2024/06/15 のログ
ご案内:「訓練施設」にリョーガ・パレコルタさんが現れました。
リョーガ・パレコルタ > ___________ガァン!!

頑丈な的にアルミ缶やらなんなりが暇なく投げ当てられる。
当の投げているであろうリョーガは汗はかけど焦る様子もない。
しかしリョーガは一歩も其処動いちゃいない。

代わりに自身の"影"を動かして、それを手の代わりにしながら投げ当てているのだから。
全弾命中まではいかずとも、かなり高い精度を誇っていた。

______異能、《影踏み(シャドウ・ポイント)》。

しかしこれは彼の【異能】のもう一つの能力に過ぎず。
"本命"が本在するのだが…。

「しっかし、そろそろ"踏む方"も鍛えないとねぇい。」

リョーガ・パレコルタ > _____"踏む"。
彼の異能の本懐は其処にある。

_______対"異能"に特化した【異能】。

【影踏み】の名を冠す通り、異能を持つ【もの】の影を踏めばその能力を遺憾なく発揮できるのだ。
それも彼自身はそれを指定できずとも、"制限"という形で。
それは異能や魔術、それに類されるものであれば等しく地に伏せることになるのだ。

でも最近は対人というものには久しく、それは使うことはあまりなかったものだから。

「…誰か今度試しに付き合ってほしいものでい。」

独り言ちた。

ご案内:「訓練施設」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > 訓練施設というのは、技術者にとっても有益なものだ。何せ、異能や魔術の貴重なデータを取れる。
部屋の端にある椅子に座りスマホを弄っているイーリスだが、体内のコンピューターも合わせて用いてデータ収集及び分析している。
イーリスの傍には、漆黒の大きなアンドロイドも控えている。

「影……を操る能力ですか。失った手の代わりに影を扱うなんて、とても器用ですね」

目線はスマホに向いてるが、ふと、影の能力者に話しかけた。

リョーガ・パレコルタ > 「んぁ。」

素っ頓狂な声を上げて。
其方に振り向いた。
右腕には"図書委員会"への所属を示す腕章だった。

「まぁねい。
これが昔っからあるから家で腕に関しちゃ困らんかったよい。
まあ"これの本質"はそうじゃないんだけどねい。」

そう少女に答えながらもある程度の精密動作を維持していた。
"普通"ならこうした実力者は風紀委員会や公安委員会にいてもおかしくはないの、だが。

Dr.イーリス > 「“本質”……?」

データ収集をしてる身としては、表面上の能力よりその“本質”とやらの方が気になってしまい、あまり表情を変化させないまでも眉が少しだけ動いた。

「なるほど……。影を精密に操るところを見るにかなりの実力者である事がうかがえますが、その能力の根幹は単に影を動かし操るでは済まされない何かがあるという事ですね」

スマホから視線を逸らし、そちらに目を向ける。

リョーガ・パレコルタ > 「ん。
まぁほぼ普通にゃ開示してないけどねい。」

そう、この男は自身の異能に関しては申請済みであるがその能力からか公での開示を拒否したまであるのだ。
知るものは同じ委員会か、はてさては。
どちらにせよ、初見ではわからない能力だ。

「まーそうかもしれないねい。
でも実力があるなんてとんでもねぇよい。
鍛えたから"そこ"に伴った技術なだけでい。」

ふ、と笑みを浮かべながら答える。
努力のもとに伴った知識や技術があるからこそ。
彼もまた実力者になぞらえられる。

Dr.イーリス > 彼の意味深な言い方から、そう簡単に“本質”とやらを開示しないのはなんとなく察していた。
“本質”を知る者がいたとしても、それは親しき仲とかだろう。

「日々の鍛錬により鍛え上げられた能力。それは価値があるものですね」

データとしても、とは口には出さない。

「影の能力に関する“本質”……。影を作り出す光を操っているのか、あるいは影を縛り付けて対象に制限をかけるものなのか。影を縛り付けるものとしては、《影縫い》が有名ですね。忍びが使うあれです」

能力研究を行ってる身として、算出したデータから様々な説を唱えてみる。

リョーガ・パレコルタ > 「んー。
どうだろうねい。
あれもいい力だけでい。」

遠回しに違うとも似ているとも取れるような言い草。
それに彼自身、最初から異能を開示していては面白くないと考える人物なのだろうかもしれないが。

「…お嬢ちゃん、異能に対する知識がありそうだねい。
あまりガッコん中で見ない顔だしねぇい。」

それでもどっかで見た可能性はなくもないかもしれない。
まあ。とやかく踏み込む気はねぇよい、と付け加えて。

「…俺"の"に、興味があるんかい?」

Dr.イーリス > 彼は、中々に読めない返答をしてくる。
どのような説を説いたところで、やはり推測の域は出ない。

「不良生徒なものですからね」

不良生徒なので、あまり授業に出たがらないという事を話し。
とは言え、用があれば普通に学校に行くのであまり出会う機会がなかったというのもあるだろう。
彼の問いに、素直に頷いた。

「はい、とても……。そうですね、こういうのはどうでしょう? お時間に余裕がありましたら、今から私と模擬戦をしていただけませんか? その模擬戦で“本質”とやらを行使するかどうかは、自由になされて構いません」

イーリスは椅子から立ち上がる。
イーリスにより操作されているアンドロイド《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》は、なんとメカでありながら特殊な技術により異能や魔術を行使できる。

リョーガ・パレコルタ > 「ふぅん。
…"いいよ"い。
興味あるんなら、思い存分見せてあげるよい。」

その提案にニヤッと笑いながら乗った。
実際まだ時間は十二分にあるし、いいだろう。
久しぶりに使うから楽しみだ

「そのメカも使っていいよい。
…それが本命そうだけどねい。」

彼女と正反対の離れた位置に立ちながら、定位置について。

Dr.イーリス > 「このメカこそ、私の武器でございますからね。申し遅れましたが、私の事はDr.イーリスとお呼びください。それでは、よろしくお願いします」

端の椅子にいたイーリスだが、メカニカル・サイキッカーと共に開けた場所に移動する。
お互い位置についたところで、メカニカル・サイキッカーが先手を打って仕掛けた。
初手で異能を使ったりはせず、アンドロイドの右手の指五本からまるでマシンガンのごとく弾丸が射出された。
無数の弾丸が彼へと迫っていく。

リョーガ・パレコルタ > 「イーリス、でいね。
…んじゃ。
"図書委員" リョーガ・パレコルタ、いざ!」

と初手で無数の弾丸を視認する。
彼は右手で逆手に後ろ腰に帯刀していた刀を抜刀すると。

「…影はこーいう防ぎ方もできるんよい!」

刀を上へ放り投げ。
それを影で逆手にキャッチしながら、その影をうねるように盾のごとく操作しながら、時計半周りに近づきながら走りこんでいく________!!
弾丸は影に食い込んだり貫いたり、刀で弾かれていくッ!!

Dr.イーリス > アンドロイドが放った弾丸。
それ等が影により掴まれた事で、イーリスは目を見開く。

「本当に、卓越した技術ですね」

なんと、リョーガさんは弾丸を捌きながらこちらに接近してくる。
指のマシンガンをこれ以上放っても効果はないだろう。射撃をやめて、接近戦に備えよう。
メカニカル・サイキッカーには様々な異能者や魔術師の細胞が搭載されており、様々な異能や魔術を行使できる。
だが所詮はコピーなので“本物”に敵わない事も多々あるのと、六時間ににつき三つの能力しか扱えないのが弱点。
まず一つ目の異能。
アンドロイドの右手に、刃渡り五メートル程の大きな剣が出現した。その剣は燃えており、その熱風が肌に触れただけで燃やされているのかと錯覚する程。

「これならどうですか」

炎の剣を大きく振るう。
灼熱の刃がリョーガさんへと迫っていく。刃の熱が、床をも溶かしていた。

リョーガ・パレコルタ > その瞳で、見た。

今このアンドロイドは"使った"と。

「…ほー。
"なかなか面白れぇし、【ある】"んだねい。」

ニヤッと笑いながら、そのアンドロイドが"異能かなにか"を保持していることに気づく。
__________なら、"踏める"。

そう確信した彼は小さくうなずいて。

「来いよい。
ちょっくら風でも試し打ちだがねい。」

大きくサイドステップで避けようと試みる。
同時に試しに"風を吹かせるだけ"の魔術でそのサイドステップの推進力を底上げしながら。

Dr.イーリス > 【ある】というのが何を示しているのか分からず、首を傾げた。
ひとまず《影縫い》の類を警戒するなら、アンドロイドやイーリスの影に何かを刺されたり触れられてはならない。
《影縫い》により影を縛られれば不利になる事は明白。

メカニカル・サイキッカーが振るった炎の剣、だがそれはサイドステップにより回避された。
いや、ただのサイドステップでは、体内コンピューターによる計算が合わない。
コンピューターは、不自然な風の動きを観測したので、魔術を使ったのだろう。

「風の魔術でございますか。使いどころが絶妙ですね」

アンドロイドは炎の剣を構えて、今度は相手の出方をうかがう。

リョーガ・パレコルタ > サイドステップからの接近。
軽やかに走っているのが、影もそれに追随するように動いている。
リョーガは影から逆手に刀を受け取り。

「戦闘に使えない魔術でもこーいう使い時はあるんだよい。
…んじゃ"その影”、踏ませてもらうよい。」

そのまま魔術で再度軽く風を吹かせ、走りに推進力をいくらか持たせる。
小刻みに動きながら、意図というよりは視野を動かすことで混乱を狙えないか、というものだった。

「(さぁてどう出るかねい。)」

Dr.イーリス > リョーガさんはこちらに急接近。
だが、そう簡単に肉薄を許すわけでもない。
なにせ炎の剣は刃渡り五メートル。リーチがとても長いのだ。

「影を踏ませてもらう、ときましたか。対象の影を踏む事により発動する能力ですね」

《影縫い》とはあたらずとも遠からずといったところ。
風により突進力を上げたリョーガさん。コンピューターにより瞬時に分析した結果、普通に攻撃したところで、また風の魔術と俊敏性の併用により避けられるのは明白だ。

「対策を講じましょう」

メカニカル・サイキッカーは右手に持っている灼熱の剣を地面に突き刺した。すると、地面が溶けて溶岩が形成されていく。
なんとその溶岩は、イーリスとメカニカル・サイキッカーの影となる部分に形成された。つまり影を踏もうと思ったら、溶岩に足をつける事になる。

リョーガ・パレコルタ > アンドロイドの足元にできた溶岩。
それを視認ながらも、何か手はないか。
手持ちの魔術から対策を講じながらも接近。

「ふぅん。
まあ踏めればいいんよい。
(足元のだけとは言ってないからねい。)」

刀を投げて、軽く先の地面に突き刺すと。
リョーガはそれをなんと"踏んで跳んだ"。
そのまま印を結びながら。

「でーもその溶岩はちぃと固めるでい。」

手から溶岩を軽く冷やすぐらいにはある水の流れを溶岩目掛けて放つ。
元々は只の水の魔術に只の風の魔術で"流れ"を持たせたものだが。

Dr.イーリス > 「踏めればいい……? まさか、溶岩を踏む気ですか……?」

溶岩を踏めば、普通は火傷だけでは済まない。
足が一瞬で溶けてなくなってしまうので、影を踏むどころではないはず……。
リョーガさんは刀を地面に突き刺したが、それが何を意図しているかが読めない。
次の瞬間、リョーガさんは水を放った。溶岩を冷やすには十分の水量だ。
溶岩を冷やすに十分な水、となると傍にいるイーリスとメカニカル・サイキッカーも巻き込まれる事になるだろうか。
メカニカル・サイキッカーはイーリスを抱えて大きくバッグステップを取り、水を回避する。
炎の剣は溶岩に突き刺さったままだが、それもやがて水で冷やされてしまった。

「……やりますね。なら、次の手を打ちましょうか」

メカニカル・サイキッカーは、二つ目の異能を今まさに発動せんとしていた。

リョーガ・パレコルタ > 「まさか。
溶岩なんて踏む気はねぇよい。
…でも面白れぇねい。」

冷やされて固まった溶岩の上に着地、バックステップから、床に突き刺していた刀を抜いて。
久しぶりの模擬戦は心が躍る。

「さぁさぁ、まだ来いよい。」

次に影をうねるように動かし。
軽く辺りの許可された物をそれで掴んで投げながら接近してみる。
今溶岩の剣は手元にないが、まだ何かあるのだろうか、と推測をつけながら。

Dr.イーリス > 「お褒めいただき光栄です」

相手はかなりのやり手。
正直、だんだん追い詰められていってるといってもいいだろう。
だが、コンピューターの分析を参考にし、良い手を打てば巻き返せるはず。
メカニカル・サイキッカーはイーリスを降ろしてから、リョーガさんが投擲してきた物を右手の指から弾丸を射出して破壊。

「今から、影は消えます」

メカニカル・サイキッカーから闇が放たれた。それは光を消す異能。
さすがに異能や魔術により放たれる光は消せないが、それ以外の光が一時的に消滅し、真っ暗闇となった。
本来は視覚を奪う異能だ。光が一切ない闇の中において、視覚は何の役にも立たない。
しかし、イーリスは改造人間。熱センサーなど、視界に頼らない方法で相手の位置を掴める。
だが光を消す異能を発動した本当の理由は、視界を奪うためではない。

「光がなければ、影は生まれません」

光の消滅、それは同時に影の消滅をも意味する。

リョーガ・パレコルタ > 少年は真っ暗闇でも焦らない。
だって自身の【異能】の弱点なんて〈わかり切ってる〉からだ。
対策できないものにおいてはともかく。

__________光を奪うなんて目ではない!


「…"知ってる"よい。
『ちょっとの光』でもありゃいいんだから、ねぇい。」

手に光源用の魔術を宿すと、それを2,3発以上は投げつける。
無論アタリをつけるためだが、今回の用途は"それ以外"。
無論それは無作為だがあなた方の位置を探るためでもあり。


__________"足元に踏める影"を作り出す、ためだった。

Dr.イーリス > 光がなければ影はできない。
だが彼の言う通り、少しでも光があるならば自ずと影が生まれる。
影が完全に消滅する条件は、光が一切ない時に限られる。
光を消滅させる異能は、その光が一切ない状況を作り出すわけだが、異能や魔術により新たな光が作りだされたなら話が変わってくる。

「ッ……! 光……!?」

真っ暗な中いきなり光ればとても眩しいものだが、そもそも改造人間であるイーリスは生物の視覚ではなく機械的なレンズで見ているのでそこは平気だ。
しかし、再び影を生み出されるのは致命的。

「次の異能で……! ッ……!?」

そこで、三つ目の異能が発動しない事に気づき、目を見開く。それどころか、異能により生み出された闇が徐々に消えていくではないか。
真っ暗な中で光源を用意したのはリョーガさんだ。つまり、リョーガさんが都合のいい位置に光を生み出し、それはつまりリョーガさんの都合が良い位置に影を生み出す。
すなわち、リョーガさんの足元に直接、メカニカル・サイキッカーとイーリスの影を作り出せるという事。

「そ……んな……」

異能が発動しない。つまり、影を踏まれた者は、異能を制限されるという事なのだろう。

「これが、あなたの異能の“本質”というわけですか」

リョーガ・パレコルタ > __________【産まれたアンドロイドの影】を"踏んだ"。
そう、これが図書委員の彼が風紀や公安に引っ張りだこにされかけている所以。
影を踏まれたものは異能や魔術に制限を課される。

_______異能 《影踏み(シャドウ・ポイント)》。

「はい、終わりでい。
うん。これが俺の異能の正体ってこった。
どーする、まだやれるなら続けようかい?」

刀を納刀し、そう少女に問いかける。
でも彼にはもう戦意、というよりは続ける気もなさそうである。
変に貴女を気遣っているわけでもないが。

Dr.イーリス > 「……そうですね、私の負けです。お相手ありがとうございました」

両手を上げて、降参の旨を告げた。
メカニカル・サイキッカーには様々な兵器が仕込まれているので、これが死闘だったならば不利ながらそれ等を使って対抗しなければいけない状況となっていただろう。
しかし、異能を封じられたら基本的に負けだ。これは模擬戦なので、影を踏まれた時点でそれ以上やる意味もなく、素直に白旗を上げた。
敗北こそしたが、リョーガさんの異能の“本質”を見る事が出来た。とても貴重なデータだ。

「異能や魔術を無効にしてしまえるとは……恐ろしい能力ですね。風紀や公安に所属していれば、悪事を働く能力者を無力化するのに役立ちそうなものです」

リョーガ・パレコルタ > 「いいんだよい。
一手【読み違えていたら】負けてたねい。
光を吸収する異能だったら猶更だよい。」

強かった、お見事と小さく拍手を送る。
だってあれだけの異能を組み込んでいるアンドロイドなんてなかなかない。
その技術力かにも称賛を。

「全部が全部無効化できるわけではねぇよい。
異能が強すぎるなら全部制限できるわけじゃあねぇさ。

それに風紀や公安は俺にとっては『柄じゃないんで』ねい。」

ふぅとあたりを片付けながらそう口にした。
全部が全部無効化できるわけでもないのだろう。
理由についてはそう語るのみだった。

Dr.イーリス > 「あなた程の手練れにお褒めいただけるのは、とても喜ばしき事ですね」

拍手をしてくれた事に、ぺこりと一礼する。

「世の中、とても強力な異能の持ち主がいるものですからね。どちらにしても、能力を制限できる異能は貴重です。私は風紀委員と揉め事を起こしてしまう不良なので、あなたが風紀や公安に属していなくてほっとするところはありますね」

風紀委員に目をつけられる事もある不良少女、このような手練れが風紀や公安に所属していない事には本当に安堵。
いや、本来は強力な人が治安維持組織に属してなくて安堵するというのはよくない事ではあるが。

「ところで、制限された異能は時間が経てば戻るのでしょうか?」

小首を傾げる。

リョーガ・パレコルタ > 「ん。
別に風紀や公安が嫌いなわけでもないよい。
強いて言えば…俺はただの【縁の下の力持ち】で居たいだけなもんでねぇ。
でもまぁ、風紀に目を付けられんには十分気ぃ付けるこった。」

彼女がいかなる不良少女かは彼は一切知らない。
でもこの場で何も言わないのは彼なりに筋を通したか、あるいは。
と、リョーガは。

「んや、時間でもいいんだがねい。
俺ん影踏めばすぐに解除されるよい。」

トントン、と足で己の足元を。

Dr.イーリス > 「なるほど、リョーガさんなりのポリシーがあるのですね。図書委員も、人々の役に立つ方々でございますね。私も図書館はよく利用しております」

独学のメカニックとしても、異能や魔術の研究としても、図書館を利用しない手はない。

「影を踏み返せば異能の制限が解除される、まさに子供の頃に遊んだ影踏みのようですね」

漆黒のアンドロイドが影を踏んだ。
念のため異能の制限が解除されたかどうか確かめるべく、メカニカル・サイキッカーは右手に刃渡り一メートルの燃える剣を出現させる。ただのテスト使用なので、先程よりも小さい剣だ。

「ちゃんと異能の制限が解除されたみたいですね」

すぐに、炎の剣を消滅させた。

「模擬戦で床を溶かしてしまいましたし、私はその報告をしにいきますね」

リョーガ・パレコルタ > 「ん。
まぁ気にするこたぁないでい。」

それだけを答えた。
実際リョーガは図書委員の仕事にも筋を通し、誇りかは持っているのだから。
でも彼は理由の"本命"を口にしなかった。

「ん、ならよかったよい。
…さ、俺も報告に行くとするかねぇい。
独りで女子を説教に晒す奴ぁどこにいるんだがよい?」

と、つい暴れすぎたよい、と入り口に先に向かいながら。
真意をつかみにくい彼だが、これだけは真意だろう。

Dr.イーリス > 「私がつい溶かしてしまった床ですから、リョーガさんまでついてくる必要は……。いえ、ありがとうございます」

あまり表情の変化がなかったイーリスだが、僅かに微笑した。
リョーガさんに影を踏まれないために咄嗟に形成した溶岩だが、二重の意味でヒートアップしすぎた。

その後、二人で報告に行った事だろう。
説教を受けた後は、イーリスがその技術力を以てちゃんと修繕したという。

リョーガ・パレコルタ > _________。
その後、彼と彼女は施設を出て、その場で解散したのちかもしれない。
彼の方は、一人影をゆらゆらと動かしながら帰宅を。
ふと、端末に電話がかかってくる。

「あい、パレコルタだがよい。
だーからぁ、『柄じゃない』んだよいー。
そっちにゃ行かねーよい。」

と電話を切った。
やれやれだねい、とそのままのらりくらりと。
影と風のように。

ご案内:「訓練施設」からDr.イーリスさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」からリョーガ・パレコルタさんが去りました。
ご案内:「演習施設」に倖月 保志さんが現れました。
倖月 保志 > 制服姿の少年が立つ。
何処にでもいるような風貌だが背には身の丈ほどの大太刀を背負う。

「わぁ~こんな施設もあるんですねえ~。」
「実家にも体を鍛える空間はあるんですけど~ここは随分と安全に配慮してるようですね~」

暢気なお喋りしている最中でも"模擬戦"が始まる。
隙だらけの出で立ちは微動だにしない。
そんな中、無機質なマネキンのような物が3体、保志を取り囲むように陣を取る。
保志は暢気なお喋りをしながらちらり、と後方右手側と後方左手側の敵を確認した。真正面の敵はひとまず後回し。

倖月 保志 > 「う~ん…なるほどなるほど」
「結構隙のない構成ですね。確かにボクがチェスをするように自立人形とかを動かすならばこの立ち位置がセオリーだと思いますよ~」

確認。
一つ、真正面のマネキンは刀を持つ。恐らくコイツは自分と同じく白兵戦が主体で異能や魔術といった小細工はしないと言っていいだろう。その分、接近戦におけるAIは上だろうが。
二つ、自分の右後方。この型は拳銃を持っている。が、それだけではない。右手で拳銃を狙いつけながら左手に冷気を纏っている。氷で足止めして射撃を放つとみて良いだろう。
三つ、自分の左後方。これは油断できない。魔術書でいつでも魔術が起動できるタイプだ。保志自身も魔術の類は取得していないため詳細は不明。

背負った大太刀の柄に手をかけて動く

倖月 保志 > 「まずは先手を貰います。"風舞"」

保志の取得している術理は簡単に言ってしまえば対応力が非常に豊富な武術。
技を見て防ぎ、カウンターで仕留める。
ただし対他数の場合は後手に回るとジリ貧になるケースが多い。

その場合は不意を突く。
例えば、左後方を急に振り向く。
魔術のマネキンに本領を発揮させないと動いた瞬間に正面にいた刀のマネキンが袈裟で切りかかってきた。

予想通り。
少し前傾姿勢になって屈む。そうすると袈裟に振り下ろされた刀が背負っていた保志の大太刀の鞘に阻まれた。
防御。そしてそこから一瞬で最大速度に達し魔術のマネキンを両断。

次いで氷柱と銃弾を放つ二つ目の拳銃のマネキンには切り伏せたマネキンを投げ寄越し視界を塞いだ後両断


最後の刀のマネキンも一騎打ちにも関わらず僅か2合で決着がついた。

ご案内:「演習施設」から倖月 保志さんが去りました。