2024/08/29 のログ
ご案内:「訓練施設」に緋月さんが現れました。
緋月 >  
今日も訓練施設に姿を見せている、書生服姿の少女。
以前にラーメン店に行った時に約束した、一緒の訓練の時間が取れたので、先に訓練施設で
事前の使用許可と自分の方の用意を行っているのであった。

「よし、と――まずはこんな所でしょうか。」

訓練施設でお世話になっている複数本の木刀の用意を終え、暗い赤色の外套を脱いで畳んで置く。
最後に持ってきた木刀の種類を確認して、自分の準備は完了だ。
 

ご案内:「訓練施設」に伊都波 凛霞さんが現れました。
伊都波 凛霞 >  
「ふぅ、ちょっと遅れちゃった…?大丈夫かな?」

小走りに駆けてきた少女。
風紀委員の業務を終えてからの直行なのか、服装はいつも通り。
少しだけ滲んだ額の汗を手の甲で拭って、待ち合わせ相手の姿を見つければ、彼女も彼女で、いつもどおりの服装。

「お待たせー!ごめんね、なかなか資料がまとまんなくって…」

とりあえず乱れかけの呼吸を落ち着けて、訓練施設…その互いの訓練の舞台へと上がろう。
見るからには丸腰、武器らしいものは身に帯びていないが。──無論、古武術。そう見えるだけ。

緋月 >  
「こんにちは、凛霞さん!」

声を掛けられれば、こちらも手を振って挨拶。
急いで来たのだろうか、少し息が乱れていた様子。

「書類というと、風紀委員のお仕事の、ですか。
お仕事、お疲れ様です。」

彼女たちのお陰で、街の治安は守られている。
一番最初に風紀委員のお世話になった時は、少々情けない姿を見せてしまった事が、随分前のようだ。

「さて――では、私は最初はこれを。」

取り出したのは、桐で出来た木刀。
強度がないので打ち合いには不向きだが、素振りにはうってつけ。
太刀筋の乱れを確かめて矯正する為に、主に使っているものだ。

軽く振ると、合わせて軽い風切り音。

「…うん、重心も問題なし。
此処の木刀は本当に良い出来ですね。」

伊都波 凛霞 >  
「午前中に終わらせちゃって余裕もっての予定だったんだけどね」

見通し甘かった~、なんて苦笑しつつ。

「──さて、わざわざ時間も作ってもらっちゃったし早速かな?」

「どんな感じでやろっか?」

その場でぐぐっと胴を捻りながらのクロスストレッチ。
特に着替える必要などはないらしい。

彼女が木刀一振り、手にするのを眺めてそう問いかける。

緋月 >  
「そうですね……。」

どんな感じで、と言われると少し考え。

「先ずはお互い、慣らしから入った方がいいかと。
常在戦場の心構えも悪くはないですが、やはり調子が狂ってないかの確認は大事ですから。」

くるくる、と片手で桐の木刀を回転させ、最後にぴ、と止める。
まるで光線剣を使って戦う映画の戦士のような動き。

「私も稽古の最初は、必ずこれで刃筋の乱れがないか確認していますから。
以前は自作してましたが、桐の木刀を常備してくれているこの訓練施設は有難い限りです。」
 

伊都波 凛霞 >  
「木刀を自作ー? な、なんか凄いね……」

自分も子供の頃から武術の家で色々と慣らした身ではあるものの、
さすがにそんなことまではしたことがない…。

「おっけ、それじゃそんな感じで始めよっか♪」

にこやかに笑って「よろしくお願いします!」と深々一礼。
さらりと長いポニーテルが揺れ落ちる。

実は、内心とても楽しみ。
あの機界魔人(テンタクロウ)を相手に互角以上に人の身で立ち回ったという話。
一応、武に身を置く人間の一人としては気にならないわけがない。
以前の公園での一幕を垣間見れば、その実力が十分に伝わっている上で尚、である。

緋月 >  
「此処に来るまでは、稽古用の木刀は自力で調達でしたからね…。
まさかお土産屋さんの商品を使う訳にもいかないですし。」

ちょっと遠い目。
そもそも、お土産屋さんの木刀は重心が取れているか、ちょっと心配。

「こちらこそ、よろしくお願いします!」

木刀を持ち直し、ぺこりと一礼。
相手と比べて少し短いグレーのポニーテールがさら、と揺れる。

「……ではまずは失礼して。」

手にした木刀を軽く構え、

「――ふっ!」

ひゅ、と鋭い風切り音。
桐の木刀の軽量さに振り回される事なく、しっかりと腕を止められている。
数回ほど気合の入った素振りを行い、一時様子を見ては振り直し、を行い――

「……よし。太刀筋、刃筋に狂いなし。
今日は少し、回し方を強めに行きましょうか。」

そう独りごちると、木刀の交換に。
桐の木刀から真っ黒な木刀――鉄刀木(タガヤサン)の木刀を選んでくる。
先程の桐の木刀に比べると、遥かに重い一振りだ。

伊都波 凛霞 >  
その木刀の振りを見るだけで、正直惚れ惚れとする。
振り慣れているのも当然として、人目を引き付ける凛然とした美しさ。
それが姿勢そのものから溢れている…そんな形容をしたくなる。

と、見惚れてばかりもいられない。
こちらもしっかりストレッチを続け、身体の具合を確かめる。
夏季休暇中は早朝稽古もしっかり出来ているし、固さは感じられない。

最後に目一杯の屈伸をして、事前準備は完了。

「──よし!」

ぱん、と両手を合わせ、彼女へと向き合って。

「古流武術"伊都波"師範代・伊都波凛霞。
 それでは一手。お手合わせお願いします」

悠然とした立ち姿は構えというような構えは見せない。
ただ全身からは力みを感じさせない、超自然体とも言える立ち姿。
その様子から見るに──先手は譲る、心積り。

緋月 >  
「――――。」

ふ、と、その名乗りと立ち姿を見て、背筋に一つ汗が伝う。
構えが見えない自然体。だからこそ、「怖い」。

(先手は貰える…と、言う事でしょうか。
……さて、困った。どう打ち込むべきか、まるで見えません…!)

正直に言って、「強い」と思う。
果たして、一本でも入れられるかどうか――――

其処まで考えて、瞑目し、息を吐く。
これは「仕合」ではない。稽古なのだ。
深刻に考える事はない。やられたら、己の未熟を恥じてから、やられた後に考えればいいのだ。

す、と、黒い木刀を中段に構える。
最もオーソドックスな構え方。

「――宵月壱刀流、緋月。
未熟ながら、一手御指南願いたく。」

名乗りにはそう返し、軽く息を吐く。
固い握りは太刀筋を固くしてしまう。力まず、自然体で。

「――――っ!」

たん、と間合いを詰め、最初に向けるは――袈裟斬りの一刀!

伊都波 凛霞 >  
──宵月壱刀流。

名乗ってもらった流派、その名を忘れないよう、刻み込む。
霜月流剣術、刻閃一刀流…凛霞の知る驚異的な刀剣術に連なることとなるだろう、名。

「───……」

真っ直ぐに向けられる鈍色の視線。
先程までのにこやかな雰囲気は消え去り、名を表す様な凛とした佇まい。

"見られている"

その意識が、目の前の彼女を包むだろう。
故に攻めあぐねる…迷うことは必定。

とはいえこれは稽古。
動かないことには始まらない。
彼女の気性、というよりはその性格をすれば、確実に最初の一撃は真正面から。
迷いを振り切った瞬間に動く、その気配を待った。

たん。

──動く。そう判断した瞬間。
まるで緋月に合わせるかのように、前へと出る。

双方同時に間合いを詰めた。
つまるところ想定よりも早く互いの距離は縮まり、振るう一刀も自然、想定よりも早く振らねばならなくなる──筈。

そうしてくれるなら、貰い物。
それはつまり、振るタイミングを操作されているのと同義。

「──ふっ!!」

タイミングがわかれば、身を僅かに前傾に。
振り抱える一刀、つがえられた腕の肘より先へと掌を宛てがい、振り下ろすベクトルを"己の斜め後ろへと流す"
振る速度、力にも寄るところ、勢い余るか、制動が効くか──さて。

緋月 >  
「つっ――!」

「同時に動かれた」。
してやられた、といった所。
一撃を振り抜くタイミングを狂わされ、結果、太刀筋を流される。

(師範代の肩書は、伊達ではないという事ですか…!
やはり強い…勝ちの目が、ちょっと見えないですね…!)

焦りの感覚が思考に走る。

こればかりは仕方がない。初めて刃交える相手である以上、その懸念はつきまとうもの。
焦りは今の所役に立たない思考に押し付け、身体に染み付いた技で以て更なる攻撃を試みる。

流された太刀筋を軽く変え、大きく己の身体を回転させる。
回転しながらの、横薙ぎの一撃。
無論、まともに当たるとは思えない。
焦りを取り払うだけの、僅かな時間が稼げれば充分!

伊都波 凛霞 >  
「(──素直な性格がそのまま太刀筋に出てるかの様)」

されど、今これをやれたのは相手が真剣ではないから。
真剣相手、相手の振りの速度がわからない状態で呼吸を合わせての入り身はリスクが高すぎる。
ある種"タカを括って"のファーストコンタクトだった。
……実戦形式ではお勧めできない。

ともあれ、振りの速度は実直そうな彼女らしく真っ直ぐで速い。
軌道を逸らされれば重心は真下に向く──想定通り、彼女は身体を回転。
それくらいはする、当然の運動性能と反射神経───

「──っと…!?」

が、まさかのそこの状態からの即座に連撃!
──思ったよりも気が強い

即座にでそれを受ける。
振るわれた木刀に返る感触は、人の肉や骨ではない──硬い樫のもの。

…咄嗟とはいえ、もうバレちゃった。と内心バツが悪い。

転身し間合いを離し──その場で両腕を交差させるようにして、振り払う。
その所作は手刀でも放ったかの様に見える筈、しかその袖口から現れその両手に装備されるのは、硬い樫の木で出来た旋混(トンファー)───

「流石に貴女相手に丸腰じゃ、ね」

クス、と小さな笑みを浮かべ、今度は躊躇なくこちらから間合いを詰める。
大きく身体を回転させた着地後、バランスを立て直す隙へとつけこむ。

「───、ええいっ!!」

左下から斬り上げるような軌跡を描く、鋭い一撃!