2024/08/24 のログ
シア > 「……ん」

やはり、反応があった。静かであれば動かず、沈んだまま。
しかし、危機、に紛うようなものには神速で対応した。

変哲もない、ろくに破壊力もない枝はあえなく折れ、無惨な姿をさらす。
同時に、手は瞬速で引かれ、つかもうとする手を逃れようとする。

「……?」

その瞬間、眼の前の少女の、僅かに開かれた瞳に炎が揺らめくのを見た。
これは、なんの……?

「……すごいな」

緋月 >  
「――――ふぅ。」

素早く引かれた相手の腕は――ギリギリ、手首を掴む事が出来る範囲だったが、相手に明確な
害意が見えなかった事もあり、そのまま見逃す事にした。
右手で掴み、力が入っていた為に折れた枝を見ると、器用に指先を動かして更にもう一回、
今度はさして力を入れずにへし折る。

「…どなたかは分かりませんけど、瞑想している相手にはあまり良くない行為ですよ。
私より強い相手だったら、腕を掴まれて関節の一つでも外されてたかも知れません。」

恐らくは自分より年下であろうと思われる少女に、軽くめっ、とするような姿勢。

「瞑想中の相手に、攻撃と思われかねない行動はとっちゃダメです。
瞑想している人は勿論ですが、攻撃を仕掛けたせいでしなくてもいい怪我をするかもしれません。」

分かりましたか、と、諭す様な声。

シア > 枝は無惨にへし折られた。別に特別なものではなく、愛着があったわけでもない。
ただの道具だが、無惨なことには変わらない。

「……」

その世界の深度。その業前の練度。
そのどちらをも測るにはちょうどいいと思ったのだが、駄目らしい。

「一思いのほうがいいかと思った、どうせ邪魔になるなら」

声をかけようと、肩をつかもうと、攻撃をしようと。
瞑想の邪魔には変わらない。
声をかけた程度で反応がないかも知れないなら、いっそのこと分かりやすいようにした、と少女は悪びれずに応える。

「怪我……セーフでは、どっちも怪我してないし」

ざっくりとした理屈を述べた

緋月 >  
「……はぁ。」

思わず頭を抱えたくなった。
何と言うか、危機感が薄い相手の気がする。

「…ギリギリで止められましたけど、今の引いた手。
私は、あなたの手首に手を掛けられました。
そのまま力づくで、握り潰す事も。

もしそうなったら、あなたは確実に抵抗するでしょう?
そうなると、下手をしたら双方無事で済まない争いになってたかも知れません。

どっちも怪我はしてませんが、それは結果論です。
まかり間違えば、風紀委員案件だったかも知れないです。

お願いですから、そういう事は今後は控えて下さい…。
私、風紀委員の方のお部屋にお世話になっているので、そういう案件になったら気まずいんですよ…。」

最後の方は、何となくしおしおとした雰囲気だった。
同居人の方に迷惑をかけるのが非常に気まずいらしい。

シア > 「うん。それまでだね、そのときは。
 できなかったとしたら、引きも捌きも」

手首が握りつぶされたかもしれない。
そんなことを平気で口にする眼の前の少女。
そしておそらく、それは実現可能な行為なのだろう、と思わせる。

それを踏まえても
少女は、そのときはその時だ、と淡々と応える。


「ただ。よくないかもね、騒ぎは」

不必要に話が広がるのはよくないのだろう、と

「ところで。
 してたの、瞑想?」

改めて聞いた
 
 

緋月 >  
「……何か見た顔だと思ったら、以前に氷割りの催しに参加してた方ではないですか。」

攻撃に対しての防御反応に気を割かれて、何処か見た顔だなとは思いつつも思い出すのに時間がかかった。
確か、見慣れぬ形のナイフひとつで、氷柱を的確に砕いて見せていた筈。

「あの氷を砕ける実力の方だったら、ホントに間違ってたら大騒動でしたよ…勘弁してください…。」

しおしお。
兎に角、救急や風紀委員のお世話になる事態は避けられてよかった。

「ええまあ、はい。
瞑想というか、精神修練のようなものです。
己の内側を見直す、といえばいいのか。」

――本当の意図については黙っておいた。
あまり他人に話す事ではないと思ったので。

シア > 「ん」

氷割り。その言葉には聞き覚えがある。
賑やかだから覗きに行ったら、いつの間にか参加していた催し。
……そういえば。

「あ」

自分も思い出す。遠当てのような不思議な斬撃で氷を切り砕いていたのが、眼の前の相手ではなかったか。
鈍っていたかも知れない。

「ジャパニーズカタナの……」

ミアが確かそんなことを言っていたはずだ。
刀と言えば、ジャパニーズだったような気がするが、逆に言えばそれは特別な刀のことなのかも知れない。

「……?」

しおしおとなる様子の少女に首を傾げる。
そんなにしおしおになる理由があるのだろうか。
それが自分のせいだとはかけらも考えないのであった。

「また聞いた、精神鍛錬。
 わからない、いまいち。閉じるだけ、目を?」

くきりと首を傾げた

緋月 >  
「うーん、目を閉じるのは視界から余計なものを追い出すため、でしょうか。」

正座し直しながら、自分なりの理解を伝える。

「人は、目からの情報に非常に助けられているものです。
人に限らず、目がある生き物全般といってもいいかも知れないですが。

でも、自分を見つめ直したり、集中したりしたい時には、その情報が邪魔になる事もあります。」

ぴ、と指を立てると、ゆらりと訓練施設の中を指差しながら動かす。
その指を追えば、色々なモノが目に入って来るだろう。

「それが雑な念に繋がって、精神の集中を乱す事もあります…というか、余程でない限りまず乱れます。

だから、目を瞑る。
目を瞑れば、余計な情報はほとんど入って来なくなります。
耳や鼻から感じる情報は――まあそれを乗り越えるのも修行のうち、という事で。

目を閉じるというのは、最初の準備でしかないです。
大事なのはそこからどう自分と向き合ったり、より深く精神に潜っていくか、です。」

これで伝わっているだろうか、と少し自分の説明力に心配を抱きつつ。
ともかく、ただ目を瞑るだけでは瞑想からは程遠いものだ、と理解して貰えれば良いのだが。

シア > 「余計なものを、追い出す……視界から……」

感覚断ち。雑多に入ってくる感覚情報を、削り落とし、研ぎ澄ます。
なるほど、それは役に立ちそうな話だ。

「……見つめ直す、自分を?
 自分は、自分……では?」

きょとん、として首を傾げる。

「向き合う……自分と。」

いまいち、有用性が見えない。
ただ、短期間に二人見ただけあって、重要な儀式なのだろう。

「……精神に? 潜る?」

また首を傾げる。
一体、何のためだろう。

緋月 > 「うーん、そうですよね…。
精神修練とか、必要だと思わないとそう感じますよね…。」

こればかりは見てるものの違いかな~、と軽く腕組みして首を傾げる。

「そうですね~…自分は自分。確かにそれは事実です。

では、ちょっと視点を変えましょう。
一秒前の自分を思い出してみて下さい。
それが思い出せたら一分前。
そこから更に、一時間、一日、一週間――――

意地悪かも知れませんが、何処まで思い出せますか?
そして、そうして思い出せた自分は――今の自分と全く同じだと、心から言い切れますか?

…昔の自分を顧みる、というのも自分と向き合う一つのカタチです。
昔の自分を何処まで思い出せるか。思い出せた自分と今の自分は全く同じか。
もし違ってたら、何が違うのだろう――。」

理解出来ます?と、ちょっと不安そうな声で確認。

「精神に潜るのは――そうですね、色々な雑念を取り払って、自分の中の「何か」をより単純に、
明確にする行い…が、その一種かも知れません。

何か、悩みごとがあったりする。
それは何処から来て、何が原因で、それに対して自分はどうしたいのか……深く向かって、
どんどん、単純にしていく。分かり易く、持っていく。

そうして、自分なりの答えを見つける…という手段の一つだと、私は考えてます。」

シア > 「む、む……」

一秒前の自分 一分前の自分 一時間前の自分……

しばし、昔の自分を思い出していく。
一年前まで遡ったところで一旦止める。

そこに映し出されたのは、寸分たがわぬ自分。
過去も未来も、そのままなのだろうか。

いや。そもそも眼の前の少女が言う通り。
これは本当に同じものなのだろうか

差異、というのであれば細かいことを言えば寸法が違う。
それから

何が違うのだろう?

眼の前の少女の声が、小さく響いた

「……なるほど?」

一通り考えてみ、頷く

「悩み事……自分なりの、答えを……ふむ」

小さな音の言葉が漏れた。

「……なにか見つかった、あなたは?」

そういう質問を投げかける

緋月 > 「うーん…何と言うか、私も修行中なので…。
説明下手で申し訳ないです。」

まだまだうまく説明できる程、自分も精神的な高みに立っているわけではない。
それをちょっと思い知らされた。未熟。

「うーん…私の場合は、今の説明とはちょっと違いますけど。

そうですね、まず、「最初の一歩」は見つかった、という所です。」

軽く微笑みながら、それだけは自信をしっかりと持って。
――あの感覚を、より身近に、忘れないようにしていくのが、当面の目標だ。

シア > 「ん。勉強になった」

小さく首を横に振る。
うまい説明ではなかったのかも知れない。それは少女にはわからない。
ただ、なんとなくわかるものはあった。それだけで十分であった。

「すごかったしね、集中」

静かに動いたとはいえ、近くによってもまだなお反応しない深さ。
息の一つも吹きかけたとして、反応しなかったかも知れない。

瞑想、ということはしたことがないが。
多分だいぶすごいのではないか。

「あ」

そこで、ふと気づく

「え、と……ごめん」

先程の無法な行為に謝罪をしてなかった

緋月 >  
「それなら良かったです。
偉そうな事言ってて、私も上手く説明出来てるとは言えないので…。」

軽く頭を掻く仕草。
書生服姿の少女がまだ未熟なら、本当の達人とはどのレベルなのか。

「…ああ、さっきの。
私はもう気にしてませんよ。けど、他の人に同じ事をして、怪我をさせたり反撃に遭ったら大変ですから。
ああいう事は、やらない方がいいですよ。」

分かりましたか、と軽く指を立てる。
自分は兎も角、他の人や当の少女自身の安全のため、そこだけは注意して置く事にした。

シア > 「じいさまは……
 信じるな、己の力を……と、いった。
 見えてるのはいいこと、自分が。」

己を知り、己を驕らず。
現実の実はいつか熟す限界が訪れるが、人の実はいつまでが熟す限界か。
少女は未だ未熟。しかし、追熟されていくものである。
比して見るもまた未熟

「ん……でも。
 どうすればいい、ああいうとき。」

瞑想が終わるまでじっとしていればよかったのだろうか。
実際そうではあると思うが。例えば急用なら?

小さく首を傾げた

緋月 >  
「ふむ――考えさせられる言葉ですね。
己の力を信じるな…ですか。確かに、誤った自信は過信に繋がりかねないです。」

軽く顎に手を当てて、考える仕草。
突き放したような言葉にも思えるが、ある意味真理を突いているとも言える。

「ああ…何か急ぎの時とか、ですか。
そうですね、眠ってたりするのでないなら、やはり大声でしょうか。
目に続く程で重要な情報の受け取り先は耳ですからね。
間違えて眠っていたりしない限り、急ぎを報せる声はまず届くと思いますよ。」

比較的穏当な対応手段を教える。
火急を報せる大声ならば、大抵は反応が出来るはずだ。

シア > 「うん。それ。自分を識ること。
 だから。できる、貴方は。」

世の中は非情であり、闘いは力学である。
駄目なときは、駄目であり……駄目なことをどうにかするには――
自分をまず知ることだ。

それができるなら、道は開けるのだ、と。

「耳、なるほど。」

今度はそうしようか、と思う。

「……ん、邪魔だった、かな?」

そういえば、瞑想とは知への道だとすれば。
その道を通せんぼしたのは自分だろうか、とふと思った。

緋月 >  
「いえ、さっきも言いましたが「最初の一歩」が見つかったので、
当面はそこを反復していくだけです。
ですから、あまり気にしてはいないです。」

笑顔で軽く手を振る。
本当に気にしてはいないようだ。

「――と、気が付けばこんな時間ですか。
ええと、私はそろそろ後片付けをして帰りますが……
あ、名前を聞いてなかったですね。私は緋月と言います。」

名乗りは大事である。

「えっと、あなたはどうします?
こちらを使うのであれば、私は失礼するのでそのまま使ってしまって大丈夫ですが。」

帰りに職員の方に報せて置けば問題はないだろう。

シア > 「『最初の一歩』……」

これだけの腕を持ちながら、踏み出したのは未だそこ。
しかし、それを踏み出せれば……

なるほど、じいさまの道が開ける、とはこういうことか。

「ん。いないか覗いただけ、知り合いが。
 いなかったけど」

居たのは眼の前の少女のみであった。
それはそれで悪いことでもなかったのであるが。

「ボク? シアだよ、ボクは」

のんびりと挨拶をするのだった。 

緋月 >  
「シアさんですか、よろしくお願いしますね。」

名乗られれば、軽く礼を返す。
もしかしたらまた会う機会があるかも知れない。

「それでは、後片付け…と言う程でもないですね。
備品を使った訳でもないので。」

よいしょ、と傍らに置かれていた刀袋を拾い上げ、腰に差す。
これで後片付けはおしまい。

「では私は出ますので、そこまで一緒に行きましょうか。
職員さんに利用終了の手続きしますので。」

と、帰りの準備。
手続きが終わったら、自動販売機でお茶でも買おうか、などと考えつつ。

シア > 「ん、よろしく」

ぺこり、と頭を下げる。挨拶は大事だ。

「とても楽、準備が」

瞑想は己の中で行うもの。なるほど、であれば準備も特にいらないわけである。

「うん、いこう」

そういうことになり、一緒にいくことにした

緋月 >  
「身体を動かした時は、備品の後片付けが意外と大変ですからね…。」

そんな事を語りながら、訓練施設を後にする。
ジャージの少女がついてくるなら、帰りがてら、自動販売機でお好みの飲み物などを奢りつつ、
多少の世間話と共に、別れる事になるだろう――。

ご案内:「訓練施設」から緋月さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」からシアさんが去りました。