未開拓地区の半分以上を占める未開拓の荒野が「転移荒野」である。
何故転移荒野と呼ばれるかというと、異世界から様々なモノが転移してくる荒野だからである。
基本的に荒野が広がるものの、異世界の遺跡や建造物、草原や湖なども点在する。
世界の変容後、この区域の時空が不安定になり、異世界の魔物・怪異などが現れるようになった。そのため危険な区域である。なお世界中にこのようなスポットがいくつか確認されている。
異世界の研究のために残しておきたいという思いがあり、常世財団側は開拓に積極的でないようである。
住民の出入りは禁止されていないものの、現在は学園の直接管理する場所ではないため、中で何が起こっても自己責任となる。
ただ、そのかわり異能や魔術などの使用は全面的に認められている。訓練のためにやってくる生徒もいるという。
参加者(0):ROM(1)
Time:17:09:47 更新
ご案内:「転移荒野」から銀の狼さんが去りました。
■銀の狼 >
――やがて。
銀の狼は、再び転移荒野を駆け抜け始める。
限られた、満月の夜の中。
ただ一時であっても、野性の中に還るように。
銀色の風は、影を踏む事さえ許さぬ程の速度で。
限られた自然の理の中を、駆け巡るのだった。
■銀の狼 >
徐に、銀の狼は顔を上げる。
見上げた空には、ただ無言で大地を見下ろす赤い満月。
ただ一吠え。
ひどく長く、尾を引くような遠吠えが、転移荒野を駆け巡る。
月に向かって放たれたかのような遠吠えは、
荒野に生きていた生物や動物を、そのひと時だけ怯えさせ、暗がりや茂みの中へと逃げさせた。
されども、所詮は一頭の獣の上げる声。
遥か彼方の、夜を知らないような街や、人間たちの眠る街には、その咆え声が届こうはずもなく。
距離という壁に隔てられ、転移荒野を出る事無く。
その遠吠えは、小さくなっていくのだった。
■銀の狼 >
ひとしきり荒野の中を駆け続け。
銀の風が、一時その足を止めたのは、小さな岩山の上だった。
ゆらりと、銀の狼が岩山の上から荒野を見下ろす。
その体躯は並みの狼のそれではない。全長、凡そ3m。
一般的に最も大きな狼とされる種ですら、2mが最大。
その体調を優に超えている。
それ程の体躯からは信じられぬ程の速度で、荒野を駆け抜けた巨狼は。
今は赤い満月の下、静かに荒野を眺めている。
過ぎ去って戻らぬものを探すかのように。
あるいは、かつての記憶を手繰るかのように。
赤い満月の下で、銀の狼は広がる荒野を、静かに見渡している。
■銀の狼 >
夜。空に、真円を描く月が浮かぶ夜。
転移荒野を、銀色の風が駆ける。
その巨体からは想像すら出来ぬ速度で。
荒野の只中を、疾駆する。
失われた何かを追い求めるように。
自然の只中に帰ろうとするかのように。
銀の巨躯は、疾駆する。
並みの者の目には、銀色の風にしか思えぬ、圧倒的な速度で。
赤い満月の浮かぶ、夜空の下を、ただ、疾駆する。
ご案内:「転移荒野」に銀の狼さんが現れました。
ご案内:「開拓村」から幻夢さんが去りました。
■幻夢 >
確かに感じる。無数の生命を。
あの頃とは違う生命の数々を感じる。気配もそうだ。
何よりも焼け付く空気に感じるのは、より忌々しき"血筋"の気配。
太い牙をしならせ、拳がギリギリと軋みを上げる。
『那岐流め……!忌々しき定命の血統!
良いだろう、此れは宿業だ!今度こそ此の俺が貴様等ごと全てを滅ぼしてやるッ!!』
大地を踏みにじる、突風を巻き上げる。
血風と染め上げ、地鳴りと共に一歩ずつ現し世を踏み鳴らす。
『もう一度我が名を轟かせてやろうッ!定命の者共よ!
貴様等の悪夢をもう一度思い出せてやるッ!ハ、ハハハハハハッ!!』
悪逆の嘲笑が木霊する。
悪夢は此れより始まるのであった。
■幻夢 >
弾ける闘気と共に周囲の瓦礫も吹き飛んだ。
荒ぶる吐息を落ち着かせ、悪神はギラつく双眸を見開いた。
不毛の大地を焼き尽くす炎。集落と思わしき者々と物々。
其処に一つの営みがあった事は想像するに容易い。
成ればこそ、と疑問が消えない。
『此の俺を呼び出したのは何者だ……?』
自分が如何なる存在か自負している。
破壊と混沌の化身。目覚めればやるべき事は唯一つ、破滅のみ。
在り方を知らぬもので無ければ解けず、知っているなら触れ得ざる事になる。
否、疑問こそあれどそんなものは些事に過ぎない。
己の存在意義は唯一つ。
『フン、まぁ良い。此の俺を目覚めさせたのだ。
やるべき事は決まっている。破壊……殺戮の限りを尽くす事だッ!』
『忌々しき肉塊共は、相も変わらず我が物顔で大地にこびりついているようだからな……!』
鋭い眼差しが、遥か彼方の地平線を睨みつけた。
■幻夢 >
轟々と月夜に揺らめく炎が乱反射する。
あらゆる建造物が倒壊し、血と死臭が炎に焦がされていく。
生命と呼べるものは最早そこにはない。
喉が焼け付くほど熱い空気の中、唯一つ降臨していた。
堅牢な鎧を身に纏う、どす黒く穢れた肉体を持つ神そのものが。
『此処は……現し世か?』
訝しげにノイズが囀る。
忌々しい記憶は昨日のように覚えている。
確かにあの時、己は敗れたのだ。あの那岐流を名乗る人間達にしてやられたのだ。
ギリギリと怒りが歯ぎしりを立て、大気を震わせる。
怒りに呼応するどす黒い闘気が、周囲の瓦礫を巻き上げた。
『忌々しき定命の者に敗れて幾星霜……!ただ変わらぬ!此の怒りだけはッ!!』
腹の底で渦巻く怒りの炉心は今も尚猛っている。
ご案内:「開拓村」に幻夢さんが現れました。
ご案内:「遺跡群」からクロメさんが去りました。
ご案内:「遺跡群」から橘壱さんが去りました。
■クロメ >
「……」
見てしまえば、そういうことなのかもしれない。
だが、それもまた無粋か。
答えは、別に知る必要もない
「人ならば――思い出に縋り付いた、とでもいうのだろうが。」
機械であれば、そういうものでもないだろう。
ただ、残されてしまったもの。置いていかれてしまったもの。
いや、そこにあるものは大差ないのかもしれない。
自分もまた――
「……守りたいもの、か」
ずきり、と痛む
―…ミ…
声が、聞こえた気がした
「……自分だけ永らえたところで意味はない」
ぽつり、と言葉が漏れる
どこか疲れた声だったかもしれない
「……度し難いな」
一転、デート、などと浮かれたことをいう鋼鉄鎧に冷たい目を向ける
お陰で、意識が覚める
「……もういる意味はないな。戻る」
帰ろう、という言葉に答え。
ともに飛び、戻っていくだろう。
■橘壱 >
『……最後の抵抗、と言うよりは……いや、何でもない』
あまり言及するのも無粋な気もする。
ただ、機械は与えられた役割を全うしたのだろう。
『時代に、世界に取り残されてしまったもの……なのかもね』
ある意味では彼女と似たようなものかもしれない。
この混迷となってしまった世界で生き永らえる事、去っていく事。
どちらが幸せかなんて、決めるのは傲慢だ。
どうなるかは、きっとこれから先わかるはずだ。
『……そうだね。うん、これでおしまいかな。
後はもうなにもない。このデータも、持ち帰るほどじゃない』
ならばせめて、此処に残しておくべきかもしれない。
何も知らない部外者である自分にできるのはその程度だ。
ドローンの抽出データを削除し、外部の写真だけを撮っておく。
此処にはなにもない、調査の必要もないことを示すための証拠だ。
『僕はどちらとも思わない。ただ、この機械には守りたいものがあった』
それは全てをかけてでもすべきものだった。それだけだ。
モニターの奥で、僅かに笑みを浮かべれば視線を少女へと移した。
『無駄足ではなかったけどね。少なくとも、意外と悪くないデートだったかも。……なんてね』
冗談めかしに言えば、鋼が熱を帯び始める。
バーニアが光を宿しはじめ、飛び立つ準備だ。
『さて、帰ろうか』