2024/07/12 のログ
ご案内:「訓練施設」に栖鳳院 飛鳥さんが現れました。
栖鳳院 飛鳥 > かっかっ、と杖をつきながら訓練室に足を運ぶ。
そして、一礼してから中に入り、真ん中の方に行って、更に一礼。

「……ここらへんで、よろしいでしょうか?」

その真ん中、と言うのもあくまで音響で確認したものなので、正確かは本人にもあまり自信がないのだが。
かつ、かつ、と床を杖で軽く叩いて音響確認をしつつ、多分大丈夫だろう、と判断してから、す……と、杖を構える。

そう、構える。
右前半身、杖自体はやや斜めに傾けて、杖を三分割した箇所の上下、辺りをそれぞれ支えるように持つ。

明らかに、普通に杖を使う持ち方ではない。

栖鳳院 飛鳥 > その構えから、数秒、心を落ち着けるように深呼吸をしてから。

「せいっ!やあっ!せいっ!やあっ!」

素振りを始める。
打ち降ろしから、上げ打ち。
それを交互に繰り返す。
10回ずつ繰り返した後、今度は左右の薙ぎを10回。
即ち、棒術の基礎練習だ。

栖鳳院 飛鳥 > しばらく基礎練習をしたのち、ふぅ、と息を吐いて、ポケットからスマートフォンを取り出す。

「……えと、えと」

もだ…もだ…。

部活の仲間に色々と便利に機能を改良してもらったのだが、結果として少し使い勝手が変わってしまった。
こればかりは慣れるしかないのだが、どうしても慣れるまでは操作がもたついてしまう。
盲目故、見て操作をする、と言う行為が出来ないのは悩ましいところであった。

「ここに確か…いえ、八坂さんの説明ではこっち…?」

もだ……もだ……。

栖鳳院 飛鳥 > たっぷり20分以上はもだもだもだもだと悪戦苦闘して、どうにかこうにか、目当ての機能を使うに至る。

「ええと……これで、大丈夫……です、よね?」

やや自信なさげにしつつもスマートフォンをしまいつつ、改めて杖を構える。
そうこうしていると。

ぱしゅっ。

壁の方から、ゴムボールが飛鳥に向けて射出された。
身体の横の方から飛来するそれを、そちらに顔を向けることもなく。

「やっ!」

ぱしっと杖で弾く。
続けて後ろから、ぱしゅっと発射されたゴムボールを、杖を振り上げてぱしっと弾く。

ご案内:「訓練施設」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
最近のちょっとした日課となった自主練も終えて、さてシャワーでも浴びて帰るかと訓練施設の廊下を歩いていたら。
どこからか掛け声と共に柔らかな物を叩く様な、弾く様な音が聞こえて足を止める。
ちょっとだけ、興味が沸いた。

「なんか面白い練習(こと)してる人が居たら参考にさせて貰お……」

声と、微かに聞こえる射出音を辿って行けば、一つの部屋に行き当って。
誰が何をしてんだろうか、と軽い気持ちで中を覗き込んでみる。
そしたら何とまあ、以前常世公園で知り合った……ええと、栖…飛鳥が、居た。

「……へぇ、視覚以外の五感が優れてるとは言ってたが大したもんじゃねえか」

何かを叩く音はゴムボールを杖で叩き落す音だった様だ。
叩き落されて転がって来たゴムボールを拾いながら、ただ黙ってのぞき見も趣味が悪いと思ったが逆に集中を途切れさせるのも悪い。
一旦ゴムボールの射出が納まるまで、その場で静かに待つことにする。

栖鳳院 飛鳥 > ぱしゅ。ぱしゅ。ぱしゅ。ぱしゅ。

ランダムな間隔で四方八方から飛んでくるゴムボールを、的確に弾いていく。
音響による位置、速度把握と、精密な身体操作。
明らかに、単なる手習いレベルではないのが伺えるだろう。

「えいっ!やっ!せいっ!とぉ!」

やや気の抜ける掛け声ではあるが、舞い踊るように無駄なくステップを踏み、飛来するゴムボールを弾き続け……。

「えいやっ!」

最後の一つをぺし、と弾いてから、しばし残心。
そして、ふぅ、と息を吐いて、その場で礼をしてから。

「……ええと、どちら様でしょうか?」

一実の方を見て、こてんと首を傾げた。

武知 一実 >  
「ほぉ……」

飛来するゴムボールを寸分なく弾き落としていく。
杖をボールに当てる精度は、自身の立ち位置、射出箇所、射出してから飛来するまでの時間、それら全てを正確に把握しているからこそだろう。
真似しようとすれば出来ないわけではないけれど、“見えていない”ことを前提とすると難易度は桁違いだ。
それを涼しい顔でやってのける辺り、相当な手練れであるように見える。

「……と、悪い。
 盗み見しようと思ってたわけじゃねえんだけどさ、変に集中切らしちゃ危ねえかなと思って。」

最後のボールも撃墜させ、一礼した後にこっちを見て首を傾げる姿に声を掛ける。
部屋の中へと入りながら、手持ち無沙汰にゴムボールをぽんぽんと手遊びつつ。

「大したもんだな、それだけ出来りゃ確かに夜道を歩くのも問題ねえわな」

栖鳳院 飛鳥 > 「あら、そのお声は一実さんですわね。
先日は、誠に有難う御座いました」

寮の近くまで手を引いて貰ったことに改めて感謝の意を示し、礼をする。
そして、少し恥ずかしそうに頬に手を当てながら。

「お気遣い、有難う存じますわ。
私、見えない身ですので、護身のためにと杖術を嗜んでおりまして……お師匠様やお父様、お母様以外の前でお見せすることはあまりありませんでしたので、少し恥ずかしいですわ」

汗もかいてしまいましたし……と少しおろおろ。
みっともない姿を見せたと思っているようだ。

「え、ええと、一実さんは、何をなさりに?」

そして、恥ずかしさ故にやや無理のある話題逸らしを。

武知 一実 >  
「おう、……寮の門限に間に合って良かったな。
 今度は散歩に出るときゃ時間の判るモン、ちゃんと持ち歩いとけよ」

礼を言われる事じゃない、と言いかけて先日のやり取りを思い出し途中で言葉を変える。
寮まで送り届けられりゃ良かったんだが、夜間に男子が女子寮の前まで行くってのは要らん誤解を招きそうでもあったし……
まあ、何にせよ無事時間内に帰れた様で何よりだ。

「杖術……なるほど、確かにここの武具保管室に杖が幾つかあるのを見たな。
 ありゃ魔術師用ってだけじゃなくて、杖術用って面もあったのか」

感心しているオレをよそに、何故か恥じらいを見せる栖………飛鳥。
恥ずかしい思いならこないだ公園でオレもしたので御相子だろう。
別に恥ずかしがるような事じゃないと思うが、まあそれを言ったらオレの方だって、と返されればぐうの音も出ないので黙ってるか。

「オレもちょっと体動かしにな、終わってシャワーでも行こうかと思ってたんだが
 この部屋から聞こえて来た物音に興味が沸いて、ちょっと見てみようと思ったわけだ」

そしたら見知った相手が居て、今に至る。
だから汗かいた姿ならお互い様だ。……まあ向こうは見えてないんだから理屈がおかしい気もするが。

栖鳳院 飛鳥 > 「御陰様で、何とか寮の方々を心配させてしまわずに済みましたわ。
今後夜出歩くときは、スマートフォンで、アラート機能をつけて出歩くことにしようかと思っておりますの」

なんせ、見ることが出来ないということは外の明るさなどから時間を計ることが出来ないと言う事。
時間を忘れてうっかりとんでもない時間に……なんてことも十分あり得る、と反省したのであった。

「おそらくは、そうだと思いますわ。
私は白杖(はくじょう)をそのまま使っておりますが、昨今杖を常用しておられる方と言うのも珍しいでしょうし」

かつては杖を常に持っていることも、もっと言えば農村などではさらに長い棒を持っていることもそこまで珍しくなかった。
故に世界中で護身術として杖術系の武術は存在するのだが、流石に近代の日本では、日常的に杖をついている若者、となると珍しいだろう。

「なるほど、そうだったのですね。
一実さんは、何か武道などをおやりに?」

声の響き方や足音などからの直感だが、ある程度以上に鍛えられている印象を受ける。
何かの心得でもあるのだろうか?と思い問うた。

武知 一実 >  
「自前の杖を使うのは良いが、アンタの場合万が一破損したら大事だろ?
 ま、なるべく使う機会が無いことを祈っとくよ」

栖ほ…、…飛鳥の場合は護身用という性質上受動になりやすい。
受けることを前提とすれば当然杖へのダメージが大きくなりやすいことだろう。受けたり弾いたりするよりも、受け流すとか、そういう方面の方が良いんじゃなかろうか。
もちろん、そういう使い方をするのであれば気に掛けるのもお門違いなわけだが。

「え、オレ?
 あー……いや、何と言うか…色々やったことはあるんだけど、一周回って今は喧嘩闘法で落ち着いてると言うか……」

言いたくないわけじゃないが、自分でもどう言ったもんか言葉に悩む。
入学前に居た施設で戦闘に関しては一通りやらざるを得なかった、とでもいえば良いんだろうか。うーむ。

栖鳳院 飛鳥 > 「ええ、そうですわね……丈夫な素材にしてはありますが、破損させるわけにはいきませんし、そもそもそういう状況に陥らないのが一番ですわ」

微笑んで頷きつつ、ちくり、と心が痛む。
――占星術部の本来の活動は、魔を祓う事。
即ち、どうしても戦闘になることが多い。杖術で戦ったことも何度かある。
寧ろ自分からそういう状況に突っ込んでいるくせに、自分を心配してくれる言葉に白々しくも頷いている。
その罪悪感が胸を刺した。

「あら……言い辛い内容でしたでしょうか……?」

返事に困った感じを受けて、失礼をしてしまっただろうか、と心配そうに少しおろおろ。

武知 一実 >  
「もし必要な時は……まともに受けようとするとどうしても負担が掛かるからな。
 ちょっと角度付けて流すとか、逸らすとか……そういう使い方にすれば、もうちっとは長持ち出来ると思うぜ」

言われるまでも無いのを承知で口を出してしまった。
丈夫な素材と言ってるくらいだし、そんなに気にすることも無いんだろうけど……いや待て、女の細腕で片手で扱える重量でそれなりに丈夫って何の素材使ってんだ?
強化カーボンカーボンとかか? まあ、実家が金持ちなようだし、使っててもおかしかねえが……。

「いや、どう説明したもんかと悩んでただけだ。
 まー……なんだ、武術っぽい事はちょっと齧った事があるってくらいだ。
 それも見様見真似の我流だから、やってたって言うと本職のやつらに怒られちまうような程度さ。」

実際に杖術を修めている飛鳥に言うには、些か失礼に値すんじゃねえかと思ったわけで。
逆に変な不安を招いてしまったろうか、とバツが悪くなって頭を掻いた。

栖鳳院 飛鳥 > 「そうですね……神門流(しんもんりゅう)の杖術は流す、逸らす動きも多いですが、受ける動きも多いですから……どの技を使うかは意識した方が良さそうですわ」

神門流は武器を短く遣い、小回りで防御することを主眼とする流派だ。
故に受ける、流す、逸らすなどの多様な防御技術を持つが、それ故に選択が大事になる。
流す、逸らすなどを優先する癖はつけておいた方がいいだろう、と頷いた。
因みに、杖は極上の白樫(しらかし)性である。実際の杖術の杖にも使われる丈夫な木材だ。

「あら、なるほどですわ。
でも、それは恥じるようなことでも、気後れするようなものでもありませんわ。
手習いの多くは見様見真似から始まるものですし、別に正規の習いがあるからそれだけで偉いというわけではありませんもの。
喧嘩闘法だとしても、それが一実さんを守っているのであれば、立派な技術であり、財産ですわ」

安堵と共に微笑む。
そして、改めて、気遣いのできる方だな、と感心する。
実際、何かしらの技術を修めた人の中には、それを誇りに思うが故に、拘ってしまう人もいる。
それらの可能性を踏まえ、配慮できる……と言うのは、誰にでもできる事ではないな、と

武知 一実 >  
「へえ、神門流ってのか。
 ま、学園近辺でその杖を壊すほどの暴れっぷりを見せる様な輩が居りゃあ、アンタが遭遇する前に風紀が出張ってるだろうけどな」

神門流、聞き覚えの無い流派の名前が出て来た。
とはいえ逐一見聞きした流派の名前を憶えてるわけじゃねえし、どっかで聞いてたとしても覚えてないだけの可能性もあるが。
武術も最近は護身用として修める生徒も少なくないと聞くし、同級が話してたかも……いや、どうだろ。

「や、別に恥じたり気後れしたりって事ぁねえんだけどな?
 ちゃんと鍛錬して研鑽を積んでるのに、ちょっと知ってるってだけのやつが同格顔したら良い気はしねえな、ってオレでも思っただけだ。
 ……オレも、今の自分のスタイルがいっちゃん肌に合ってると思ってるし」

それにある程度の強さの自負もある。
ただ、改めて武術でもやっていたか、と問われてうむむ、ってなっただけだ。うむむ、って。

栖鳳院 飛鳥 > 「ええ。実家の近くに道場がありまして、そこでお稽古をさせて頂きましたわ」

思えば、盲目の門人なんぞ厄介なだけだったろうに、一端になるまで親身に面倒を見てくれた師には頭が上がらない。
だからこそ、その使い方を誤らないようにしたい。
占星術部に入部したのは、その意図もあった。

「なるほど…確かに、そう感じる方はおられますわね。
ですが、きっと一実さんも、ちゃんとご自身で鍛錬されているのではありませんか?
そうでなければ、きっとそのお言葉は出て来ませんもの」

積み重ねる意味、苦労。それを知るからこそ、その気持ちが分かるのではないか。
そう思うとともに、ある興味が湧く。

「この目が見えれば、そのスタイルを、少し見せて頂きたかったのですが……」

武知 一実 >  
「実家の近くにか、そりゃあ恵まれてたんだな。
 てことは夏休みは実家に帰ったりすんのか?」

空手や柔道ならともかく、杖術を扱う道場なんてそうそうあるもんでもないだろう。少なくともこの島で見掛けたことは未だ無い。
飛鳥の地元がそういう土地柄だったのだろうかとまで考えて、ふと実家かあと思い帰省について振ってみる。
普段つるんでるダチも帰ると言っていたが、オレは帰る先なんて無えからなあ……

「オレの場合は鍛錬と言うか……なんだ…ありゃ実験、の一環ってとこだな
 まあこの島に来る前の話だけどよ、こっち来てからは喧嘩喧嘩でまともに鍛錬なんてしてんのはここ最近になってからだ」

きっと一般的に思われてる鍛錬とは全く形が異なるものだ。
性能試験――まあ異能を扱う上で相性のいい戦闘技法を見つけるためのもんだったからな。
と、少しばかり嫌なことを思い出し掛けたところで、

「……あ?オレの? ッハ、そんなん見ても面白かねえよ。
 けどまあ、確かにオレばかりアンタの事を見てんのは不公平かもな」

栖鳳院 飛鳥 > 「そうですわね……お父様お母様ともお話したいですし、全日でなくとも、帰省はすることにはなりそうですわ」

占星術部の活動もあるのである程度こちらにいたいとも思うが、家族も大事だ。
杖術の動きを再確認するのも大事だろう。そう考えると、ある程度帰省はする必要がありそうだ。

「それは……申し訳ありませんわ。快くないことを、聞いてしまいました」

実験の一環。
その表現をされている時点で、真っ当な内容で無かったことは察せられる。
きっと思い出すのも気持ちのいいことではないだろう、と俯く。

「不公平だなんてそんな……ですが、ルーツはどうあれ、一実さんのスタイルは、一実さんを守ってきたもの。それがどのような動きなのか、と言う事に、少し興味を持った次第ですわ。
見ること自体、叶わないのですが……」

武知 一実 >  
「ハッ、帰る場所があるってのは良いこった。存分に羽根伸ばして来たら良いんじゃねえか」

語る飛鳥の姿が少しばかり眩しく思えて目を細める。
きっと両親も心配している事だろう、短い期間でも顔を見せてやりゃあ良いとオレは肯いて。

「良いって良いって、気にすんな。
 この島に来る奴の中にゃ、そういう身の上のやつだって幾らか居んだろ。
 よく……って程じゃないかもしれんが、ままあることだ」

謝られたところで過去が消える訳じゃなし。
消えないのだったら気にしないのが一番だ、だから謝られたところで返事に困る。
さらーっと流して貰えりゃそれで良いんだ。

「ホントそこまで大したもんじゃ無えんだってよ!
 色んな格闘技のチャンポンみてえになってるから、歪もいいトコだろうしな。
 ってまあ、端から見えないって分かってる相手に意固地になったとこでしゃあねえ……
 つーかそもそも俺の闘法(スタイル)どころか顔も分かんねえんだもんな、アンタ」