2024/07/07 のログ
ご案内:「研究施設群」に黒羽 瑠音さんが現れました。
黒羽 瑠音 >   
「少し試してみてほしい事がある……ですか?」
「勿論です、それで何をすれば?」

研究員さんの元で何時もの様に異能について調べて貰っていた私だけれど、今日はちょっと毛色が違うお話があった

研究員 >   
「うん、君にしてほしい事は……複数の人相手に異能を使ってみてほしい」
「正確には『その人に上げる』という気持ちを強く持って変化させてみてほしい、かな」

「試しに僕に向かって使ってみてくれるかい?」

黒羽 瑠音 >   
「わ、分かりました、でも、多分それは……」

少し戸惑いながらも、変化用に用意された水を手に取って異能を発動してみる
ぱっとみた感じは変わらないけど……鼻先につん、とした匂いが

「……はい、どうぞ」

これで何が分かるんだろう?と思いながら私は研究員さんに飲み物を渡す

研究員 >   
「ありがとう」

そして、受け取った研究員はそれを一息に飲みほした

「~~~っくぅ、中々キツめの味だね」
「でも懐かしいな、そして炭酸も感じる……何だろうな、透明のルートビアみたいな」

「ふぅ、ご馳走様」
「瑠音さん、ところで……」
「これ、飲んでみたいと思ったかい?」

黒羽 瑠音 >   
「へ?あぁまぁ、ちょっと試してみたいなーくらいは、ツン、としてましたけどぱちぱち感があって…」
「でも、沢山飲みたいって感じじゃなかったかな」

こてり、と首を傾げつつ不思議そうに首を傾げる私、之で一体何が分かるんだろう?

「それで、之は一体何の実験なんですか?」

研究員 >   
「そうだね、調べてほしい事は……君の能力が何処まで『君にとっての不利益』という概念に忠実か何だ」
「君にしてほしいのは正確には自分がそれを消費しないという前提での能力使用」
「つまり、『他者のために』使った場合の能力の傾向を調べてみてほしい」

「但し、消費できるものでだ、それこそ飲み物や食べ物何かでだね」

黒羽 瑠音 >   
「な、なるほど?よくわかりませんけれど……」

正直研究員さんの話を聞いても、今一ピンと着ていない私がいた

「とりあえずそれならちょっと他の人にもお願いしてみます」

でも、それで少しでも異能について分かるならやらない手はないよね
変なものを出して怒られたらちょっと怖いけど、ちゃんと先に説明しておけば大丈夫……だよね?

研究員 >   
「あぁ、この実験の目的は……」
「君自身が消費しないという前提での使用、その思考や行動の決定を異能が検知しているのか」
「それを確かめるのが目的だね、既にある種の思考の読み取りをしている可能性は示唆されているけれど」
「今回はそれを意識的に確かめる形になる」

「5円が欲しい時に10円を変えても5円には絶対にならない」
「この部分の仕様を更に詳しく調べるって事だね」

黒羽 瑠音 >   
「あー、成程……私の思考を読み取ってるなら、それを前提に色々アプローチ?が出来るかもしれないって事ですね」

こくこくと頷いて答える
確かに私がなってほしくないものになる、というなら、私の思考をこの異能の方で感知しているのは当然かも

研究員 >   
「あぁ、私としては之が『思考の読み取り』によるものなのか」
「それとも『運命論』や『予知』に類するもの……」
「つまり、君の思考に関係なく、この先何が起こるかを異能が検知しているのか」
「この違いは大きいと思っているんだ」

「だから、それを調べるために様々なパターンでの使用を今一度試してみたいわけだよ」

黒羽 瑠音 >   
「ははぁ……なんか運命とか予知っていうと凄い感じしますね」
「そこまでして起こってるのが私が損をする結果になる、っていうと逆に笑っちゃいますけど」

とはいえ、研究員さんのやりたい事は分かったので、私は強く頷くのである

「ともあれ分かりました、じゃあいっちょ色々データとってきます!」
「いい結果……になるかは分からないけど期待しててください!」

そういってサムズアップする、最近は異能で大失敗とかはしてないし、怪我とかもしてないし
まぁ何とかなるでしょ、多分!

研究員 >   
「うん、といっても危なそうなものは絶対に使わないようにね」
「君自身や周りの人の安全が第一だ、君の異能は今のところ、使わなければ安全、というのは間違いないんだから」
「ゆっくりやっていこう」

黒羽 瑠音 >   
「はーい!あ、じゃあそろそろ…」
「今日は午後から友達とプールの予定なので、いってきますね」
「それじゃ、ありがとうございました、またよろしくお願いします!」

時計をちらりと見て、頭を下げて私は部屋を後にする
うーん、でも他人に上げる前提かぁ、変な味とかばっかり上げることになりそうでちょっと気が引ける
で、でもまぁこれも研究のためだし、ちょっとくらいは許して欲しい
一応、フォロー用にスポドリとか飴とか持ち歩こうかなぁ

研究員 >   
「さて、『思考の検知』なら話は早いんだけれど―――」
「問題は、そうでなかった場合、だね」

研究員は一つ息を吐いて資料と向き合う

「とはいえ、焦らず行こうか、彼女にはまだ時間があるのだから」

カチ、カチ
静かに、静かに時計のなる音が響いていた

ご案内:「研究施設群」から黒羽 瑠音さんが去りました。