2024/09/06 のログ
ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」に橘壱さんが現れました。
ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」にクロメさんが現れました。
■橘壱 >
入院生活数日目。
傷の方は万全とはいかないが完治目前だ。
下手なことをしなければ開くこともないはず。
体をなまらせないように、出来る範囲のトレーニング。
ないし、機体調整の見直しは怠らない。
病院のベッドの上で、ノートPCの画面を見ながらふと窓を見やる。
「そういえばアイツ、入院中に変な事してないよな……?」
自分が担当している怪異の少女。
まぁ滅多なことをすることはないと信じているが気がかりだ。
自分みたいなのが心配することではないだろうが、色々と。
外もすっかり暗くなってしまった。消灯時間まで数時間と言ったとこだった。
■クロメ > さて
件の人間から連絡が入った。曰く、「入院した」とのことである。
思い返せば、アレが最初に接触してきたときも怪我だらけで気絶などという無様をさらしたものだ。
お陰で、病院まで運ぶ羽目になった記憶もある。実に度し難い。
「ああ、あのときの」
ただ、今回はそれが功を奏したのか、話が早かった。
来訪目的を言えば、割とあっさり話が進んだ。
それだけは、よかった、といえるのだろうか。
「……ふむ」
目的の場所までご丁寧に案内までされたので、間違いはあるまい。
扉、か……通常の連中であれば、儀式が必要であるが。
「くだらんな」
眼の前で、扉がするすると開いていく。
手は使っていない。まるで女王に対して臣下の礼を捧げるかのように、自動ドアのごとく、開くのである。
「入るぞ」
無遠慮に、それは病室の中にはいった
■橘壱 >
「!?あれ!?お、おぉ……。」
突如扉が開いた。少年の表情は強張る。
消灯時間前だと言うのに、随分と無遠慮に。
万一の備えにであるベッド裏のそれに手をかける。
が、そこにいた小さな少女の姿に自然と力が抜けた。
同時に、表情には驚きが表れた。
それもそうだ。まさか、彼女が来るとは思わなかったから。
「クロメか……ビックリした。
意外だな、見舞いにまで来てくれるくらいに心配だった?」
そうだ。彼女の性質上来るとは思わなかった。
冷酷で人間嫌いの怪異の少女。
例外なくほっとかれると思ったからこそ、何よりも意外だ。
だからほんの少し安心したようにはにかみ、おどけてみせた。
「まぁ、冗談はさておいて、何か急用でもあった?」
■クロメ > 「ふむ……生きているようだな」
じろり、といつもの冷たい目を向ける。
少し違っていたのは、少し探るような目だったことだろうか。
「腹、か。他に擦過傷、打撲傷の類……その程度か」
一人で勝手に納得したように頷く
「用か。
あるといえば、ある。ないと言えばない。」
ふわり、と小さく宙に浮き、滑るようにベッドに寄る。
なにもない空間に、椅子のように腰掛けて目線を合わせる。
「なにしろ、お前が死ぬと面倒が多い。
どうせ次が来るのだろうが……一々相手をしたくもない」
だから、簡単に死なれても困る。
「なぜだ。なぜお前は、そうなのだ。
初めて顔を合わせたときも、死にかけだった。
今回もまた、このザマだ。」
冷たい目がじっと壱を見る
■橘壱 >
「ご覧の通り、なんとかね。
後一歩でも回避運動遅れてたら終わってたけど。
今の医療技術に感謝ってところかな。……って、そこまでわかるのか。凄いな。」
危うく胴体が二つに分かれる所だった。
腹の傷も、今の医療技術でなければこんなに早く退院は出来ない。
何時もとはちょっと違う探るような目に、丸くなった碧の視線が重なる。
超越者、普通の人外とも違う相手だとは思っていたが
見ただけでそこまでわかるのは少し驚きだ。
椅子もないのに、当たり前のように浮いて座る。
普通に座るの嫌なのかな。
「……かもしれない。
けど、危険性が証明されなければ大丈夫……だとは思う。」
怪異であるという理由での監視だが
単純な能力で言えば制限を受ける異能者は多い。
その危険性が認められたが故の措置だ。
それを制御するための学園でもある。
だから、同様の理由で彼女が危険性がなければ次も無いだろう。
静かに眼鏡を上げれば、少しばかり苦い表情。
「風紀委員として、危険な違反者と戦ってるから。
……っていうのは、理由にならないな。ごめん。
単純な実力不足、或いは非異能者の限界……」
「理由は色々引っくるめて、僕の実力不足かな。」
■クロメ > 「……まあ、な」
呼吸音、体の動き……そして、血の匂い
あらゆるものが情報を伝えてくる。それを紐解けば、人の状況を読むことも可能である。
普段はわざわざすることでもないが。
「ふん。その危険性、とやらは誰が保証する?」
結局のところ、眼の前のこの男がどう判断するか、ではないのか?
口にはしないが、目がそう言っていた。
お前の胸先三寸だろう?
「実力不足、か」
相手の言葉をオウム返しに返す。
しばし、考える姿勢をとる。
「そうだとして――」
再び、目を見る
まるで、内側まで透かし見ようとするかのような目
「では、なぜ続ける?
いや……なぜ始めた、というべきか?」
力が足りない。特に、限界だというのであれば。
そこにしがみつくのはなんだというのか。
「お前の言葉で言えば非異能者なのだろう?」
馬鹿にするでもなく、いつもの平坦な声が平坦に聞く
■橘壱 >
流石は超越者。
口に出すのはやめておいた。
それなりに付き合えば余計な事を言うはずもない。
にしても、見ただけでわかるのか。
此れは生物学的な興味だ。何のために使うのだろうか。
じ、と興味深げに見ていたがその言葉に何とも言えない表情で頬を掻いた。
「……まぁ、僕とそれを承認するする上、かな?」
そういう意味では此処で死んだら結局リセット。
確かにそういう意味でも死んだら迷惑がかかるらしい。
別に死ぬ気はないけど、思ったより死ねない理由が多いな、此れは。
しかし、今日の彼女はやけに饒舌だ。
文字通り全てを見透かすような視線。
その問いかけは事実である以上、反論する余地はない。
思うに、此の神秘は異能が当たり前となった世界。
そこで如何に秀でた存在であろうと
それこそ超人たり得るほど突出、即ち
異能と張り合える程度の力が無ければいけないと考えている。
そういう意味で、特に若者が異能に覚醒していくこの少年は
文字通りの無能、ひいては社会的にも弱者と言って差し支えない。
それは当に自覚している。
どのような形であれ、向き合ってくる彼女を真正面から受け止めた。
視線を外さず、じっと見ている。碧の視線はブレることはない。
「……その答えは、初めにあった時に言ったはずさ。
まぁ、今はそれ以外にも幾つか理由が増えたりもしたけど、メインはそれ。」
非異能者でありながら、己の実力だけで世界一を目指す。
余りにも無貌な挑戦だとわかっている。
矮小な挑戦者だから、どうしたと言うのだ。
「非異能者の限界と言っても、まだこの程度が限界だとは思ってもないし
機械はともかく操縦士の問題だ。未熟なのも
自分が如何に弱いかも、此の島に来て実感した。」
「けど、どれも辞める理由にはなり得ないよ。
……それともキミは、まさか、僕に辞めろとでもいいにきたのか?」
■クロメ > 「そういうことだ」
言いたいことはだいたい伝わったようだ。
それなりの知性を持っているとは思っていたので、想像通りでよかった、ということか。
それゆえに、死なれれば面倒なのだ。
わかればいい
「……そうか。」
挑戦をする、という純粋であり、しかし愚かとも言える想い。
やはり、人間というのは度し難い。
だから、すぐに色々なものが壊れる。
「それでは、辞めないということか」
そうなのだろうな、とも思う。
人間とは、そういう度し難い生き物なのだ。
己の分もわきまえず、見果てぬ夢に乗り出したり、届かぬ先に手を伸ばそうとしたり。
どこまでも愚かな生き物なのだ。
■クロメ >
「いいだろう、愚かな挑戦者。
お前は、与えられなかったことを嘆くか?」
■クロメ > 静かに、怪異の声が響く。
「私なら、与えられるぞ?」
蒼の瞳がどこまでも黒く沈み、金の瞳が薄く鈍く光り輝く
うすく、口が三日月を描いているようにも見える。
「望め、それだけだ」
まるで悪魔のように
■橘壱 >
「……どれだけ愚かと言われても、どれだけ謗られても
辞める理由にはならない。僕自身が止まる気はないし
僕の姿を見て、誰かが同じように勇気づけられたらとは思うしね。」
その夢を駆け上がるきっかけとなった企業の広告塔。
初めは少年にって無意味だったが、それにも意味を持つようになった。
非異能者は、確実に何かを持ち始めている。
しかし、現実問題その心底に燻るものはあった。
妬み、嫉み。此の世界から"爪弾き"にされたものがもつもの。
「─────……まいったな、本当に何処まで見ているんだ?」
困り顔で、肩を竦めた。
身体状況だけではない。
文字通り蒼と金が心底さえ見透かされたようだ。
随分とその辺りは鳴りを潜めた。
けど、羨望、情景、裏返しの嫉妬心はそこにある。
それ以外の原動力を持っただけに過ぎないのだ。
目の前にいるのは少女ではあるが確かに怪異なのだろう。
その薄ら寒く、鈍く光る双眸。
嘲るような三日月の口元。
見ているだけで何処かおぞましく、何よりも魅力的に感じてしまう。
鼓膜を揺らすその声は、何よりも扇状的だ。
思わず息を呑み、黙り込んでしまう。
見惚れてしまったかのように、目が離せない。
こいつになら出来てしまうという確証があった。
此度、別件で落第街を騒がせる迷惑な送り主のように
その心底の問題を全て解決できてしまうのだろう。
そう、取り返しがつかなるほど魅力的。
これは、悪魔の取引だ。暫しの沈黙が、病室に蔓延る。
数分、数時間とも言えるほどに体感時間が過ぎた。
目を離さず、微動だにしない少年。
だが、ついに
■橘壱 >
その手を、怪異へと伸ばし────────。
■橘壱 >
「……ふんっ!」
額を小突くデコピン!
威力は蚊ほどもない程度の一撃だ。
避けられようがくらおうが関係ない。
だが、そんな事言う此の少女には、一発位はやっとかないと気がすまなかった。
■クロメ > 「……」
ぴしり、と乾いた音が響く。
蚊ほど威力もないデコピンは、確かに額にあたっていた。
妙に硬い感触がしたかも知れない。
「……なるほど」
鈍い光も、暗い光も瞳からは失われていた。
先ほど、ほんの僅かの間に漏れ出ていた圧も鳴りを潜める。
「いいのか、挑戦者。
いずれ築土の下か、道端かで、無様に死ぬかも知れぬぞ」
男の腹を指差す。
同じようにか、さもなければそれ以上に傷を受け、死骸をさらすかもしれない。
そうなってもいいのか、と
「……が。
安易に手を伸ばすのもまた……」
ほんの一瞬だけ、どこか遠くを見る。
眼の前の男でも、風景でもない。見えない何かを見ていた。
その眼は変わらず冷たく……いや、更に温度の下がった眼であった。
「……度し難い」
小さく吐息を吐く。
小さく、しかしどこか深い吐息。
「誰かが同じように勇気づけられたら、か。
力を借りず、しかも敗北しているようでは先が思いやられるな?」
変わらない冷たい声。それは、事実を淡々と述べているだけの、機械的な所作。
そして瞳は、変わらずじっと男を見ていた
■橘壱 >
ぴしっ。思ったよりも感触は硬い。
見た目とは相反する。
「え、硬。おじいちゃんの額かよ……。」
はいノンデリ発言。そういうところだぞ。
指折れてないよな、とさすって確認してみる。
よかった、折れてない。セーフ。
改めて見据えた少女の目には、仄暗い光もなくなっていた。
はにかみ笑顔を浮かべ、口を開く。
「……確かにそうなるかもしれない。絶対とは言い切れない。
けど、キミが問いかけた答えは、初めてあった時に言ったはずだ。」
このAFは兵器、戦うための機械だ。
風紀委員の職務上、違反者との戦闘は付きまとう。
確かに何時か死ぬかも知れない。絶対はない。
死にたくはないけど、不条理とはそういうものだ。
それでもと、あの時計塔の上で確かに答えたはずだ。
例えどんな道でも、例外なく己の力で通ってみせる。
何も変わってはいない。少年を支える根底は変われど、そこだけは変わりはしない。
それはそれとして、痛いところを突いてくる。
確かにこれで負けっぱなしは格好もつかない。
笑みにも苦いものがまじり、思わず腹の傷を擦った。
「はは……面目ない。にしても、もしかして善意だった?
だとしたら、ごめん。けど、そればっかりは誰かの手を借りれない。
意地だと言われたらその通りだけど、そういうモンじゃないかな。」
夢を叶えるとは得てして、そういう身勝手から生まれるものだ。
「にしても、今日は随分と気にかけてくれるな。
やっぱり心配してくれたのか?クロメ。」
■クロメ > 「言うなら、老婆、だろうな小童」
これでも千年の時を超えて生きている。
老人、と言われればその通りではあろう。
ノンデリの発言に、真顔で答えるのであった。
「……ふむ。
死にかけて、精神が変わったりはしなかったか」
再度、口されること。
最初にあったときに、交わした問答通りだと。
「善意? 違うな。
あえていうなら、悪意だ」
堕落を誘い、安易へと導く。
堕ちた先に待つのは、軽率か、はたまた……
「思ったより、硬い意地ではあったがな」
その意味では、今回は負け、といってもいいかもしれない。
別に勝負をしたわけでもないが。
それゆえか、そもそもか。その声には悔しさも何も無い。
ただ、淡々と事実を述べていた。
「変わった人間ではあるな」