2024/12/07 のログ
■御崎 眞 >
―― 結局、黙々とスリングに玉を込めていれば、持ってきたケースに入った鉄球を使い切っていた。
リストバンドにつけた磁石にシームレスに鉄球をつける、保持する練習も含めて、まだ覚える事は多い。
… 『次』があるなら、距離を取って相手どれる為の手段が必要だ。
隔離区画をオルニスと共に散策し、急務と感じた事を実現するための武器。
何故直ぐにでもそれを実践しようと、いや、何かを"傷つけるための"練習をしているのか。
それを聞かれると、正直答えに窮する部分もある。
勿論、自衛のためや、またこういった機会があった場合を考えて、と答える事は簡単だが。
何とも言えない思いが自身の一部を支配している。
それは落第街に足を踏み入れた時、絡んできた相手を地面にたたきつけた時の感情に少し似ていて。
―― 力を求めているのだろうか、自分は、何のために?
「… なんでだろうな」
分からないが、それが今の行動を止める理由には、なっていなかった。
■御崎 眞 >
使った鉄球はしっかりと拾い集める、之も前回の『隔離地域』でのバイト代で買ったわけだから、無駄には出来ない。
そうして今日も又訓練場を後にする、動く的、にもある程度宛てられるようにはなってきた。
次は――そろそろ『新しい環境』のテストでもしてみるべきだろうか?
「となると、やはり一人だとな… 」
呟いた言葉は寒空の下に消え、今日もまた一人、寮へと帰っていくのだった。
ご案内:「訓練施設」から御崎 眞さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」に霜月 雫さんが現れました。
■霜月 雫 > 「よっこい…せっと」
いつも通り、やたらと長い大太刀を持っている少女。
だが……それよりも遥かに長いものを袋に入れて、今日は持って来ていた。
「ほんっと……重いよね、これ」
言いながら、袋を閉じていた紐を解く。
すると……そこからは、黒い大身槍が姿を現した。
――そう。やたらとデカく重い、普通に人が扱うものとは思えない、バカみたいな代物が。
■霜月 雫 > その重量、七貫(約26㎏)
その全長、十一尺(約3m強)
その穂先、四尺(約1m強)。
重すぎるし長すぎる。そんな規格外の大身槍……霜月破山流が受け継いできた、神槍「山断」。
あまりにも異常なサイズ、重量であるがために、まず槍をまともに遣えるようになるために数年の鍛錬を要するとされるとんでもない槍である。
「こればっかりは、素だと、流石にね……!」
そんな槍を、ぐぐ、と構える。
大太刀を遣う関係上、腕力も十二分に鍛えているシズクではあるが……それでも重すぎる。
故に、巫術で筋力を補佐して、やっと扱えるくらいだった。
■霜月 雫 > 「ふっ…!ふっ…!」
何度か突きを繰り返す。
最初はややぎこちないが、その重量と重心に慣れ始め、段々と正確な突きになっていく。
――このことから分かる通り、霜月雫は、元来霜月破山流を主たる流派としているわけではない。
次期当主候補として、霜月流内にあるいくつかの派生流派は通り一遍稽古したことがある、と言うだけだ。
では何故わざわざこんなものを引っ張り出してきたかと言うと。
「洟弦のあの槍、訓練には向かないもんねぇ」
そうぼやく。
以前試合稽古を行った相手、幼馴染でもある出雲寺洟弦。
彼の使っていた槍が、似たような――大身槍と言うだけで中身としてはかなり別物であったが――ものだったのと、機構を含む分普段使いはしづらそうだったので、普段使い用に譲ろうと思ったのだ。
ついでに、破山流の技でも教えてあげよう……と言う、彼女としてはいつも通りなおせっかいである。
■霜月 雫 > しばらく突きを繰り返して、ふぅ、と一息。
少し槍を置いて休憩する。
「うーわ、滅茶苦茶汗かいちゃった。こんなの久し振りだなあ…」
少々はしたないと思いつつも、胸元をパタパタと仰いで体を冷ます。
霜月破山流の伝える技は、なんというか……極めて単純である。
それでも、この重量と長さがあれば、それが必殺必勝の絶技となる……と言う流派なのだが。
「実際に他流相手に遣ったことはないもんなあ、破山三法」
あくまで通り一遍の稽古であったため、同門内……破山流内でのみの稽古に留まっていた。
この長い槍の間合い同士での稽古だったため、この技の強さの実感が薄いのも確かだ。
「対人稽古、もう少ししとけばよかったなぁ」
座り込んでぐてーっとしながらぼやく。
■霜月 雫 > 「ん、休憩終わり。
よーい、しょっと!」
少し気合を入れて立ち上がる。
んっ…!と山断を持ち上げて、構える。
――最初の時ほど、重くは感じない。稽古をしていた時期を思い出しても来た。
「よーっし、やってみるかな。破山三法!」
そう言って、槍を長く……ただでさえ長い槍の石突に近い方を持ち、構える。
そして、少し集中して……。
「ふっ!」
第一法、右岸旋。
小さく速く、右回りに穂先を回す。
「せいっ!」
第二法、左岸旋。
今度は、左回り。
「やあっ!!」
第三法、破山之突。
踏み込んでの、渾身の直突き。
それだけやって、ふぅ、と息を吐く。
――それだけ、である。
「転身と手数が基本の霜月流……からの派生とは思えないよねぇ、この流派」
霜月破山流には、技と呼ばれる動作はこの「破山三法」以外存在しない。
流れの中で別の動作をすることはあるが、基本この三法のみで敵を制するのである。
基本的に、転身により回避したり側面を取る動きと、淀みない連撃を重視する本家本元霜月流とは、真逆と言える流派だった。
■霜月 雫 > 「まあそもそも、洟弦の流派と噛み合うかもわかんないしなぁ」
山断を譲る以上、破山流の基本も覚えて欲しい……と言う気持ちはあるが、見たところ防御的な流派であった出雲武流に、この破山流破山三法が噛み合うかと言うと何ともわからないところである。
シンプルゆえに、隙の少ない攻め手としては使えるかな?とは思うが。
「よっし、じゃあもう少し……!」
純粋に鍛錬としても有効であるため、とりあえずは、とその三法を繰り返す。
練り上げるように。洗練させていく。
■霜月 雫 > 「やっ!せいっ!とうっ!!」
何十回目かの繰り返し。
破山三法の連携にも淀みが無くなり、かなり自然に繰り出せるようになったと感じて、ふぅ、と槍を置く。
「つっかれたぁ……流石にちょっと限界……」
そして、その場にぺたんと座り込む。
腕がピクピク震えている。明日は筋肉痛かもしれない。
何より、超重量の槍を長時間使ったことによる疲労は、普段の稽古の数倍にも感じられた。
「よい…しょ…」
それでも何とか袋に仕舞っている辺りは流石に律義さと言うかクソ真面目さである。
■霜月 雫 > 数十分後。
「よっし回復。
それじゃあ、そろそろ帰ろうかな……」
そう言って、槍を入れた袋をよいしょと持ち上げる。
……重い。
「――符に入れて持ち運ぼう。うん」
次はもう少し運搬に気を遣おうと決意したシズクであった。
ご案内:「訓練施設」から霜月 雫さんが去りました。