2025/01/10 のログ
■セロ >
「……ありがとうございます」
私はあと何回、1アークトの説明をして。
何回、そのことで謝るのだろう。
その愚かな思考を頭を軽く振って払った。
「言葉のセレクトが悪いのは個性のうちですよ」
「耳障りの良い言葉を選ぶ悪党だっているのが人間ですしね」
そして続く言葉に、即座に言葉を返しそうになって。
躊躇って。引っ込めて。また口をついた言葉を飲み込んで。
それから。
「それが私らしいからです」
腑に落ちる言葉だった。
自分が口にしたとは思えなかった。
最初から答えを持っていたのか、と思えば。
不思議に思えてならなかった。
「誰かを守って外敵と戦うのが」
「自分らしいと思っていますよ」
死神だからとか。異世界だからとか。
そういうのじゃなくて。
自分がしたいと思ったから人を守った。
それでいいじゃないか。
「すいません、自分だけ納得してて」
「言葉足らずで、そのくせ飾った言葉でした」
くしゃり、と表情を歪めて。
「私はもう行きますね、また会えたら話してください」
「さようなら、緋月さん」
そう言って確かな足取りで施設を去っていった。
■緋月 >
「――――。」
すとん、と納得の来るような言葉。
そんな雰囲気を、死神の少女から感じる。
「……"自分らしい"、ですか。」
思わず、微笑みが漏れる。
自分らしく在る――単純で、だからこそ、とても難しい事だ。
そして、謝罪の言葉を聞けば、軽く首を振る。
「いや、納得が出来たなら、それでいいのです。
後は、それを…その芯の部分を、忘れる事がなければそれでいい、と思いますから。」
そう答えつつ、別れの挨拶にはこちらも挨拶を。
「はい、また会う事があれば…楽しい話が出来るか、自信はありませんが、喜んで。
さようなら、セロさん。」
そうして、確りとした足取りで立ち去る後ろ姿を見送ると、大きく一息。
「……やっぱり、この手の会話…お説教…とはまた違うと思うけど、私にあまり向いてないですね…。」
寧ろ、血の色の髪の麗人が向いていそうな。
まあこの場に居ない人の事をどうこう言っても仕方がない。
「――さて。
少しでも、「振っていられる時間」を長くしないと――!」
呼吸を整え、再び木刀に剣気を込める。
真剣同然の切れ味を持った鉄刀木の木刀を構えて、いざ――
そうしてまたしばらくの間、木刀がターゲットを斬り裂く音が、訓練施設の片隅から響くのだった。
ご案内:「訓練施設」からセロさんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から緋月さんが去りました。