2024/06/06 のログ
ご案内:「転移荒野」に緋月さんが現れました。
■緋月 > ざり、と荒野に響く足音。
風に靡くは、昏い赤色の外套【マント】。
その外套の下は、このご時世には時代錯誤もいい所の書生服。
風に揺れる、グレーのポニーテール。
赤い瞳が周囲を見渡す。
手にした刀袋が、小さく音を立てた。
「――――――」
口から漏れるのは小さな呼吸。
それを置いて、
「…………ここはどこですか…。」
困惑と混乱の入り混じった呟き。
凛々しいと思える顔立ちは、血の気が引き、困り切った情けない表情を晒している。
端的に言って不審者、大目に見て迷子という所か。
■緋月 > 書生服姿の少女――年の頃は16、17という所――は、空いている左手を口元に当てて必死に記憶を探っている。
「昨晩…ええと、昨晩は何をしていたのだっけ…。
――ああ、そうだ、宿が見つからなかったから公園で眠ったんでした…。
………それで、起きたら…なんでこんな所にいるの…?」
少なくとも、眠った所までは記憶にある。それは間違いない。
起きた所が、この荒野だった。
ひどい断裂が眠っている間に起こったとしか思えない。
「誘拐、なわけないですよね…いくら眠くたって、流石に気付く筈だし。
そもそも、誘拐だとして何でこんな荒野に放り出されるんですか…。」
普通、誘拐であればそれらしい場所に連れて行かれる筈。
こんな荒野に放り出される理由がわからない。
「ああ…ホントどうしたもんでしょう……。」
困り果てたのか、ガリガリと頭を掻く。
兎に角、見覚えのない土地であるのは明らかだ。
此処からどうすればいいか、まずはそれを考えるべきだろうか。
■緋月 > ふら、と視線を彷徨わせれば、小高い連山が見える。
少し思案。
「……山歩きはちょっと気が進まないけど。」
だが、一番良く周囲が見渡せそうな環境があの山である。
小さく息を吐くと、軽く気合を入れ直す。
「あそこから見える範囲で、人里か何か、見つかるといいけど。
…見つかるといいなぁ……。」
多少の希望的観測を抱え、書生服姿の少女は足を向け直す。
手にした刀袋から、小さく音が響いた。
「それじゃ、行ってみますか。」
かつ、とブーツが音を立て、止まっていた足が動き始める。
風に外套を揺らしながら、書生服姿の少女は小高い連山目指して足を進め始めた。
ご案内:「転移荒野」から緋月さんが去りました。