2024/06/12 のログ
ご案内:「訓練施設」に倖月 保志さんが現れました。
倖月 保志 > とある訓練施設の一角。
その中でも道着を着用し日本の伝統に沿った形式での施設らしい。

その中ではバシバシと威勢の良い音を鳴り響かせる竹刀、ドンドンと床を転がる音。
どうやら剣術と体術で分かれているらしい。


「ん~……こんなものなんですかねえ~?」


その中で剣術鍛錬側で道着も着ずにちょこんと体育座りで見学している少年がいた。
鍛錬と言えどその迫力は見るものを圧倒するであろうがことこの少年に至ってはそうではないらしい。
別に単なる他の流派の武道は興味ないがここは見るべきものがある。

その視線の先には道着で鍛錬している人たちは風紀委員の腕章をしていた。
どうにも最近は戦力を伸ばすために定期的にやってるようだ。

その風紀委員達の武道の鍛錬を少年は目を丸くして興味深々と見ていた

倖月 保志 > 「ん~…委員会活動に興味があってちょっと面白そうなのがあったんですけれど~…うーん、風紀委員の力量はこんなものですかねえ~?」


このいちいち間延びした話が特徴の保志という一年生は怖いもの知らず故か…否、道場に相応しくない高級腕時計だの成金というかどう見てもボンボンな姿は世間というものを知らないのだろう。

真剣に鍛錬に打ち込んでいる風紀委員達には幸い聞こえてない。
だが、保志と同じく風紀委員に入ろうか悩んでいてこうして見学にきた同じ1年生達も何名かいる。彼らからは世間知らずの保志の発言にハラハラしているようだ。


「動きは悪くないんですけど~…ほら、例えばあそこなんかは相手の技に対してこちらが選択する技の出が遅いんですよ~普通はある程度予測は出来ますしあの程度ならもっと早くできますのに~」


だがハラハラした同級生の事など知らずに保志はズケズケと弱点を突き付けている。
彼らの動きは決して鈍くないし何年も竹刀を握ってきたしっかり訓練した方々だ。
だが保志からすれば。ということだ

倖月 保志 > 「う~ん、なんだかボクも少し体を動かしたくなりました。」

音も無くすく、と立ち上がる。
ハラハラしながら保志の言動を傾聴してた見学の同級生達はぎょっとした。
同級生達は少し剣をかじってきたか、あるいは未経験者がほとんどである。そんな彼らが見てたものとは練習と言えども風紀委員の先輩方の洗練された動き。
どう考えても勝てるわけないし、ましてや見るからに世間知らずのボンボンがだ。


「竹刀、貰えますか?僕もちょっと打ち込んでみたくなりました~」


その彼らと打ち込もうというのだ。
正直ありえないだろう。


保志にそう言われた風紀委員の人も身の程知らずと見たか少々哀れんだ視線を向けて竹刀を渡した。
保志は竹刀の状態を左手でなぞるように確認した。

倖月 保志 > 「よし、いいですよ~。やりましょう。ええ、それは勿論模擬戦です。と言っても竹刀ですが…」


少年はかなり余裕だ。ボンボンのしかも背丈も160㎝あるかどうかのその身体にどんな自信があるというのか。
対して保志と相対する風紀委員は2年生の男子。体躯には恵まれており180㎝はあり全身の筋肉もがっしりとしかして動くには無駄のないバランスの取れた体つき。その手は血まめの跡がある。かなり努力してきたことが伺える。


「では、よろしくお願いしますね先輩。」


にへら、とどうにも緊張感のない微笑みから互いに一礼。
開始距離は5~6歩程度の距離から。
相対する男子風紀委員は正眼の構え。攻防バランスが良く出で立ちから全く隙が無い。
対して保志は竹刀を持つ腕をだらんと下げて竹刀の先が地面をなぞる。こちらは一見して隙だらけ。胴にも面の近くにも刀がない。

倖月 保志 > 開始の合図、動かず。
開始の合図から数呼吸。相対する風紀委員の男子が動いた。
踏み込みよし、先制も成功したことで前に出る運動エネルギーが振り下ろす際には威力増強効果を与えるだろう。
踏み込みからの一撃。無駄のなく威力の乗った見事と言える袈裟だ。


対して保志はどうだろうか?
こちらは微動だにせず構えもだらんと腕を下した非戦闘時のような出で立ち。
舐めているのか?
しかし状況は振り下ろされる直後に変わる。


「本国大太刀…"燕落とし"」


バシィン、と訓練場に鳴り響く音が聞こえた。
皆が振り向けばそこには風紀委員の男子の手からは竹刀が消えており10m程離れた場所に落ちてた


「次いで"田楽刺し"」


間一髪入れずに男子風紀委員の胸元に突き…といっても突くように優しく触れてやった。
はい、ボクの勝ち~と宣言するかのように

倖月 保志 > かろうじて見えた人からには保志が振り下ろされる直前にて左足をわずかに摺り足で前進させ、ほんの少しの体重移動にてだらりと右腕が瞬時に振りぬいたのが見えたであろう。

周囲から見えたのはそれだけだ。
どういった技の原理かも見えなかった。
だが気が付いたらあの屈強な男の手からは竹刀が消えており、代わりに保志という少年が彼の胸元につん、と怪我無く優しく突いた。
決め手に威力はなく怪我もないにしろ真剣であれば心臓を串刺しにできる軌道にあった。



「ん~、悪くはなかったです~ありがとうございます~」


そうして風紀委員の静止を止める間もなく彼は風のようにふらりと何処かへ行ってしまった。

ご案内:「訓練施設」から倖月 保志さんが去りました。