2024/12/08 のログ
ご案内:「研究施設群 とあるラボ」に黒羽 瑠音さんが現れました。
黒羽 瑠音 >   
ある研究員のラボ。
黒羽瑠音は、この部屋への出入りを許可されている。
室内に入れば目立つのは壁一面に設置された計器や魔術的な意味がありそうな紋様、そして地面に描かれた魔法陣。
四隅や天井には撮影用の機器、片隅にはPCが置かれており、無数の文字列や内部の画面を映し出す。

瑠音の実験への協力を願い出れば、瑠音と一緒であればこの場所の出入りは自由だ。
今回も、壱さんはその流れでこの部屋へと足を踏み入れることになるだろう。

「此処が私の実験用の部屋ですね、最初はもうちょっと殺風景だったんですが」

ご案内:「研究施設群 とあるラボ」に橘壱さんが現れました。
橘壱 >  
研究施設には出入りするのはまぁまぁある。
と言っても、愛機の本格的な調整や実験テスト。
基本的には実戦でのデータが主なため、本当に最終調整以外に用は無い。
機体(マシン)はともかく、壱本人には研究的価値は無いからだ。

「どうも、失礼します」

だが今日はとある実験テストに付き合うためにやってきた。
何処を見渡しても"如何にも"な計測器や文様が見える。
魔術的測定機や調整機の類だろうか。今時珍しくはない。

「実験用の部屋、か。
 確かにそれっぽいけど、キミ用なら自分らしく飾ってみたら?
 ホラ、あそこ等辺とか色々飾れそうだけどね。こう、ぬいぐるみとか」

なんて、なにもないところを指しては冗談交じりに。

黒羽 瑠音 >   
「何かあったら直ぐ研究員さんに連絡が行くので、大抵の事は好きにしていいそうです」

「えへへ、研究員さん意外と此処に入ったのは初めてなので、ちょっとだけきんちょうしてたり…」

しかも相手が『あの』橘壱さんである、色んな意味で緊張している… のは隠せて無さそう。

「うーん、面白そうですけど、私の異能的に、そうやっておいたものが『犠牲』になったりする可能性もありますし、ちょっと怖いかなぁ… 何て、あ、ちなみにお願いしたものは持ってきてもらえましたか…?」

今回の私の異能テストは、主に『他人の為に』異能を使った場合の変化についてだ、なので…。
壱さんには『変えて欲しい物』を持ってきてもらえるように頼んでおきました、といっても
私の場合、大抵悪い結果になるから、最悪無くなっても困らない物、という前置きをしてからだけど。

橘壱 >  
「大抵のことは、ね……ハハ、まさか。
 そんな変な事するようなことはないよ。……ないよね?」

妙な言い方だ、ちょっと勘ぐってしまう。
言い方を変えれば年頃の女の子の部屋にはなるのか。
何だか余計にそんなあれな感じに聞こえてきたな。
引きつった笑みを浮かべて頬を掻いてその辺りにトランクを置く。

「話には聞いていたけど、そんなに対象がブレる可能性もあるの?
 インテリア置く位ならとは思うけど……"犠牲"、ね……優しいんだな、キミは」

飽く迄ものに対してもそういう表現が出来る。
彼女の性分なんだろう、トランクを開けばテーブルに置かれる三つのもの。
二つは携帯端末とタブレット端末。数年前の"型落ち品"。
それと、白銀の盾。橘壱が初めてU1にて優勝した各選手に送られた記念品だ。

黒羽 瑠音 >   
「… 変な事って?」

きょとん、と思わず首を傾げる、いやまぁ、結果的に『変な結果』が起こる可能性はあるけれど。
もしかして壱さんも緊張してたりするのかな、どうだろう。

「そうですね… 私が同じジャンルだと判断できるものにならなんにでも… ですから」

「此処に来る前の話ですけど、木刀が『真剣』に変わるような事もありました
だから、他人のものを… となると慎重にしないと、とは思ってて
… 優しいですか?だって、インテリアだって、誰かが考えて作ってくれたものですから
ちゃんと、作られた理由を全うさせてあげたいって思うのは普通だと思うんですけど… 」

何ていいながら見ていく、おぉ、携帯にタブレット… でもそこまで古いのじゃない気がするけど…
まぁでも、壱さんならかなり頻繁に買い替えたりしてるのかな、私も此処に来るときは最新のにしてもらったし。

「それで、これは… おぉ、眩しい… 」

白銀の盾には、思わず目を瞬かせたりしちゃうかも。

橘壱 >  
思わずぎょっとした。

「い、いや!何でもない!何でも……」

言っても壱も年頃の男子高校生。
しかも色を知ってしまってまぁ云々かんぬん。
女性として意識するのも致し方ないことだ。
それはそれとして純粋さが眩しい。こういうときは笑って誤魔化す。
引きつった笑みだけど誤魔化せれば何でもいい。

「下位互換っていうのは、客観的なものではなく、
 キミにとっては人を傷つけづらい"木刀"より、
 直接的な"真剣"のが悪いものだったワケだ」

「それ踏まえた上でも優しいと思うけどね。
 ……僕もモノは大切にしている方だとは思うけど、
 そう考えられる人も意外と少ないんだよ。人にとっては、『当たり前』って思うとね」

何時しか便利な技術も、こうして世界に表沙汰になった神秘も、
当時はともかくとして、時間が経った今ではそれらも"当たり前"になった。
そこにあるのが当たり前。使えるのが当たり前。
そんなものは意識せずとも、感謝の念は薄くなっていくものだ。
自分より若いのに、随分と立派な考えを持っている。

「数年前の世界大会のモノさ。
 端末だけよりも、こういうのも一つあったほうが面白いかと思ってね」

黒羽 瑠音 >   
「そうですか?」

何だか追及して欲しくなさそうなのでそのまま言葉を区切る。
一瞬焔城先生と一緒に見たあんなのやこんなのが頭の片隅に浮かんだけど。
いや、まさかそんな―― ねぇ。

「そうですね、特にその時は… 友達を『木刀を持った人』から守ろうとした時でしたので」

そのまま握ったので手のひらも怪我しちゃいましたし、と笑う。

「まぁ、そのお陰で相手の人もビビって逃げちゃったから友達は無事だったんですが… 私にとっては『災難』でしたね」

当たり前、かぁ… うーん、考え方は人それぞれだよね、とは思う。
だからこそ、自分自身の考え方と言うのも大事なんだろうけど。

「なるほど… 流石にちょっと緊張しますけど、頑張ってみますね!
あ、ちなみにどうなって欲しい、みたいなイメージとかってありますか?」

そう聞きながら、取りあえず携帯端末を手に取ってしげしげとみる、うん、普通の携帯… だよね?

橘壱 >  
「ま、まぁ強いて言えば……瑠音がチャーミングだからさ」

某メタラグのパイロットの台詞で誤魔化した。
実際可愛げのある子だからね、そうだね。

「……結果的に"災難"、要は"下振れ"だったワケか……。
 最善を尽くそうとすると、下位互換として結果が現れる……」

もし彼女にとって真剣ではなく、
非殺傷的なモノが下なら結果は変わったかも知れない。
色々とやり方は既に頭に巡ってくるが、それは実験で試そう。

「その人にとっても、キミにとっても災難だったね。
 ……って、部外者の僕がとやかく言うことじゃないけどね。
 ……それでその、お友達とはその後大丈夫だったのかい?」

どんな小さなことであれ悲劇は悲劇だ。
部外者の自分がとやかく評価出来るものじゃない。
"災難"とくれば、なんとなく問いかけの答えは薄っすらと理解できる気もする。

「ウェストノーツ製。数年前のハイエンドモデル『Stitch(スティッチ)13』
 今となっては型落ち品だけど、普段遣いするなら十二分位のモノ、ではあるかな」

一般的に普及している所謂"お高い"タイプの携帯端末だ。
じ、とレンズの向こうで少女を見やる碧の双眸。

「……そうだね。結果がどうなるかはともかく、
 キミにとって此れよりも"便利"なモノになるイメージで一度やってみてくれるかい?」

一つ目は簡単な注文(オーダー)のみ。
先ずは普段遣いでどうなるかの確認だ。
タブレット端末を起動し、記録開始。そう、一応これは研究なのだから。

黒羽 瑠音 >   
「チャーミングだなんて… えへへ」

憧れのチャンプにそう言われると勿論悪い気はしないなぁ、お世辞だったとしても。

「そんな感じです… あ、友達とは今もSNSで連絡とかはとってますよ!ただ、その事件が切欠で、私、此処に入学するのを決意したんですけど… 何時かちゃんと、この能力を使ってあげられるように」

こくこく、と頷きながら微笑みかける、あんまり心配させたらこっちが申し訳ないし… 。
ちなみにお友達は最近彼氏が出来たらしいです、羨まし… くなんてないんだからねっ!

「なるほど… 取りあえず、普通にやってみればいいんですね」

そういって手に取った形態をしばらく眺めてから――

力を"使った"

「えっと、これは… 」

『瞬間、瞬きもする間もなく瑠音の手の中の携帯が別の何かへと変わっていた
色合いこそよく似ているが、それは携帯… いやスマホではなく、過去に存在した機種
所謂【ガラケー】だ、一応スライド式なあたり、スマホに近い形を維持しようとしているように見えなくもない』

「あ、なつかしい… おばあちゃんが似たようなの持ってたような… 」

『――機器に変化の反応はない、カメラやPCを確認するなら、魔力や神力、生命力、呪力… その他諸々の変化
それらは一切確認できないだろう、当然目視によっても結果は同じだ、ただ、変わったという事実だけが其処にある
ちなみに携帯は充電されており、普通に使用できる状態である事も確認できるだろうか』

橘壱 >  
「それがキミが、此の学園に入ることを決めた"起点(はじまり)"か。
 だったら、一応少しでも関わった以上は手助けくらいしてあげれないとね」

「キミの友達に自慢できるような立派なレディに……って、言い方は少しキザかな」

少しわかってきた気がする。
何故此の異能が、異能疾患認定されなかったか。
彼女の気質なんだろう。病と呼ぶには健全で、疾患と呼ぶには健気な少女だった。
ならそれに報いれるくらいにはしないといけない。
そう思うと自然とはにかみ、からかうように軽くウィンク。

「…………大変容前(おおむかし)のガジェット。
 折りたたみ式のモノだね。こう見ると確かに単純な下位互換だ」

タブレット端末に接続してある各種計器の反応は無し。
神秘が身近なものとは言え、此処まで測定機をすり抜け、
別物へと挿げ替えるのは最早奇跡としか言いようがない。
一抹の末恐ろしさを感じるからこそ、正しい導きが必要と感じた。

「何もしなければ本当に知識通りの下位互換、か。
 そうだな。じゃあ、次は……それかな」

ちらりと見やる古いタブレット端末。
数年前のミドルモデル。高通社製『ミロットMk-6』

「それに力を使う前に幾つか質問するよ。
 キミにとって、このタブレット端末ってどんなものだい?」

黒羽 瑠音 >   
「はい、お父さんもお母さんも快く送り出してくれましたから
まぁ、夏休みや年末は出来れば帰ってくるように言われてますけど… 」

今年はクリスマスは此方で、正月は向こうで過ごす予定だったりはする。

「立派なレディ… ふふ、壱さん、そういう言い回し好きなんですか?
でも、折角なら私も、この島に来てよかった、って心から言いたいですね」

勿論、今でもよかった、とは思ってるんだけどね!
何て思いつつ、少し空気が解れた気がする、もしかしてこの為にこんな言い回しを…?

『もし、彼女の之が異能疾患として認められたのなら、恐らくまずは"使わない事"を前提として調査されるだろう
少なくとも現在は、彼女が自らの意志で使わない限り、この異能は発現しないのだからそれで片が付く
ちなみに、彼女は此処に来る前も、来てからも、それなりの頻度でこの異能を使っているらしい
変わった内容についてもメモをしているらしく、後で頼めば見せてくれる事だろう』

「はい、一応名前は知ってますね… おぉ、ちゃんと動いてる」

しげしげと『ガラケー』を見ながら壱さんの質問に少し考える。
タブレット端末かぁ… えーと、実は私、使った事ないんだよね。

「おっきくて動画とかが見やすそうですよね、後…
パソコンでの作業をタブレットでしたりする人もいるんでしたっけ?」

橘壱 >  
「……良いご両親がいるみたいだね。だったら、尚の事だ」

その送り出した両親にも、良い結果を出せるようにしないと。
言い回しの事を指摘されるとまさか、と肩を竦めた。

「全部本当のことを言ってるだけだよ。
 健気で可愛げもあるし、いい子じゃないか」

お口が正直チャンプ、全部素。
故に少し、いや大分デリカシーの無さもある。
クスリとはにかみながらもタブレット端末には記録を付けていく。

「後で過去の実験データやキミ自身の異能結果も見せてもらうとして、だ。
 ……動かせるんだね。使い方は多分、ボタン通り……?やれることは変わってないだろうし」

実際機械とはそういうものだ。
大元のやれることを先鋭、多機能化していくのみ。
顎に指を添え、ちらりとガラケーを見る。流石に電波は立っていないよな……?

「そうだね。実際大きくと見やすい。
 携帯端末よりは作業向けというか、動画も見やすい。
 大きい分、携帯よりかは高性能化がしやすい、かな……」

「ただ、電話としての機能は無い。
 昨今はそういうモデルもあるけど、コレはないタイプだ。
 勿論、大きな作業をするときはパソコンのほうが良かったりする」

「大雑把に言ってしまえば、携帯とパソコンの中間層、かな。
 ……正直に言うと、"此れでしか出来ない"ってことはそんな無いんだ。
 携帯でもパソコンでも、タブレット端末で出来る事が出来てしまう」

要は取り回しの良さが取り柄で、代替は幾らでも効く。
実際はそれがミソであり、壱自身も愛用していたりする。

「まぁ、悪い言い方をすれば"半端"なんだ。
 そんな"半端"なモノを、"僕のため"変えようとすると……どうなるだろうね?」

反応からして使ったことがなさそうだから、最低限の知識。
そして、"半端"、"中間的"な説明を強調した。
凡そ代替になるものならば、それは下位互換ではなく"相互互換"と成り得る。
何処に"下位"と成り得るか、彼女の感情の作用がどうなるか。
それらを踏まえての質問だ。さて、どうなる…?

黒羽 瑠音 >   
「はい、自慢の両親です!… って、こういうのは子供が言う物じゃないかもですが」

えへへ、と笑いながらも頭を思わずかいてしまう、もう、本当に褒めるのが上手なんだから!

「けなげでかわいい、何て、それ、人によっては… えーと、あれです、アプローチに聞こえちゃいますよ?」

特にかっこいい男の人に言われて、嫌がる女の子なんてそうはいないんだから!私もそうだし… 。

「あ、本当だ、電話は… かけられなさそうですけど、流石に契約とかはされてないでしょうし」

電波はたってないみたい、えーと、simカードだっけ?みたいなのをいれる部分が空っぽだ。
いれれば、ちゃんと使えるようにはなりそうだけど。

「ふむふむ、つまり、手持ちパソコンみたいな… ノートパソコンより更にコンパクトな?
中間機って考えると、使い方はそれこそ人次第なんでしょうね、私には使いこなせないかも」

それこそ『何に使うか』をしっかり決めて買った方が良さそうなものに思える。

「それじゃあ、それを踏まえて… 使ってみますね」

壱さんの役に立つものができますように… と考えながら両手でしっかりとタブレットを持つ。
――そして異能を"使った"

『…  一見、何の変化もない』

「… あれ、ちゃんと使ったはずなんですけれど」

『あなたが手に持ってタブレットを弄れば――  画面上には無数のアプリが並んでいた
インターネット閲覧、SNSソフト、通話用ソフト… ウィルスセキュリティ等々
どれも見た事のあるアプリばかりだ、起動してみようとすると、非常に重い事が分かる
容量を見れば、タブレットの容量のギリギリまでこれら様々なアプリがインストールされているらしい』

橘壱 >  
「それは違うね。子どもだから言えるんだよ
 親子だからって自動的に愛情が生まれることはない。
 互いの触れ合い方、接し方次第で家庭環境は簡単に冷え込む。
 ……キミが本心でそう言えるって事は、間違った事はなかったって事じゃないかな?」

親が親であると評価できるのも子であり、その逆も然り。
その純朴な笑顔でいえるというなら、本当なのかもしれない。
冷めきった家庭環境にいた壱にとっては眩しい事だ。
ほんのりと表情に出ていたのか、何とも言えない苦笑いを浮かべていた。

「どう受け取るかは、瑠音ちゃんに任せるよ」

なんてしれっと言ってのけた。
アプローチ?Likeの方ですけれど?
そういうところなんだよ、オタクくん。

「こういう端末の電波は新しいのに変えられると、古いのは使えなくなるんだ。
 流石にこんな大昔のモノはもう残ってないだろうし、あるとした違法SIMだね」

大昔には毒電波だのなんだのって問題になったらしい。
よくもまあ変な陰謀論を思いつくものだと思う。
ただ、一つの仮説だがSIMが無いのは彼女がそこまで詳しくないからではないだろうか
もし彼女が機械に、仕組みに詳しければ或いは……。

「……いや、中身がいっぱいだ。これじゃあまともに動かせないな」

実験に使われたタブレット端末を起動してみると、
とてもじゃないがアプリの多さにまともに動かない。おもすぎる
もし自分が使うとしたら、確かにこの使えなさは下位互換だ。
成る程、こういう形になるのは予想外だったが、
結果としては概ね予想通りだ。

「やっぱりだけど、キミの異能はキミ自身の見解、価値観、知識等に大きく依存してるみたいだね。
 その上で"出したいもの"から算出されてその下位互換が決定される。
 ……元には戻らないし、何よりキミ自身に大きく左右される上に、その瞬間も測定できない」

ふ、と口元が緩んだ。

凄いものだよ。だからこそ、キミに発現して良かったと思う」

もし、博識で悪徳を良しとするものが使ったと思うと、末恐ろしい。
その気になれば、文明レベルまで下げれそうな程の恐ろしさまで感じる。
つくづくこの異能(才能)とは、不可思議だと非異能者ながら思わざるを得なかった。

黒羽 瑠音 >   
「… 焔城先生にも似たような事を言われた気がします
ふふ、もう… チャンプは腕も舌も頭も回るんですね?
でも、ありがとうございます、そう言ってくれるなら、きっと…
ううん、絶対、お父さんたちも喜ぶと思います。」

何とも言えない表情をする壱さんに対して、満面の笑みで答える。
それが私の長所なら、それを隠すのは両親にもよくないよね、と思うから。
とはいえ、今一番大事なのは実験なので、そのまま次に移るのだ。
それにしても本当にかっこいいなぁ、こういう言葉選びとかも勉強がいるのかな?

「あ、何とかGとかってやつでしたっけ、此処は基本的に最新のがあるらしいですけど」

うろ覚えである、流石に勉強とかした事無いからなぁ。

「… うわすごい、みづらっ」

画面を見せてもらうと、アプリの様々な色合いに目がちかちかしそうだった。
こんな変化をする事もあるんだなぁ… 。

「やっぱりそうなりますか… 研究員さんも『基本的には』そうなんだろうとは言ってましたが… 
一応、私自身の価値観を広げたらどうなるか、って実験もした事あるんです
… 知ってました?いちごって野菜なんですよ、厳密には果実的野菜?っていうそうですが」

「それを教えて貰ってから、今まで果物を変えた時に出ていたいちごが、それ以降変わらなくなって…
試しにいちごに使ったら、にんにくひとかけにかわったりしました」

凄い物、と言われると小さく微笑む、これも、言ってもらえたことはあるけれど…。

「ふふ、ありがとうございます… でも、この子について分からない事はまだまだ多いので…
大変だと思いますけれど、之からも皆さんには色々お世話になりっぱなしなんだろうなぁ」

橘壱 >  
「焔城先生?キミの担当教師かな。
 まぁ、実際僕もそう思うからさ、大事にしなよって」

もしかしたら専属の研究員かもしれない。
特異的異能に対してそういうのが付くのも珍しくはない。
当の教師が言うなら、間違ってないことの裏付けになって悪くない。

「メディア露出もしてたしね、そういう影響かも?
 なんてね。ファンの前だから少しカッコつけたかもね」

なんて、終わりまでカッコを付ける。
当然だ。何時までも王者(チャンプ)でいるなら、かっこよくないと。

「見づらいどころか使い物にならないなぁ。
 外部からリセット掛けないと此れは動くのも……」

一応使ってみようと思ったが、ダメだ。
(ラグ)いなんてもんじゃない。

「勿論知ってはいるよ。スイカも似たような立場だよね。
 やっぱりそれはキミ自身の知識とかにも依存するワケか……、……」

「にんにく、苦手だったりする?」

いちごがにんにくとはどういうことなんだ。
恐らく味だとは思われるが、全く以て予想外な。
だとすると、此れはどうなんだろう。最後に残された、白銀の盾。

「人間は別に一人で生きてるワケじゃないさ。
 世話になるのも、頼りにするのも悪いことじゃない。
 幾らでも頼ってくれていい。その先生にも、僕にもね」

柔くはにかむと、コンコン、と指先で盾を叩く。

「所で瑠音ちゃんは、メタラグを楽しんでくれてるみたいだけど……具体的には答えられるかな?」

黒羽 瑠音 >   
「あ、えっと、保険の先生で、此処に来てから良くしてもらってる人です
研究員さんは別の人で… どちらもお世話になってることに変わりないんですけどっ」

思わず口についていた言葉に、ちょっと照れながら口元を抑える。
何ならこの島で一番お世話になっている相手、と言ってもいいけれど… 。

「ファンの前なら… 成程、そういう意味じゃ、壱さんは今もコズミックエレクトロ社の顔みたいなものですしね!」

あの後調べて、今の『橘壱』については多少知っているつもりだ、アサルトフレーム…だっけ、かっこいいよねぇ。
流石に私が扱えるとは思えないけれど、目の前のチャンプは、今や現実をロボで駆っているのだ、うーん凄い。

「いや、にんにくは嫌いって程じゃないんですけど、いちごの甘さとは何と言うか、正反対ですよね
臭みというか、辛味というか… 少なくともいちごを食べたいときににんにくが出てきたらがっかりすると思います」

ふるふる、と首を振る、しかもあのにんにく、しっかりと『香って』きたからなぁ… 何て思い出したりして。

「… はい、私もそう思います、だからこそ、私に出来る事をしたい、出来るようになりたいって思うんです
そして… それはこの子… ううん、この『異能』も同じだって、私に『宿ってくれた』のなら…
何時かちゃんと、良かったって言えるように、思えるようになりたいんです」

白銀の盾を見ながら、ふぅ、と息を吐く、そしてそのまま質問に少し目を細めて。

「メタラグの好きな所… そうですね、スピード感や、仲間とのプレイでは一体感も勿論ですけど
一番はやっぱりロールプレイの楽しさかもしれません!普段と違う自分を演じたり、アピールしたりして
皆の反応をみたり、なりきって遊んだりするの、楽しいと思います♪」

あ、これ私の普段のキャラです、といいながらプレイヤーカードを見せる。
其処に映し出されているのは私の持ちキャラのテルミニスだ。

※カードの裏面には、描かれたキャラの説明が乗っている…。
【『テルミニス』破滅主義者
「終末を望んでいるのだよ!」
自身を無数の端末と化した狂人であり、天才的な戦闘センスの持ち主
最早個人ではなく、自身を含めたすべての種の終末を望んでいる
それは人の進化を望むためでも、何かへの復讐でもない
ただただ『そうである』だけの存在、それは宇宙が生まれた時より存在する……
終末へ向かう意思、デストルドーとも呼ばれるそれそのものである】

橘壱 >  
「そっか。なら良かったじゃないか。
 今のうちにお世話になっておきなよ。
 ……一応聞くけど、ヘンなことされてないよね?
 別にその人達を疑うわけじゃないけど、僕にしか言えない事とかね?」

いい人に巡り会えたようで良かったが、彼女は人がいい。
疑うのは良くないけれど、万一のことを考えて一応聞いておく。

「そうだよ。だから、無様なところは見せられない
 けど、別に気負ってるワケじゃないんだ。企業の製品(AF)を動かすのが楽しいんだ」

「そう、僕は何時だって楽しんでる」

だからこそ、続けられている。
飽く迄頂点に立てたのは、その過程にしか過ぎない。
何時だってそれを楽しむからこそ、更に楽しむために上を目指す。
どちらも綯い交ぜにし、心のままに羽ばたき続けたら、頂点(そこ)にいた。
色々迷うこともあったが、もうそれは変わらない。
今の行いがどれだけ血生臭くても、だ。
そう答えてはにかむ壱の姿は、当時のメディア記事の写真と変わらなかった。

「……何ていうか、可愛い理由だね。
 けど、成る程。そういうことならわかるかな」

少なくともその甘さの正反対は、彼女にとっては下位に値するらしい。
まぁ確かに、甘いいちごよりにんにくが好きって女の子はあまりみないかも。

「だったら、尚の事いい方向に制御できたりするきっかけを見つけないとね。どれ……」

目を落としたプレイヤーカードの設定に、わずかに表情が引きつった。

「な、中々個性的じゃないかな。うん、僕はいいと思うよ……。
 ……ほんとに念の為聞くけど、なんか抑圧されてたりしない???」

実際オタクくんなので設定にとやかく言わないし、いいとは思ってる。
それはそれとして、こんな純朴な子が考えるキャラにしては"強烈"だった。
実は結構深い闇抱えてるんじゃないかって勘ぐってしまうほどには。

「ともかく、それだけ楽しんでくれたら何よりだ。
 ……そうだね、楽しいゲームだ。僕も今でも、楽しいと思ってる。
 その楽しさを突き詰め、楽しさを求めて上を、上を目指した結果が、(コレ)

「この盾は、頂点にたった者。即ち楽しさの象徴とも言えるものだ。
 この世で最も、メタラグを楽しんだものの証。それを変化させるとして……」

「どうなるだろうか?キミにとっての結果は」

知識的検証から、感情的な検証。
物質としての下位互換なら幾らでもあるが、
この盾はそういうものではない。象徴、感情的ものだ。
プレイヤーである彼女ならそれを理解できるはずだ。
理解した上でどうなるか……さて。

黒羽 瑠音 >   
「変な事… 」

思い起こす、うーん、まぁ… されたといえばされたけど… 。
そんな大したことじゃない、よね?多分。

「ふふ、大丈夫ですよ、私、ちゃんと嫌な事は嫌って言うタイプですから」

取りあえずそう言って笑い返す。
その後に見せるチャンプの顔は、やっぱり、多くの『憧れ』を向けられた証のようで。
そこにいるのは確かに『メタラグの頂点にたった男』だった… くぅ~~かっこいい。

「ですよね~~にんにく、食べたくなる時は確かに在るんですけど、やっぱり甘い物の方が…
… へ?いえ、別にそう言うのは無いと思いますけど… あ、チャンプも分かってくれます!?
このアバターのキモかっこいい感じのデザインとか、機体のスタイリッシュさとか、好きなんですよ
もう一目でびびっときました!ロールもノリノリです!」

びっ、とサムズアップをする、… っとと、いけないいけない。
最後に変える盾を、壱さんの説明を聞きながら再度見やる。
一応、壱さんにとっては変わっても構わないものではあるんだろうけれど… それでも。
之はとても大事な物だ、ある意味、象徴と言ってもいい物… なら。
変な物には変えたくないなぁ、と思う、之で何が分かるかは分からないけれど。

「よしっ… やってみます!」

集中して、壱さんにとって『いい結果』になるように祈りを込める。

―― そして。

『次の瞬間、壱さんの視界に移る計器が全て、一瞬だけ反応を占める
壁の機器は音を鳴らし、魔法陣が光り、PCからは小さな駆動音が聞こえるだろう
そして瑠音自身はというと… 』

「いだっ!!」

『つま先を抑えてうずくまっていた、そして足元には、瑠音が見せたカードを下敷きにして白銀の盾が転がっている
見た目の変化はないように見えるが、その頂点には窪みのようなものがあり
そこにはUSBスティック… 保存媒体が取り付けられていた
白銀の盾を持ち上げれば、ぶつかった衝撃か、瑠音のカードはひしゃげ
その中でもICチップの部分が破損している事に気づけるだろうか』

橘壱 >  
「……一応念の為言っておくけどキミはやたら人が良い。
 自分が思うよりもラインが低いかも知れないとだけ言っとくよ」

橘壱は感の良さもある。
心眼ではないが、なんとなく"大したことじゃない"と考えていそうだ。
そういう人間は結果として溜め込んだものが崩壊する懸念がある。
言わねば伝わらないことだ。しっかりと口にだけはしておいた。

「まぁその辺りも追々と……、……!?」

メタラグの話は落ち着いてから続けよう。
そう思った矢先、一瞬だけだが各種の計器が反応した。
今まで何の反応もなかったのに、どうして今になって。
そう思った矢先、何かが弾けるような音がした。

「瑠音ちゃん!?大丈夫!?」

思わず彼女の傍へと駆け寄った。
目診の状態では特に大きな外傷はないようだ。
問題は、コレか。足元の白銀の盾を持ち上げると、
その下には見るも無惨な彼女のカード。

「なんてこった……バックアップとかはゲーム側のサーバーにあるはずだけど……」

不慮の事故、と言うには随分と"出来すぎている"。
此れも彼女の異能の結果と言うなら、因果的干渉も出来るというのか。
険しい顔つきのまま、盾のUSBメモリを手に取った。

「ごめん、迂闊なことを言ったかもしれない。
 キミに大怪我ないだけマシかも知れないけれど……」

彼女に寄り添いながらも、タブレット端末にUSBメモリを差し込んだ。
なんであれ、その結果できたこの内容を確認しなきゃいけない。
さぁ、この中身は……なんだ?

黒羽 瑠音 >   
「… そうでしょうか?うーん、自分じゃあんまり分からないですね、そういうの…」

人がいい、と言われても、自分では普通にしているつもりなんだけど… 。
でも、やっぱり似たような事は言われたことがある気がする、私ってそうなのかなぁ?

「だ、大丈夫です、ちょっとつま先を撃っただけで… 」

"取り落とした"盾の隅がぶつかったみたい、文字通り箪笥の隅に小指をぶつけたような感じだ。
それよりも… 。

「わ、私のカードが… う、うぅ~、後で確認しなくちゃ…… 」

思わず泣きそう… だけどに、私も研究を手伝ってくれる壱さんにあんまりかっこ悪い所は見せたくないよね。
何とかこらえながら、拾われたUSBメモリの内容を一緒に確認する。
傍に寄り添ってくれるのがちょっと嬉しい、もういっそツーショット写真でも頼んじゃおうか… いやいや。

そうして二人で端末に映し出される映像をみる… 之は多分…

「チャンプの、世界選手権の映像… ?」

其処に映し出されたのは、壱さんの世界選手権の出場時の映像、それも… 初回だけじゃない。
壱さんの参加した中でも選りすぐりのシーンを纏めた『橘壱の総集編』と言えるような。
そんなファンならもんどりうって喜ぶような映像が其処には纏められていて。

『更に、壱さんが映像のモードを弄ると、その際の動きに対する客観的な評価や状況の説明
それを踏まえた改善点を語るオーディオコメンタリーが流れるだろう、【壱さん自身の声】で
―― その中にはもしかしたら、今の壱さんにも【有用な】内容が含まれているかもしれない』

橘壱 >  
流された映像は自分でも見たこと無いようなドキュメンタリー。
それもそのはずだ。ドキュメンタリンーの声が自分自身
あらゆるメディアやインタビューは覚えているが、まさかこんなものが生まれるとは。

「下位互換……とは言えないな。
 僕自身が僕にとって有益だし、ファンにも嬉しいものだけど……」

険しい表情のまま一瞥したのは、壊れたカード。

等価交換……か?
 誰かのためにと考えると、自分の身を切って助ける……?
 いや、実例がもっと欲しいとは言え危険性が高すぎるな……」

此れが本当に自身の身を切り誰かを助けるなら、
今回はカードで済んだだけで良かったとも言える
いや、一応爪先に多少痛い目見たんだっけ。
ともかくとして、これ以上の実験は危険性も高い。
ふぅ、と吐息を吐き出して彼女の頭を優しく撫でる。

「ごめんね、危険な目に合わせちゃった。
 運営は有能だからバックアップは多分あると思う。
 ……それと、映像(コレ)はキミがもってるといい」

せめてもの償いというわけじゃないけど、
彼女のようなファンがもっていたほうがいいかもしれない。
此方としては一回聞けば充分だ。充分な勉強になった。

「とりあえず、今日はこの辺りで切り上げようか。
 お腹空いてない?ご飯奢るからさ、リフレッシュしようか」

その泣きそうな姿の柔くはにかんだ。

黒羽 瑠音 >
「あ、やっぱり知らない奴なんですね?私もチャンプのこんな資料映像…
あるなんて聞いたこと無かったですし… 」

つまさきを摩りながら少し真剣な顔になってみる、どうしてこんなものが… 。
何て、簡単には突き止められないんだろうけれど、ともあれ、壱さんにとって【有益】ならよかったのかな?

「等価交換… 下位互換よりは一歩進んでる感がありますけど…
… え、いいんですか?確かにめっちゃ欲しい映像でしたけどっ!」

後で運営に連絡しないとなぁ、と思いつつも、その言葉はまさに願ったり叶ったり…。
いや、ある意味本物とはいえないものだけど、資料としては申し分のないもので。
気を使ってもらったのかも、と思いながらも大事そうにUSBを受け取りました。

「ごはんまで… !?そんな、悪いですよぉ… えへへ」

本当に悪いとは思ってるけれど、誘ってもらえるのは嬉しいもので、はにかんだように笑みを返した。

「あ、そうだ、最後に研究員さんにデータログ送っておかないと… 」

PCをぽちぽちと操作して、室内でのログを手早く送信する、之は結構慣れたものだ。
偶に一人で此処を使わせたりもして貰ってるしね。

『その際には、当然先ほどの機器の変化も送信される、壱さんがそれを眺めれば内容も理解できるだろう
とはいえ、その内容はとても分かりやすいものだ… 設置された【全ての】計測装置が反応した、それが結果
魔力や生命力といったポピュラーなモノから、用意されたあらゆる属性、計測し得るエネルギーの流れ
それらを測る為に用意された機器が全て、ほんの僅か… 通常なら見落としてしまう程に少しだけ反応したようだ、と』

「よし、之でOKですね… ならえっと、おススメのリーズナブルな食べ放題とかなら… 知ってます!」

今日は何だかんだ『いい事』もあったし、此処はお言葉に甘えちゃおう、何て思いながらまた笑う。
憧れのチャンプとお食事何て、少し前の私が見たら滅茶苦茶悔しがるぞ~~!!

橘壱 >  
「……そうだね。下になるよりはマシかも知れないけれど……」

それにしても未知数だ。
何かを試すにも危険度が高い。
何よりもこれが、彼女の性質に妙に合致していしまっている
だからこそ壱の顔は険しいものだった。

「いいかい?とりあえずその等価交換は、なるべく使わないでくれ。
 誰かのためになるのは確実みたいだけど、何が交換されるかわからない
 いいかい?念を押すけど、本当になるべく、ね?」

念押したが、万一のことが起きればおそらくは……。
感情を止めることは誰にも出来やしない。
願わくば、その対価が命に届かないことを願うばかりだ。

「気にしなくていいよ。
 どうにも、お金ばかりは持ってるからさ」

風紀委員マネーにeスポーツマネー。
稼いだお金の使い道なんてオタ活くらいである。
ポンポン、と数回頭を撫でればタブレット端末に記録していく。

「(にしても、あの計器の反応……)」

ほんの一瞬だが、全てが一瞬反応した。
等価交換の奇跡。或いはだが、本当に犠牲になったのは、

このプレイヤーがカードではなく、もしかしたら──────……。

いや、よそう。本当にそうだと決まったわけじゃない。

「いいよ、色々済ませたら行こうか。
 今日は瑠音ちゃんに時間を使わせてもらおうかな、なんてね」

こうして軽口を一つ叩きながら、時間が許すまで彼女のワガママを聞いていくのだろう。

ご案内:「研究施設群 とあるラボ」から橘壱さんが去りました。
ご案内:「研究施設群 とあるラボ」から黒羽 瑠音さんが去りました。