2024/12/09 のログ
ご案内:「訓練施設」にオルニスさんが現れました。
ご案内:「訓練施設」に御崎 眞さんが現れました。
■御崎 眞 >
訓練施設での『調整』に付き合って欲しい。
よくもまぁ、そんな頼みを出来たものだなと思う。
此処に来てから半年近く、殆ど誰ともまっとうに関わらずに生活してきたというのに。
一応、最近は少し"改善"してきている自覚は無い事も無いが… 。
「… ふぅ」
小さく息を吐く、この場所にやってきたのは待ち合わせ時間から30分程早く。
先に到着し、軽く体を動かして温めていた、どうやら少し緊張しているのかもしれない。
自分の状況を努めて冷静に把握しようとしつつ、時計に目をやれば、そろそろ約束の時刻と言った所だった。
「そろそろ、用意しておくか」
手に穴抜きグローブを嵌め、バッグから幾つかの道具を持ち出し、点検しながら相手を待つ… 。
■オルニス > 「マーコートー!」
お~い!と手を振りながら訓練施設の中へやってくる。
黒い外套、空色の長い髪の人物はどことなく楽しげであった。
縁はないだろうな、と思っていた訓練施設にまさか足を運ぶことになるなんて。
とはいっても目的は自分のための鍛錬とかではないわけだけれど、自分を呼び出した人はすでに慣らし運転を終えていたようで。
「あれ? 待ち合わせ時間間違えてた?」
待たせちゃったかな、と訓練施設にある時計とマコトの顔に視線が行ったり来たり。
そう言えば調整って何をするんだろう?
■御崎 眞 >
「オルニス」
元気に声を上げてやってくる姿に、いつも通りだなと何処かほっとしている自分がいるのを不思議に思う。
軽く手を上げて返しつつ、待ち合わせ時間についての問いには首を横に振る。
「いや、間違って無い… 呼んだ側だからな、待たせるわけにはいかないし
それに、ギリギリまで練習はしておきたかったしな」
そういって今日の『調整』のメインである道具を幾つかオルニスに見せてみる。
最初に見せるのは銃の形をしたそれだが… 銃口は無く、伸びた二本の棒の先にはゴムが設置されたものだ。
「この前、オルニスと汚染区域に行ったときに、俺に言った事を覚えてるか?」
次に見せるのは、少しゴツ目のYの字をした道具、之もYの頂点二つにゴムがかけられている。
此方を見せれば、これが俗に『パチンコ』と呼ばれるものである事に気づくだろうか?
まぁ正式名称は『スリングショット』というのだけど、此方の世界では玩具としての扱いの方が多いものだ。
「"そんな戦い方じゃ、襲ってくれって言っているようなものだよ"
確か、そう言ってたよな、まあ、あれから色々考えた結果、と言う奴だ」
要するに――遠隔武器だ、実に単純な結論だと自分でも思う。
■オルニス > 「ふぅん……マコトって案外真面目だったんだね……」
時間を厳守していることもそうだけれど、前もって練習しているなんて。
こっちの世界のひとは随分生真面目なんだなぁ……と少し感心する。
もちろん個人差はあるんだろうけど、言い分からしてそれが当たり前みたいな認識だ。
まぁ、そもそもこんな大きな訓練施設がある時点で少し驚いてはいるのだけど。
「うん? うん、もちろん覚えてるよ。
覚えてるけど……またずいぶん原始的なものを選んだね……?
せめて弓とかじゃダメだったの?」
あまりにも心もとないような……大丈夫なのか?という表情。
向こうの世界だって銃を持っている人もいたっていうのに。
アレはあまり持っている人も多くなくてレアではあったけれど。
■御崎 眞 >
「案外、は余計だ… まぁ、少し前までは結構不真面目だった自覚はあるが」
軽く肩を竦める、とはいえ、ここ等辺は文化の違いもあるんだろうとは思う。
一応は自分にも勤勉を美徳とする人種の血が入っている、と言う事だろう。
とはいえ、自分の意思で此処までやってくるような向上心のある連中とは比べるべくもないだろうが… 。
「… 風紀委員とかなら兎も角、銃や弓は"目立ちすぎる"からな
それに、そういった武器は手に入れるのも特に何にも所属していない身じゃ簡単じゃないんだ」
表情の理由は… まぁ分かる、自分もまず見せられたら似たような反応になるだろう。
それを多少なりとも払拭すべく、まぁ、見てみろと言って練習をしていた的の方を見やる。
距離は凡そ20mと少しと言った所か。
「その点、『之』はそれこそ本土の銃刀法… 武器の検閲でも規制されていないし
ちょっとばかし『強力』なものでも、そして俺が学生でも手に入れやすい」
腕に取り付けたホルダーから鉄球をY字のスリングショットに設置し、狙いすまして発射する。
―――バチィッ!!
鉄球は鋭い音を立てて的へと命中した、うん、之で外してたら流石に恰好がつかなかった。
「俺が手に入れたのは『狩猟用』として売られてるものだ
といっても、基本的には鳥何かを仕留めるためにつかわれてるみたいだがな」
■オルニス > 「わたしも武器を持ってたら風紀委員に捕まっちゃうもんね。」
ほんと不便な世界だよ、と若干肩をすくめてみせる。
ここに来た本当に最初のころは自前の武器もあったのだけど、さすがに危険すぎるということで預かりになっている。
それこそ警察機構に入れば持ち出しを許されることもあるかもしれないけれど、殺傷力が高すぎるってやっぱり危険視されそうだな。
なんて若干難しい顔をした。
「ふぅん……まぁ確かに弓も元々は狩猟用として作られたものだし。
それもそういう出自の方が自然だよね。
……かなり練習した?」
一度で的に当ててみせる様子をみてまた一つ関心。
元々運動神経は悪くないのだろうけど。
とはいえ的に当てる段階までなら誰だって練習すればできるようにはなるだろう。
問題はもう一つ先の段階にある。
「……それで? わたしを呼んだのはそれの練習のため?」
■御崎 眞 >
「そう言う事、まぁ、風紀や鉄道、公安を始めとした委員会の生徒は普通に持ち歩いてるみたいだが…
それだってあくまで公務の為って奴だろうからな、彼らは彼らなりにルールに縛られている、はずだ」
その仕草に少し苦笑する、オルニスがどんな世界から来たのかは分からないが、この世界より『平和ではない』んだろう。
それと同時にオルニスにとって『自由に生きれる』場所だったのかもしれないな、と仕草の節々を見て何となく感じていた。
「携帯性も高いし、一発だけなら速射も容易だ
俺の場合『まともに一発当てる事』が一番重要だからな」
既にオルニスには自身の異能についてある程度話してある、それを踏まえた上で…
赤くコーティングされた『鉄球』をちらりと見せる、今回使う予定はないが。
ようは、相手の体に自身の血液を『付着』させる手段としては思った以上に有用、そう自身は判断したのだ。
「… そう言う事、此処まで言えば分かるだろ?
『自分の意思で動く相手』に当てられなきゃ、結局の所実戦には堪えない訳だ
そういう意味じゃ、オルニスは… まぁ、最初にしては高すぎるハードルにはなるだろうな」
あの時見たオルニスの動きの片りんを見ても、正直敵うとは思っていない。
なので、之はあくまで『調整』… 『訓練』そういう形になる。
「胸を借りたい、礼は… まぁ、出来る範囲でならするからさ」
■オルニス > 「ふぅん……いろいろ面倒だね。
向こうじゃ剣の一つや二つ、もっているのが当たり前なくらいだったのに。
世界が変われば常識も変わるんだねぇ。」
向こうは外を出歩けば魔物がうろつくような場所だったし、さもありなん、って事にはなるのだけど。
それにしたって盗賊とか山賊とか、魔物以外にも人の襲撃だっておかしくはないだろうし。
それともそんなものがほとんどないくらいこの場所は平和なんだろうか。
そういえば表通りではそういうのも見かけたことはなかったっけ、所謂落第街の方ではそう珍しくもないみたいだけれど。
うぅん、向こうで言うスラムみたいなものだろいうか、いろいろ違いがあって戸惑うことも多い世界だ。
「……ふぅむ。 たしかにわたしを相手にするのはまだまだ早いっていうか。」
それ以前の問題だな、という顔。
「そもそもマコト、わたしに向かってソレ、撃てる?」
たぶんマコトは、人に対して殺傷力のある物を向けるという根本的な恐ろしさをきちんと理解はしてないように思うのだ。
恐怖があることは知っているにせよ、その本質を理解していないような気がする。
■御崎 眞 >
「それこそ銃刀法なんか、『街中に銃や剣を持っている奴が歩いているのが怖い』から作られたルールだろうし
まぁ、それがしっかり施工されていて、ある程度はちゃんと守られていた辺りが…
この世界の特殊な所なのかもしれないが」
勿論国によって程度はあるが、武器という自衛手段を持たずに旅行が出来る。
そうしてそれなり以上の国を行き来できる事自体、異世界から見れば特異だったりするのかもしれない。
「… だろうな」
その返しはある程度予想していた、そして、続く言葉は――
「撃てるかどうか、か… その時点で疑われてるんだな」
予想していない返しでは無かったが、少し、返すのが遅れた自分がいた。
「撃てないように、見えるか?」
そのままオルニスの空色の髪から、桃色の瞳に視線を移す。
小さく笑うが、それに力が入っていたかどうかは自信が無い。
■オルニス > 「そりゃ疑うよ。 こんな世界だもん。」
武器を持つことが赦されない世界。それは翻せば持つ必要がない世界ともいえる。
動物に武器を向けるのと、人に武器を向けるのとでは大きく意味が異なる。
人に再起不能になる可能性のある武器を向ける、これには本能的なブレーキがかかるのだ。
どんな人でもそれを克服することには数年の訓練が必要だと言われている。
撃ってしまった、斬ってしまった後で激しいトラウマになる人も少なくはない。
まぁ、何事にも例外はいるものだけど、そんなものは一握りで。
「うん。 ごめんだけど見えない。」
割とはっきり断言した。
にへ、と笑うような顔で。
名前も知らない他人であればともかくとして、見知った顔と知っていて武器を向けるのは。
それはもっと難しい事なのだから。
■御崎 眞 >
「そうだな―― 」
そうだ、武器を持つ必要もない。
常世学園の中とは言え、自衛のための武器何て持たない学生が大半だろう。
此処でも訓練を行っているのは、多くが自身の異能や、或いは自分にとって興味ある分野のもので。
誰かを傷つけるためではなく、自身を高めるための訓練を行っているはずだ。
「… ある意味、喜ばしい事なのかもしれないけどな」
くるくる、と手に持ったものを指先で回す。
「此処に来る前に、それを『やった』時は、半月は寝込んだ」
当たり前のように口に出た、隠すような事ではないな、と思ったから。
まぁ、オルニスにとってはそれを言われても、みたいな事だろう。
「逆に聞くが、オルニスは『必要なら出来る』か?」
そして、この質問も答える必要の無い物だ。
■オルニス > 「そうだね、喜ばしい事なのかも。
同時に危機感も感じるけどね。」
自分を守るための強さすら失いかねないこの世界のそのルールは、オルニスには少しばかり理解の難しい物の一つだった。
けれど、それだけ平和であるということ自体は喜ぶべきものなのだと思う。
その平和が崩れ始めている特異点こそがきっとこの常世学園なのだろう、ということは薄々と理解できる。
だからこそ規制も強いんだろう。
「あ、すでに経験済みなんだ。 でもやっぱりそうなっちゃうよね。」
最初は吐き気がしたっけ、なんてすこし過去を思い出すように天井を見上げ。
「うん、できるよ。 なんどか経験もあるし。
……わたしとしては、とりあえず動く的から始めた方が良いとは思うけど。」
■御崎 眞 >
「この訓練場やもう一つの… 何だったか、新しいエリアも、命の危険は無いように無数の技術が使われているらしいからな」
新しいエリアは何だったか、AR空間みたいな感じだっけ、と呟いて。
拡張現実のそれは、自身が傷ついても『本当に傷ついたように』痛みを感じるらしい。
――それはつまり、それだけ実戦的な『訓練』が必要な状況を想定している、ともいえる。
「傷つけるつもりは、無かった
何て、この世界じゃありがちな言い訳だが」
オルニスの瞳が見上げるままに、此方も天井を仰ぐ。
そのまま戻って来た視線に対して… 今度は一つ、肩を竦めて。
「―― そうか、大変だったな」
ぐるり、と胸の中でとぐろを巻く感情、羨ましい、と言う訳では無いと思う。
興味、なのだろうか?自分でもわからないまま、ただそれだけを口にして。
「… ま、正直そう言われるのも想定の範囲内ではあった… ほんとだぞ?
だから折衷案として… これでどうかな」
訓練場の片隅から持ってくるのは円盤状の物体、要はフリスビーである。
「オルニスに投げて貰って、こっちが射撃する、これなら問題ないだろ?」
■オルニス > 「ふぅん……命の危険がない訓練、か。」
便利なものだな、と思う反面。緊張感が薄れそうだなとも思う。
人に得物を向ける危険性を説きながら、それがない事への疑問を浮かべるのは何とも矛盾する気がするかもしれないけれど。
そもそもそこから乗り越えるべきだ、という意味では間違っていないとも思う。
ここは本当に自分の考え方うぇおもう一度考えさせられる場所だ。
「そもそも傷つけられるとも思ってないでしょ。」
てへ、と舌を出してちょっとだけいたずらっぽく。
流石に素人に不意打ちはともかく正面切って撃つとわかっている弾に当たるのは若干恥なのである。
向こうでは銃弾はおろか魔法も飛んでくるし。
マコト自身がそもそもそういう安心感があるからこそ選んだ人選の様な気すらしている。
「えんばん?」
オルニスはフリスビーを知らなかった……
「ん~、平たい皿?
これを投げればいいの?
うわ、むしろすごく難易度高そう……」
フリスビーを受け取ってぺらぺら。
ほんとにこれに当てるの?という顔だ。
■御崎 眞 >
「実際問題、命の危険がある訓練何ておおっぴらにはやれないだろうしな。
軍隊って訳でも無い訳だし… 風紀とかも、有志の『学生』なわけだ。
正直、この学園の在り方自体は、俺も今でも不思議には思ってるよ
幾ら何でも、警察機構まで学生が主軸で行ってる国何て無いし」
それでまがりなりにも上手くいっている… ように見えるだけで凄い話だ。
実際は裏の一つや二つ、或いはそれ以上もあるのかもしれないが…。
少なくとも、表通りであれば大手を振って歩ける自体、とんでもない事かもしれない。
「―― 黙秘権を行使する」
いたずらっぽく笑うオルニスに対して、露骨に少し目線を逸らして見せる。
まぁ… 例え『OK』が出たとしても、当てられるとは思っていなかった。
之は冷静な戦力考察の結果であって、それ以上でもそれ以下でもない。
「そう、之はフリスビー… キャッチボールは分かるか?
それのボールの代わりに使ったりする道具だな」
そう言って虚空の方に一つ、フリスビーを投げてみる。
飛んでいくフリスビーは始めこそ素早く空をかけるが… 。
ただの円盤ではなく、ややお椀上に丸みを帯びた構造により、段々と速度が落ち。
最終的に、ふわーっ、とまるで綿のように… は言い過ぎだが、ゆっくりと地面へと落下する。
「… よかった、ちゃんと俺の記憶通りの代物だな
まぁ、こんな感じで、初動は兎も角終わり際なら案外当てられる…と思う」
なお、流石に之に対する練習はしていない、だからぶっつけ本番みたいなものだが。
クレー射撃みたいなものもある事だし、練習の的としてはありではある… はずだ。
■オルニス > 「だよね~……」
いつかの落第街を思い出す。
裏には裏の、表には表の、そんないびつな世界構造がここにはあって、それがこの常世学園という場所の不安定さを物語っている。
マコトはまだその裏を知らないのかもしれないけれど。
いつかは知るときが来るのだろうか。
黙秘権を行使するマコトの様子にくすくすと笑っては飛んで行くフリスビーの放物線を見守っていた。
「ふぅん……なるほどね。」
原理は何となくわかった気がする。
これは多分室内でやるより屋外の方が訓練の効果は高そうだけど、はじめは室内の方が良いか。
とくるりとマコトに振り向いた。
「じゃぁ試しにやってみる? さいしょは投げる力も加減しないとだね。」
暗にもっと力強くいつかは投げるよと伝えつつ……
■御崎 眞 >
「常世財団のお偉いさんの顔、一度くらいは見てみたいもんだな」
何処にでも飛んでいきそうなオルニスの事だ、多分落第街やその近辺にも顔を出しているんだろう。
心配… はそんなにしていない、というか、自分がしてもしょうがないというべきだろうか。
寧ろ、現状はどちらかというと此方が心配されている有様だからな。
「それじゃ、こっちを用意して… と」
オルニスがやる気になったのを見て、此方も頷いて準備を続ける。
手をかけるのはスリングショットライフル、と言われる銃の形をしたものだ。
手だけではなく、足も使ってゴムひもを絞りセットするスリングショット。
当然普通のものより速度や威力、射程距離も強化されている。
「―― あぁ、最初はな」
暗に示した内容にも頷いて返しながら、十分に距離を取って構えるだろう。
■オルニス > 「あれ、そっちを使うんだ。」
まさか銃の形をしている物があるとは驚いた。
察するに水中銃と理屈は同じだとは思う、というか弾丸が銛から変わっただけの気もする。
ふぅむ、これも携帯許可されるのか?
だとしたら意外と穴は多そうだな……なんてちょっとよけいなことを考えて。
「ま、いっか。 それいくよ~!」
最初はかるーく、えいっと。
まさにわんこが追いかけれるように加減するような形でふんわり山なりにフリスビーを投げた。
風もない室内だからこそ、安定した軌道を見せるだろう。
■御崎 眞 >
「こっちの方が狙いはつけやすいからな、まずは… って所だ」
スリングショットライフルは物によってはそれこそ銃並みの射程があるらしい。
ともあれ、通常のスリングショットより狙いはつけやすいのは確かだ。
行く行くはどちらでも扱えるようになるべきではあるが… 。
それにしても、之が一応銃刀法的にもセーフというのは、割と穴なのかもしれないな。
「… 」
すぅ、と息を止めてフリスビーの動きを見る。
悠然と飛ぶそれの横移動が落ち着き、ゆっくりと落ちていく中… 。
ヒュパッ パキッ!
打ち出された鉄球がフリスビーの隅を掠め、急な射角で落ちていく。
クリーンヒットとはいかないまでも、初回で当てただけ見事… と言えるかもしれない。
勿論、一投目でも見事にフリスビーを投擲したオルニスの腕前もあるだろうが。
■オルニス > 「おー、当たった当たった!」
きゃっきゃ、っとはしゃぐようにぴょんこぴょんこ飛んでいる。
なるほど、これは面白いかもしれない。
マコトが犬だったらとってこーい、と投げるところだけれど。
残念ながら拒否される未来しか見えないので諦めることにする。
それにしたって練習してるだけあってそれなりに当てられはするらしい。
安定した軌道だから比較的当てやすい起動とはいえ、だ。
スリングショットというのは存外まっすぐ弾が飛ぶらしい。
「そういえばもっともとは狩猟用って話だったもんね。
ある程度精度がないと話にならないか。」
考えてみれば当然だったかも、なんて。
また次のフリスビーをぽいと投げる。
何回連続で当てられるだろうか。
■御崎 眞 >
「… ふ、まぁ、それなりには練習したからな」
腕前よりも、面白さで喜んでいるんだろうけれど、まぁ悪い気はしなかった。
実際初回で当てられた事によって少し自信がついた気もする、現金なものだが。
「ルーツ的には投石器… カタパルトとかもスリングショットの一種らしいしな
手で直接投げる、といった行為から進化したと考えると、由緒と歴史は結構ある代物な訳だ」
それだけ長い事使われていれば、改良もされているもの、と言う訳である。
実際軍用スリングショットなるものもあるらしいが、流石にそれは手に入らなかった事を思い出す。
「… っ」
すぅ… と息を吸い、再度狙いを定める。
一投ごとに足を使った再装填が必要なので、割と体力も使う作業だ。
それに加えて、自分で設定していないために毎回距離がブレる。
二、三度目も何とか当てる事に成功するが、四度目で外す… といった所だろうか。
「ち… やっぱり、距離感が毎回変わると一筋縄じゃいかないな… 」
■オルニス > 「それなりの練習でこれだけ当てられれば充分かな。」
装填にかかる時間、割と細い身体。
まだまだ不慣れな武器のことを考えれば本当に十分すぎる成果だろう。
存外才能があるのかもしれない。
時代が時代なら狩人としての生計もたてられたかも。
まぁ狩人は狩人で山を歩くからもっと体力が必要になるんだけど。
「……そういえば。 そこまでしてこれを練習する必要性ってマコトにはあるの?
風紀委員じゃないんでしょう?
これが必要になる場面なんてそれこそほとんどないんじゃない?」
■御崎 眞 >
「オルニスのお墨付きなら、それなりの成果って所か」
こういった事で嘘や贔屓目に見るような相手では無い、と思う。
目を瞬かせ、軽く擦るようにする、集中するとどうしても目の疲れはあるもので。
剣道を止めても、体力つくり自体はそれなりにしていたことは功を奏していると言えるだろうか。
「… そうだな、委員会に入るかどうかって言うと、正直怪しい所もある
必要性があるか無いかでいえば… この前みたいな状況なら使えるだろう、くらいだ」
要は、自分から危険に首を突っ込まなければいい、と言う話だ。
「必要性は無いし、必要になるような時が無ければそれはそれでいいんだろうが
この学園には『身を守る術』が無いとまともに歩けない場所もある、だろう?」
恐らくはオルニスもしっているであろう場所を暗に示しながら、一つ息をつく。
「それに… 久々に、"やろう"と思えた事ではあったからな」