2024/12/06 のログ
ご案内:「訓練施設」に御崎 眞さんが現れました。
御崎 眞 >   
――

最近、この場所を訪れる頻度が増えていた。
がさり、と肩にかけたバッグを地面に降ろし、中身を取り出す。

「―― ふぅ」

かちゃり、手首に付けた磁石付きのリストバンドに、小さな鉄球を張り付ける。
取り出すのはYの字の形をした道具――もったいぶるのはやめておこう。
"スリングショット" 所謂パチンコと言われる道具だ。

子供のおもちゃ、というイメージが強い代物だが、之はその枠に当てはまらない。

「ネットで調べたら、思った以上に種類が多くて驚いた、な」

遠距離用、速射用、改造… 玉や機構、サイズによって文字通りピンキリだ。
ものによってはエアガンも裸足で逃げ出すような代物もある。

その中で今日自分が持ち出しているのは、所謂『速射用』と言われるものだった。

ゴムの伸びや強度を指でなぞるように確認し、持ってきた鉄球… パチンコ玉と言った方が馴染みが深いな。
それをゴム紐に当て、十分に伸ばす、狙うのは勿論、訓練用に設置された的だ。

御崎 眞 >   
―― ヒュンッ
軽く、風を切るような音と共に、的の端に弾が吸い込まれる。
直ぐにリストバンドにつけられた鉄球を指先に挟み、次弾を装填。

「… っ!」

即座に紐を引き、放つ。

―― ヒュ
明確に風を切る音が下がり、的の下方、ギリギリの部分に弾が命中する。
やはり、まだ慣れていないせいか速射は難しいらしい、まぁ、フォーム等の問題もあるのだろうけれど。

「―― 思ったより力がいるんだよな、これ」

手で引き絞り、放つという特性上、たかがパチンコと思っていると痛い目を見る程度には腕の力を使う。
初めて練習した時は、やりすぎて腕が筋肉痛になってしまった。

後で調べて知った事だが、所謂『カタパルト』も広義ではスリングショットに入るらしい。
確かに機構的には同じだが、そう考えるとある意味とても由緒ある『武器』だな、と何となく感じたものだ。

御崎 眞 >  
そのまま暫く指の感覚を鳴らすように的に向き合う。
設定でサイズや動きを設定する事も可能なため、練習としては十二分だ。

本来は教えてくれる先生でもいれば効率も違うのだろうが、自分にとってのそれは図書館で借りてきた本。
そしてネットでのハウトゥである、実際、それだけでもある程度ものにはなっていると感じているが。

「とはいっても、一人では限界がある… な」

―― ヒュンッ
鉄の玉が的の中央にあたり、カツンッと音を立てる。
一般的な『パチンコ』は射程2~30mとされているが、本格的なスリングショットは射程50m以上。
ものによっては200m近い射程を誇るライフル型のものもある、とはいえ、射程と精度は別物なのだけど。

今の練習では概ね30m程度の射程だが、之でも命中は余り安定しない、之が動いている相手なら猶更だろう。
とはいえ、実弾の拳銃でも有効射程は100m程度で、有効射程となると場合によっては10m以内となるらしい。
それを考えると、スリングショットには十分な射程距離があると言えるんだろうな。

「―― 寧ろ、あんまり規制されていないのが不思議…いや、規制も難しいというのが現状かもしれないが」

手に持ったY字の凶悪性は、実際に手に持って『試した』ものでなければ実感しづらいのかもしれない、そう感じている。