2026/02/22 のログ
■武知 一実 >
「ンだよ、脛に傷もない、立派な一般生徒だぞオレぁ」
時々喧嘩が見つかって怒られるだけだ。
それ以外での校則違反……は時計塔に上るくらいで、全然一般の範疇だろ。
まっこと心外である。オレよりよっぽど一般じゃねえのなんてゴロゴロ居るし。
「頭は使わねーと衰えてく一方だぞ」
学生の身の上で面倒だからと思考を放棄してたら、あっという間に残念なことになりかねねえ。
まあ、そう言っても聞かねえ奴は聞かねえけど。
「何でそこで胡散臭く思えンだよ。
そんな戦闘狂なら、そもそもこんなとこまで来ねえで街で喧嘩吹っ掛けてるよ」
人を見かけで以下略。
やっぱり髪色の所為だろうか、それとも人相の所為だろうか。
もうちょっと人畜無害そうな顔つきになれるように、頑張らねえといけねえかも……。
「オレのはこんなとこで初対面相手に使う様な異能じゃねーの。
そもそもアンタが使うのにオレがどうこうってのも変な話なんだけどな」
オレがひと汗流して帰る途中じゃなくて良かったな。
そんな事を想いながら、作り上げられた異邦人街の一画を見遣り。
「あくまで建物を拝借してるだけで、街並みは再現してねえからな。
実際に行ったら違うように見えると思うぞ。
……あとは大体アンタが今言った通りさ。さて一勝負すっか」
タイマーをセットするのを横目で見つつ、オレは制服の上着を脱いでラフなパーカー姿になる。
流石に制服着たままは動きづらい。慣れてることは慣れてるけど。
「へいへい、よろしk……あ?」
好スタートを切ろうと構えたところで、横から声が掛かった。
って、急に言葉遣いが変わったか? と気が逸れた瞬間、スタートのブザーが鳴る。
「あ゛っ、クソッ」
■コトハ > 「どーせ派手な喧嘩してんだろ?」
しかし、喧嘩止まりである。重犯罪は起こしてはいないのだろう、と想像がつく。
少女にも流石にその程度のことは想像がつく。
おそらくは、本人が言う通りにわざわざ喧嘩をふっかけるわけでもない、ということも。
「胡散臭さは目つきと口の悪さだな。口の悪さは人のこと言えねー?
自分のことほど自分でわかるってもんだろ?」
少女自身も自覚はあるようである。反省があるのかはまた別の話でもあるが。
ともあれ、人相の悪さは改善しにくいがそこから出てる空気感が悪い、といいきる。
「……っし!」
少女は別に機先を制そうとか、罠にかけようと思ったわけではない。
ただ、たまたま漏れ出た言葉が相手に隙を作ってしまっただけで。
しかし、それはそれとして好スタートを切る。
「ってもな……あー、クソ。どうしたもんかな。
ともかく……まずは走れ!」
パルクールじみた動きなど、少女は初体験である。
立体的な動きをすることもそうだが、そもそもルート取り自体が至難の業だ。
ひとまず難しいことは考えず、まっすぐ走っていく。
「う、ぐ……!」
当然、設定上すぐにも目の前に建物という名の壁が立ちふさがる。
横に避けていけば、そのうち向こう側に抜けることも出来るだろうがそれは趣旨と外れる。
なにより、大きなタイムロスとなる。
「のぼ、れぇっっっ」
叫びとともに、壁に足を踏み出す。
僅かな凹凸か、はたまた窓枠か。それとも他の何かか。
それは判然としないが、少女は建物の壁に足をかけて壁面を駆け上がっていく。
「いけんじゃん!」
歓声をあげた
■武知 一実 >
「売られた時だけな」
そもそも喧嘩っつっても大通りで通行の妨げになってまで殴り合う訳じゃねえ。
大抵は路地裏で、人目につかねえ様にやってるもんだ。
それを目聡く嗅ぎつけて、あるいは野次馬がわざわざ通報して飛んで来るんだから堪ったもんじゃねえ。
「目付きなんて生まれつきなんだからしょーがねえだろうがよ」
これでも目元をマッサージしてんだぞ、風呂上りとかに、10分くらい。
効果のほどは、ある程度付き合いの長いやつに聞かねえと分からんが。
ったく、人の苦労も知らねえで好き放題言いやがる……。
「――出遅れたが、まあ地の利はオレに分があるな」
スタートこそ遅れたものの、これから走るのは平坦な一本道じゃねえ。
異世界の建造物で作られた、小迷宮みたいなもんだ。
飛行する異能があれば何てことは無いが、まさか向こうがそんなもん持ってる訳無いだろうし……。
「さて、遅れた分どうやって巻き返すか……」
既に建物の陰となって見えなくなった相手の位置を探りつつ、狭い路地へと入る。
直ぐに袋小路へと行き当れば、高さを確認して……
「よっ、ほっ……とぉっ!」
右の壁に足をつき、そのまま反対側の壁、そして最初に正面にあった壁を蹴って屋根の上へ。
伊達に風紀やら怪異やらに追われて年がら年中街中を駆け回ってねえ。三角飛びくらいどうってこた無ェ。
「お、居た居た」
上がった屋根の上で、先を行く姿見つけてほくそ笑むオレである。
■コトハ > 「ま、持って生まれちまったり、手に入れちまったものはどーにもならねーよな。せーけー手術、なんてのはまたちげー話だろーし」
本当に憂うのであれば強引に解決する方法はあるのかもしれない。
しかし、本末転倒、という言葉もある。
天秤にかけて、そこまでするべきなのか、という問題は個々人の考えに委ねられる。
少女は肩をすくめた。
「さ、て……」
壁を駆け上る、というちょっとした大道芸をしてはみても、速度は大したことがない。
先手を取れたはいいが、ゴリラのようにパワフルに木々、もといビル群を飛び回られれば、追いつかれもしよう。
「とどけ、よっ」
少しでもアドバンテージを活かそうと走る。
気づけば途切れそうな壁を蹴って別の建物へと雄叫びとともに跳んだ
「届いた、な……んで、あっちは……げ」
少し平らなところに着地し、一息ついて後ろを見る。
もう、すぐそこまで男が近づいてきているのが見える。
「もうちょっと大人しくしてろよ!
ゴリラは動物園に帰ったらどうなんだよ、くそっ」
毒づきながら、
「跳ぶしか、ねぇか!」
また、制服を翻しながら跳んだ。
■武知 一実 >
「ゴリラは三角飛びなんてしねーよ」
そもそも屋根の上を走るかも怪しい。
向こうの毒づきを受け流しつつ、屋根の上からゴールまでの適したルートを探す。
此処はジャングルじゃない、木々よりもっと複雑な人工物の集合だ。
そして複雑であればあるだけ、利用出来るもんはごろごろしてる。
自分の出来る事をしっかりと理解し、最小の力で最大限に実行できる環境をいかに早く見つけられるか。
この手の障害走のポイントは、そこだ。幾ら出来るからって体力を大きく使ってまで実行してりゃ、先に息が上がって来る。
屋根、雨樋、塀、ベランダ、電灯、電線。
あらゆるものを足場にし、時に降りて時に再度上って。速度を極力殺さず前を行く背に迫る。
……が、やっぱり出だしをしくったのは痛かった。
現地ならともかく、グラウンド内に再現しただけじゃ、距離を埋めるにはゴールまでが近過ぎる。
結局、あと一歩のところ、アタマの差で軍配は向こうに上がった。
■コトハ > 「とべ、はしれ、くそ、このっ」
速度は出ない、体力は使う。
少女はだいぶ疲弊していた。
結局のところ、アドバンテージを強引に活かそうとする少女と
出鼻をくじかれた分を技術と知力で埋め合わせようとする男の
せめぎあいになった。
完全に同じスタートであれば、勝負は目に見えていた。
だから、こそ
「クッ」
ほぼ毛ほどの差。まさに紙一重で決着はつこうとして
そして
「きゃっっ!?」
目標地点で盛大に転び、ほぼ同時。
一応、少女が勝つには勝ったかもしれないが……大して違いはなく見えた。
「あー……クソ……カッコ悪……最悪じゃねーか。
勝った気しねー……」
大の字になって少女はボヤく。
そして、男に視線を向けて
「……ほんと、無茶振りにお付き合いいただき感謝します。
それと、こんな状態でなんですけど……琴葉、といいます。」
礼を言った。
■武知 一実 >
「はー……やっぱスタートしくじったのがそのまま敗因だな」
ゴールしてから省みる。
まあ、反省したところで負けは負けだ、とゴールと同時に素っ転び、そのまま転げたままで居る女子へと目を向けた。
身体を動かす、という目的は確実に達成出来たことだろう。
「あー……?
さっきもだけど、一体どうした、その口調」
変なところで律儀になるというか、単純に違和感。
相手によって態度を変えるってんなら分かるが、そういう感じのもんでもないらしい。
……あまり深くツッコまない方が良いやつか?
「……ま、オレの方も良い運動にはなったわ。
琴葉、ね。オレぁ一実、武知一実。かずみんとでも呼んでくれ」
ほれ、立てるか、と琴葉へと手を差し伸べる。
元のグラウンドに戻す必要があるし、その為にはいつまでも寝っ転がられてても困るしな。
■コトハ > 「……気にすんな。気まぐれだよ、気まぐれ。
気分とかノリとか冗談とか、多分なんかそんな感じだよ。」
口調に対する違和感。それも当然と言えるかもしれない。
それに対しての少女答えは、とてもそうは思えないような説明。
「か ず み ん。」
差し出された手を取って体を起こすが……しかし。
その名乗りは、どうもツボにはまったらしい。
「まじかよ、そのツラでそう呼ばせんのかよ! ちょっと可愛すぎじゃね?
おもしれーな、おい。わかったよ、かずみん。」
キャハキャハと笑った。
「はー……じゃあ、そろそろフケっか?
なんか使いたそーな連中も見えるしな」
今までは貸し切りのような状態だったが、どうやら他にも利用希望者が来たようである。
もっとも、広い訓練場なので一々遠慮する必要もないのだが。
■武知 一実 >
「そうか、なら気にしねえよ」
気にするな、と言われた以上気にはすまい。
そういうもんだ、と割り切れないもんでもねえし。
「ンだよ、別にいいだろ。
このツラで怖がられねえ様にって名乗ってんだから良いんだよ」
引き起こして立たせてすぐに手を離す。
まあ、雰囲気の柔和化よりも、自分の名前が好かねえって理由の方が強いが、そこまで説明せんでも琴葉の場合は大丈夫そうだしな。
「おう、終いだ終い。
元に戻すからさっさと此処出んぞ」
端末は一応グラウンドの外にある。
最初に設定を行った一つきり、という訳でも無く複数あるから好きなタイミングで変更も出来るらしい。
オレと琴葉、ふたり連れ立ってグラウンドを出た後は設定を解除して元に戻して他の利用者へ明け渡した。
「……そんじゃーな、琴葉。
慣れない動きしたんだ、筋肉痛には気を付けろよ?」
■コトハ > 「ま、悪くねーんじゃねーの?
雰囲気悪いよか、ずっとマシだしな」
顔もなにもかも悪ければ、それは都合も悪いだろう、と少女は思う。
いい悪いで言えば、顔そのものが悪いわけでもなし。
「へーへー、わかりましたよ。」
促されてしっかりと立ち上がる。
「はいよ、ご忠告どーも、かずみん。
またな」
ひらひらと手をふって、少女は立ち去っていく。
当然、次の日は筋肉痛であった。
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ご案内:「演習施設」からコトハさんが去りました。