2026/03/01 のログ
上下院 禰喪 >


多忙であるが故に、風紀委員同士の鍛錬が行いづらい環境であることも、事実。しかし、『風紀委員の代わり』に彼にお願いしたいわけではない。自らの素直な感情を伝えるために、唸りながら言葉を選ぶ。

「まぁ、それもあります。……また、風紀委員としての鍛錬も、確かに実践的な物です。しかし、そこには流儀があります。ストリートファイトとは違った、風紀委員の流儀。ですが、それだけで、全ての事象に対応できるのか、それが自分にはわかりませんでした。そんな時、先輩を見つけて、思ったのです。より清濁を併せ呑むことで、自分は強くなれるのではないか……と。」

我儘であることは分かっている、分かっているが故の『お願い』。上下院家の剣術も、風紀委員の訓練も、双方共に素晴らしいものであることは間違いない。でも、自分はより強くなりたい。

しかし、相手がそれを望まぬのなら、無理強いをするつもりはない。風紀を乱す事もまた、本意ではないから。



武知 一実 >  
「……まあ、事情は分かった」

分かったが、納得いかない事は多々ある。
清濁併せ呑むとは言うが、どっちが清でどっちが濁だよ、とか。
恰も喧嘩にゃ流儀が無いかのような言い方とか、まあ気にしてたらキリが無ェから気にしねえことにするけども。

「その上で聞くけどよ、そこまでして強くなる理由は何なんだ?」

強くなりたいっつーからには、相応の理由があるもんだろう。
ただ意味も無く腕っ節が強くなりたいんなら、風紀委員に属する必要もねーし。
つーか、風紀の中にだって派閥とか流派とか、複数あるんじゃねえのか。とても一枚岩には見えねえが。

上下院 禰喪 >


「強くなる理由……で、ありますか?それは勿論……。」

そんな物は決まっている、学園を守るため……。そう言い掛けた所で気が付く。別に、風紀委員は自分だけではない。自分一人が強くなった所で、広大な島の各所で起きる事件を網羅することは不可能である。そんなことは、単純な自分でも理解している。

もちろん、強く在ることに越したことはない。でも、風紀委員の範疇を越えた強さへの渇望は、どこから来るものだろうか。

長い、長い沈黙……そして、思い出す。

「とと様と、かか様に、そう望まれたから?」

疑問符と共に、口から溢れてしまった言葉。でも、それが真実なのだろう。幼い頃から掛けられた祝福の言葉、呪いの言葉。それが、己の原動力になっている。いや、なってしまっている。改めて問われて、漸く気が付いた。このようなことを言われても、困ってしまうだろう。理由の浅さを笑われても無理はない。言葉を否定するように、自らの唇を片手で塞いだ。



武知 一実 >  
別にコイツが言うほど、風紀の訓練体系が悪いって事は無いだろう。
人手が足りなくとも、他の部活と提携してある程度は機能するように出来ているはず、だ。
けれどその上で無関係な外部の、それも一個人に頼むまでする理由が気になった。

――まあ、言っちまえば個人的な興味だが、まあそれは向こうも最初に言ってるからお互い様っつーことで。
さて、どんな理由が出て来るものか、と思った以上に長い時間考え込む上下院を眺めていたが、

「……父親と母親ねえ。
 まあ、子供が親の期待に応えたいっつー気持ちがあるってのは理解出来るが。
 そんなだと、いつか暗礁に乗り上げて二進も三進も行かなくなンぞ」

返ってきた答えに、思わず溜息が口を突いた。
やっぱり風紀委員内での訓練に従事してた方が良いんじゃねえかなコイツ。
まあ、言った本人も何か違うのは理解してるんだろうか、自分の手で自分の口を塞いでやがるが。

上下院 禰喪 >


「笑わないの……ですね。」

自分ですら、滑稽な理由だと思っていたのに。溜息は有れど、馬鹿にされることはなかった。むしろ、助言さえもらえた。それが意外で、でも嬉しくて、口を塞いだ手を解いて、言葉を紡ぐ。

「強くなりたい理由を、あまり考えたことがなかったんです。自分が強ければ、他の学生を守れる、両親も喜んでくれる。頭が回らぬ自分には、難しいことは分からない。だから、まずはやってみよう……と。」

そう思っていたのも、事実だ。風紀委員の先輩方のように、この学園を守っていきたい。その気持ちに、僅かの嘘もない。しかし、より根源的な理由に、自分の意志がない。それが、酷く恥ずかしいことのように思えた。

「でも、考えてみれば、そこに自らの意思は介在していなかった。それで、また、わからなくなって……すみません。お恥ずかしい所を。」



武知 一実 >  
「笑わねーよ、そんな可笑しいもんでもねえからな」

家名の為とか、家族の為とか、そういう理由で鍛錬を積んでる奴なんてゴロゴロ居るしな。
ただ、そういう奴らもある程度明確な他の理由を持ち合わせている方が普通だ。
まあ、碌に家族の居ねえオレにはその程度の理解しか出来ねえから、実際はもっと深い理由がある場合もあるのかもしれねーが。

「バカでもバカなりに考えて、自分(テメー)と向き合わねえと強くなんざなれるわけねーだろ。
 ただ力に任せて暴れてえだけだってんなら、それでも良いのかもしんねェが」

その考えなしの行き着く先は、何度も喧嘩した事あるからよーく知ってる。
考えて来なかったせいで考え方が分からず、てめえの腕力持て余して暴れて風紀のお世話になるのを繰り返す奴だ。

「まずはアンタがどうして強くなりたいのか、どう強くありたいのか答えを出してからにしな。
 その答えを聞いたうえで、オレが納得出来たなら考えてやらん事もねーから」

上下院 禰喪 >


「……先輩は、正しい人ですね。」

自分にとっては、最上級の誉め言葉。まぁ、相手にどう取られるかは分からないが。それでも、彼の言葉からは、経験に裏打ちされた『何か』を感じた。だからこそ、真っ直ぐに受け止めることができる。

そして、今の自分に、質問の答えが出せないことも知っている。融通の効かなさ、不器用さは、自身が認める所でもあるから。それに、修行をしたいがために性急に答えを出すことは、相手に不誠実な気がした。

だとすれば、自身がやるべきことは一つだ。獲物である日本刀を入れた包みを背負い直すと、焦りが少しだけ削げた、緩い笑みを見せる。

「本日は、この辺りで失礼させて頂こうと思います。……自分には、この答えはすぐに出せるものではありません。それに、すぐに出すべきものでもないと……思いました。」



武知 一実 >  
「別に正しいた思っちゃいねーよ。事実、喧嘩して風紀に散々怒られてるわけだしな」

ただ、校則以前にオレにはオレのルールがある。
そこから外れない様に生きてるっつーだけの話だ。それが正しいか正しくないかは、他人が勝手に決めりゃ良い。

「志は立派でも、足元固まってねえのに進んだってロクな目に遭わねえからな。
 テメーで確り考えて、一歩一歩進んでくのが、結局のところ一番の近道って奴だ」

そういう意味では風紀委員っつー環境は適してると言えるだろう。
まあ環境を活かせるも殺すも上下院次第ってとこだが。

「後輩、って事は一年なんだろ?
 まだまだ先は長ぇんだ、気楽に行こうじゃねーか。
 じゃーな、オレも使った部屋の片づけしねえと」

失礼するらしい上下院に頷きを返しつつ、オレもベンチから腰を上げる。
にしてもまあ、コイツといい穂乃といい、年下なのに鉄火場に行くこともある奴らを見ると柄にもなく心配になってくるもんだな。

上下院 禰喪 >


「強くなれば、志は後から付いてくる……。そのように考えていたのですが、中々に上手くいかない物でありますなァ。」

暇手で頭を掻けば、小さく嘆息する。自らの異能との付き合い方、強さを求める理由。色々なことを考える必要がありそうだ。でも、不安ではない。先輩の言うとおり、まだまだ先は長いのだから。

「ええ、その――――本日は、ご指導頂き、ありがとうございました!宿題は、次にお会いするときまでに、考えるとします。」

深々と一礼……。そのまま、踵を返せば演習所を後にしようとする。しかし、入口で立ち止まって振り返れば、大きく手を振って呼び掛けた。

「先輩、助けが必要であれば、いつでもお呼びください!喧嘩のお手伝いでも、何でも、恩返しをさせて頂きますから!」

そう言って、言い逃げのように演習所を出て行った。ん?風紀委員が喧嘩の手伝いをするのは、どうなんだろう。そんな疑問を、胸に抱えながら。( ↓ )



ご案内:「訓練施設」から上下院 禰喪さんが去りました。
ご案内:「訓練施設」から武知 一実さんが去りました。