2024/06/29 のログ
ご案内:「学園地区郊外」に『』さんが現れました。
『』 > 学園地区と転移荒野を隔てる壁の外。それほど危険でもなく人の手も多少入った平野。

青垣山方面を目指し、這いずるように移動する灰色の影があった。

身体中を土と草で汚したそれが移動するたびに周囲の雑草がガサガサと揺れる。

それはもう、一週間もこの辺りをうろついている。

学園地区にも居住区にも入れず、壁の向こうの気配()に想いを馳せ続ける。

そんな願いもむなしく、誰か親切な人に出会えることを期待してひたすら這いずっていた。

『』 > 小さな身体の中には水色の髪飾りが透けて見える。

先日親切な人である■■(マト)からもらったものだ。

衝撃を和らげるそれの身体に守られ、折れたり歪んだりはしておらず綺麗な形を保っている。

本能に従い、その髪飾りを身に着けられるようになる未来を夢見て只管這いずり続ける。

時間も疲れもそれにとっては関係ない。

いや、それの内で叫び続けている者達が、それに止まる事を許さないという方が正しい。

だが一部、違う声も混ざっている。

見つからないように、そして恐れられる事の無いように危険な事はしない、させない。

内で叫び続ける者達は少々不服そうにしているが、それでもその声には反しない。

それにとって、その声は大事なのだ。

だから、雑草の中を隠れ進む。

揺れている雑草はそれなりに目立っているのだが。