうか。
前者のみでは防ぎきれなかった点から、件の怪異と対峙する際は物理的な感染防止も必要という情報を引き出せたのは大きかった。
慣れない端末をぽちぽち操作して、それらの報告を祭祀局へと送信し終えたところで、ふと友人の顔が脳裏を過る。
「……せや、伊都波はんにも連絡せんと」
怪異に討ち入りをかけた理由は《祓使》としての使命だけではない。
大事な友人が傷付けられた時、自分は何の助けもできなかった。
不甲斐ない己へのケジメも兼ねて、仇討ちのつもりで挑んだ結果が痛み分け。
せめて一矢報いることはできたと伝えておこう。
■緋夜鳥 子音 >
「ええと、写真を撮るにはっと……」
激辛ラーメンとの激闘の後、いくつか教わった機能のうちの一つ。
カメラアプリを起動して、インカメラ……の存在はすっかり忘れて。
端末を裏返し、外カメラを自分の方へと向けた状態で笑顔&ピース。
「……よしっ。これで無事ってことは伝わるやろ」
検査中は病衣に着替えたが、去り際の今は制服姿に戻っている。
しかし替えの対穢装束はすぐに用意できず、元々着ていたものを着て帰るしかなかった。
つまり、身体は無傷でも服はボロボロの状態なのだが、本人は気付いていない。
口語とは打って変わって丁寧な文章に自撮り写真を添付して、送信ボタンを押下した。
■緋夜鳥 子音 >
「………………」
しばらくは一仕事を終えたような面持ちで"むふー"としていたが、不意に表情が消えた。
端末をしまい、両手をぐっぱっと開いて閉じる。
無事、ではあるものの……無様な戦いをしてしまったと、己を恥じた。
とてもじゃないが『勝利した』とは言えない結果だったのだから当然だ。
持てる力の全てを賭してなお、一太刀浴びせるのがやっとだなんて。
―――いや、正確には"全て"ではない。
《緋ノ鳥》の真髄はこんなものではないのだから。
この力を真に使いこなせるようになれば、あるいは。
「まだや……まだ足りひん。
うちはもっともっと強くなれるはずや。
首洗って待っとれよ……蟻ンこ野郎」
たとえ命を燃やすことになっても、決着は必ず付けてみせる。
そう強く誓って、病棟を後にするのだった。
ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」から緋夜鳥 子音さんが去りました。