2024/12/22 のログ
ご案内:「医療施設群 一般病棟」に泳夢さんが現れました。
泳夢 >
近未来的な医療施設の廊下を、一見電動とは思えぬレトロな木製の車椅子がゆっくりと自走していた。
その車椅子に座っているのは、雪のように澄み切った白髪の少女である。
まるで西洋人形のような端整な顔立ち。その四肢が球体関節の浮き出た義肢であることが、その印象を増強していた。

「はぁ……メンテナンスは仕方ないけど、やっぱり慣れないなぁ……」

少女は何らかの検診、調整を受けた後だったのだろう。
施設のエントランスまで車椅子を自走させれば、自販機コーナーの前まで移動させて停車する。
義肢の調子を確かめるように、ゆっくりと右の掌を開閉する。

泳夢 >  
それを数度繰り返せば、懐に入れた端末を使って自販機での決済を行う。
少女は手慣れた様子でミネラルウォーターのボタンを押す。
そうしてそのまましゃがみ込み、取り出し口からボトルを拾い上げようとしたが…。

「あっ……」

膝上まで持ち上げようとした最中に、ボトルは少女の手から滑り落ちた。
ごろん、ごろん、と床を転がるボトル。
少女は一瞬硬直した後、何とか拾い上げようと身体を捻るが上手くいかない。

泳夢 >  
何度かそれを繰り返し、上手くいかないのを悟れば小さくため息を吐いて…
車椅子をゆっくりと回転させ、方向を合わせてから改めてしゃがみ込みボトルを拾い上げる。
そして今度はしっかりと握り締めて、ゆっくりと膝の上へと。

「……せめてこれくらいのことが、もうちょっと楽になればなぁ……」

少女はそう小さく呟き、ボトルのキャップを捻って開けば、それを一口。
こくりこくりと喉を鳴らしながら、半分ほどまで飲み進めた辺りでキャップを締める。

泳夢 >  
「…ここだと、これ以上の贅沢は言えないけど」

そう小さく呟き、ボトルを車椅子のドリンクホルダーに。
そしてゆっくりと車椅子を発進させれば、そのままエントランスから外へと出る。

「伝手なり方法なり…やっぱしさがさないとか」

少女は空を見上げながらそう呟くと、ゆっくりと車椅子を前進させていくのだった……。

ご案内:「医療施設群 一般病棟」から泳夢さんが去りました。