異能や魔術などの授業の実習に使われる施設群。
また、主に学生のための訓練施設が併設されている。
異能や魔術を制御するための実習や訓練であり、人や生物、器物を殺傷・破壊する目的のための訓練は認められていない。
参加者(0):ROM(1)
Time:08:10:48 更新
ご案内:「演習施設」から先生 手紙さんが去りました。
■先生 手紙 >
――ヴン。
演習用の映像が切れ、殺風景な空間へと戻る。
「ン……まァ、鈍っちゃあいないってところかな」
こき、と首を鳴らして装備を仕舞う。それから両手の指をパキパキと鳴らしーの。
■先生 手紙 >
一拍置いて、次のWAVEに入る。
今度は360°を囲まれた状態。
懐から二挺目の拳銃を取り出す。こちらはデバイスではなく支給品(カスタム)の本物だ。弾は演習に合わせて非物質の、的である光と同じモノが撃ち出されるようになっている。
正面視認。光が消えるより早く、交差した両手が引き金を引きながら開いていく。
そしてバックステップからの軽い跳躍。後ろ回し蹴りでもう半分の排除にかかる。
――――制圧に欠けた時間は4秒ジャスト。
「……ま。無抵抗ならこんなモンでしょ」
ふ、と短く息を吐いた。
■先生 手紙 >
そして――――演習は開始された。
音もなく各所に浮かび上がる光の玉――的。それらを消す、ということが男の鍛錬らしい。
横目、路地裏。灯った光に一瞥を送る。視認では大した『異能』は発揮されない。が、光は2秒ほどで消えた。
次は自身の居る大通りに点在する的。数にして8。視認で1、指先での指向性で音もなく消し去っていく。
(……4、5……遠い、)駆ける――射程に入れての6。抜き去って直接手を触れて7――
懐から抜くのは拳銃型の『デバイス』――発動する単一系統の基礎魔術。衝撃に分類されるソレを一発撃ち込んで、最後の一つだけは弾けるように消え去った。
■先生 手紙 >
――ヴン。空間のテクスチャが変更される。
実像を持たずに再現されたのは『常世渋谷』。
実時間と同じ真夜中の仮想空間。
「……ヨシ。しかし再現度エグいな……」
シチュエーションをセットし終えて端末を懐にしまうのは、ヒラついた私服の青年。
なお、寮はとっくに消灯時間を過ぎている。
そこかしこに人工の光の灯る街中のイミテーション。現実と違うのはそれらに触れられないことと、「ヒト」が存在しないことだ。
――こんな夜中に鍛錬などと。同室に見られでもしたら目も当てられない。
ご案内:「演習施設」に先生 手紙さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から蒼空 奏さんが去りました。
■蒼空 奏 >
それでも不思議がられたり、不気味に思われたりはしない。
自分と同じように、異能の力を持ってしまったことで普通の生活ができなくなった人は、この島では周りに沢山いた。
そして多くの人が前向きだった。
だから自分も…悲観も苦悩も十分したのだから今は笑顔でいることを選ぼうと。
『あの』
背後から声がかかる。
なんだろうと振り向くと、さっきの男子生徒だった。
『まだまだ暑い時期だから、保健委員のお仕事頑張って』
彼はそう言って、清涼飲料水のペットボトルを差し入れてくれた。
さっきまで足の痛みに表情を歪めていた少年が、今はこうして笑顔を向けてくれる。
「あ、ありがとう…」
受け取った、ひんやりとしたペットボトル。
「うん、頑張るね」
笑顔でいよう、なんて思わなくても…自然を笑みが溢れた。
この島で、この学園で頑張ってみよう。
夏季休暇も終わった新しい学期、そんな風に思える一幕だった。
■蒼空 奏 >
と、夏季休暇も終わったタイミング。
それなりに利用者も多いせいか、ちらほらと怪我人が訪れる。
もちろん最低限保護がなされている環境なのでそんなに大きな負傷を負うことはないのだろうけれど。
足を挫いた男子生徒の患部をゆっくりと撫でる。
助けたい、治したい──そう想うことで、少女の手は淡い翠色の光に包まれる。
温かな光は苦痛を和らげ、傷ついた体組織を修復し…癒していく。
「えっと…まだ痛みますか?」
問いかければ男子生徒は何度か脚の様子を確かめ、痛みのないことを確認すれば立ち上がる。
実に礼儀正しく頭を下げる生徒に「治って良かったね」と笑顔を向け、手をひらりを振って見送って。
「(このくらいなら、反動も何もないんだけどなあ……)」
男子生徒の怪我を治した自らの手へと視線を落とす。
この島、この学園にやってきて、自分が特別じゃない…ということは少しずつ飲み込めたけれど。
まだまだ、自分の身体に宿っているこの力との付き合い方は…悩ましい。
とりあえず誰かの役に立っている。ということでなんとなく居場所として納得しているけれど。
■蒼空 奏 >
少女は訓練をする生徒達を眺めている。
別に暇、というわけではなく。
保健委員の活動の一環で、訓練で負傷などをした生徒のために待機しているのである。
「うわっ……危ない…」
「ひゃっ…よくあんな風に動けるよね……」
訓練の様子を眺めながいちいちそんなリアクションを返していた。
異能や魔術、身体強化なども行っての訓練も珍しくないので、まだまだ一般人の意識から離れられない少女にとっては、安全だとわかっていてもスリリングすぎる光景である。
ご案内:「訓練施設」に蒼空 奏さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から青霧在さんが去りました。
■新庄 > 「ありがとうございます!ありがとうございました!!」
打ちのめされた。自信もへし折られた。
だけど、大切なことを教えてもらった。それに、へし折られるべき自信だったんだと思う。
あれが、特攻課。あれが青霧在。
最初から勝ち目など無かったのだと、特攻課への転属を望むのはまだまだ早かったのだと思い知らされた。
「もっと鍛えないと…!」
返ったら、タイタンセンパイに相談しよう。
そして、もっと強くなって……!
そんなこんな思っているうちに、青霧センパイが呼んでくれた医務室の人が担架を持ってきてくれた。
大げさだなんて思いながら運ばれた先の医務室で治療を受けたら、それだけで下半身の痛みは全部引いた。
(しばらくは安静って言ってた気がするけど……?)
(それに……?あれ?支えられてたような……?)
なんだか妙な違和感を感じたが、結局その正体に気付くことは出来なかった。
しばらくしたらタイタンセンパイが迎えに来てくれた。
何があったか説明したら、仰々しく頷きながら話と相談に乗ってくれた。
俺は、もっと強くなる。
■青霧在 > 「落ち着け、無理に体を動かしたんだ。しばらくは安静だ」
無理に体を動かした代償が何か、俺はよくよく知っている。
前のめりに倒れかけた新庄を異能で支えてやる。
そのまま押し戻し、立ち上がる。
「医務室に声をかけて、俺はそのまま帰る」
「《剛龍》に相談すれば俺より適切なアドバイスをくれるだろうさ」
新庄は《剛龍》が戦闘を教えていると聞いた。
……と言っても、あいつは力が強すぎて、どう教えればいいのか分からなかったのだろう。
下手をすれば新庄を物理的に再起不能にしかねない。
その結果、ここまで自信過剰にさせてしまったのだろう。
「お大事にな。応援しているぞ」
俺はそう言い残し、帰路につく。
無理に動いた代償で体が痛むが、数日もすれば治まる。
明日の任務には……まあ、大丈夫だろう。
我慢すればいいだけだ。
■新庄 > 「第二の……刃……!」
俺は今まで、一撃必殺ばかりを狙って、その次を考えていなかった。
図星だ。ついさっきの自分がまさにそれだ。見破られたにもかかわらず、同じ事しか出来なかった。
慌てるままに空振りを誘発され、武器を奪われたのだ。
「センパイの言う通り……言う通りだ」
「確かに、振り向いて切るのがすぐに出来るなら、他の向きと姿勢だって……!!」
今すぐにでも試してみようと立ち上がろうとするが、腰や足首が痛んで姿勢を崩しそうになる。