2024/08/22 のログ
ご案内:「研究区 調査ミッション」にDr.イーリスさんが現れました。
ご案内:「研究区 調査ミッション」にナナさんが現れました。
Dr.イーリス > 研究区の公園近くにある駐車場、そこに拠点用トラックを一台駐車していた。
トラックのバン部分が拠点として利用できるようになっており、キャンピングカーに近いだろうか。
バンの内部にはテーブルがあり、その上にいくつものモニターやキーボードが設置されている。パイプ椅子がナナさんとイーリスの分で二脚。
その他メタルラックがあって、そこに色んな機械が置かれている。
冷房も効いており涼しい。ただし、結構な狭さ。狭い中で、三毛猫のメカ《ミケ三型試作機》、ミケちゃんがが歩き回ったり、テーブルやメタルラックに跳び乗ったりしている。

イーリスはパイプ椅子に座って、キーボードを叩いている。
モニターには、研究区の地図や研究区に関する最新のニュース情報、気象まで様々なデータが映っていた。

「一応、多少は長期戦をも想定した拠点用トラックですからね。そこの冷蔵庫に入れているお飲み物はご自由に飲んでいただいていいですよ」

小型冷蔵庫の中に、紅茶や緑茶、お水、みかんジュース、サイダー、コーラのペットボトルが入っていた。
テーブルの上にはケーキスタンドが置かれていて、ワッフルやチョコレート、シュークリームといった甘いお菓子もある。

キーボードを叩く手を止めて、座ったままナナさんへと振り返る。

「それでは本ミッションのおさらいです。ナナさんの記憶を頼りに、ミケちゃんがナナさんのいた研究所に向かいます。研究所まで近づいたら、ミケちゃんの毛に隠している蚊型偵察メカで研究所の内部に侵入です!」

ナナさんのいた研究所の調査ミッションは安全性を考慮して行われる。
なにせナナさんへの追っ手がどんどん牙を向けているのだ……。

ミケちゃんと蚊型のメカが遠隔で調査。
そしてナナさんとイーリスがいるこの拠点も、駐車場にトラックが停まっているようにしか見えない……はずだった。
余計な事をしなければ、本当に駐車場にただトラックが停まっているだけの何の怪しさもない光景だっただろう。

だが、イーリスの頭のネジはどこか外れて、なんかアホだった。

念のため護衛をつけましょう、と拠点トラックの傍に《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》を置いてしまうという大失態をやらかしている。
全長三メートルの漆黒のアンドロイドが傍に置いてあるトラック、調査ミッションに似つかわしくない程非常に目立つ。

ナナ > こんなトラックいつの間に作ってたのか
文字通り天才のイーリス先生なら一晩でやったりしても不思議じゃない
ミケちゃんを撫でたりしながら椅子に座る

鼓動はいつもより早い

「快適さ迄求める辺りがイーリスらしいよね。
まぁ、流石に今はちょっと要らないかな。」

ミッションの説明を改めて
かつて自身が居た研究所への遠隔での潜入
できうる限り情報を持ち出せれば良いが、最悪の場合はイーリスだけでも連れて逃げる腹積もり

「そこまでは良いんだけどさ……やっぱあれどうにかしない?」

窓の外を覗けば違和感の塊《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》がそこに居る
今日は潜入や情報収集を目的としており断じて突入に来たのではない
なんで連れてきたのかなぁ…と頭を悩ませる

Dr.イーリス > ナナさんに撫でられたミケちゃんはどこか嬉しそうに「にゃあ~」と鳴いた。

「ふふ、こんな事もあろうかと去年あたりに造っていた拠点型トラックが役に立ちました。造ったはいいものの、役目もなく私が元いたフェイルド・スチューデントのアジトの一つでずっと放置されていたのですよ。遠隔でミケちゃん送り込むわけですから、やはりある程度は長期に渡る事も想定しておかなければですからね。精神的にリラックスできるよう、拠点は快適に、でございますよ」

ケーキスタンドからシュークリームを食べて、美味しそうに食べている。

「ぎゃ、逆探知とかされてこの場所突き止められた時には、焦るかもしれませんが……」

数秒だけお顔が青ざめる。
研究所から弾道ミサイルとか飛んで来たら怖い……。

「もし逆探知とかされて相手が反撃してきたら、と思いまして! 潜入方法も万全なら、守りも万全です!」

余計に目立って、その万が一の時に研究施設からこちらの事を知られやすくなっている、とイーリスは気づいてないのであった。

「それでは早速、ミケちゃんには件の研究所に向かってもらいましょう。行ってらっしゃい、ミケちゃん。へまして捕まったらだめですよ。私達、ミサイルで木っ端微塵になるかもしれませんからね」

サイドドアが自動で開き、ミケちゃんが出動する。

ナナ > メカじゃない本物の猫みたいなミケちゃん
イーリスの性格上全部機械の筈、やっぱり技術は凄まじい

「まぁ言いたい事は分かるけどさ?
お菓子とジュースは流石に気が抜けすぎじゃない?」

これから行くのはバケーションではなく研究所
それもかなり表にできない事ばかりしていた場所
大丈夫かなぁ、なんて思ったり

「そん時は走って逃げて車がダメなら抱えて逃げるよ。

その守りのせいで寧ろ探知の前にバレる可能性が有るんだけど。」

確かに守りとしては心強いがそもそもバレてはいけないという話もある
目印にされたらたまったものではない

「ミケちゃん次第だしね…うまい事ばらまいてきてね。」

ドアから出ていくミケちゃんこと猫のメカを見送る
他でもないイーリスのお手製、すぐにボロが出る事も無いだろう

Dr.イーリス > ミケちゃん、皮膚とか毛はバイオテクノロジーを用いて生物的に仕上げているので、生物部分はあった。
自我などに関しては、人工知能である。

「緊張感は大切ですね。お菓子を食べながらでも気を引き締めていきましょうか」

モニターの一つが、ミケちゃんの視点に移り変わり、イーリスはそれに視線を戻す。

「居場所をつきとめられても、急いで落第街まで逃げたらどうにかなるかもしれませんね。焦らず冷静に逃げましょう。物凄く危なくなった時は、ナナさんに抱えていただき逃げるという事でお願いしますね」

相手は科学のスペシャリスト。安全に遠隔から偵察用にゃんちゃんを送っても、逆にこちらの位置を探知してくる可能性は十分に考えないといけない。

「……い、言われてみれば、メカニカル・サイキッカーがお外にいたらバレやすい……かも……」

指摘されて、ちょっと引きずった笑み。

「えっと、メカニカル・サイキッカーは、今日はもう帰っていいですよ」

メカニカル・サイキッカーは敬礼してから、走ってどこか行った。
ナナさんのご指摘のおかげで、メカニカル・サイキッカーのせいで居場所がばれるという残念な事態を回避したのであった。
気を取り直して。

「ナナさん、地図を見てどのあたりに研究所があるか分かりますか?」

イーリスは、研究区の地図が映されたモニターを指差した。

ナナ > 「そうだねぇ…今はいいや。」

この辺りに居ると美味しいものも味が分からなくなる
全部終わった時の楽しみにしておく

「どうせ落第街って事は掴んでるんだろうし、どうにかするよ。
前にも一回逃げ切ってるんだし任せといて。」

逃げた時の事をできるだけ思い出す
必死だったが最低限どんな建物だったか位は覚えている…筈

「飛んでいかない辺り気を使ってくれたのかな…はは。」

メカが走って去っていく姿はあまりにもシュールだった
落第街で変な噂にならないと良いけど…

「多分こっちの方かな、割と奥の方だった筈。
後はまぁ、確かご丁寧に書いてある筈だよ。」

暫くミケちゃんを進めて辿り着いた建物
『人類進化研究所』

見ているだけで吐き気がする

「…ここだね、間違いないよ。」

Dr.イーリス > 「それでは、お菓子は終わってからに致しましょう」

今はいい、そう口にするナナさんに視線を移して、神妙な表情をする。
ナナさんは、研究所でとても辛い思いをしてきた……。そんな研究所がすぐ近くにある。
今回は遠隔での調査。長期戦も一応想定して、最低限精神的にリラックスできるようお菓子やお飲み物を用意したけど、イーリスも食べかけのシュークリームをケーキスタンドに一旦戻す。

「頼りになります。助かります、ナナさん」

凄く頼もしく思って、イーリスは目を細めて微笑んだ。

「飛んでいったら目立ちますからね。走って落第街に帰る方がまだマシでしょう、多分」

走っても目立つだろう……。
最初から連れてこなければいいというのが最適解だけど、そこは作戦立案の時点で基本は合理的な作戦考えてたはずなのに、細かいところでイーリスがアホだった……。

ナナさんのご案内のもと、やがて見えてくる建物。

「……ここでございますか」

イーリスは気を引き締めた表情で、モニター越しに建物を眺めている。

「蚊型の偵察機でこの建物に潜入しますが、何か気を付けた方がいい事はありそうでしょうか?」

こてんを小首を傾げた。

ナナ > 呼吸を静かに
平静に冷静にやるべき事をやる
ここに居る奴等は皆殺しにする、けれどそれは今日じゃない
トラウマと憎しみで雑になりかける思考を落ち着かせる

「だね、走った方が多分良いと思う。
この建物、多分地下だったかな…あれだけ暴れたのに綺麗になってる。」

無駄に金が余ってるのかね、なんて

「セキュリティとかは有ると思うけど私の場合内側から無理やり突き破ってきたから言える事はあんまりないかな。
でも可の一匹サイズまで警戒とかは流石にして何と思うけど…あ、後機械に接続とかする気なら気を付けて。
確か変なAIが居たはず。」

電子戦でイーリスが負ける姿も想像できないが、一応覚えている限りの情報を伝える

Dr.イーリス > 「……膨大な資金力。それに、それだけ瞬時に建物を修復できる技術力があるという査証でもありますね。これだけお金があるなら、さぞ幅広い研究ができる事でしょう……」

モニターを凝視。
その建物をしっかりと目に焼き付けるように。

ここが、ナナさんを苦しめた非道な研究所……。

イーリスの瞳が一瞬だけ、鋭くなった。

「情報を得るなら、コンピューターに接続はしたいですね。しかし、変なAIとなるとリスク……。そこは、なんとか私のハッキング技術で突破するしかなさそうですね。失敗したら、ごめんなさい」

ナナさんの追っ手、その牙が迫ってきているのだ。
出来るだけ情報が欲しい。情報を得るには、やはり研究所のコンピューターのデータを持ち去りたい。

「それでは通気口から、突入しますね」

手筈通り、ミケちゃんの毛から蚊型の偵察メカが飛んでいき、そして通気口から研究所の中へ入っていく。

ナナ > 「薄汚いゴミ共から集まったドブより汚いお金が沢山で羨ましいよ。」

そう言って嗤う
あぁ今すぐに吹き飛んでくれれば爽快なのに

「…いや、イーリスなら大丈夫だよ。
それよりあんだけ暴れたのに警備が薄い…やっぱり人員を捜索に割いた?」

表のゲートにも警備員の姿は見えない
他の研究所には常駐している所もあるのに
違和感を感じるけれど考えても仕方ない

「おっけ、とりあえず下に向かって。
上は多分表用の普通のものしかないと思う。」

通気口の中から時折除けば地上階では主に受け付けや来客用の部屋ばかり
案内板らしきものにはバイオテクノロジーを始めかなり手広く広めているのが分かる

Dr.イーリス > 「……それは本当に、資金ない分工夫を凝らして研究や開発をしている私とすれば、汚いお金で随分と贅沢していますね、この研究所! ナナさんを酷く苦しい目に遭わせて進めている研究、楽しいですか……! もう、こちらからこの研究所に弾道ミサイルを撃ちたくなってきましたよ! 実は、落第街のある場所に弾道ミサイル設置していますからね!」

ナナさんを苦しめた怒りと、なんか研究資金に関する私怨も混じってる。
ただ、研究資金の多さそのものに腹を立てているわけでもない、まともな研究所なら全然いい。
研究資金が汚いお金で、さらにその研究内容が非道な実験、それもナナさんを苦しめた実験である。
イーリスが物凄く感情的になってキーボードをカタカタと叩いて、弾道ミサイルの発射画面を開いてしまっていたが。

「……今日は調査です! 今日は調査です……! 私、冷静になりましょう。ミサイルは、死人も出てしまいますからね」

調査だと自分に言い聞かせて、ミサイルの発射画面を閉じた。

「こほん、失礼致しました。随分と、手薄です。捜査に人員を割くにしても、研究所を手薄にするのはどうなのでしょう……。違和感ですが、好都合でもあります」

警備の薄さに小首を傾げた。
ナナさんに頷き。

「それでは、地下に向かいますね」

蚊メカが通気口から内部へ。

「とても幅の広い研究を行っている施設なのですね。ひとまず、地下へ続く階段を探しましょう」

地上はそれ程重要な場所がないという事で、地下へと続く階段を見つけて、地下へと向かっていく蚊。

「それにしても……全然人がいませんね……。どうなっているのでしょう……」

訝し気にモニターを眺めている。

ナナ > 「え、そんなのあるの?あの事務所…」

思いもよらない言葉でふと我にかえる
ミサイルなんて…まぁ作れてもおかしくないか

危うくテロリストにならずに済んで良かった

「派手にそんなの打ち込んだらテロリストとしてこっちが処されるからね。
そう言ってくれるのは嬉しいけど。」

ぽんぽんと天才的頭脳の詰まった頭を撫でたり

「好都合はそうなんだけど……地下も人が居ない?」

カメラで周りを確認しても殆ど人が居ない
自分が逃げた時はそれなりに警備員以外の人間もいた筈なのに

地上ではそこまで目立たなかったが今になって大きな違和感になってくる

「少数精鋭に切り替えたとか?
とりあえず、もっともっと地下に向かって。」

とりあえず行ける所まで行ってみる
可能ならサーバールームなり研究員の私室なりを見つけたい所

Dr.イーリス > 「事務所ではなくて、別の場所に設置していますね。元々、屍骸のストーカーさんを相手するために、念のため用意していたのですよ」

その屍骸のストーカーさんは倒したけど、ミサイルはそのままだった。
ストーカーさんがまだ生存している疑惑を昨日ナナさんにも話していた。

「……落ち着く事にします。ごめんなさい……。大事件を起こしている場合ではないですからね」

イーリスは反省する感じでしょぼんとしていた。ミサイルぶっ放すという行動程、最悪すぎる悪手はないだろう。
ナナさんがぽんぽんと頭を撫でてくださると、イーリスはその温かさにだんだんと落ち着きを取り戻し、無垢に笑った。

「研究所のみんな揃ってバカンスにでも行っているのでしょうか。もしかして私達、物凄く幸運に巡り合ったりしますか。天は、私達の味方でしょうか」

妙だったり、違和感はある。
しかしだ。偶然にも、研究所の人達がバカンスに行く日だったとすれば、凄く都合の良いタイミングで研究所に潜入できた事になる。

「少数精鋭に切り替えたという事も考えられるのですね……。これだけ人員を減らしているとなると、その精鋭さん方、強敵でしょうね……」

少数精鋭説に、イーリスは表情をちょっと引きずらせた。

「分かりました。さらに下へ、です」

蚊型のメカがどんどん地下へと降りていく。

ナナ > 「ストーカーにミサイル撃ちこむ気だったんだ…ぶっ飛んでるね。」

まだ成仏していない可能性を聞かされたが、できれば大人しく死んでてほしい存在
ミサイルまで用意していたというイーリスには少し引いてしまった

「研究員達だから戦闘力なんて無い筈なんだけど…うん、やっぱりなんか異様すぎる。」

バカンスで偶々人が居ない、そんな平和な理由なら助かるのだけれど
嫌な予感を抱えながら下へ下へ、途中通気口等も通っていけば開けた空間に繋がった

白い部屋、体育館程のそんな空間
床も天井も壁も何もかもが白くそれぞれに黒いラインが規則正しくひかれている

「……ねぇイーリス、私こんな所知らない。
前にはこんな場所は…」

言い切る前に、部屋の中に警告音の様な物がけたたましく響く
そして部屋の中央、宙に浮かぶように映像が現れた

初老の男、白髪交じりの伸びた黒髪を後ろで纏めた白衣を着た男
思わずナナがモニターに迫った

「宝生……!!」

宝生 > 「…侵入者という事だが、どこに居るんだね?
遂にエラーが出始めたのか?」

『室内に通信を行っている機械を検知。
極小ですがきちんと検知しております、4番から6番のモニターをご覧ください。』

男の声、そして合成音声の様な声が響く
男が目を細めて何かを見る動きを見せれば合点がいったと表情に出る

「おおこれはこれは!実物の蚊のサイズまで縮めたロボットとは!
こんな物を作れる技術者がこの島に居たとはねぇ、いやこれは面白い。
態々こんな物を使う見学者とはどんな方だろうか。」

Dr.イーリス > 「エルピスさんにも酷い目に遭わせて……《月輪の王》は凄く嫌いです。ミサイルぐらい、ぶっ放したくもなります」

もう物凄くストーカーさんが大人しく討滅されていて、既に地獄に落ちている事を願わずにはいられない。
実際、《月輪の王》に一回だけ弾道ミサイルをぶっ放しかけた事があった。今回のように寸でのところで冷静になってやめたが。

通気口を通りやってきたのは、とても広い、それでいて白いお部屋。白には、黒いラインが引かれている。

「ナナさんの知らない場所……。……!? き、気づかれました……!?」

イーリスはけたたましい警告音に目を見開いた。
そして宙に浮かぶ映像、そこに映るのは白衣の男性。

「宝生さん。この方が、ナナさんに酷い実験をした方ですか……?」

イーリスは、鋭く画面に映る宝生さん睨んだ。向こうからはこちらが見えていないだろうから、一方的に睨む事になる。

「な、何もかもばれています……!? ごめんなさい、潜入失敗です……! この宝生さん、とても危ない感じがします……! とてつもなく頭脳明晰な科学者……。蚊のメカから私達の位置が知られる可能性もゼロではありません……!」

蚊型偵察メカは急いで通気口に引き返そうとしていた。
まだ重要な情報は何も手に入れていないけど、この宝生さんという方が危険であると、イーリスは直観してしまう。

ナナ > 「分かるけど、実際用意できてする辺りがイーリスだなって。」

普通は用意できない、できる辺りがイーリスの凄い所
本気で使ってたらどうなってたのか少し怖くもある

「あぁ…こいつが責任者だよ。
久し振りに見たけどいい顔してるわ…今すぐ剥いでやりたい。」

怖い、嫌い、殺したい
色々な感情が混ざり合って笑ってしまいそう
あんな大失態をしてもそこに居るのか、あぁ本当に…良かった

「慌てなくていいよイーリス、こいつがここに居るってだけで大きい収穫だよ。
それに、バレたのがここまで入った後でしかも見つけたのがこのAIって事は…はは!」

都合がいい
全部が自分に都合がいい
大声で笑いだしたくなるのを堪える

イーリスが居てくれて良かった
彼女が居なければ今すぐ建物に飛び込んでいたかもしれない

「撤収しよう、割と知りたい事は分かったよ。
細かい情報は…多分抜くのは面倒になるから。」

Dr.イーリス > 責任者、この人がナナさんを……。
ナナさんを卑劣な目に遭わせた事、蚊型メカから声を張り上げて怒りの感情をぶつけたい、というのは感情論。無論、実際にやるのはよくない。

「顔は覚えてやりましたよ」

一際鋭き睨みつけた。
ナナさんを酷い目に遭わせた、外道な科学者……!

「蚊型のメカが潜入している事がバレたというだけなら、私達が何かをしているという事までは気づかれていないはずです。今回の潜入はここまで、ですね……」

潜入がばれているのに、コンピューターのハッキングは難しい。
責任者の顔が知れたのはよかった。大きい収穫だ。
でも、コンピューターをハッキングして重要な情報を掴みたかった……。悔しい。
悔しいけど……今回は、宝生さんの方が一枚上手だ。

蚊型メカは急いで地上に向かっている。
宝生さんには蚊型メカが潜入している事自体ばれている。
はたして逃げ切れるか……。
蚊型メカに戦闘する武装なんてない。

宝生 > 「おやおやもうお帰りかね。
企業スパイかどこかの酔狂者かは知らないが、折角なら顔を見せてくれればいいものを。
久し振りに私に会いたいのではないか?007番。」

『マスター、表情の著しい歪みを検知しました。修正をお願いします。』

「人の笑顔にケチをつけるものじゃないよ。
まったく…あぁ、流石にそのサイズで音声を出すのは厳しいか。
ならいつでも自分の体で帰ってくると良い。

004番もお前に会いたがっているよ。」

ナナ > 蚊型メカは妨害を受ける事無く建物の外にまで逃げられる
あの状況なら見過ごされたのだろう
ただ、そんな事よりもあいつの言葉が頭の中で何度も繰り返される

「ヨン……はは、そっか……うん、そっかぁ……」

椅子に座り込み、俯く
感情が一線を越えたら逆に冷静になるらしい
言われた事は有っても体感するのは初めて

やっぱり今すぐにでも乗り込んで目に付く相手を殺して回りたい
画面からは目を離し自身を抑えるのに集中する

Dr.イーリス > 「……え?」

007番、その言葉にイーリスは固まった。
それに呼応するように呼応するようにして一瞬蚊型メカも固まってしまった。

「……007番、ナナさんの事……ですよね……」

震え声であった。
バレてる……。

どこまでバレている……? 逆探知された形跡は……?

イーリスはカタカタとキーボードを叩く。各画面に映るのはプログラミング画面。
セキュリティには特に反応なかった。
どこで気づかれた……? イーリスは探知された形跡を洗い出していた。

「ナナさん、申し訳ございません……。密かに潜入だったはずが、随分とバレてしまいました」

俯くナナさんを心配になりちらりと見。
ナナさんの事凄く心配……そう思いつつも、今は探知された痕跡を見つけるためにすぐモニターに視線を戻した。
蚊型メカは外に逃げるとすぐミケちゃんの毛に隠れる。
ミケちゃんは急いで、人類進化研究所から逃げていく。

ナナ > 探知を受けた痕跡はない
逆に言えば建物に入ってから蚊程のサイズのメカを検知したことになる
そしてあの言動、余裕を見せているのかどうなのか

「……多分、ただの推測。
ここがバレてるなら多分…落第街で私を襲った子が仕掛けてきてる。」

大丈夫、と手を握る
ああやって推測で何でも知った風な口を利く
嫌な話し方をするのは変わらない

ため息交じりにモニターを見る
既にミケちゃんと合体して建物から離れている所

「問題ないよイーリス、収穫としては大満足だよ……」

疲れた、頭が痛い
もう治したのに落第街で殴られた所が痛む気がする