2024/06/26 のログ
照月奏詩 >  
「っとぉ!!」

 どうみても人とは思えぬ動き、その上に即座に以降してくる足払い。
 回避するのは困難だ、それならば受け流す。足に飛んできた攻撃を受ける。脱力しできるだけダメージを軽減。そして払われる足、そしてバランスを崩して手を付いた刹那。それを使って後ろへと跳ねる。

「俺もだけど、慣れたくなくても慣れちゃったが最後なぜか向こうから寄ってくるんだよなこういうの」

 嫌になると笑う。
 今出ている情報を集める。先ほどの破片は音がおかしかった、妙に軽い、力が籠っていないような。そして今回は相手が急に異常なまでに脱力した。

「俺と同じタイプ、というより攻撃型って感じか。力の弱体化って感じか?」

 流石に概念に対する弱体化とは見抜けていない。というよりそこまでは不可能だった。だが破片の力を弱めたり、自身の力を弱めたり。そう考えれば辻褄があった。
 後ろへ跳ねたまま地面に手を付くそのまま逆立ちするように倒立。手をばねのように使い跳ねる。
 足のダメージがあるためこんな曲芸みたいな動きになってしまった。

「そうなら正直ぶち破る手段が無いんだが……!!」

 そのまま上から。所謂虎爪と呼ばれる手の形。だが紫電を帯びたそれは文字通りの爪の切れ味を持つ。
 上から落下の勢いに任せて狙う。肩あから腰にかけての袈裟を狙って。

先生 手紙 >  
「わっかるゥー。落第街の紅いヤツとかほんとさー」

払ったが手応え――もとい脚応えがない。これもいなすか。

「……そ。『七つ目ダイス』。概念を弱める異能だよ。ソレを魔術と呪術で縛って使ってる」

如何様(イカサマ)のタネを明かす――理由は、

「知られて困る能力じゃないことと――呪術的な縛りで、開示すると効きが良くなるンだよ……ねッッ!」

立ち上がらない。床に手をつけたまま、猫のように伏せている。

「つまり、こういう事もできる

――床が、摩擦力を少しの間喪う。踏み込みが強ければ転ぶだろう、突然のバナナの皮案件である。ゆえに躱そうとしない。だっておれも今、立てないからね!

照月奏詩 >  
「ああ、例の。怖いもんだ、俺も仕事中に会ったらと思うとゾッとする。てか、あれと遭遇して生きてるだけでも相当なもんだと思うぞ。やっぱ先輩凄い人じゃん」

 あれと遭遇して生存している時点で上澄みも上澄みだ。やはり自身では勝ち目が薄い相手だ。
 ネタを明かされて目を見開く。

「想像以上にヤバい能力だった……俺は単純明快、バリアだ。受けたダメージとか熱とかそういうのをゼロにするっていう形でな。だからさっきみたいな芸当も出来るってわけだ」

 そうしてこちらは爪を使い頭上から襲い掛かろうとした。
 しかし地面に足がついた途端。

「ッッ!?」

 ズルッと滑る。地面に踏ん張りが一切効かない。
 頭を回転させる。奏詩としてこの状況を打開できる手段は……無い。
 ズデーンと思いっきり尻餅をつく。

「尻いってぇ……流石にバリアを足場にとか、そういうのは出来ないし」

 色々と対策を考える。地面に爪を突き立て飛び掛かる? 無理だ、そんな力はない。反動を利用して上に飛び上がる程度は出来ても前に飛び掛かる力はない。
 慎重に立ち上がる? それこそ無理だ。そんなの狙ってくれというような隙になる。相手が選択権を有している以上プルプルと立ち上がった際に床の摩擦を復活させて相手だけ即座に攻撃したら防ぐ手等ない。

「あー、ギブギブ。詰み!」

 結論としてこれだった。

先生 手紙 >  
「――ふぅッ!」

ギブの声を聞いて息を吐く。

「なんとか先輩の面目は保たれた……か。いや、マジで結構ヤるよね照月クン。最後のアレ、普通に喰らったら治療コースだったでしょ」

式を問いて立ち上がり、手を差し伸べる。搦め手で取った、生真面目タイプからは嫌われそうな一本だが、それはそれ。

「――アレと遭遇して、ってワードがさ。照月クンも遭ったことがあるって言ってるようなもンだぜ?で、無事だった。つまり君も相当ってこった」

三体までは仕留めたが。増える怪異は厄介なモノだ。特に目撃例が一ツだけの『熊』……ああー考えたくねェー。

照月奏詩 >  
「あの程度で治療コース入るならとっくに死んでるでしょ先輩は」

 それくらい見抜けないとでもと笑った。
 そう言って立ち上がる。だがその後の指摘には笑う。

「いやぁ、俺の場合は全力逃走だけどな。なんか紅い花? があって明らかにヤバい雰囲気だったから口周りに能力発動して全力で逃げた感じ……なんか妙に苦しそうな人がいたから毒かもしれれないな」

 なんて少しだけ情報を漏らす。別に手柄が欲しいわけでも仕返ししたいわけでもない自分の目的はあの町を平穏にすること。
 であれば、対策出来る相手に情報を漏らすのは悪手ではない。

「でも鋭いなぁ、あんな一言からあっさり見抜くなんて。実は風紀だったり?」

 それなら戦闘能力も納得と。

先生 手紙 >  
「勘所がいーの。もう少しお互い熱が入ってて、ノってたら威力は跳ね上がってた。ドラム缶ぐらいなら咬めるンでない?アレ」

そんな所感。……で、花か。報告にはあったなーと思いつつ。

「一応、蜘蛛、クラゲ、サメはこないだ討伐したけども。ここまでくると風紀というかエクソシストセンジョーって感じがしてきて困ってしまう」困ってしまう。

「ふっは。おれが正しさをモットーとする風紀委員に見えるかァ?屋上で煙草吸ってるタイプのダブリですよ」

照月奏詩 >  
「ドラム缶……まぁギリギリいけるかどうかって所かな。まぁつまり俺の必殺技って訳よ」

 奏詩として出せる技ではたぶん最大威力に近い技だ。急所を狙って一発とかも出来ないわけじゃないが、だとしても急所に指をぶち込んだ上で引き裂いた方が強いわけで。
 しかしその後の報告を聞くと目を見開く。

「うっわ、だいぶ凄い人だった。3匹もとかヤバいでしょ」

 逃走させなければ花はなんとかなったかもしれない。だがあれが3匹もいたらどうなったかわからない。それを成功させるとは目の前の相手はヤバい。

「風紀にも色々いるからねぇ。そういうタイプの風紀だっているかもよ。有事の時だけ真面目になるタイプ」

先生 手紙 >  
「まァ、うン。正直に言えばその辺の魔術使われとか異能頼りには負けない程度に頭と身体鍛えてンよ」

はーいー汗かいたー。と背伸びをする。

「君のバイト先のこともあるし、ほら。おれも不良だからさァ。学園周りだけが平和、だけだと満足できないンだよね」

せめて、ではなく。最大限手の届く範囲の――公の安全、というのを守るわけだ。これは胸の中。

「まァ、うン。風紀の知り合い多いけど、色んな子がいるね……悪くない喩えのはずだったのに、濃すぎンだよウチの生徒……」

照月奏詩 >  
「もうホント風紀とか入った方が良い人柄じゃない先輩?」

 それ完全にそっち側の人じゃんと。
 勿論人の性格もあるので一概に向いているとは言えない。ましてや彼の正体など知ろうはずもないのでそんな事を話していた。
 濃すぎるときけば笑って。

「ホントに、まぁその分色々な人をカバーできるんじゃない? バカ真面目ばっかりだったら犯罪者の前に校内で不良グループとの戦争が勃発しそうだし?」

 そういうのも許容する緩い人もいるから成り立っているのだろうと。もし不良グループが生まれたら……それはそれでかなり面倒な事態になりそうだ。
 そこまで話してよっとと立ち上がる。

「さて、尻の痛さ引いたし俺はそろそろ行くわ。結構しっかり動かせたし……いつかリベンジ! っていいたいけど。道具とか使わないと難しそうだこりゃ」

 なんて言って歩いていくだろう。

先生 手紙 >  
「ヤだよ絶対ェ面倒くせェ役割押し付けられンじゃん」

笑いながら煙草を銜える。火はまだ点けない。ここは禁煙だからね!

「そ―言う照月クンだって風紀に向いてないとは言い切れないンじゃない?『目』が表側以外にも行ってる子は、節理を守る側に向いてるよ」

こちらも、今のところ素性など知らない。そういう所感に留めた。調べることもないだろう。

「手合わせだったらいつでも歓迎だよ。ついでに落第街で襲われてたら是非助けて欲しいね!ぶっちゃけ単騎で討伐するの、しんどい」

できない、ではないところに男の子の意地が垣間見えるわけで。

並んで帰るのでした。

「おれは男子寮なンだけど。照月クンどこ住み?」

――なんて、最後の会話は世間話に、毒の無い花をを咲かすのだった。

ご案内:「訓練施設」から先生 手紙さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から照月奏詩さんが去りました。