2024/08/31 のログ
ご案内:「特殊訓練区域」にエルピス・シズメさんが現れました。
■エルピス・シズメ >
演習場、特殊訓練区域。
夏が終わる一日前。
黒のワンショルダ―のトップスに水色のホットパンツスタイルで。
栗色の髪をポニーテールにまとめた少女のような顔つきの少年。
普段の多腕の機械義肢ではなく、人と変わらぬ肌色の右腕と左脚を備えている。
「イーリスの造ってくれた生体義肢、十分に馴染んできたし……。」
従来の義肢を付けたままでは公共施設や海水浴場の利用が遠慮があった意志を察して、
想い人同士であるDr.イーリスがエルピスの為に作ってくれた特注の義肢。
血液と神経の通った、生身の人間とほぼ変わらぬ生体義肢。
■エルピス・シズメ >
軽い柔軟の後、訓練コースを選択する。
想定シチュエーション、交戦中の仮想市街地。包囲突破戦。
東部屋内の籠城から、北部スクランブル交差点への移動。
妨害を前提とし、指定されたポイントからポイントまで移動する。
いかに余分な移動や戦闘や負傷を最小限に避け、
消耗せずに目的地に到着することを焦点に当てたコースだ。
■エルピス・シズメ >
次は敵性体の設定。
データベースに登録されている、パブリックな敵性体を設定。
(射撃ドローン、汎用中型ユニットランダム配置。)
(大型ユニット一体ランダム配置。)
(有利要素として非活性タレット、バリケードをランダム設置。)
(……非攻撃対象の市民の代役で、すねこすりユニットを配置。)
注文はAIによる妥当な解釈のもと、仮想敵の再現・配置が行われる。
すねこすりは巻き込んではいけない市民の代役としてのユニット。
関係ない一般すねこすりを巻き込んではいけないシチュエーション。
■エルピス・シズメ >
(装備は持ち込みの《イリデッセント・リング⦆と《イリデッセント・グラディウス》。)
(敵ユニットからの銃火器の奪取は可能に設定。)
(時間と身体・財産損害をモニタリング。)
(大幅に逸れた場合のみガイド表示。)
「装備よし、炉、良し、……よし、走ろう。」
条件を確定させ、ボタンを押す。
ミメーシス・レンダラーによるロケーションの投影が開始される。
(真に迫る、と言うのは嘘じゃないね……。)
光景が再現される様に感動を覚えるが、今は訓練だと気を取り直す。
■エルピス・シズメ >
開始地点は窓のない化粧室らしき一室。
周囲の状況は見えない。
(進むしかないね。)
出てみればホテルの一室らしい。バリケードが多数配置されている。
それだけなら良かったのだが、部屋を切り崩す形で採掘重機めいた機械が配置されている。
クレーン状のアームの代わりに、スクリュー形状のドリルビットがアタッチメントされた重機。
「いきなり大型!」
自身目掛けて突っ込んでくるドリルビットを伏せてかわし、転がって避ける。
これは相手にしていられないと、側面をすり抜けて廊下へ出た。
■エルピス・シズメ >
廊下を抜けて、非常階段へ向かう。
気合を入れて走れば、自分の中にある《炉》が唸る。
《感情魔力混合炉⦆。
感情と魔力をリソースに、エネルギーを生成する特殊な炉。
生成されたエネルギー自体にも、身体能力の向上作用がある。
「この腕と足、やっぱ軽い……!」
余分な腕がなく、金属でもない高度な生体模造の肉体。
活性化させた身体で全力で走ると、少々勢いが余る。
非常階段の扉が目の前だが、速度を落とせない。
仕方がないので、勢いで蹴破る。
■エルピス・シズメ >
(しょうがないね!)
狭い非常階段の手すりをバルクールの要領で蹴って曲がり、
勢いを殺さずに駆け降りる。
地上へ降りる先に、中型のユニットが見えたので踏み台にして跳んで、逃げる。
どうにか建物から脱出した。
何かを巻き込む大きな駆動音が聞こえたので、振り向かずひたすら走る。
先程の中型のメカを巻き込みながら、結構な速度で大型メカが迫っている。
そして次は一体のすねこすりユニットが巻き込まれ、小さなブザー音が響く。
「そのすねこすりはカバーできない!
にしてもこれはちょっと、想定外……!」
包囲突破には違いないが、配置の妙によりチェイスじみたことになっている。
■エルピス・シズメ >
「仕方ない、このまま走り抜ける!」
各所に配置されていた射撃ドローンが前方と左右から飛来する。
「《イリデッセント⦆、お願い!」
言葉と共に腕輪の付いた左腕を振り上げ、イーリス手製のバリアユニットを展開する。
腕輪の先に7層のバリアが盾のように形成され、前方の銃弾を防ぎ続ける。
左右の銃弾は速度で振り切って抜けてかわす。。
(速度は出る! ただ僕も振り回されてる!)
道中。速度に振り回されながらも。
足場の悪い路地や車を飛び越えながら逃げている。
車の中に居た2体目のすねこすりユニットを回収し、逃げる。
■エルピス・シズメ >
状況。全てのユニットに追い掛け回されている。
イリデッセント・リングのエネルギーは50%ほど。
厳密には中型は大型に巻き込まれている。
脇手にはすねこすりを抱えている。
「……ちょっとコースからずれるけど……!」
二階建ての建造物のベランダに、動いてないタレットが鎮座している。
お助け用に設定したギミックの一つ。
すねこすりユニットを置いてスイッチを入れて起動させると、射撃ドローンを迎撃し始めた。
一見するとすねこすりユニットがドローンを迎撃しているように見えるがきっときのせい。
安全地帯になるので置いただけ。たぶん、配置と動作によってそう見えるだけ。
「これでよし!」
飛び降りて元のコースへ。
後は走って抜けるだけでいい。
順次撃破される射撃ドローン。
残るは大型だけだ。倒す気はないので、逃げる。
■エルピス・シズメ >
ゴール目前。
スクランブル地点には複数の戦車とすねこすりユニットとバリケード、そしてキャノンタレットが置いてある。
わかりやすい、ゴール地点である。
「このまま逃げ切れば……!」
そう思った矢先、大型ユニットが足を止めた。
ゴールだからかと思ったが、そうでは無いと直感が危険を告げる。
中心部が開かれ、砲が見える。
推定、電荷砲の類。電気と熱で焼き切る大火力の砲。
直線上のすべてが危険地帯だと、予告線を報せる流れが見えた。
「仕方ないから、耐える!」
イリデッセント・リングを起動し、足に力を込めて衝撃に備える。
発射された電気と熱がイリデッセントのバリアと衝突する。
残るエネルギーを使って、どうにか衝撃を上下左右に散らし切った。
「……危なかった。」
■エルピス・シズメ >
次弾が来る前に即座に逃げて、合流地点まで進む。
ゴール地点に置かれた戦車の砲撃による演出の後、訓練が終わる。
「……緊張したぁ……。」
元の演習場に戻ったことを確かめて、気を緩める。
表示されたスコアは、すねこすりユニット1体が巻き込まれた事以外は悪くない。
「もう少し、落ち着いたランニングやバルクールで慣らしても良いかな。
「平時はともかく、炉が噛み合わさると思ったよりも早いや。」
そう振り返って自分の中で締めくくり、使った演習場の状態や設備を戻して片付ける。
「掃除もこんな感じかな……後は終わったことを伝えて、帰ろう。」
一訓練を終え、満足気な調子で施設を後にした。
ご案内:「特殊訓練区域」からエルピス・シズメさんが去りました。