異能や魔術などの授業の実習に使われる施設群。
また、主に学生のための訓練施設が併設されている。
異能や魔術を制御するための実習や訓練であり、人や生物、器物を殺傷・破壊する目的のための訓練は認められていない。
参加者(0):ROM(1)
Time:14:50:13 更新
ご案内:「演習施設:水辺」から小鳥遊 日和さんが去りました。
ご案内:「演習施設:水辺」から睦月 ルメルさんが去りました。
■小鳥遊 日和 > 「人間の言葉には”心は形を求め、形は心をすすめる”というのがあります。
つまり、外見はその人をその外見に見合ったように変えるということですね。
…こんなに素敵な衣装を着せられたら、きっとそのもどきは…。
ずっと一緒にいることが無上の幸福になってしまうとおもいますよ?」
冷たくも美しい氷のウェディングドレス。 これが氷であろうとそうでなかろうと、
人魚もどきが身につけたら…きっと”主”に侍らずにはいられないだろう。
それほどの素敵な代物だ。
自分で説明しながらちょっぴり恥ずかしくなってしまったせいで、
彼女の指を甘噛しそこねる。 納得するルメルさんの言葉に、目で頷いてみせた。
「はい、よろしくお願いします。 運んで…そうですよね、コレじゃ動けないですし。」展示物みたいな扱いだ。ちょっとおもしろいし、なんだかドキドキする。
そんな気持ちも、次のルメルさんの言葉であっという間に焦りに変わったのだった。
「あっ、それはですね、ええと…真ん中のコンソールから環境設定のパネルを、
ああいえ、そこではなくて……あっ、あっ、波―――」
結局なんだかんだで彼女が魔術について触れられたので、授業としては大正解であった。
■睦月 ルメル >
「新しいもどきができちゃったら、着せておこうかしら?」
ドレスを見遣り、何気は無しに思い付きを口にする。
着せて飾っておくのも良さそう、と考えたのだろう。
「そう言うものなのね。
確かに言われてみれば、人間さんってそんな印象 」
食もうとする口から指を離し、おあずけのようにかわす。
「とりあえず……一旦スタッフを呼んでくるわね。
砕くのももったいないし……引き上げて運んでもらいましょ。」
氷の衣装は魔法的にも補強されているもの。
溶かすにも砕くにも時間が掛かる。
「……あれ? これってどうやって終了させるのかしら……。」
起動したのは小鳥遊先生でルメルではない。
危険はないとはいえ、救助が来るのはすったもんだの後になりそうだ──。
■小鳥遊 日和 > 「ひゃい…。はなよめいひょうといって…。
こえは…。ずーっとそのひとといっひょにいるっていう、意志を表すいひょう(衣装)れぇ…。」
ひんやりとした氷の衣装はとっても心地よい。
彼女が……”主”たる人魚が作り出したものが、愛玩物である人魚もどきにとって
心地よくないわけがないのだ。
とろとろとまどろむような口調で頑張って答えているけれど、
気づいてくれたルメルさんの指が唇にふれる。
さっきとは逆に、とっても熱く感じる彼女の指が自分の唇をなぞると、
氷が、そして冷気が口から失せて、ようやく喋れる氷像ぐらいには回復した。
「人間は考えて理屈をつけるのが好きなのだと思います。
たとえば、火に水をかけると消えるますけど…科学がまだなかった時代は、
それを相反する火と水のパワーとして理屈付けたのでしょうね。
時間が立ってそれを科学的に解明することはできましたけど…。
でも、そういう仮定と理屈が、今みたいに魔術や異能を拓く学園につながっているんだと思いますよ。」
頑張って口を開けて、彼女の指を食みじゃれつこうとしながら、
ちょっとしみじみとした調子で答えた。
■睦月 ルメル >
「そうそう!雑誌で見たのもこんな感じ! 人間さんは六月に綺麗なドレスを着るのよね!」
人魚震える魔力はもどきにとって、心地の好い波長。
冷たさは全身をくすぐるようなもので、ともすれば一種の甘い恍惚すら覚える。
「……ん? あ、唇も凍っちゃってるわ! 人間さんみたいな丁寧な魔術は難しいのよね。」
何かを言おうとしているが、聞き取れない。
唇が凍っているからだと思えば、氷漬けの唇に人差し指を乗せる。
「そー……れっ。」
さっきまでの逆、つまり動かして熱を帯びる魔力の使い方。
熱っぽい人差し指で小鳥遊の唇をなぞり、氷を溶かす。
「熱いと冷たいも同じものに区分して扱うの、なんだかとても不思議。
人間さん、どうやって発見したのかしら?。」
■小鳥遊 日和 > 「ひ、ひゃい…るめるひゃん、まゆつ…れきまふね…。
あお(あと)は、はわー(パワー)のもんらいらと…。」
ブルブルと体を震わせながら、手を止めてくれた彼女に目をやる。
危ないところだった。氷漬けになるところだった。
なんだか納得のいかなさ…なにかを考えているルメルさんを見て、
弱々しく首を…もとい、首が寒くて動かないので、目を動かした。
「るめるひゃ…ぁぁ―ー―…。」
情けない声がこぼれる。 波しぶきが下半身を包むように広がり、
彼女の魔力の思うがままに形を変え、美しい六重のフリルと化して体にぴたりとフィットする。
水の状態でピタリと凍らせれば、寸分の隙すらなく体にベストフィットするのである。
サイズ調整なんていらない、彼女の思うがままに、氷となった水が、自分の衣装となり…
「あ、あぁ…」
ビート板を包み覆い隠すように華やかな氷のブーケが形作られていく。
同時に両腕も巻き込まれてしまうと、もはや自分の腕を動かして氷を振り払うことすらできなくなってしまった。
「―――っ…♡」
体が震える。さっきのように寒さを感じたのではない。
美しく整えられた氷の衣装が体を、頭を包んでいくと、甘い恍惚が走る。
まるで、逃がすまいとでもいうかのように全身ぴったりに張り付いた氷の衣装が、とても心地よく感じた。
『このまま身をゆだねてしまえ』
美しい衣装と化した氷が囁く。 心身を委ねれば全身が凍りつき、
衣装と一体化して…”愛らしい人魚の花嫁”氷像が出来上がってしまう。
永久に美しく愛らしく在れるのなら、氷像でも人魚もどきでも同じようなもの…
美しい衣装という姿を得た氷たちが、自分を引きずり込もうとする。
「…るめ……」
すっかり氷でつやつやに…ぴかぴかになってしまった唇が震える。
すがるような、ねだるような声色のかすかな呼び声は、
自分の末路をすべて委ねきった…人魚もどきにふさわしいものだった。
■睦月 ルメル >
「あ、ストップね! 冷やしすぎちゃったかしら。」
少し遅れて、手を止める。
できることは出来るが、やはり大雑把。
「できることはできるけれど、それだけって言うのかしら?
なんだか、これで何をするのと言うか……やっぱり、なんかもにょもにょするわ。」
できたことはできたものの、単純な作用にイマイチむずかゆさを覚えている。
一度は止めたものを、無意識のうちに不満げに弄る。
「……たとえば、こう……」
そうして、ルメルの手元で魔力が動く。
無意識の行使。感覚で扱うことによる悪癖だ。
ちょうど、冷えていた目の前の人魚もどきの身体に氷が纏わりつく。
六段の水しぶきが尾びれから下半身を包むように円を描き(六段フリル)、
ビート版にしがみついた両手もまとめて凍り付き、
愛らしい花嫁が抱える花束のように、華やかに束ねて凍る。
そのまま上半身から頭にかけて作用が途中の魔力が凍り、
光を吸った氷は煌めき、上質なサテンにも劣らぬドレスとヴェールを形作る。
最後に口元を凍らせ、ラメ入りのリップのように彩ることで漸く魔法が止まった。
■小鳥遊 日和 > 「…ええ、そうです!
とにかく研究する人が多いのは良いことです。
それだけ研究が多岐にわたるわけですからね。」
嬉しそうに尾びれを揺らすルメルさんを見ているだけで楽しい。
問いかけには頷いて、首から下げていた防水タブレットに
つらつらと指を這わせる。 それぞれの先端に丸が示された十字だ。
水に入り、魔術の準備をしているルメルさんにそれを示して見せた。
「こんな感じで四元素…という考え方がありますね。
古くは古代ギリシャのころに提唱された考えで、
ようするに…相反する力の組み合わせで、物事が出来ている、と考えたわけです。
まあ説明はともかく、実際にやってみましょう!
まずは、ゆっくり…水の中にあるものを掴むような感覚で”熱”に触れるんです。
そうすれば――――」
ぞくりと背筋を寒さが走る。
「あの…ルメルさん? すごく上手なのはわかるんですけど、あの…あれ…?」
寒い。 一息ごとに水温が下がっていくのを感じる。
「うぅ~~~~っ……。」
サウナの水風呂なんて目じゃないぐらいに、さらに低く、低く…。
魔力で出来たそれは凍ることこそないように設定されているけど、
それゆえに容赦なく体を冷やしていく。
「るめる、ひゃ…す、すとっふぅ……!」
あまりの寒さに口すら回らなくなってくる。
舌足らずにも思えるような声は震えていて、
ビート板にしっかりとしがみついたまま、大慌てで訴えた。
■睦月 ルメル >
「とにかくすごいのね!」
人間さんの叡智の結晶は見てて楽しい。
きゃっきゃっとはしゃぎながら尾をゆすって波を立てる。
「冷熱って言うと……確か、四元素だったかしら?」
冷熱・湿乾。相対する二対の元素で計四元素。
振る舞いとして科学に相似する点も多く、初学として学んだもの。
独学で出来たものも、感覚や想起の補助として学習する意義のあるもの。
少なくともルメルはその一人であり、
今まで適当に扱っていたものを改めて見直している。
水の中に飛び込み、上半身だけを出す。
「えーと、こう?」
ルメルの体感は人のそれとは少々異なる。
水の中とも言えば尚更で、ちょっと冷たいと感じる水温は──
──水が氷になるあたりで、ちょっとだ。
■小鳥遊 日和 > 「システムは……。なんでしたっけ。わたし、あんまりこの辺使わないんですよね。
専門が専門なので。 ちゃんとしてるのはわかるんですけどね。」
システムそのものに興味を抱く彼女に、何度か頷いた。
とはいえ、自分の専門は植物…しかも蘚苔類なのだ。
あんまりこういった場所との関わりは強くない。
「はい。 わたしでも基礎的な…魔法の授業はできますよ。
ただ、本当に基本的なところですけど…。」
こちらからしっかり学ぼうという姿勢のルメルさんに、にっこりと笑いかける。
えいやと車椅子から飛び降りる形で水に飛び込み、ビート板に上半身を
乗せるような形を取って姿勢を安定させた。
「慣れている環境の方が魔術は使いやすいですから、こういった場所にしました。
そうですね、まずは…冷熱関連なんかが取り扱いやすいと思います。
つまり、熱……どんなものにもあるそれを、少し強めたり、弱めたりする。
まずは身の回りの水を温めたり、冷やしたりするというところからやってみましょう。
ルメルさんならきっとすぐわかりますよ!」
ちゃぷちゃぷと手で水をかき混ぜて確認。 温度はちょうど良い。
これを温めたり、冷たくしたり。 精度やパワーの増減も求めない、
極めて基礎的な魔術についてのレクチャーだ。
「ルメルさんもお水の中に来てください。
体で熱を感じながらなら、より感覚として掴みやすいとおもいますし。」
尾びれを水面から出して、彼女に手を振るように動かして見せる。
熱意のある生徒に応じようとする先生そのものといった態度だった。
■睦月 ルメル > 投影されている岩場と海。
リボンで括った青い髪を揺らしながら、おろしたての専用競泳水着の布地をぺちぺち弾く作業もそこそこに投影された海に尾を付ける。
「へぇ、ほとんど同じじゃない!これがムネモーシュネー・システム、って言うのかしら?
それともミメーシス・レンダラーだったかしら。なんか難しい名前だった気がするわ。」
どこかで聞いたものを思い返しつつ、小鳥遊の合図を受けて傍に寄る。
「それで……確か今日は、小鳥遊さんが魔法?魔術?の授業をしてくれるのよね!
ええと……どこから始めるのかしら。どうするのが良いの? 」
悩んだ風に首を傾げる。
準備が出来ているとのことだから、奔放にするより倣った方が良い気がする。
人間さんの授業と言うのは、準備が大事であると言うのは覚えている。
■小鳥遊 日和 > 眼の前に広がっているのは、少しの岩場と海。
そして陸地には不釣り合いな、整理された足場。
ここは演習施設である。
今回は水辺ということで、海に近い状況を再現したのだ。
ルメルさんの魔法の練習という目的があるので、
学園としても全く問題なく借りることができたのだ。
「ルメルさん、準備OKですよ。」
足場までは車椅子でいけるけれど、そこから先は水辺だ。
溺れないようにキックボード…ビート板を抱えたまま、
ルメルさんを見やって嬉しそうに声を上げた。
そう、人魚もどきは泳げないのである。
だからビート板を使わないといけないのだ。
ちょっと子どもっぽい気がするけど、状況的には仕方ない。
このあとの演習が楽しいのか、広がった尾びれをゆらゆら揺らしながら、
嬉しそうに目を細めた。
ご案内:「演習施設:水辺」に睦月 ルメルさんが現れました。
ご案内:「演習施設:水辺」に小鳥遊 日和さんが現れました。