2025/04/18 のログ
緋月 >  
「生憎、修めた術理の型が「こちら」主体でして。」

大太刀が引かれれば、書生服姿の少女もまた刀を引きつつ、斜め横を向く形で軽く中段の構え。
そちらの構えか、其処に近い構えからの技が主体という事。

「――生憎と、居合の類は得意ではないんです。
一度、知る限り最も速い居合の使い手に叩きのめされてから、練習はしているのですが、これが中々。」

既に身体に染み付いた構え方に新たに技を付け加える、というのは、中々簡単にはいかないらしい。
実戦で使えない訳ではないようだが、それでも納得の出来る練度には遠そうに見える言葉。
そんな言葉と共に、書生服姿の少女も腰に差していた白い鞘に手にした刀をするりと納刀。
白い柄巻に白い鞘、金色の鍔と、黒い所が殆どない刀は、鞘に収まれば一種美しささえ見える。

「神技武練場……ああ、以前に一度お世話になりましたっけ。
つい覗きをしてしまって。」

あはは、と、困ったような苦笑い。
興味と好奇心からとはいえ、覗きをやってしかもバレた事はばつの悪い出来事だったようだ。

そうして、独善的な言葉を吐かれれば、小さく苦笑しながら、

「――私としては、使えるもの総てを使っての戦いの方が良いですけどね。
自分の知識の外にある技法、術技…そういったものを見て受ければ、「見えなかったもの」が見えてくる。

そちらの言葉に合わせれば…「経験値になる」と言えばいいのですか。」

こちらもまたまた不遜といえる言葉で返す。
己が用いない技や能力ならばこそ、見えなかったモノへの気付きとなる。
それが巡り巡って、己を更なる高みへと誘ってくれる、と。

「――まあ、その時は「剣での斬り合い」になるよう、こちらも最大限努力はします。
ただ、何分身体に染み付いてしまっている所も大きいので、不作法があった場合は謝罪を。」

そう声をかけてから、

「そういえば、お名前。苗字も含めて、ですが、聞いてませんでしたね。
――私は、緋月。緋色の月と書いて、緋月と言います。」

名を訊ねる以上は、己から名乗るが筋。

霜月 霈 >  
「私もたまに行く程度だけど環境は悪くないぞ。
 礼とか節とか言っても結局は強くなることだけ考えてる変態どもの坩堝だ」

なので、覗かれた程度でどうこう言うような連中もいないだろうと思いつつ…。

「何でもありにすると純度が鈍る。
 純粋な剣技以外と立ち合ってもヒサメの剣に得られるものがないからな。
 無駄なことはしない主義だし、無駄な立ち合いをする程に暇じゃない」

まぁ、その辺りは考え方の相違だろう、と言葉を終える。
飽くまで自身が強くなることしかしないし譲ろうともしないスタンスは無礼でありながら、
強くなること以外の一切を廃した覚悟めいたものをその内に感じさせる程のもの。
己以外の全ては己の糧、とまで言い放ちそうな勢いである。…ある意味清々しい。

「名前……」

そういえばちゃんと名乗っていなかった。

霜月(しもつき)(ひさめ)
 ……名乗らずに斬り合いしそーになったとかがシズク姉にバレたらまた説教がうるさいな…。
 今日のことは他言無用で」

いいな?と釘を刺す。

緋月 >  
「成程、純度…ですか。」

敢えて例えるなら、「遊びがない」と言えばいいのか。
兎に角、余計な要素の混じらない「純然たる剣技」を高めることにのみ主眼を置いている性分と見るのが適切か。
傲慢でありながら、同時に禁欲的(ストイック)

(――それもまた、道の一つ。
私がどうこう言うような事ではありませんよね。)

高みを目指す者がいれば、その数だけ道があって当然。
そこに一々口出しするのは無粋の極み。
「不純物」も己が道を見出す糧とする少女は、故にこそその在り方に口を挟む気にはならなかった。

「分かりました。今日の事は他の方には他言無用という事で。
私もついやらかしてしまいましたし。」

乗っかる形、加えて寸止めとはいえ、自分も同じ真似をやらかした身。
他言無用は二つ返事で了承しつつ。

(……何処か見覚えがある雰囲気だと思いましたが、成程、雫さんの妹御でしたか。)

表情などには出さず、そんな事を考えていたのであった。

霜月 霈 >  
「このことについては気にしなくていいよ。
 同じ穴の狢だってことはなんとなく肌で感じる」

「邪道だろうが正道だろうが剣士は剣士。
 人を斬る道具振り回すヤツなんて本質は大体そんなものだろ」

それを礼儀や礼節、武道の精神やらなんやらで覆い隠しているだけだ。
結局根底には己の力を、腕を振るいたい試してみたい、そんな相手を求めていることは変わらない筈だ、と。
言外に、そう考えいるのだろうことは隠すつもりもなく。憮然とした表情のまま少女はそう吐き捨てる。

「ただそういうのに口うるさい身内がいるもんだから、頼んだぞ、緋月」

わざわざ念を押した、ということは姉というのはそれなりに頭の上がらない人物であるらしい。
姉と先に接触しているなんてことは当然露知らず。
腰の大太刀を下げ、踵を返せば。

「じゃあ、次に顔を見たら斬り掛かるつもりで」

淡とした物言いでそんな物騒な言葉を言い残し、背を向けた少女は歩き去る。
割と面倒な相手に目をつけられたことに当の彼女は気づいているのか、それとも……。

緋月 >  
「…相手にするのが大変なお身内を持つと、大変ですね。」

人斬りの道具を振り回す者の本質については否定せず、軽く触れるは姉に苦慮する妹君を慮る言葉。
どこか実感がこもる言葉ゆえ、恐らく書生服姿の少女も…姉ではないのだろうが、
大変な身内に色々と大変な目に遭わされたらしい。

「その時は、斬り合いをしても問題の無い場所で顔を合わせる事になるよう、祈っておきます。」

斬り合いになるなら、問題にならない所が一番。
遠慮なく斬り掛かってこられそうな所は…それこそ、神技武練場以外だと自分の住んでいる
万妖邸の武道場か、事あるごとにお世話になる青垣山の廃神社辺りだろうか。

歩き去る少女に軽く手を振りつつ、書生服姿の少女も今日の鍛錬は切り上げにかかる。
身支度を終え、いつもの外套(マント)を羽織ると、こちらも訓練施設を後にするのだった。

ご案内:「訓練施設」から霜月 霈さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から緋月さんが去りました。