2024/06/30 のログ
ご案内:「訓練施設」に龍宮 鋼さんが現れました。
■龍宮 鋼 >
休日に訓練施設まで呼びだされた新人教師。
なんでも戦闘訓練をしたいと言うことらしい。
その一室で相手を待っている。
「――なにも休みにやらんでもいいだろうがよ……」
せっかくの休みが潰れてしまった。
まぁこれも仕事の内ではあるのだが、正直めんどくさい。
内容が「ケンカ」でなければ断っていたのだが、まぁしかたない。
ご案内:「訓練施設」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
「ええと、ごめんなさい。
でも、どうしても気になって"なるはや"で申請をだしたら……」
自主的補講申請:喧嘩("対話目的の暴力")。
そんな突飛な申請が巡り巡って新人教師の龍宮 鋼にたどり着き、今に至る。
完全に初見ではない気がするが、あまりなじみのない教師と言う認識だ。
態度は堅めで、休日を潰してしまった罪悪感を感じている素振り。
「改めて……一年のエルピスです。ある先生から"対話目的の暴力"というものをチラっと聞いたので、それを手伝ってくれそうな先生を探していました。」
昨日の話。
ファレーマンと名乗る講師がぽろっと零した一言が妙に引っかかり、先の話に至る。
出会った場所が落第街のため名前は出さないが、それ以外の事情を改めて説明した。
■龍宮 鋼 >
「まァ特に用事も無かったからいいけどよ」
そもそも用事があれば来ていない。
あんま気にすんな、と適当に告げて置き。
「対話目的のケンカ、ねェ……。
暴力なんてもんは気に入らねェもんを黙らすためのもんだよ」
気に入らないからぶっ飛ばす、殴りたいからぶん殴る。
そんなものに対話もクソもなく、口で勝てないからより簡単な手段を取るだけだと思っている。
少なくとも自分はそうだった。
「ま、理由はどうあれケンカしてェってことだろ。
だったらいいぜ、つきあってやんよ」
ポケットから革手袋を取り出して手にはめる。
めんどくさい問答は嫌いだ。
■エルピス・シズメ >
「……黙らせる手段。」
真面目に話を聞く。
予想の外だったのか。反応までの間が長い。
(でも、それが一番シンプルだよね。)
できるのならばそれが早い。
そうした記憶はちゃんとある。
生物的にも単純明快。
強い力を振って勝てるのならばそれが早い。
続く声で、思考に耽っていた意識を取り戻す。
「ええと、そうです。そうします。
先生相手に遠慮はいらないと思いますので、胸をお借りします。」
気を取り直して向き直る。構えは未だだ。
「その場で獲物を都合することが多いのですが、今回はそうでもないので。
獲物を一つ用意させてもらいました。いちおう、刃は引いています。引いても機能する類ですが……」
ステンレス製のククリナイフ。
悩みに悩んだ末、この少年はこの材質のこの武器を択んだ。
■龍宮 鋼 >
「胸を借りる、ねェ」
顔に笑みを浮かべ、構えを取る。
右足を前に置くサウスポースタイル。
前に出した右腕は、下で構えて揺らす。
「何言ってんだオマエ。
オマエが今からやんのはケンカだ。
相手をぶん殴ってボコボコにして、自分が上だと思い知らせるのがケンカだ」
武術や鍛錬ではないのだ。
力で威圧し、気持ちで圧倒する。
それがケンカなのだ、と。
胸を借りるなど、そもそも立ち位置が違う。
「ましてやオマエ、誰の前に立ってると思ってんだ、あァ!?」
叫び、一気に間合い迄飛び込む。
まだ構えてもいない彼に向けて、長い右腕を鞭のようにしならせ、拳を放つ。
ボクシングで言うフリッカーと呼ばれるジャブを顔面に。
■エルピス・シズメ >
「 ! 」
怒号を意識するよりも先にフリッカーが顔面に直撃する。
頭を揺らす一撃に意識を飛ばしかけるが、気を保って大きくのけぞり間合いと衝撃を延ばす。
「ぁ、く……」
誰の前に立っているかは理解した、
が、考えている暇はない。
ステンレスのククリナイフを持った生身の左腕を挙げ、防御の姿勢を取る。
反射的な防御姿勢だ。
■龍宮 鋼 >
「オイオイオイオイ、お行儀のいいスポーツやってんじゃねェんだぞ!」
様子見のつもりで放ったジャブが直撃した。
余りに無防備な彼の様子に思わず笑ってしまうほど。
しかしそれでも動きは止めず、彼の周囲を周りながら二度三度と続けて左拳を連射。
「これァケンカだぞ!
準備万端な相手前にして棒立ちしてる奴があるか、あァ!?」
ハンマーでぶん殴るような威力のジャブをつるべ打ち。
とは言え防御の上からひたすら叩き続けているだけだ。
これでもある程度は手加減しているが、威力は一切そんな様子はない。
■エルピス・シズメ >
熱の篭った叫びが聞こえるが、中身を聞く前に応戦に移る。
左拳をククリナイフで受け止め、二撃目は弾き、三撃目はかわす。
周囲を回って揺さぶられる時間で、彼は思考を研ぎ澄ませる。
「だけど、先生だってまだお行儀がいい、です!」
目の前の講師が行っている行為は暴力だが、技が見える。
技であるのならば、意図が見える。
つるべうちで繰り出される拳の一つを読んで、
差し返すようにステンレスのククリナイフによる薙ぎ払いを"置く"。
目論見が通れば、ジャブをナイフで弾いて相打ちの状況を作り出すだろう。
■龍宮 鋼 >
軌道の読みにくいフリッカーに三発目で対応してみせた。
それだけに留まらず、ついには拳にナイフを合わせて来た。
金属音と共に拳が大きく弾かれたが、こちらもナイフを弾くだけの威力は拳に乗せてある。
「ッハ!
言うだけのこたァあんな!」
弾かれた拳、その勢いを殺さずにぶん回し、同時に一歩踏み込む。
ぶん回した拳をそのまま彼の顔に向けて思い切り振り抜く、右フック。
中距離からの左の差し合いではなく、近距離でのぶん殴り合いに移行。
■エルピス・シズメ >
(ケンカは、"わからせ"?)
先生の喜が混じる声を流して、
出来る限り思考時間を稼ぐ。
外付けの経験があれど、それでも相手は教師だ。
思った通りにコトが進まないと考えるべきだ。
"そしてケンカがしたい。"
お互いの戦いの動機はそこだ。
「うあっ!」
思考終了。ぶん殴られて痛みが走る。
インファイトに持ち込まれた。
腹を括って受け入れ、身体を捩じって強引に機械の右腕で右フックを受ける。
足を止めてはいけないし、倒れてもいけない。
痛みを堪えながら、第3の腕を行使して相手のTシャツを掴みに掛かる。
払わなければ、布地ごと身体を引っ張って引き落としに掛かる。
そして彼自身の体勢も何処かに転げそうなほど、不安定だ。
■龍宮 鋼 >
右からぶん回した拳は機械の右上に防がれた。
ガードの上からでも十分すぎる衝撃が彼を襲っただろう。
同時に掴まれる自身の服。
「寝技に持ち込もうっつーのは良い選択だ。
だが――」
彼がそれを引っ張っても、こちらの体幹はビクともしない。
地面にしっかり根を張った大木を、思い切り引っこ抜こうとしたときのような感覚。
「そう言うのァ、相手の体勢考えてやれやァ!!」
右を振り抜いた捻り、それを利用し、今度は左腕をぶん回す。
彼の右わき腹を思い切り掌底でブッ叩く。
叩きはするものの、殴ると言うよりは思い切り押すような。
ぶん殴って肋骨が折れてしまっては困る。
■エルピス・シズメ >
圧倒的な体躯と体勢の格差。
びくともしないと判断すれば、服が破れる前に手を離す。
露出させてしまう倫理的な理由もあるが、それ以上に"空振り切れば圧倒的な隙になる"。
怒号を聞いて『追い打ち』『大技を受ける』覚悟をする。
残った全ての気力を振り絞って、片膝をつき自ら右わき腹を差し出すように向ける。
そうして、加減はあれど容赦のない拳底を右わき腹に受ける。
「ぅ、くぁあ、っ!」
それと同時に、力づくで地面にステンレスのナイフを刺す。
『ナイフを支えにして何としてでも倒れることは避ける』腹積もりだ。
ナイフを握る手は離さない。
地面を裂きながらも衝撃を殺して大きく下がり、膝と短剣を犠牲に倒れることだけを防ぐ。
高品質な合金であるステンレスのククリナイフと言えど、無理に無理を重ねた使い方をすれば砕ける。
この"ケンカ"への勝ち筋は見えない。
暴れて一矢二矢報いることも可能かもしれないが、そこまでの話だ。
あっさりと降参を認める事に不況を買う不安はあるが、無理をして怒られるよりは多分マシだ。なので──
■エルピス・シズメ >
「……せ、せんせいにわからせられました。"降参"です。」
そのような意図で、降参を宣言した。
■龍宮 鋼 >
「――ま、こんなもんだろうな」
彼の降参宣言を聞き、戦闘態勢を解く。
右腕をぶん、と、刀の血振りのように振る。
「そいじゃ答え合わせだ。
まず初っ端だな。
特に落第街なんてとこでヨーイドンは期待すんな」
こちらの初撃に一切対応出来ていなかった。
いつでも殴られる覚悟、もっと言えば自分から殴りかかる覚悟が圧倒的に足りていない。
「引き倒す選択肢のことはさっき言ったな。
あとは、まァそれだ」
彼が地面に突き立てたナイフを示す。
「得物使うんならそれを使えない状態にすんな。
逃げるにしろケンカ続けんにしろ、地面転がって距離取った方がまだマシだ」
それで転倒を防いだとして、突き立てたナイフを引き抜いて構える間に隙が出来る。
吹っ飛んだ勢いを利用して地面を転がり、その勢いのままに立ち上がった方がよい。
■エルピス・シズメ >
「ええと……善処したいんだけど、僕の悪癖みたいで……
なんか、初撃って『本当にヤバイ!』って時は身体が動くんだけど、そうじゃないといまいちやり辛くて……むしろ初撃ってどうすればいいんだろう……」
惑う素振り。
初撃を受けてしまう悪癖があることを告白した。
「えーと、それは、その場で獲物を都合……
……うん、ある程度は意識してみるようにしてみます。
転がって距離を取る、ですね。」
第3の機械の腕を回しながら頷く。
少し思うところがありそうだが、口答えはせずにしっかりと聞くことにした様だ。
(分かりづらい意地は張らない方がよさそう、武器になりそうなモノのカウントも、ちゃんとした方がよさそうかな……。)
■龍宮 鋼 >
「ま、意識の問題だな。
いつケンカ始まってもいいように気ィはっとけってこった」
流石に誰彼構わずケンカを吹っかけていたら色々マズい。
実際に先手を取ると言うよりは、いつでも対応出来るようにしておけと言う方が近いか。
「一応言っとくが、その場その場の判断で変わるからな。
武器を諦めるんならそれでいい場合もあるし、距離取れねェなら倒れねェ方が良い。
その辺は場数踏まなきゃわかんねェが」
何にしても、一つのことに拘るな、と言う話。
とは言えそんな場数は踏まないに越したことはないのだが。
「一番いいのはあんなとこに近寄らねェことだがな。
入り口だけ、って思ってても、いつの間にか奥の奥まで入り込んでることもある」
地理的な話ではない。
ある程度の場所で深度は変わるものの、ああいうところはそんな単純なところじゃない。
入り口のすぐそばで、そう言う迂闊な生徒を食い物にしようと待ち構えている者もいるのだから。
■エルピス・シズメ >
一通りの経験則を理解し、頷く。
続くものに『一つを除いて』思うところはなかったため、
すんなり受け入れた。
ただ──。
「あんなところ?」
シラ切り3割、疑問3割、不審3割、困惑1割。
今回の申請にあたって、ある先生としか話していない。
落第街の話も出していない筈。
事前調査や根回しでもなければ、能動的に調査する雰囲気も受けなかった。
なので、
龍宮 鋼の『あんなとこ』が何を指し示すのか、問い返した。
■龍宮 鋼 >
「すっとぼけてんじゃねェ、落第街だよ。
ケンカの勉強してェなんて、あそこでしか使わねェだろうが」
表の街で暮らしているなら「対話目的の暴力」なんて必要ない。
それをわざわざ学びたいなど、落第街で活動しようとしているか、既にした上でそう言う経験をしたか。
とにかくそう言うことでもないとしようとも思わないだろう。
「大方落第街でも言って、センセーに見つかってそんなこと言われたんだろ。
行くなたァ言わねェが……まぁ気ィ付けろよ」
ここで止めない辺り、真面目な教師ではない自覚はある。
■エルピス・シズメ >
「うーん……ノーコメントで……。」
肯定するとややこしいことになるし、その先生にも迷惑が掛かる。
直球の解答には、答え合わせに近い濁しを返した。
「何にしても最近は物騒ですから、気を付けます。
指導も含めて、色々とありがとうございますね、龍宮先生。」
曲りなりにも心配の意図の忠告で、敢えて止めはしない。
そして何より得るもの多く、無茶振りにも応えてくれた。
気を遣って貰っているのは確かだ。
ゆっくり立ち上がり、身体の埃を払う。
そしてぺこりと、礼儀正しくお辞儀をする。
■龍宮 鋼 >
ノーコメントと言う答えがもう答えのようなものだ。
呆れた顔でがさがさと頭を掻く。
「まァ、マジで気ィ付けろよ」
一応それなりに身体は動くようだし、深入りし過ぎなければ大した怪我をすることもなさそうではある。
もし深入りして痛い目にあってもそれは自己責任だ。
「おう。
落第街の事も聞きたいことあんならいつでも聞いてこい」
一応昔のホームである。
最近のことはあまり詳しくはないが、少なくともその辺の人よりは詳しい自信はあるので。
手袋を外した手を挙げて返礼代わり。
■エルピス・シズメ >
「そう言ってくれると心強いです。
歓楽街のことで悩んだら、頼ります。」
バレバレでも体裁は崩さないらしい。
彼女のホームであることは知らないものの、確かな情報を持っていることは察知した。
「じゃあ、僕は帰りますね。
今日は本当にありがとうございました、龍宮先生。」
再三のお辞儀の後、訓練施設を後にした。
ご案内:「訓練施設」からエルピス・シズメさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」にエルピス・シズメさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」からエルピス・シズメさんが去りました。
■龍宮 鋼 >
「気ィ付けて帰れよ」
そのまま彼を見送って。
「あんなとこになんの用事があるんだか……」
縁遠そうな見た目をしていると言うのに。
やれやれ、と肩をすくめて。
その後はどうせここに来たのだから、身体を動かしていこうと。
格闘訓練プログラムを起動し、ひとしきりボコボコに殴ってからその場を後にした――
ご案内:「訓練施設」から龍宮 鋼さんが去りました。