2024/12/21 のログ
■追影切人 > 「…今までの経験則と、後は勘と五感のフル活用だな。出力、方向…更に範囲、距離、時間とかを計算じゃなくて感覚だけで掴んで誤差を極力最小にして”斬る”。」
…と、いうのが現状の異能出力を考えると無駄も無いし実戦的でもある。
本来の異能の状態ならば、そんなの一切合切関係なくぶった斬るというイカれた性能なのだが…。
(弱体化を逆手にとって、むしろ幅を広げる…っつぅのはこっち来て学んだやり方だけどな実際)
本来の異能出力では見境なしに”全部”斬るので、逆に今の異能出力は調整次第でかなり応用が利く。
だからこそ、男にとっての訓練はこの異能の調整が今のメインとなっている。
「――へぇ…そりゃ見応えありそうだな。オマエと凛霞がねぇ…。」
まぁ、流石に見学なんて気が散るだけなので後日、内容とか監視役が桜に聞いてみようかと思う。
以前と比べて、『感情』を自覚して得た事で前より人に興味を示すようになったのがこういう所にも出ている。
あと、あのグラビアは何か色々と衝撃的だったせいかあっという間にプレミア化してた気がする。
一応、男の手元にも一冊ある。別に疚しい意味では無く成り行きで貰っただけである。
「――はぁ?俺が?……剣術を?…そっちの才能欠片もねぇとか何度も言われてんだけどな俺は。」
性にも合わないから、今までそういう提案は何度かあったが全部蹴ってきた。
今回も――と、思ったが…それだと今までと何も変わらない。少し考えるように黙り込んで。
「――それは、桜の所の流派の剣術を学ぶって事でいいんだよな?」
■桜 緋彩 >
「「感覚だけで剣を振る」と言うのは剣術的に言えば御法度ですが、「剣を振る感覚」を掴むのは大事なことではあります」
剣と言うのは理合、理屈だ。
感覚だけでは理合いは掴めないが、同時に理屈だけでも剣は振れない。
どちらも備えて初めて剣を振ると言うことだと思う。
「まぁその前に上位の成績を取らないと立ち合ってももらえないのですが」
まずはそこ。
剣も大事だが、お勉強も頑張らねばならない。
「真っ当な剣ならば、むしろ追影どのには窮屈でしょう。
ですがうちは幸い真っ当とも言い難い流派です。
稽古も時間の八割ほどは乱取りをやっていますし」
なんせ名前の付いた技は三つしかない。
他流派の使える技は見境なく取り込むし、使える技は何でも使う。
決まった型もなく、やることと言えばひたすらぶっ続けで撃ちあい続けること。
「早い話が実戦に近い環境で調整しませんか、と言うことですね。
私としても追影どののような実力の持ち主と稽古が出来るのはありがたいことですから」
部活に近い形で剣術道場みたいなことはやっているが、正直自分の鍛錬と言うよりは門下生の稽古相手がメインになっている。
それはそれで当主としての仕事なのだが、自分の実戦稽古の場が不足しているのは確かだ。
■追影切人 > 「―そういや、俺の”恩人”が言ってたな…『君は感覚的過ぎるから、少しは理屈も備えた方がいい』…みたいな。」
今思えば、あれは自分の成長をそれとなく促していたのだろう、と少し理解出来る。
桜の言葉でその言葉を思い出した。…いい加減、感覚的なだけでなく理合も学ぶ段階なのかもしれない。
「…馬鹿の俺に言える事は一つだな……勉強頑張れ。」
柄でもないがエールを送るくらいしか出来ん。まぁ男自身も頑張らないと留年がちらつくのだが。
「…実際、真っ当な剣はな…窮屈ってのもあるが…何つぅか俺の切れ味が”死ぬ”気がする。」
これこそ感覚的なものなので上手く言えないが。ただ、桜の所の流派は真っ当ではないらしい。
稽古の内容も乱取りが8割……8割?素人の俺が聞いてもかなり多いなそれ。
「…成程、お互い得るモノはあるっつぅ訳か。…ま、いい加減に俺も”別の方向”を模索しねぇといかんしな…。」
今のままでは自分の『刃』は限界が見えている。更にそこから…そう、【凶刃】とは別のモノになる為には。
(――今まで避けてきた【剣術】…それを取り込んで成長するしかねぇ。)
ケダモノみたいな刃の振るい方は、そろそろ終わりにして新たな段階に進むべきなのだろう。
心の中で何かに一区切りをつけるように吐息をそっと零した後に隻眼が桜を見据えて。
「――わぁった。その提案に乗らせて貰う。…つっても、剣術はマジでド素人だから、何というか色々教えてくれると助かる。」
最低限の礼儀作法とか、そういうのもあるだろうし。正直クソ苦手だが、学ぶ以上はそうも言ってられない。
■桜 緋彩 >
「世の中には感覚で完璧な剣を振るう天才もいますが……」
それは外れ値として考えた方が良いだろう。
今さっき話題に出た彼女だって、生まれた時から完璧に剣を振れていたわけではない……はずだ。
「お互いに、ですよ」
彼の口ぶりから、彼も相当低空飛行だと言うのはわかったので。
「剣に限らず武術の類は、基本的に「持たぬもののための技術」ですからね。
持っているものは相応の術と言うものがある、と私は思います」
そう言う意味で言えば彼は「持っているもの」だ。
無理矢理そこに押し込んだところで、まさに刃が死ぬと言うものだろう。
「かしこまりました。
桜華刻閃流は追影切人の入門を歓迎いたします。
――まぁ難しい決まりごとはありませんよ。
場と人に礼を尽くせば、立ち居振る舞いは自ずと身についてきますから」
■追影切人 > 「――スラムの生まれ育ちで、”獣”じみてた俺にゃそんな感覚は流石に無かったしな…。」
斬る事に特化した異能と気質を備えていても、完璧ではない不完全な特化型でしかない。
――天才は存在する。だが自分も、そして桜も。天才などでは決して無いのだから。
「……ま、留年しそうになったらケツを蹴っ飛ばされるのが目に見えてるしな…。」
盛大に嘆息。面倒だが勉学も…まぁ…平均取るくらいには頑張るか。
桜と比べて勉学方面はモチベーションが低かった。まぁ実際モチベーションが上がるものが無いのでしょうがない。
「持たざる者の為の…って奴か。持ってる持ってないは正直どうでもいいが…そいつに”合ってるか”は重要だろうよ。」
型破りを型に嵌めようとしても内側から壊れるように。
型破りには型破りなりの術理というものがおそらくあるから。
桜の言葉に、得心が行くものがあったのか、緩く相槌を打ちながら。
「…その、場と人に礼節を尽くすっつぅのが既に俺にゃハードル高いんだがな…。」
生まれも育ちも経歴もアレなので。ただ、感情を得て日々成長もしてきている。
刃としては鈍ってしまっていても、新たな成長の為に彼女の所の門下になるのは…間違いではない筈だ。
「…んじゃ、俺は今日から…あー、桜華刻閃流?の門下生って訳か。
まぁ、実戦形式が多いのは個人的には有難いわな…。」
不完全ではあるが、【神槍】の真似事もこなした男である。
案外、彼女の流派とは意外と親和性があったりする…かもしれない、多分。
■桜 緋彩 >
生まれた時から何かを完璧にやれる人間など、それはそう言う生き物だと言うしかないと思う。
人の形をした全く違う別の生き物だ。
「ふむ、では一緒に勉強するのはどうでしょう?
人に教えると自分の理解につながるとも言いますし」
教えられるほど出来る、と言うわけではないが、それでも自分のわかるところは教えられると思う。
わからなくても二人で考えることが出来ればより理解を深めやすいかもしれない。
「そう言う意味で言えば、うちは追影どのに合っていると思いますよ。
理念としてはとにかく目の前の敵を打ち倒すためにどうするか、に振り切っておりますので」
とにかく相手をぶった切るために出来ることを全部やる、と言う流派だ。
言ってしまえば彼が普段やっていることと変わらないが、それを集団で思考できると言うのが強みである。
「礼節と言うと難しそうですが、自分に出来ない事をやれる人を素直に認めると言うことです。
逆に自分に出来ることを出来ない人に対して、馬鹿にせずにどうすれば出来るようになるか共に考えることも大事です。
認め合いましょう、と言う感じですね。
放課後は誰かしら訓練施設のどこかで集まって稽古しています。
私は風紀の仕事があるので毎日と言う訳にはいきませんが、顔を出せる時には出していますよ。
今日はもう皆帰った後ではありますが」
暇な時に顔を出す人もいれば、毎日欠かさず来る人もいる。
割と緩い感じの集まりだったりするのだ。
■追影切人 > ――完璧超人の監視役が身近に居るが、彼女とて生まれつき完璧であった訳ではあるまい。
そもそも――生まれつき完璧とか、何というか…とてもつまらん。それは成長の余地も何も無い完結した袋小路だろう。
「……あー………そうだな…んじゃ、それに乗った。」
しばし迷うように隻眼を彷徨わせる。昔の自分なら即座に断っていただろうが。
これもまた成長なのだろうか。”他者と目線を合わせる”…これも説教された事だったな。
「…取り敢えず、理数系についてはマジでサッパリだからな…。」
本当にそっちはサッパリだ。意外と英語とか国語とかはそこそこ出来る。
まぁ、お互い得意分野は被りはあれど完全に同じではないだろうし、補えればそれに越した事は無い。
それに、単純に二人で協力した方が勉強効率は良いと言うのもあるだろう。
「――”目の前の奴をぶった斬る為に”出来る事を片っ端から試す…みてぇな感じか。」
成程、それは確かに意外と合っているのかもしれない。
あと、男はまだ詳細を知らないが技が基本3つしかない…と、いうのもシンプルで合いそうだ。
そもそも、この男の今の持ち技がたった一つしかなく、後はその派生技くらい。
多数の技よりも、少数の技を極めて応用に回す方が男としても案外しっくり来そうだ。
――何よりも、今まで一人で試行錯誤していたのを、彼女を含めて多角的な視点で模索できるのが強い。
「――それを言ったら、流派を継いで道場主やって、風紀の仕事も真面目にこなしてるオマエは普通にすげぇけどな。
それに桜の太刀筋も良かった…やっぱお前の所の流派とは”気が合いそうだ”。」
素直に認める、という意味なら既に認めている。そもそも思い切り斬り合った仲だ。
あの斬り合いは楽しかったし、自分も彼女も一段階成長したのは間違いなく。
ちゃんとした礼節はこれから最低限学んでいくとして、門下生にもなったし訓練にはちょくちょく顔は出したい。
まぁ、男も風紀の警邏の一人なので、仕事の合間にとなってしまうが、それはお互い様か。
「――まぁ、何というか…改めてよろしく頼むわ、桜。」
別にかしこまる事も無いのだが、これも礼儀という事で軽く頭を下げる仕草。
■桜 緋彩 >
「ではそちらもよろしくお願いしますね。
ちなみに私は理数系は最近割とわかってきました。
国語科目も、まぁとりあえず人並みには。
それ以外の文系科目は……」
社会科目と英語辺りはもうダメ。
全く覚えられない。
割と理系脳だったらしい、と最近やっとわかった。
「平たく言えばそう言うことです。
追影どのがやった神槍の模倣、ああ言うことも実戦でよくやるので」
相手が使った技をぶっつけで試してみる、と言うのはよくやる。
完成度の低い見様見真似の技でも、いきなりやって見せると結構驚かれることは多い。
他流派を相手にするなら、尚更。
初見殺しでも殺せればそれでいい、と言うある意味実戦重視の考え方だ。
「道場をやるのはどうせ近い将来やることになるわけですし、この島に足がかりが出来れば、と言う考えもあります。
風紀に関しては、――実は合法的に思う存分剣を振るえる、と言う理由もあったりはしまして」
今でも一般風紀に所属しているのはそう言う理由もある。
下手にどこかの課に配属になると、しがらみが増えそうだし。
マルトクになると、それはそれで他のことがおろそかになりそうだからだ。
「こちらこそよろしくお願いいたします」
こちらも深々と一礼。
彼が道場にやってきたら他の門下生が驚くだろうが、そこは鍛錬中ひたすらしばき合っている面々だ。
すぐになれるだろう。
■追影切人 > 「…んじゃ…理数系は桜にフォローして貰って…国語は人並に出来んなら…英語辺りか…?」
桜が理数系方面だったのは意外だった。思わず表情にも出ていたかもしれない。
何となく文系方面が得意だと言う謎の先入観があったらしい。
社会も…まぁ、人並みには行けると思うので、そっちも自分が桜をフォローすればいける…か?
「……成程。そうなると…俺が剣術を学ぶ選択は間違いじゃなさそうだ。」
勿論、桜の話を聞く限り彼女の流派の方針が男の気質と合っている、というのも大きいが。
斬る為なら他流派の技だろうが何だろうが取り入れて魔改造してでも用いる。
実践重視――精神性よりもそういうのを重視する男にとっては、矢張り相性が良さそうだ。
「…桜、オマエ…剣術に関わる事は知恵が回るのに、何で成績悪いんだ…。」
コイツの方こそ地頭悪くないのに損している気がする。と、いうか案外似てるのかそこら辺りは。
まぁ、彼女と違って男の場合、監視対象なので何処かの課に所属させてきちんと管理させるという名目もある。
正直、一般風紀の方が気楽なのだが立場的に中々そうもいかないのだ。
「――まぁ、取り敢えず鍛錬には仕事の合間に顔を出すようにしとく。…んで、勉学はどうする?この後にでもやるか?」
彼女は鍛錬中であっただろうから、別に日を改めててもいいし。男も異能の調整できたがこれはそこまで時間は掛けないものだ。
■桜 緋彩 >
「どうも覚える、と言うのが苦手のようで……」
理数系は丸暗記じゃなくて理屈を覚えればいいし、国語は普段使っている言葉と言うのはあるだろう。
社会は覚えなきゃいけないし、英語に至っては何が何だかわからない。
この時ばかりはいつもぴんと伸びている背筋が気持ち丸くなる。
「少なくとも技の振り方や効率的な剣の使い方は学べるはずです。
それにハマり過ぎるのもそれはそれでよくはありませんが‥…。
しかしそこから理屈と感覚が一致するところまで行けば、今より格段に強くなれるはずです」
時間はかかるかもしれないし、一度弱くなるかもしれない。
けれど身に着けた経験や知識は裏切らないはずだ。
それを耐えて進んだ先に、違う世界が待っている。
かもしれない。
「昔は頭が良くないと思っていましたが。
勉強をするようになってから、やっていなかったからだけだと気付きましたね」
単純に勉強する時間に剣を振っていたと言うだけだ。
全くしていなかったわけではないが、時間を多く取っていたのは剣の鍛錬で。
「勉強は、そうですね。
学生らしくファミレスで何か食べながらしましょうか。
クリスマスフェアが始まっているらしく、一度行って見たかったんですよ」
刀を手に小走りで入口に向かう。
彼がその提案に乗ってくれれば、更衣室で制服着替えた後にファミレスへ向かうだろう。
そのファミレスでちゃんと勉強したかどうかは、彼がちゃんと促してくれるかどうかで決まる。
何も言わなければ、そのまま一緒に食事をするだけになるだろうから――
■追影切人 > 「…暗記系がイマイチって感じか…まぁ、英単語の暗記とか確かに面倒だしな…。」
文法問題になると、それに応用も利かせないといかんし大変ではある。
逆に男は暗記はそこそこ出来るが、理屈を覚えるのが苦手なのでそこは対照的かもしれない。
ただ、お互い得意分野がかなり分かれているのは、勉強効率的にはむしろ良いのかもしれない。
――何か心なしか桜のピンとした背筋が丸くなっている気がした。
「…まぁ、俺の剣の扱いは”無駄が多い”のは否定できねぇしな…そもそもずっと我流通してきたし。」
獣じみた動きと無茶苦茶な異能でここまでやってきたので、剣術に関しては素人であり未知数。
だからこそ、ここから学んで新たな成長をする道を模索していくのは決して無駄では無い筈。
学んだ理屈と元からの感覚を一致させるまでは大変かもしれないが、それはそれで目標になるので悪くない。
――例え一時的に弱体化するとしても、ただでさえ昔より弱くなってる身だ。
今更であるし、後はそこから這い上がって――何時か過去の自分を超えて行けばいい。
だから、剣術を学んで己に足りない所を取り入れ、自分なりの【刃】を模索していこう。
「…あー、剣術の方にリソースを割いていただけ、って感じか。
…つーか、俺の周りの奴らは何だかんだ頭が良いのばかりだな…。」
桜も勉強より剣術に割いていただけで、きちんと時間を掛ければ普通に成績とかぐんぐん上がるだろうし。
「ファミレスあんまし行った事ねぇんだが…まぁ、いいか。
クリスマスフェアねぇ…そういうの今まで無関心だったからな…。」
どれだけ周囲に興味なかったんだ、という感じだがそれは過去の話で、今は少しずつだが変化している。
ともあれ、男も刀に再び布を巻き付けて肩に担ぐように持つスタイル。
その後、元から制服姿だったので着替える事は無く桜の準備が終わるのを待って。
ちなみに、ファミレスに辿り着いたら、つい物珍しそうにクリスマスフェアとかに意識が行きがちだったが。
「…いやそうじゃねぇ。勉強するぞ桜。」
と、何とかギリギリ思い出してきちんと勉学の時間も取る事にしたのである。
何だかんだ、後日の小テストとかでは二人とも点数はきちんと上がっていたやもしれない――。
ご案内:「訓練施設」から桜 緋彩さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から追影切人さんが去りました。