2024/09/27 のログ
ご案内:「訓練施設」に伊都波 悠薇さんが現れました。
■伊都波 悠薇 >
訓練施設の利用申請に順番待ちをして。
ちょうど前の人で、一旦満員。
少し待ってから、施設内に。
借りてきたのは組み手用の人形。
もちろん申請済。
結構なハイスペック人形で、人間の構えをとってくれて人体に大変酷似した構造。
それを置いて。
「よし」
今日は、訓練、とおもってきた。
というのもーー
■伊都波 悠薇 >
父に、言われたからだ。
好きに動いてみたらいいんじゃないかと。
普段、正拳突きや、基本的な型を尊重し、それに忠実にしている、が。
たまには、姉のように、やってみるのもよいのではと言われたからだ。
最近、姉の元気がない。
大きな、作戦があったのは知っている。
姉が注力していたのも。
それに、自分が戦力として換算されておらず。
関われなかったのが、悔しかった。
■伊都波 悠薇 >
人形と、相対。
『不正構』
構えず。正しきはそこにあらず。
相対するのに、構える時間を貰える、あたえるのなど、言語道断。
そんな暇があるのなら、自然体から、首を刈る動きをとれ。
それが。
「……ふぅ」
伊都波の、古武術。
だから、自然体でありながら、どこからでも。
ーー仕留められるように、人形に『気を向ける』。
それは、殺気、とはまた別種の。
不思議な、流れ。雰囲気。
何故。そんなことができるのかといわれれば。
『姉ができないから』、に他ならない。
でも、こんなに調子が良いのは。
ーー久々だ
■伊都波 悠薇 >
ただ、じっと、人形と相対している。
周りの音は気にならなかった。
これが、自分の一番楽で、好きな、構えだ
■伊都波 悠薇 >
伊都波流古武術『無花果』
姉が唯一、できない、構え。
ゆったり、ゆったり。
どう、人形を仕留めるかを。
無意識に考える。
■伊都波 悠薇 >
ただ、相対したまま時間が流れるが。
この時間がなんとも楽しく。
いくらでも、やれそうなほどだ。
一番の欠点は、ぼっち、でしかこの練習ができないことくらい。
人形だから、こうして。
『遊べる』
ご案内:「訓練施設」に橘壱さんが現れました。
■橘壱 >
訓練施設にはよく入り浸っている。
どんなことであれ、先ずは訓練、積み重ねだ。
この島に来て多くの実戦も重ねてきた。
訓練は毎日欠かさず、おかげで少しずつ力も付いてきている。
耐Gへの身体強度。確実に操縦士として着実な実感はある。
「……未だ実戦では振るわず、か……」
とは言え、結果は今一。
苦い笑みを浮かべつつも、
そういう考えを払拭する為の訓練だ。
そう思って施設内を進んでいると、見覚えのある人影。
「……悠薇先輩……」
それを見たとき、思わず息を呑んだ。
普段見ないような顔だ。姉から彼女も武芸者とは聞いている。
その"得意"な事がどんなものかも聞いた。
普段見ない顔だからこそ、見惚れたようにじ、と
食い入るように黙ってその光景を、見てしまった。
■伊都波 悠薇 >
「ふぅ」
ある程度想像ができれば満足。
ひとつだけできる技も試したいといえば試したかったけどそれはもう少し、モチベがあがったら。
今ので十二分に楽しいし。
一息ついて、水を飲みに行く。
ただ、立っているだけで汗をかく。
それくらい、真剣だという話。
「……?」
水を取りに行く途中、目があった。
「橘さん?」
妙によく会うな、と思った。
■橘壱 >
木偶相手に微動だにしない。構えたまま動かない。
イメージトレーニングの類だろうか。
例え脳内でも、その精度が高いほど披露と効果も高い。
滴る汗に真剣な表情。姉妹のああ言う所がちょっと似てるかも。
まるでそう、静止した時間にいるみたいだ。
「……どうも、この前ぶりですね」
どうやらそれも終わったらしい。
目が会えば静かにはにかんでぺこりと一礼。
「丁度僕もトレーニングしようと思ったら、
つい姿が見えてしまったので……今のはその、武術の?」
カチャリとトランクを開き
どうぞ、と差し出すペットボトル。
スポドリだ。ちゃんとキンキンに冷えている。
■伊都波 悠薇 >
「ありがとうございます」
喉は乾いていたのでありがたく、いただくことにする。
「はい。まぁ、姉のおこぼれ、です」
言いえて、妙。文字通り、おこぼれだ。
「橘くんもトレーニングですか。頑張ってくださいね」
ごくごく、ドリンクを飲み、前髪を整える。
「はあ、おいし」
■橘壱 >
おこぼれ。
それは多分、例の天秤とやらに起因すると見た。
姉は多分文字通りの超人ではあるが、
彼女のあれはもっと仄暗い技術。
暗殺を主においた技が得意と聞いた。
聞けば聞くほど、妙な因果だ。
「お姉さんからちらっと聞いたよ。
そういうのが得意だって。おこぼれって言うけど、
横から見てる分には楽しそうな顔をしてた気もするけどね」
どんな形であれ、彼女の才覚だ。
そこは誇るべきものだと思っている。
楽しいなら、尚の事。
「ハハ……先輩と違って、本当に基礎訓練ですよ。
見ての通り、体作り。機械の負荷に耐えるのと、
キミのお姉さんみたいな動きの再現についていくには、こうするしかなくてね」
地味な反復練習だが、パワードスーツの特性上、
身体の強さが強さに直結する。機械と操縦士は一体なのだ。
前髪を整え、スポドリを飲む彼女。
何をどう、とは言わないが目の保養になる。
オタクくん、そういうところだぞ。
腕組んでその様子を普通に見てた。
■伊都波 悠薇 >
その推察は正しい。
天秤が、釣り合いとしてとった、唯一といって良い才能。でも。
「身体がついていかないですけどね。想像するのは、好きなんですよ」
シミュレートが好きなだけ。
実際にできるかは別の話。
別に誇るべきことでもない。ただ、わかるだけだ。
「私のはある意味これが基礎訓練のひとつなので
姉の動き……」
再現しようとしていることに驚きだ。
「……人間やめてサイボーグになるつもり、とか?」
それくらいの気概、必要だと思っている。
■橘壱 >
抑制はされたが、効果は未だ残っている。
故にどちらかに偏った才能は残ったまま。
裏を返せば、姉の方はそういうのが不得手になる。
当然、身体能力も……。
「技があっても、体がついてこない、か。
先輩が思ってるかはわかんないけど、
もどかしさを感じてるならわかるかな。
僕もAFの力を全て使いこなせてるワケじゃないし」
手元のトランクを軽く揺らした。
続く彼女の言葉に違う違う、苦笑い。
「AFには色んなデータが入ってるんだ。
そもそも、機械だけは着込んだって人は強くなれない。
機械にインプットされた各世界の超人……」
「この学園でも、可能な限り戦闘データを集めて、再現してる。
僕みたいなついこの間まで一般人の非異能者が、ついていけるのは
そういう人たちの動きやスピードを再現してるってワケさ」
それが機械の強みだ。
人の持つものを外付けで補う科学の力。
勿論この学園に来てから、更に機械は進化している。
多くの能力にデータを持っている。
非異能者であり橘壱が、超人や異能者と渡り合える機械の強さだ。
そのデータの一つに、彼女の姉も参考になっているのだ。
「まぁ、勿論着込めば誰でもってワケじゃない。
先輩も知っての通り、凛霞先輩の身体能力は凄い。
それを再現しようとすると、相応の負荷が掛かる。
下手すると轍の棺桶になりかねない。ペシャンコだ」
「そうならないために、体を鍛えてるってワケ」
随分と前に格納庫で倒れてたのを見られたのは、相応の無茶をした結果だ。
■伊都波 悠薇 >
天秤は、まだ作用しているのか。
それとも機能を失っているのか。
誰にもわからない。わからないから、妹はまだここにいる、のかもしれない。
「あ、いえ。もどかしいというか、その、なんていいますか。生かすタイミングがないといいますか。たまに遊ぶくらいの、それくらいのヤツです」
そう、ホントはこんなの『使えない方がいい』。人を殺すなんて、そんなもの。
だから、こうやって解放するときにお遊びくらいがちょうどいい。
「すごい技術ですね。それに潰されていない橘さんも」
スポーツドリンクを飲み終えて、カランとゴミ箱に捨てる。
「…………姉の再現に耐えるとなると、筋肉フルアーマーボディビルダーにならないといけなさそうですね」
真剣に呟いた。
■橘壱 >
「……、……まぁ、でも、そうか。そういうモンか」
普通の武術とは違う仄暗い技術。
武術とは違い、"殺人"に先鋭化させた技術。
生かすタイミングは無い方が良い。そうかも知れない。
なら、自身の中に鳴りを潜める闘争心も……。
「……でも、"楽しく"はなかったですか?
想像の中でも、自身の持ち得る技術を使うのは」
意図してはいない。
燻る気持ちがあったからこそつい聞いてしまった。
だから、聞いた直後にすみません、と首を振った。
「ヘンな事聞きました。無理に答えなくても大丈夫です。
……それくらい技術も一緒に進化してるってだけさ。
僕よりも凄い操縦士はごまんといる。何時か、彼らも超えないとね」
この時代、何も当たり前になったのは超常現象だけではない。
それらに追いつけるくらいまた、文明の力も進化している。
レンズの奥、碧の双眸の奥に見えるのは初めの頃に見えた、仄暗い炎。
「凛霞先輩への信頼凄いな!?いや、気持ちはわかるけどね……。
僕も眼の前であの動きはみたし、Fluegelの上昇速度に追いつくとは、思わなかった」
今思い出してビックリドッキリ人間だ。
「流石にそこまではならなくても大丈夫だよ。
技術だって、そこまで追いついてる。ただ、
凛霞先輩の"本気"の動きはどうなるかわかんないけど……まぁ」
「今度、それが見れるかも知れないしね」
■伊都波 悠薇 >
「使えない方がいい、って思ったら本当は凹むべきなんですかね」
くすり、笑う。
どうだろう、楽しくはある。でも奮おうとか、使おうとかあんまり思わないのは。
「姉がいるからかもしれませんね。使おうとか思わないのは。もう、満足しているからかもしれません。
……姉が、こっちじゃなくてよかったと。
もしそうだったら、今の姉ではなく、姉が救えた人が救われなかったかもしれません」
手伝えているようで誇らしい。
アナタとの違いが、覗いた。
「でも私は女の子、なので。男子は橘さんのほうが、いいのかもしれません。らしくて」
なんて、思う。その方が頑張りがいがあるし。
瞳の奥は見えない。見れない。
そも、この妹は、その薄暗さを良しとしていて、自分がそこにいることで、蓮華となった、姉がいると、知っているから。
「姉と、本気の勝負を? 始めって言われた途端刈られちゃいますよ!?」
心配がそちら。試合なんてしない。
それだけは同じ、姉妹の共通認識。
■橘壱 >
もう"満足"している。
考え方の違いだ。寧ろ、姉のことばかり考えている。
上を目指す自分とはそもそも考え方が違うようだ。
「……そうしたらそうしたで、
悠薇先輩が凛霞先輩の立場だったとは思いますけどね。
あんまり言うことでも無いですけど、僕が同じ立場なら、我慢出来ないな」
「そう考えると、やっぱり凄いですよ」
天秤、運命の悪戯。それならそれで、
きっと互いの形が変わるだけに違いない。
環境の違いもあるかも知れない。
だが、"力"への憧れ、"頂点"を目指す少年には、
その立場は、素直に受けいられなかった。
軽く後頭部を掻いて、頬を掻いた。
「そうですかね……悠薇先輩も充分魅力的だとは思うんですが」
姉妹だからこそある意味成り立っている関係かもしれない。
他人である自分が深く言うべきではない。
「そこまで言う???いや、そんなに凄いかぁ……」
超人伊都波凛霞のまだ見ぬ本気。
そんなレベルらしい。
そう言われると目を丸くするも、
すぐにふ、と口元が緩んだ。"勝ち気"の笑み。
「なら、賭けてみます?僕がどれだけやれるかを」
■伊都波 悠薇 >
「いえ。そういう意味ではなく」
疑うことない、声音で。
「姉が殺す手段を持っていたら、今の、捕まえた人たちはみんな死んでますよ」
きっと、と。
自分が、力ないことは、変わらない。
逆じゃなくてよかったと思う唯一は、これ、だけだから。
「どうでしょう。私はそのスゴさがわかりません。家族だからですかね」
当たり前になっているだけだ。だから、アナタのすごいに首を傾げてしまう。
「あ、いや、そういう意味じゃなく」
困ったように。
「私たちのは、そも、『闘う』時点で私たちが敗けなんですよ。えっと……」
試合をするならヒントになっちゃうかなと。
ちょっといい淀んで。
「戦う前提なら、橘さんも姉といい勝負になると思いますよ」
別にアナタを軽んじているわけではない。
■橘壱 >
「姉じゃなくて、他人の方か……。
まぁ、多分風紀委員にはいられなさそうですね」
加減も出来ない殺しの技能。
犯人を捕らえ更正させる組織には過剰火力だ。
脳裏に過るのは、仄暗い道を行った彼女の親友。
「(……形は違えど、そうなっていた可能性もある、か……)」
伊都波凛霞が仄暗い道を行ったIF。
あんまりぞっとしないな。
神妙な顔つきで小さく頷いた。
が、まさか姉妹揃って同じことを言われるとは思わなかった。
珍しくちょっとげんなりだ。はぁ、と肩を落とす。
「僕の認識の違いか……いや、わかってるよ。
次元の違いっていうか、考えの……凛霞先輩にも言われたよ……」
勿論よーいドンなんてお行儀の良さが戦いにあるわけじゃない。
違反者との戦いだって、日常の隙間から飛び込んでくる事もある。
何処の暗殺一家だよ。姉妹どころかお家柄が凄いんじゃないか?
「そう言われても褒められてる気はしないな……。
世界は広いのは知ってるけど、
やっぱり本当に改造手術くらい受けるべきなのかな……」
珍しく弱気になるのは、
それだけ気持ちを許してる証。
ちょっとサイボーグ化が現実味を帯びてきた。
■伊都波 悠薇 >
「はい。だから、よかったんです。今の姉が一番」
頷いて。最近、姉が注力していて、捕まえた犯人。あぁ、えぇっと……『だれだっけ』?
加減できない思考が全てそちらに。
そんな状態なら今の取り巻く環境にもいられなさそうだ。
当然、受け入れも。
「えっと……その。見せたほうが、はやいかも」
凹んでいるのを見て、人形に向かって歩いていく。
「……大丈夫ですよ。その、トランクの相棒、ですか? と一緒なら多分。ちゃんとした、相棒ですよね?」
そして。
「今始めの合図があったと思ってくださいね」
人形と触れる距離になると構えもとらず動き出した。遅い。妹の所作、でも最適解。
もう最初からそのルートしかないような。
両腕の関節、両足の関節、肩の始動点。
それらを、順番に『毟る』。
そのあと、首と心臓を……
「この動きを一瞬で、するのが、私の『正解』です。
姉なら、別の手段で、制圧する『方程式』を作ってくると思いますけど。
初めから、理論の構築をするんですよ。勝ちの」
普通の、格闘家の動作。目に見える動き。
でもそれが、姉だったなら。
ーーきっと視認すら難しい。
■橘壱 >
「凛霞先輩の暗い顔は確かに見たくないな。
少なくとも、夏輝……さんみたいにはなってほしくないし」
「勿論、悠薇先輩にも明るい顔が似合うけど」
此れで良かったのはそうかも知れない。
弟切夏輝が一つのIFなら、
それで良かったのかも知れない。何だかちょっと、
彼女の様子がおかしかった気もするが、所作へと視線を配る。
「相棒、というより生き甲斐?」
ポジション的にはそういう感じ。
AFに乗ることこそ、生きている意味がある。
そうして、彼女は動き出した。
橘壱には、超人たちのような動きは出来ない。
だが、その反応速度と反射神経。
総合的に"目の良さ"には一際大きな才覚がある。
「(確かに僕から見ても遅いけど……動きは綺麗で、正確だ)」
構えもなく、始まった。
日常を常に置くなら、自然な動作だ。
打撃でも絞め技でもない、『毟る』という獣的動作。
淀みない動作には一種の美しさはあった。
もしも、彼女が姉と……いや……。
「(違うな、彼女だからいきなりこられたら怪しいかも知れない)」
姉と比べれば非力かも知れない。
だが、姉の影に隠れている根暗な少女。
失礼な物言いだが、取り柄がなさそうな目立たない一般人が、
何の構えもなく、命を正確に毟り取る。
此れほど迄に綺麗な暗殺なら、対応もし辛いかもしれない。
「(全部ではないだろうけど、凛霞先輩が言ってたのはこれか……)」
腕を組み、じっと碧の双眸が彼女を見据える。
「……僕に勝ち目がないような言い方をするんだね、キミも」
つい、穿った返答が出てしまった。
■伊都波 悠薇 >
「いえ」
勝ち目の話をするなら。
「私は姉の応援をします。でも、これはあくまで、そういう土壌ならです。」
姉のことだ。きっと。
「なにか、条件、姉はいいませんでした? それと。私は別に橘さんが勝てないなんて思ってないですよ」
なぜなら。
「方程式、って、崩せますからね」
にこり。一番、よく知ってる『壊しかた』。姉を……ーーしたから、知ってる。
「……教えすぎたかも、ですね。姉に、言っておきます」
勝負に水を差したかなと思った。
「……そうですね」
歯切れの悪いうなずきで、だれかのようになってほしくないには頷いた。
■橘壱 >
背筋がぞわりとした。
何気ない笑顔だったかも知れないが、
意図も容易く言うんだな、此の人は。
「……まるで、したことがある物言いですね」
方程式が崩せることは知っている。
人間の知恵は、同じ知恵と力で崩せる。
常に挑戦者精神を持っているからこそ、
よく知っている。だが、その笑顔と口ぶりは、
実践を残したものの自信が見え隠れしていた。
「いや、大丈夫。悠薇先輩が気にすることじゃないよ。
凛霞先輩には、"殺す気"でってお願いしただけ。条件は対等。
そうでなけりゃ、僕が挑む意味もないしね。……まぁ」
ふ、と思わず引きつった笑みが漏れた。
「確かに非異能者だと、そういう土壌なら無理だよ」
わかってるから平気だ。
気に病んでるわけでもない。
「……まぁでも、何時かはそれも出来なきゃ行けない。
僕の知っている操縦士は、機械がなくても強かった」
機械に乗るものの常で、
生身で狙われるのはよくあることだ。
だからこそ、それに対応出来るものしか生き残れない。
今いる自身の上にいるのは、そういう人間ばかりだ。
「何時かはそういうのも"アリ"でお願いしようかな……
……と言っても、全然体はおっつかないんだけどさ」
凛霞先輩のようになるには、何十年後になることやら。
■伊都波 悠薇 >
「大体の、そういう人たちには、ある程度できているものですから。
予想外や搦め手、そういったので崩すのは定石……って、冷静なときではわかるんですけど、いざ土壇場になるとできないんですよ」
だから、今のポジションなわけで。
今が安全だから頭を正常に廻せているだけ。
「でも殺し合いじゃなくて試合なら、合図もある、準備ができる。だから、大丈夫です」
それに。
「姉は女子ですから。男子の土俵に下ろせばいいんですよ、なんて。戯言ですけど」
人形をよいしょと抱えた。
「まだまだ、学ぶことがたくさんあるということ。伸び代があって羨ましいです」
そしてそのまま、出口に。
「私は引き上げます。橘さんは?」
今の動きをしただけで、疲れはてた。
なにせ、全部で6発。あんまりしない。
本来なら『1発』で充分だ。
だから。帰ろうとしていた。
■橘壱 >
「理屈はわかりますよ。実戦だと予想外の事も多いですからね」
訓練と実戦の機敏は全く異なる。
訓練で出来ても実戦で出来ないのは、よくある話だ。
しかし、なんだろう。末恐ろしさ。
何とも言えない表情で、腕組んだ。
「…………」
そう、殺し合いに合図はない。
操縦士は何時でも機械に乗れる訳じゃない。
強くならなきゃ行けない。世界を羽ばたくには、強く。
「男子とか女子とか、そういうのあるかな?
……それはお互い様だと思うけどな。悠薇先輩だって、全然やれるでしょう?」
「僕はもうしばらくいますよ。
ちゃんとやらないと、強くなれないし……そうだ」
「今度、また何処か遊び行きませんか?
色々落ち着く頃でしょうし、悠薇先輩が良ければ」
■伊都波 悠薇 >
そう。
だから、本番では。
恐怖を感じ、畏れをなし、その場から逃げ出してしまう。
なにも、奮えず。戦力外。
それが、今のーー
「あると思いますよ、多分。少なくともフィクションの中では」
冗談のように口にして。
それではと、頭を下げた。
「……考えておきます」
よく誘ってくれるのは、悪くない気分。
でも、なんとなく。
ーー男性と何処かに出かける気分にはなれない。
姉に、彼氏がいるのを知ってから。
だから、そんな風に返して。
「では、また。無理はなさらず」
その場を後にした。
ーー姉には、橘に、闘いの定石、考え方を教えたと伝えた。これでフェア。きっと、二人の望んだ、試合になるだろう。
ご案内:「訓練施設」から伊都波 悠薇さんが去りました。
■橘壱 >
現実はフィクションとは違う。
よく知っている。ゲームの中だってそうだ。
玉座にいる時も同じだ。まぁ、彼女なりに応援か。
「まぁ、そういう事にしておくよ。
うん、また。悠薇先輩も無理はしないでください」
素直に受け取っておこう。
去りゆく背中を見送ってから、
さて、と気を取り直して台座に座った。
リフティング用のベッドだ。
技術の進歩。重しは選択通りに勝手にセッティングされる。
「(……にしても、あの笑顔に、さっきの釣れない感じ……)」
自分が嫌われていない前提の話にはなる。
彼女が持つ天秤。抑制されたという話だが、
もしまだ生きているのであれば……──────。
お人好しで平和的で包容力のある姉。
その反対は……──────。
「……難儀だな……今度聞いてみるか……」
もっと知る必要があるかも知れない。
彼女の、彼女達について。
その結果嫌われるとしてもまぁ、仕方ない。
今は自分にできることをしよう。
今日もまた、自分を限界まで追い込み始めるのであった。
ご案内:「訓練施設」から橘壱さんが去りました。