実習区に設けられた、主に生徒のための訓練施設の一つ。
この訓練施設はドーム状で、中に訓練所がいくつか存在する。
学生証を持つ生徒が自由に利用することができ、ここでは異能や魔術を自由に行使し、その訓練を行うことができる。
訓練のための様々な設備も用意されている。基本的に自習のための施設だが、教員に指導を請うことも可能。
一人での訓練のほかに、生徒同士での模擬試合も可能。
なお当然ながら相手を殺傷することや重大な怪我を負わせるようなことは認められていない。
訓練施設のほかに休憩所、シャワールームなどがある。
参加者(1):ROM(2)
Time:22:58:43 更新
■御崎 眞 >
「… 見た目も本当にただの血だ、確か、触媒として使う血を之で賄う事もあるんだったか」
しかし、今の自分にそれらを【大量に使う】ための呪術はまだ無い、之は後で洗って捨てることになるだろう。
「ハ、これがすっぽんの血だったら、欲しい人もいたかもしれないけど、そんな価値はないな」
香る匂いは不思議と気にならなかった、自分自身のものだからか、【慣れ親しんだ】ものだからか。
呟きながら、ぺらりと持ってきた教本を眺め、次の授業の予習をし始める――。
■御崎 眞 >
『増血――』
人とは、須らく血の嚢である。
皮膚の下にあるそれは、たしかに体内をめぐり、その脈動は生を象徴する。
皮膚が破れれば、赤きそれは命を損ないながら流れ落ち、何れ濁り、黒い染みへとかたちを変える。
血とは肉体が損なわれる瞬間であり、その生が喪われた後になお遺される、最後の痕跡でもある。
「即ち、血とは人にとって最も身近な液体であり、それ故に呪いにおいて最もポピュラーな媒体の一つである」
勢いよく漏れ出す血が、指先の傷を開いていき、僅かに眉を顰める。
そして大きめのバケツ半分程を血が覆い尽くした所でその勢いは収まり、一つ息を吐いて。
「… 成程、こんな感じか」
体に感じるのは僅かな疲労感、本来、この量の血液を出せば、命に係わるのは間違いない。
【呪い:増血】
対象の魔力の一部を、体内に流れる血に強制的に変換するシンプルな呪い。
使用者の血で描いた魔法陣を接触させる事で発動する。
血を過剰に増やすことにより強制的に出血させる、献血に役立つ等、様々な用途に使用出来る、のだとか。
「シンプルだけど、この量の血液が勝手に増えたとすると… 出血先を自分で作ってやらないとかなり危険だな」
魔力を血液に変換するという性質のため、之によって一時的に血液は増えるが…。
生まれた傷口がふさがるわけではない以上、増えた以上の血液を失う事になれば当然失血死のリスクがあり。
血が体からあふれ出ようとする際、既に開いている傷口が更に開く事にも繋がるだろう。
■御崎 眞 >
指抜きされた白い手袋を両の手に付け、しげしげと手の甲に書いた魔法陣を眺める。
それは自分なりに踏ん切りをつけて受けた呪術の授業、その中で目についた一つの術式。
「… 呪いとは、自らの望む結果を招くための信念…だったか」
捉え方は人により、一口に呪術と言っても様々なアプローチが存在する、と前置きされた上で聞かされた言葉。
呪い(のろい)というとおどろおどろしいイメージがあるが
例えば願掛けを含めた縁起担ぎのあれそれも呪いと言う事で呪いの一種と言えるのだと。
其処から発展し、他者の幸運を祈り、身を助けるための術も呪術には数多く存在する。
「そして、禍福は糾える縄の如し… 呪いであっても、使いようによっては人を助けられる
まぁ、真っ当に人に教える立場としてはそう言わざるを得ないって所もあるだろうけど」
手袋をそのまま自分に当て、静かに『呪い』を発現させる。
ずくん、と体の中で何かが脈動するような錯覚と共に、体内が煮沸されていくかのような熱を感じ…。
「―― !!!」
間髪入れず、そのまま指先を噛み、皮膚を千切る。
どぷり、と溢れ出す血が口内に入り込もうとするのを吐き出しながら、指を下に向けた。
予め用意しておいたバケツに、だくだくと赤いものが溜まっていく…。
それは見るからに、通常の出血をはるかに超える速度だった。)
ご案内:「訓練施設」に御崎 眞さんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から天川 コウハさんが去りました。
■天川 コウハ >
一つのダミーを切り刻んだ後は瞬時に次の目標へ駆ける。
複数戦いる場合を想定しており、複数戦のセオリーに基づいた行動だ。
複数戦のセオリーとは頭数で劣っている分、機動力と勢いと瞬時の判断力が重要だ。
特に足を止めたらそれはこちらの敗北を意味する程でもあるとコウハは考えている。
だから足は一切止めず、尚且つ一定の速度ではなく不規則に動き回る。
手に取れそうだが寸の所ですり抜けられる。
相手からすればこの独特な感覚こそが死神の体術の特徴でもある。
「腕は…落ちてないようですね。」
ほんの少しの時間で合計7つのトレーニングダミーが切り刻まれてた。
これで一旦休憩。
汗はかかないもののふ、と息を吐いて少し整える。
■天川 コウハ >
鎌を右脇の下段に置き、体全体を低くして前傾姿勢。
両手鎌という特殊な武器を使った戦闘術の構えの一つだ。
もし対人戦だと仮定すると相手側からしたらその特異な武装故に動きが読まれにくいというメリットがある。
勿論、戸惑う敵を気持ちが整理するまでご親切に待ってるわけなくそんな心の隙間に付け入るように動きもスピーディーだ。
「しっ…!」
事実、前傾姿勢から踏み込んだ足は一瞬で最高速度に達する。
それはまるでその場から消えたかのような瞬間移動を思わせる速度。
静から動の落差を激しくすることで消えるような錯覚を相手に伝えるのがコウハの独特な体術の秘密の一つでもある。
瞬く間に的に一撃。…否、三撃入った。速すぎて常人には連撃を目視は不可能
■天川 コウハ >
「…たまには動作の確認位はした方がよさそうですね。最近寒くなって身体も固まってきそうですし」
息を吐く。
11月という事もあって気温もかなり下がってくる。
時間は放課後だが、その時間ともなればかなり暗くなってくる季節だ。
陽が沈めばますます寒くなる。
身体が固まらないように入念な準備運動をした後、得物を出す。
「やはり、この重みは悪くないです」
召喚したのは身の丈は超える大きな鎌だ。
重さはゆうに100㎏はある。
それを片手でくるりと一回転回した後、両手に持ち、右脇の下段に置く構え。
ご案内:「訓練施設」に天川 コウハさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」から緋月さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から紫陽花 剱菊さんが去りました。
■紫陽花 剱菊 >
自ら申し立てた事。躊躇いは無い。
静寂と閉じた虚はほんの束の間。
僅かに一呼吸。根の底の虚が、昏き水面に赤を映す。
「……技も、武具も、全ては担う者次第。
わかりきった事と侮るなかれ。
行住坐臥。定めし場所は其方と私は違う」
飽く迄剱菊の思想で在り、彼女に教えるのは技。
思想でも無く、純然たる技術のみ。
思うことを、"敢えて"口出し言の葉と刻む。
戒めである。彼女を殺戮者に仕立てるに非ず。
狂人足れば、二律背反の行く末の一助に過ぎぬ。
全て、担った者の扱い次第。
「其方の"備え"が、猶予が在れば、其の暇を頂いていく。
一朝一夕で身に刻めるとは思わない。其方の才覚次第……」
楽に流れず、七難八苦を進むので在れば、
一切合切の妥協も加減も無し。頂きに至るまで、
狂気の果てに至るまで、生命の限り、力添えをする覚悟だ。
音無き歩みが、静寂がゆるりと、赤へと迫る。
「然るに、予言として伝えておく」
「……私は、どうやら加減が不得手らしい。
教え子に既に言われている。然るに……」
「暇を挟む時は、事疾く、潔く言うが良い」
言い終えるや否や、一足、音もなく目前。
何の躊躇もなく掌打を腹部へと放つのだ。
戦人故の機敏と不器用さ。有り体に言えば、承諾した時点で始まっている。
いなすか、受けるか。少女次第。少なくともことの始まる。
生傷を減らせるかどうかは……彼女次第なのであった。
■緋月 >
――――強い。
この御仁は、こと「殺す」事にかけては、己は足元にも及ばないだろう。
ただの一撃、それも構えという「用意」を行わぬ儘、放った一撃。
それで以て、ターゲットを粉砕せしめた実力に、率直に少女はそう感じ取る。
ぞわ、と背筋が粟立つような感触と同時に、その技の一端でも己に取り込めれば――
それは、確かに力になるだろう、と感じ取る。
だが、扱いを間違えれば、それは「殺す技」として牙を剥く事になる。
(………今更。)
心の底で、覚悟を決める。
例えどれ程の技だろうと、技は技。収めた所で、詰まる所…刀と同じ。
それそのものに、善しも悪しもない。それを決めるのは、振るう人間次第だ。
――もしもそれが、誰かの命を奪う事になるのなら。
それが、「求められた役割」を果たす事に繋がるなら。
否、あのひとを守るための必然となるなら。
「……守るために、命を奪う。
その矛盾の業は、技を振るう者が背負いましょう。
ただ殺す為でなく、生きる為に、護る為に、奪うという事の業も。
死に寄り過ぎる事はしません、が、忘れる事もしない。」
表情を引き締め、深く頭を下げる。
「――御身の修めたる御業、そのご教授を願いたく。」
殺す事を、当たり前と思うな。
振るうならば、相応の覚悟を以て。
覚悟を決め、そう申し出る。
――どれ程の時間があるかは分からないが、恐らくは。
その間の鍛錬は、激しく、壮絶なものとなるだろう。
■紫陽花 剱菊 >
虚に移りし景色が、ずれた。
否、斬ったのであろう。見事な太刀筋であった。
あいも変わらず、剱菊の表情は変わりもしない。
「私は決して、其の方の言葉を狂人とは言わぬ。
うべなるかな。一度握れば誰しもが思う事だ。思い上がりとも思わぬ。
……如何として、執念がまたものを産む。必定の流れ。狂人と疑うなかれ」
一度刀を取れば、拳を握れば思い至る。
何を斬れる。何を砕ける。時に思い上がりと嘲られる。
些かの違いは在れど、ややもすれば鍛錬もまた執念。
思想の違い成れど、剱菊は肯んずる。
即ち、当に過ぎ去りし道なり故。
「────────……」
斯様、剱菊は不器用な男で在った。
微笑む少女の様を見れば木偶と向き合い、手を添える。
さゆるように凍えた表皮を指先が撫でる。
刹那、掌打。寸勁と呼ばれる技術に近しき技。
幾ばくの距離も無く、空を張り詰める衝撃。
破裂音と共に、外面残して木偶の臓腑が空を染めし鉄花火。
"徹し"と呼ばれる打撃の技術。外側ではなく、内側の打撃。
指先のみで理解し、正確に内部へと"徹した"。
武芸者故に、最もわかりやすく雄弁な行動を選んだ。
顔色一つ変えること無く、武威を示したのだ。
「……其方の宣う言葉は、殺戮者には何と面映ゆい事だと聞こえる。
如何にして取り繕うと、刃は所詮肉切り包丁。人を、命を、一切合切を断つ。
余程、其方の先人よりも、其方が嘯く言葉のが余程狂人に聞こえてしまうな」
矛盾である。
斬るとは断ち、文字通りの別れの汀。
残すことなど出来るはずもない。故に、困難の意味を理解する。
故に其の我武者羅さに一つ、道を示そう。
「私が持つ技は全て、殺しの御業。
数多の武芸を、術を、戦に勝つ為に修めた。
……御覧の通り、無手の心得も修めているつもりだ」
武芸百般。
乱世で生き抜き、勝ち残る為に修めた。
そう、如何なる術を修めた。
全ては泰平の世のため、己が血の礎になる為の執念。
結果、何者であろうと殺してみせた。
泰平を夢み、夥しき血を浴びし殺戮者。
「……備えの猶予があるので在れば、其方の手伝いをすることも出来る。
私の収めし技も、授ける事も出来るだろう。但し、飽くまで殺しの御業。
命を残す事等、考えるに能わず。……どれほど伸びるかも、其方次第」
僅かに艶黒が揺れ、ゆるりと振り返る。
「然るに、"興味"が沸いた。
其方の理想の一助を、行く末を見届けたとも」
向かうべき方向は違えど、剱菊もまた当てはめれば狂人であった。
故に矛盾を孕んだ無想の境地。否定などしようはずもない。
選ぶのは全て、少女次第。
■緋月 >
「――確かに、「我等」も最初はそうであったかも知れませぬ。
人を斬る、命を斬る、殺す為の技。
ですが、ある時…一人の者が、ふと思い至ったそうです。
刀で人は、命は斬れる。だが、それ以外を斬る事は出来ぬのか、と。
風を斬る事は? 流れるモノを断つ事は?
空を、虚を、見えざるモノを、界を――時は…無は?
そうして、出来上がったのが…我が里にて伝わる、あるいは…最も、刀の本筋から外れた流派。
常では斬れぬを斬ろうとした、狂人達の執念の積み重ね。」
失礼、と前置きをして足を進め、少し離れた所に置いてあった、
準備の為の慣らしの素振りに使った木刀を取り上げ、黒き武士に背を向けてそれを中段に構え、
「――――疾!」
その気合と共に放たれた切り上げの一太刀は当然のように空を切り…それだけでは済まなかった。
ぴし、と、亀裂の入るような音。
木刀が走った跡から、瞬間、するり、とほんの僅かにだが、「風景が斬れてずれた」ような光景。
それを確かめた直後には、既に風景は元の通りに。
斬れてずれた跡など、残ってもいない。
「……木刀と、短い集中、それに今の私の実力では、この程度のものですが。」
ふう、と一息。
常の剣術とは思えぬ…魔技めいた一刀。
だが、人を斬るだけならばもっと効率の良いものがあるであろう…ある意味「無駄」の極みとも言える技。
斬ろうと思えば、人間、「界」も斬れるのだ、と、それを確かめたかった者の執念の技。
「――この地に来て、思うようになったのです。
空が斬れる、風が斬れる、流れが斬れる。
なれば――命を斬らず、傷を残さず、向かい合う者をただ「斬る」だけの技は、出来ないものなのか、と。」
それは大いなる、狂人の戯言。
命を、肉を斬らず、人を斬る業。そんなものがあるとしたら…それは殺しの技である剣術に、
真っ向から喧嘩を売りに行く技ではなかろうか。
愛か、と問われれば、またも顔を少し赤らめる少女。
軽く微笑みを浮かべ、口を開く。
「――世間一般で言えば、そうなるのでしょうね。
ただ、私に「大きな宿題」を与えたのも、そのひとでした。
命を断たず、肉を断たず、人を斬る為の業。それも…言いだしたのは私ですが、求めたのはそのひとです。
楽な方には流されるなと。理想の自分を、追い求めろと。
本当に…厳しくて、かと思ったら素直な事を口にしない、困った人です。」
楽に流される事はしたくない。
それは、きっと、そのひとから与えられた「宿題」を、少女なりにこなそうという生真面目さなのだろう。
逃がさぬように、やや我武者羅とも言える勢いで…「理想の己」を追い、
同時にそのひとを逃がさぬように走っているのだろう。