2024/10/12 のログ
追影切人 > 「――幸せ…ってのはよくわかんねぇな。」

そもそも、斬るのが男にとって自然で当たり前…手足を動かす延長のような感覚だ。
楽しいとか、斬り合いにテンションが上がるとか、少なくとも昔は全く無かった。

――思い返せば、何も思わず考えず、ただ淡々と目の前にある全てを斬っている”だけ”だった気がする。

じゃあ、……俺にとって大事なモンっていうのは一体何なんだ?
…それ以上は考えてはいけない気がした。考えたら元の刃には戻れなくなりそうで。

(――クソが、だから”感情”っていうのは…。)

ぎしり、と歯噛みしそうになるが流石に腐れ縁の前でそんな態度を取れば勘付かれる。
ぐっと、押し殺して誤魔化すようにゆっくりと息を吐き出した。

「……チっ、俺の心配なんかしてる余裕あんなら、その分は他のヤツの心配でもしてやれよ。」

そう、捻くれた言葉を返すに留める。…腐れ縁の言葉に思う所があるのか、それとも受け止め切れていないのか。
――元々、ただの刃だった男だ。芽生えつつある感情というものの処理の仕方が分からない。何も。

「――自分を大事に…だと?」

目を細めた。明らかに何か琴線に触れたのか空気が一瞬変わるが…直ぐに元に戻る。
馬鹿にだって、腐れ縁の彼女がこちらを慮って言ってくれた言葉だと理解はしている。
だから、自分の制御しきれない感情らしきもので荒ぶるなんて事があってはいけない。

「…何だそりゃ、芋のドーナツ?…まぁ、貰うけどよ。」

そんな変わり種があんのか…と、思いつつ紙袋を繁々と眺める姿は年齢相応というか素直というか。

(…自分を大事に…俺自身の身の振り方…わかんねぇよそんなもん。俺に”先”なんてそもそもねーんだよ。)

クソ、この腐れ縁は昔からこうだ。よくわかんねぇけど何か刺さる言葉を投げかけて来る

「……そもそも、アイツは俺の監視役なんてやらずに他の事に費やせばいいのにな。」

――コイツも凛霞も。何なんだ本当に…何なんだ”向き合う”っていうのは。

…男がその片鱗を見出すのは、この数日後…今はただ足りない頭で答えの出ない事を考える事しか出来ない。

「……ドーナツありがとよ。」

だからか、そろそろ帰るらしいレイチェルへと、ぽろっとそんな言葉が漏れた。

レイチェル >
「まずはそいつを探してみても良いんじゃねぇか。
 ドーナツ以外にもな」

十人十色の、幸せの形。
その一つを指摘して、レイチェルは人さし指を立てる。

「自分なんかに構わずに、他の事に費やせ、か。
 お前はお前が思っている以上に、周りに気にかけられてんだぜ。
 
 道具としてのお前じゃなく、人としてのお前は、さ。
 
 その上で……どっちを取るかは、お前次第だろ」

刃として生きること。

人として生きること。

どちらが彼にとっての幸せなのか。
或いは、他に上手くやっていく道があるのかもしれない。

いずれにせよ。
決めるのは、追影自身で、他の誰でもない。
道中に凛霞のような存在の助けもあるだろうが、
それでも結論は、彼が人生を歩んでいく中で決めていくものだろう。

だからこそ、押し付けることはせず――
一つ、幸せの形(ドーナツ)でも食べて考えてみることを提案する。


「おう。どうしたしましてだ」

最後に耳に届いた彼のしっかりした感謝の言葉は、茶化さずに受け止めて。
朗らかに笑顔を見せて振り返れば、クロークを靡かせて去っていくのだろう。

彼がどのような道を選択するかは分からない。
それでも、彼は。
レイチェルと刃を交えてから今日に至るまでも、
人としての道を少しずつ歩み始めている。

そして、その道をレイチェルは応援したいと思っている。
選択を委ねたとて、それくらいの我儘は許される筈だ。
長い付き合いなのだから。

ただそれだけ。ただ、それだけの話なのだ。

扉が閉まる音がして、病室には甘い香りだけが残された。

追影切人 > 「……馬鹿には難しい難題だな。」

吐息交じりに、つい零れた言葉は捻くれた様子も無い素直なものだった。
幸せの形、自分自身を大事にする事、己のこれからを考える事…どれもこれも難しい。

「……俺が気に掛けられてるだぁ…?」

何だその笑えない冗談は…と、言い掛けた所でぴたり、と口が止まる。
ややあってから、ガシガシと頭を掻いて「クソが」と吐き捨てた。

(どんな選択をしようが、最後に”斬る”事に変わりはねぇ…だったら。)

矢張り刃として己の生き様を全うするべき――と、考えた所で違和感を覚えた。
――今の俺は刃とはとても言えない。じゃあ人なのか?こんな中途半端なザマで?

分からない、分からない、分からない、分からない、分からない――だから感情は面倒臭い。

「………。」

だから、笑顔を浮かべて颯爽と去っていく腐れ縁を見送ってから…一つ、紙袋のドーナツに手を伸ばした。

「………結構イケんじゃねぇか。」

なんて、ドーナツを頬張りながら呟いて窓の外を見た。

(俺の生き方……刃以外のなんてあんのか?)

斬る事だけは何がどうなると絶対に辞められないし、そこは己が望んでいると断言してもいい。
だったら、斬る事に全てが帰結する破綻者が、どんな幸せの形とやらを掴めると言うのか。

答えはまだまだ出そうにない――きっと、死ぬ間際までそうかもしれない。

「……何が【凶刃】だ…糞ったれ。」

そんな悪態と、色々綯い交ぜになった複雑な思いを抱きつつ彼は数日後に退院する事になる。

ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」からレイチェルさんが去りました。
ご案内:「医療施設群 委員会用病棟」から追影切人さんが去りました。
ご案内:「医療施設群 一般病棟」にヴィシアスさんが現れました。
ヴィシアス > 救護班としての仕事がひと段落したヴィシアスは、
休憩室に腰を落ち着けて一息ついていた。

この頃バナナの消費量が尋常ではない――

が。

気にするな!
バナナに限ればいくらでも食わせられるのだから。

さて。
オモイカネ8で動画でも見るか…な……ッ…

―――?!

回想 > 記憶が甦る(それっぽいSE)―――
回想 >  
■ヴィシアス
オモイカネ8を差し出した――

■リリィ
谷間にきゅっきゅと押し込んでおいた――
 

回想 >  
■ヴィシアス
オモイカネ8を差し出した――

■リリィ
谷間にきゅっきゅと押し込んでおいた――


回想 >

■ヴィシアス
オモイカネ8を差し出した――

■リリィ
谷間にきゅっきゅと押し込んでおいた――



ヴィシアス > 刹那
ヴィシアスの思考中枢に溢れ出した――

存在する記憶――

ヴィシアス > 「リリィ――!!」

あの時すっげーナチュラルに胸へしまい込まれてたから
完全に普通にオモイカネ8奪われてた

「何をしているリリィ――ッ!!」
「そのオモイカネ8は…!」

魔力に乗せて呟こう。
高性能なオモイカネ8は魔力だって受け取れるさ。

知らんけど。

故に、こう叫ぼう。

ヴィシアス > 「私のモノだぁぁぁぁぁぁぁッッッ」
ご案内:「医療施設群 一般病棟」からヴィシアスさんが去りました。
ご案内:「医療施設群 一般病棟」にリリィさんが現れました。
リリィ >  
「だいじょうぶですよ、任せてください!」

そういって胸をばいんっ!とさせて張り切るポンコツ淫魔。
今日も今日とて元気にお手伝い中。

患者の一人が、「あらー、今日はリリィちゃん静かねぇ。」とお腹を見ながらおっとりと笑った。

「えへへ、昨日はちゃんとゴハンを食べましたからっ!」

大きい荷物を倉庫に運ぶ途中でそんな世間話を繰り広げていると

某悪魔氏 > 「リリィ――!!」
リリィ >  
と、某悪魔氏の盛大な声が胸の谷間から鳴り響く。

「きゃあ!?」

どんがらがっしゃーん!

荷物を盛大にぶちまけて「今日は失敗しないと思ったのにぃ……。」と嘆くポンコツ淫魔は掃除を終えたその後で、かの悪魔が御座す休憩室へと赴き

「差し出されたから受け取りました。反省はしていますん。」

等と供述した挙句、本日のバナナをおねだりしたのだとさ。どっとはらい。

ご案内:「医療施設群 一般病棟」からリリィさんが去りました。