2024/08/01 のログ
ご案内:「訓練施設」に武知 一実さんが現れました。
武知 一実 >  
「あーー、やっぱ上手く行かねえ」

夏休みの最中、オレは床から生え出たサンドバッグを前に足を投げ出して座り込んでいた。
前に来た時に思い立ってから、何度か訓練施設に足を運んでは
先の手合わせを思い返しつつ桜華刻閃流の『嵐剣』『神槍』の動きを再現しようとしているが思う様に上手く行かない。
やっぱりアレはあの土壇場だったからこそ真似できた代物だったんだろうか、と思わざるを得ない。

「いや、それか一応は剣術として認識してるから素手じゃ出来ねえんだろうか……」

元々の使い手である先輩は素手でもやってた気がするけど。
まあ、そこは正当な門下であるどころか当主が相手なので比較するもんじゃねえか。
或いはやっぱり異能で神経系にブースト掛けないと無理、という事だろうか。
うーむ、と床に座り込んだまま腕組みして考え込むオレだった。

武知 一実 >  
「異能、異能かあ……」

正直、オレは自分の身に備わっている雷の能力は好きじゃねえ。
好きじゃないのと使う使わないはまた別と言うか、好きじゃないから使わないでいられるほど割り切れもしない。
ガキの頃から使わされて来て、今更毛嫌いして使わないなんて筋が通らねえ気がする、というのもある。

「とか何とか言いながら、自分から向き合ってみるって事はしなかったもんな……」

右の拳を強く握り、意識を少し集中させるだけでバチバチと火花が散るほどに拳が帯電する。
そして少し気を抜くと帯電していた電気は爆ぜる様に強く光った後静かになった。
雷の異能、自分の体で電気発生させ操る能力。
それはオレ自身が生まれ持ってた訳でも、人生の中で発現させたわけでも無えが、確かに今オレの体に備わっている。

「喧嘩の時は、まあまあ強めのスタンガンくらいにしか思ってなかったしな」

正直、今でもそれくらいにしか思ってないが。