2024/06/18 のログ
ご案内:「訓練施設」に倖月 保志さんが現れました。
倖月 保志 >  
「ふう…少し集中しますか…」

薄暗い訓練施設の中。
時間帯的に日は沈んでしばらくした後だろうか。それとも意図的に電気を消しているのだろうか。
いずれにしろこの場にいるのは今のところ保志という少年一人。一人になる時間帯を選んだのであろう。

彼は背は低いが自身と同じくらいの長さの大太刀を背に差している。
これを振るうどころか鞘から抜けないのではないだろうか?
その心配は無用で背中から抜く心得はある。
むしろ背中に背負ったままの非武装状態から瞬時に抜きながら攻撃を放つ、背負い太刀抜刀術なんてのもある。

倖月 保志 >  
背負った状態の太刀を抜くには少々コツがいる
まず大前提として保志は右利きである。右利きである場合は左肩側に太刀の柄があるようにする。

「ふぅぅぅ、集中~。でも体はリラックス~」

脱力。保志はこの見てくれではあるがもうすでに十分すぎる筋力はある。フィジカル特化だ。
故、抜刀する際は特に手に余分な力を込めず

「いつも通りに~まるでラジオ体操でもするかのように~」

脱力。
右手で柄を取る。
左手で鞘を抑えつつ少し体制を前かがみにする。
右手を前に出して刃を抜く。
左手で抑えた鞘は逆方法にほんの少しだけ力を加える。最悪固定するだけでもいい。
太刀の反りを利用して鮮やかに、するり、と抜く

倖月 保志 >  
得物は大太刀。
その4尺5寸にもなる刀身はいとも容易く抜かれ、逆に抜いた拍子に保志の体が前へと加速する動きを見せる。
抜刀術。それも長い間合いから油断している敵を一呼吸で逆袈裟に切り伏せるもの。
太刀筋はほんの一コンマのズレもなく鮮やかに軌跡を描いた。

「間合いにして最大15mですかね…もう少し行けそうですが過信は禁物です」

残心。
納刀。
再び抜き身の太刀を鞘に納めてまた同じ型。
背負い太刀からの居合の構え。

「次は抜きのスピードが物を言いますからね~深呼吸~集中~」

緩い言葉とは裏腹に呼吸を安定させる。
保志の流派において呼吸とは重要な要素であり自分の呼吸と相手の呼吸も見る。

倖月 保志 >  
息を吐く、息を吸う
息を吐く、息を吸う…止める。

「しっ!」

瞬間、保志は既に太刀を抜いて振るっていた。
誰もいない静寂な訓練施設に唐突な風と風音が発生したのがその証拠だろう。

常人では目で追う事すら出来ず死んだことすら、そして斬られた箇所すら分からぬまま死んでるであろう。神速の抜き打ち。
保志の目ではしっかりと補足しており、この一瞬で起こった事と言えばまずは少し体を前かがみにしながら抜くそれはいい。
だが想定した敵は近くにいる。なのでそこで前に出すぎず、その場でさらに前かがみに低い体勢に。
自分の小柄な体格を利用しての体勢だ。
そのまま懐に潜り込んですれ違いざまに胴を横薙ぎ。

これが一瞬で起こった事だ。

倖月 保志 >  
また太刀を収めて残心。
調子は悪くない。良好。
ここのところ調子は悪くはない。そして学園にも慣れてきた。

「そろそろ遊びにいくのもいいかもしれませんね~」

そう言ったきり少年は無言のまま剣を振るうのだった。

ご案内:「訓練施設」から倖月 保志さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
訓練施設。
畳の敷かれたエリアに一人、正座して瞑想する武人が一人。

「───……」

スゥ…。
と、呼吸の音すらも僅かにしか聞こえない。
しんと静まり返った練武場にいるのは風紀委員、伊都波凛霞。

伊都波 凛霞 >  
機界魔人(テンタクロウ)を取り逃がしたことは記憶に新しい。
自分の失態で風紀委員の仲間数名が負傷したことも含め、自責の念は強い。

自分が悪い。
二度目の降伏勧告なんかするべきじゃなかった。
それで、その後の彼の犠牲者は増える。
その中には……"彼"に興味をもった、自分のもっとも大切な…妹までも含まれるかもしれない。
絶対ダメだっって、その場で言ったけど──。

「………」

薄く目を開ける。
残留思念を読む異能があったって。
先のことを高精度で予測できる異能があったって…一人が考えていることすら理解らない。
もしかしたら、という買い被りが招いたことだ。

伊都波 凛霞 >  
彼を"逮捕"するのではなく、"始末"すべきだったというのは判断ミス。
彼が、言葉の通じないただの怪物だったら…迷うことはなかっただろう。

それでも。
あの局面からでも。

自分が油断さえしなければ。

──状況の打破は可能だった筈。

つまるところ。覚悟と修練の不足だ。

衣擦れの音すらなく、立ち上がる。
ゆっくりと斜の構えをとって‥深く深く、呼吸を鎮めてゆく。

ご案内:「訓練施設」にDr.イーリスさんが現れました。
Dr.イーリス > 訓練施設は色んな能力者が鍛錬しにくるので、良いデータが取れる所でもある。
ついでに、メカの試験にもちょうどいい。
漆黒のアンドロイド《試作型メカニカル・サイキッカーMk-Ⅲ》を引き連れて訪れたのは、畳が敷かれたエリア。

「……」

そこには、なんだか覇気が感じられる方がいらっしゃったので、一瞬委縮。
その方が先日懇親会に来ていた人物であると気づく。確か、凛霞さんだったかな。彼女の事は、そう呼ばれていた。

出来る限り邪魔にならないよう端っこにちょこんと座り、スマホを弄り始める。
スマホを弄りながらも、覇気を放つ凛霞さんが構えをとってどのような技を繰り出すのか視覚となる双眸のレンズで注視していた。

伊都波 凛霞 >  
「───ふ」

小さな小さな、呼気の音。
それと共に"一般人が感じ取れる情報"は、構えとして前に突き出されたいた右手の道着の裾がバサリと揺れる。のみ

直後、数メートル先にあった剣道の打突用のダミーがその場から弾け跳ぶように、真上に飛んだ。

所謂"遠当て"。
見る者が見れば相当なレベルのそれであることが理解る一撃を終えて、
長いポニーテールを棚引かせながら、凛霞は隅に座る彼女へと向き直った。

「こんにちわ。懇親会に来てた子だよね?」

雰囲気は一転。ぱっと明るい笑顔を見せながら、そう声を掛ける。
驚く様子もなく、ちゃんとそこにいるのが理解っていたかのよう。

Dr.イーリス > 凛霞さんの構えからの動作は意外な程小さい。
動くの小さい格闘技なのだろうとほんの一瞬思っていたが、体内コンピューターが解析したその数値が凄まじかったので両目を身開く。
何なら、その数値自体が安定しなさすぎて、“凄い”という事以外分からない。

直後に、ダミーの人形が吹っ飛んだ。
格闘技に関してはデータでしか知り得ないが、かなり熟練した技である事が理解できた。

「す、凄まじい技です……」

その後、こちらを見て挨拶する凛霞さんは先程の格闘家特有の覇気のようなものが完全に消えていた。

「こんにちは。そうですね、私の事はDr.イーリスとお呼びください。しがない不良少女です。技術者でもありまして、データ集積のために訪れていたのですが、いきなり凄まじいものが見れました……」

吹っ飛んだダミー人形の方へと視線を戻した。