2024/07/28 のログ
ご案内:「遺跡群」にアビスさんが現れました。
■アビス > 「回帰!」
今日は転移荒野の遺跡群って場所に来てます。
そして、遺跡の瓦礫の影でかつての姿を取り戻す!
新しい力の筈なんだけど、もうすっかり慣れちゃったみたいで、割とすんなり変身出来た。
あ、ちゃんと服は脱いで瓦礫の影に置いたよ。帰りに回収するつもり。
「よしっ!今日こそボクのお家を見つけるぞっ!」
瓦礫の影から飛び出して散策開始!
この姿だと足が触手になっちゃうけど、歩くのにはあんまり困らない。
なんか、自然と不思議な歩き方をしてる。ちょっと気持ち悪いね。自分のことながら。
ぬるぬるした歩き方で気配を辿って散策開始!
今日も時間は真昼間。
本当は凉しい時間に来たいけど仕方ない。寮からここまでまあまあ距離があるからね…
でも、この姿なら全然暑くない!ルンルン気分だ。
■アビス > 「ボクのおうっちはどっこかな~♪」
ぬるぬる歩行法は結構スピードが出る。
それに一応裸足?なんだけど全然小石とかが痛くない。
おかげで人間の姿よりも散策スピードは早い。捗る~。
何でこの姿で探索しているか。ちゃ~んと意味がある。
1つは、襲撃対策。この前みたいに突然ヤバいのに襲われた時に人間の姿だと死にかねないって事。
そうじゃなくても、突然変身したら数少ない制服を無駄にしちゃうかもしれないからね。
もう1つは、探索を捗らせるため!この姿なら魔力での探査が出来る!
襲撃への対策も全部お家探索に割いて、本気でお家を探してる。
襲撃があったら…まあ目視で対応できるんじゃないかな?自信がある。
「アビスちゃんがお探しのボクのお家はどこですか~?」
あと、今のボクはアビスだ。
多重人格とかじゃなくて。いや近いものはあるけど。
この前エルピスさんにアビスって名乗ったから、この姿ではそう名乗ることにした。
ぼろが出ないようにしないとね。
■アビス > 「今日中に見つけられそうな気がするよ~♪」
お家の気配が近づいているのを感じる。
いろんな要素が重なって人間の姿よりも捗りまくってる、確実に!
気分上々!
「あ、ついに手が…」
手?が地面につくまで伸びた。
これはこの前から分かってたことなんだけど、どうにも触手の伸び方とかが上手く制御できない。
前はこんな無秩序じゃなかったんだけど、どうにも今は上手く操れない。
やっぱり、人間が混じってるからだったりするんだろうか?
「えいやっ」
伸びすぎた手を深淵錬精の応用で切断。
一昨日の実験でいろいろ分かったけど、この触手には痛覚ってものがあんまりない。
切れた感覚はあるけど、触手部分なら痛みはない。
両腕から切り落とされた触手はすぐに黒い靄になって霧散しちゃう。まあ証拠隠滅って事で。
ついでに足もちょっと切っておこう。広がりすぎると誰かに踏まれちゃうかもね。なんちって。
■アビス > 「おっ?これじゃない?これじゃない?!」
3回伸びた触手を切ったぐらい経った頃、待望の時が訪れた!
ブロックを積み重ねて作られた黒い遺跡が遠くに見える。
他の遺跡と比べて瓦礫感の少ない安定した遺跡。
ボクは自分の家の外観は知らないけど、内装と近しい所を感じる!
「気配もあっちから感じる!あれだ!絶対あれだ!」
違うかもだって?いや!そんなことは無い!ボクには分かる!あれがボクのお家だ!
触手の足をばたばた動かしながら駆けよる!ああ、ボクの愛しいお家。こんなところにあったんだね。
「ただいま~~!あ?」
入り口にほおずりでもしようと思っていたところ。
あと数メートルって所で上空から何かが降ってきた。
それはボクの背丈の数倍はあるであろう背丈で色鮮やかな羽毛に覆われている。
二つの目と、空洞になった眼窩でこちらを見下す様子は…
「お前―ッ!ボクの大事なお家に何してるんだーーーー!!!!!」
ボクのお家にかぎ爪を喰い込ませながら激情の籠った瞳でこちらを見つめるそいつは、この前ボクを襲った鳥…いや、鳥野郎だった。
こいつ!!!!ボクの大事な大事な愛しいお家に…!!!!
「ぶっ殺してやる!」
鳥野郎に負けないぐらいの激情がボクの中で芽生える。
魔力全開、本気でこいつは殺すッ!
■アビス > 「深淵錬精ッ!」
感情のままに魔力を展開。
鳥野郎をボクのお家の入口ごと覆ってやる。
「まずはぁ!そこを退けぇ!!!」
手を前に突き出して、それを手前に引き出す!
鳥野郎の後方の魔力が実体化して鳥野郎をボク側に思いっきり弾き飛ばす。
鳥野郎はギリギリで察知したみたいで、直撃は回避。
それでも、体勢は崩せたみたいでふらふらと上空へと飛び上がる。
こちらを睨みつけながらホバリングしている。
この前みたいな直接攻撃は通じなさそうだね。
「その程度でぇボクがぁ仕掛けないと思ったかぁ!」
いいだろう、正面衝突だ。
両足に力を込めて鳥野郎に向けて跳躍。
両手の触手に魔力を纏わせておく。
これを攻撃時に実体化させて武器として扱う!!
跳躍したボクに鳥野郎が火球を吐いてくる。
「空中で動けるのはこの前見せた筈だぞ!!」
魔術で足場を作り回避。
と思ったら、火球がさらにその熱量を増し、白く輝き始めた。
「なるほどッ!」
両手を前方でクロスさせ、後方に飛ぶ構え。
この鳥野郎、意外とやり手みたいだ。
案の定爆発した火球の勢いに従って後方に飛ぶ!
くそッ!痛いじゃないかこの鳥野郎!
■アビス > そうして吹き飛んだボクに追撃を仕掛ける為に鳥野郎が動き出す。
その大きな翼を羽ばたかせ、ボクに向けて嘴を向けて突撃!
直撃は免れない。反撃にも時間が足りない。
「ならばぁ!」
迎え撃つだけだ!!!
後方に壁を作り出し、そこに叩きつけられながらもなんとか受け身をとり、そのまま両手の両手の魔力を実体化させる。
そして、そのうち片手を触手に向けて叩きつける。
手刀の要領で切断する気だったけど、切れない!
くそっ前よりも固い!それに勢いと体勢が良くない!
一瞬拮抗した様に見えたけど、すぐに押し負けることを察知する。
身体ごと貫かれる幻覚を一瞬見た。即座に後方の壁を消して素直に吹き飛ばされる。
追撃してきたらそのまま罠で辛い抜いてやろうとも思ったけど、追ってこない。
クソッ!かなり賢いぞこいつ!
「痛いじゃないか、鳥野郎!!」
壁と足場で勢いをなんとか殺し、一度体勢を整える。
鳥野郎は此方の様子を見るように更に上空へと退避し、そこから見下ろす。
生意気だ。
■アビス > 「どうしたものか」
この前は奇襲だったのと、鳥野郎がこちらを舐めていたからこそ上手くいったのだろう。
前回だって、大けがこそ負わせたけど逃げられたのだ。決して舐めていい相手ではない。
人間と違ってその基礎能力が高かったりすることもある。人間ばかり相手してきたボクにとっては中々慣れない相手でもある。
「だけど、まだ打てる手はあるだろう。さぁ!再突撃だ!」
もっと手札を見せてみろ!
幸いこちらの傷は時間経過で癒える。まだ腕が若干爛れてるけど、その程度で怯んでたらとっくに死んでるさ!
魔力をまき散らしながら再び鳥野郎の元へと足場と共に駆け出して、跳躍。
そこに鳥野郎が再び火球を放ってくる。
しかも、二つ。正面と横!
「二度も通じるかァ!」
横の火球を覆うように魔力を実体化。
正面の火球は壁で防いでやる。
そしてその背後でボクは身構える!
「来ると思ったぞ!二度も通じるかぁ!」
振り上げた両手と、構えた大剣を振り下ろす。
対象は、嘴を突き出して飛び込んできた鳥野郎!
所詮鳥頭だ!
勢いと魔力の込められた大剣が嘴を縦に割き、そのまま鳥の頭を切断しようとしたところで暴風に煽られる。
鳥野郎の魔術か?!もう少しだったのに!
恐るべきその勢いに押され、大剣を手放して吹き飛ばされる。
吹き飛んでばっかりじゃないか!ああ目が回る!鳥野郎はどこだ!
「うぐぐぐぐ!」
足場を作って着地しようとしても勢いと回転が強すぎて上手くいかない。
方角も上下も分らん!
そこに強い衝撃が加わる!その正体はすぐにわかった、鳥野郎だ。
地面に叩きつけられる直前、上空から見下ろす鳥野郎が見えた。
やられた!
そのまま地面に叩きつけられる。
空気が全部抜けて、少し苦しくなる。人間らしさってのも存外こういう時は邪魔だな。
咳込みながらも、上空の鳥野郎を見つめる。鳥野郎はまた火球を準備している。
その瞳にはさらなる激情が見えるし、嘴にはまだ大剣がぶっ刺さっている。
■アビス > 「ゲッホゲッホ!ああぁもう!」
放たれた火球を壁で防ぎながら走りだす。
逃げる訳じゃない。どうせ火球は防がれる前提で撃ってきてるだろう。
警戒すべきは火球そのものよりも追撃だ。
だけど、勝機は見つけた。そのカギは、突き刺さったあの大剣だ!
「問題はいつしかけるかだけどっうおおおおお」
再び突風に煽られる。いや強すぎる!ただの人間だったらそのまま死ぬレベルだぞ!
なんとか全力で踏ん張ろうとするも、吹き飛ばされる。
そして吹き飛んだところに火球の追撃だ。
しかも複数!これはっ!
「やるしかないッ!」
地面に叩きつけられながらも己に魔力を込めていく。
痛みで乱れそうな意識を集中させて、魔術の発動に備える!
火球の着弾まで3…2…1…!
■怪鳥 > ようやく仕留めたみたいだ。
放った火球が勢いよく直撃し、派手に燃え上がる。
地面が爆破により軽く抉れ、辺りを焦がす。
我の目を潰した代償を払わせる事が出来た。満足だ。
さて…この目を再生するための栄養を探さねばならない。
そういい、飛び立とうとした時だった。
■アビス > 「深淵の霧」
怪鳥の嘴に突き刺さった大剣の場所、鳥野郎の両目の前に現れ、そのまま両手に作り出した剣で鳥野郎の両目を潰す。
鳥野郎は突然の事態に対応出来ず、そのまま両目を貫かれ、激痛にか暴れ始めた。
それにしがみつきながら、両目に突き刺した剣をぐりぐりと回転させる。
「倒したと思ったかバカめ!ボクがその程度で死ぬわけがないだろうがぁ!ほら!殺してやるぞ!!」
いっそい激しく暴れる鳥に足を巻きつけしがみつきながら、片手を放してそこに鋭く長い剣を作り出す。
狙うは脳天!さぁ!
「終わりだぁあぁぁあぁぁ!!!!!」
両手で強く握りしめた剣を全力で脳天に突き刺す。
鋭さに特化したその剣は鳥野郎の脳天に深々と突き刺さり、赤い鮮血が噴き出す。
返り血を浴びながらもさらに深く!全部ぶっ壊す様に!
「死ねぇ!」
剣の先端からさらに棘を突出させる。
頭の内側から何本もの棘が飛び出し、それと同時に鳥野郎が暴れるのをやめて地上へと落下し始める。
「ハハハハハハハハハ!勝ったぞ!ボクの勝ちだ!!!!」
大笑いしながら地上へと落下する。
この姿での初の勝利だ!勝鬨を上げろ!
そして、地面に叩きつけられた。
■アビス > 「ゲホゲホ…いてて。」
上空から地上に叩きつけられるも、無事。
無傷とはいかないけど、半分人間とは思えない頑丈さだ。素晴らしい力だ、ボクの力は。
全身の土埃を払いながら立ち上がって、すぐそばに落ちてる鳥野郎を見下ろす。
「見たか鳥野郎。ボクの大事なお家を傷つけた罪は重いんだぞ」
ふふんと勝ち誇る。鳥野郎は…うん、完全に伸びてる。って言うか息絶えてる。
脳が二つ無くて良かった。そうだったらヤバかったかもしれない。
「いや~強敵だった…あいたた。治るといっても痛いもんは痛いなあ」
腕の爛れは引ききってないし、裂傷もある。
骨も折れてるかもしれない。
でも…
「いや~~~~~~…最高だった…」
なんだろうこの気分の高揚は。
この前鳥野郎を撃退した時もだが、すさまじい高揚感を感じる。
担々麺を食べた時なんて比じゃない。ありとあらゆる刺激がボクの感性を刺激して、リアリティと興奮を与えてくれる。
「ははははは。戦いっていいなあっ」
ぼろぼろの手と腕を眺めながら零す。
こんなこと、これまで感じた事がなかった。
戦いって、ボクの家への侵入者を叩き潰すだけの作業だった筈なのに。
今は、こうして高揚感を感じている。
きっと、人間になった影響だと思うけど…人間って、不思議だ。
■アビス > 「流石に、ちょっと、休もう」
その場に座り込んで、そのまま倒れてしまった。
全身が痛い。それに、魔力もたくさん使った。
興奮が少しずつ抜けるにつれて痛みと脱力感が襲ってくる。
「うぅ。折角お家見つけたのになぁ。今日は探索は無理だね…」
お家からも随分離れてしまった。それに、ボクのお家は敵もいっぱいいるし、さっきの鳥みたいなのもいるだろう。
昔のボクよりも今のボクは随分と弱体化している。その現実を感じる。
別に悲しくはないけど、思ったより帰宅は難しそうだ。
「ちょっと休んで…帰ろう…」
目を閉じて…少しだけ…ちょっとだけ…
気付いたら、ボクは寝てしまっていたらしい。
起きた時にはもう空はオレンジ色で、帰れた時にはもう夜中だった。
あと、鳥野郎の羽をいくつか引っこ抜いてきた。
これは、トロフィーみたいなものだ。ボクのこの世界での初勝利の記念品。
その夜は、ちょっと獣臭いその羽と枕元に置いて寝た。とても良く寝る事が出来た。
ご案内:「遺跡群」からアビスさんが去りました。