2024/08/05 のログ
ご案内:「転移荒野」にさんが現れました。
> 転移荒野――普段の少年の活動範囲的に、まず訪れる事は早々ない場所だ。
少年も、ここの危険度は承知しているので自ら足を運ぶ事は基本的には無い。
じゃあ、何でここに居るのかというと、そういう依頼を受けたからである…が。

「…うわぁ、報酬に目が眩むってこういう事を言うんだろうなぁ…。」

思わず乾いた笑いを漏らす。転移荒野に足を運んで暫くしてから、偶発的に少年の近辺で小さな『門』が発生。
それだけならまだしも、そこから竜が1頭に魔獣が数体。どれもこれも逞しい図体だ。

―ついでに、既にあちらさんは少年を”餌”と認識したらしい。お陰で現在周囲を囲まれております。

「…逃げる暇も隙も与えないってやつ?…勘弁してくれよ、こっちはただの零細何でも屋さんだぜ?」

余裕なのか本気でビビッているのか、冷や汗流しながら笑ってぼやく。
今にも襲い掛かってきそうな連中を眺めつつ、どうしたもんかと。

(…大体、転移荒野の調査っていう内容が漠然とし過ぎなんだよ!お陰でドラゴンとか魔獣の団体さんとドッキリ遭遇だよ!!)

> 既に小さな『門』は閉じてしまっているから強制送還とかは無理そうだ。
…まぁ、ドラゴンが通れる時点で小さいとはいえ、かなりのサイズではあったが。

「…ドラゴンの体は素材で高く売れそうな気はすっけど、大体ドラゴンって古今東西やべーのばかりだし…。」

あと、周囲の魔獣の団体さんが邪魔である。おい、そんな睨むなよ!睨むならせめて美女から睨まれたい!!
――あ、魔獣さん方の殺気が増した気がする…心を読まれた!?すいませんすいません!!

「――取り敢えずどうにか包囲網崩して逃げるしかねぇかなぁ…。」

残念ながら、”竜殺し”と洒落込むには自分じゃ弱すぎるのだ…恰好いいから憧れるが。
そうなると、”魔獣殺し”か…いや、でも殺気が増してる団体さん達も中々強そうなオーラが…。

「―――あ、やっべ…!?」

視線をドラゴンに戻した瞬間、そのドラゴンが上半身を仰け反らせて何やら”溜める”ような仕草。

――次の瞬間、一直線に熱線が放射されて大地を蹂躙する――直線上に居た魔獣たちにお構いなし、でだ。

> 「初手から必殺技かよぉぉぉぉぉぉ!!!!」

全力で真横にダッシュからのジャンプ!!靴底がちょっと溶ける程度にはギリギリで回避成功。
着地と同時に、今度はバックステップ。タイミングを合わせたのか魔獣の爪の一撃をこれも僅差で回避。

「っぶねぇ…!!あ、前髪の一部が!ハゲたらどうすんだよ!!」

本人は割と必死そうなのだが、魔獣たちはそれを余裕と踏んだのか、殺気が倍率ドン!…どうしてこうなった。

「…あぁ、ちくしょう!こんなの追加報酬貰わないと割に合わねーっての!!」

仕方なく、両手を腰の後ろに伸ばして刀の柄を引っ掴んだ。
そのまま鞘ごと抜いて両手に構える。巻き付いた鎖がジャラリ、と音を立てた。

(まー、ここはどうにかして逃げが最優先、魔獣連中は兎も角、ドラゴンの旦那は相手にしてらんねーって。)

> 一般風紀委員やってた時代も、流石にドラゴンとバトルする事は無かった。
つまりドラゴンと戦うのはこれが人生初である。…嬉しくねぇよ全然!!

(…熱線ブレス(仮称)は溜め動作があるっぽいから事前に察知して回避は出来るけど…。)

ちらり、と熱線で一直線に抉られた大地を眺める。…うわぁ、煙が出てる…熱そう~…。
うん、防御は絶対無理だな。むしろ生半可な防御とか突破されそう。怖い。

「…って、考える時間くらいくれよ!こっちはなけなしの人生掛かってんだぞ!!」

今度は左右同時から魔獣の爪の一撃。低く身を沈めて紙一重で回避しつつ、左右の”鞘”で魔獣胴体へと打撃。
…そう、打撃だ。打撃なのだが、何故か魔獣の胴体が”両断”された。

「……うわ、ちっくしょ…!!」

格好良くキメた筈が、両断した魔獣から飛び散った体液とモツの一部が降りかかった。最悪だ…!!

「―――ぺっ!ぺっ!口にもちょっと入ったじゃねーか、本当に最あ――…」

危険アラートが脳内に鳴り響く。反射的に両手の刀を交差させつつ、後ろに全力で跳んだ――が。

「―――ゲゥッ!?」

あ、すげぇ声が出たな我ながら。ドラゴンの腕の一振りを後方に飛びつつ刀でガードしたが…。
質量差とか勢いがありすぎる!!結果、思い切り吹っ飛んだ。
そのまま、大地を何度かバウンドしつつごろごろと転がり…。

「……いっ…てえぇなぁぁ畜生が!!……う!?」

案外元気そうにガバッ!と、起き上がったが、直後に思い切りリバースした。…グッバイ俺の昼飯。

ご案内:「転移荒野」にシアさんが現れました。
シア > 転移荒野。常世の特殊スポットとしては、大変容ということを特に思わせる場所であろう。
そんな場所に、場違いな少女は赴いていた。

「……広い。ない、なにも……?」

しかし、噂ほどに異常や怪異の類に遭遇するわけでもなかった。
広大な大地に、いい加減帰ろうか、と思ったところに何かが見えた。

「……いる、大きな生き物。」

見物しようと無警戒にも見える気安さで近づいていく。
その時、巨大な……ドラゴンといわれる生物が、口から超常の息を吐いた。

「……凄い、息が」

射線からはずれていたので、直撃はしない。それでも射程内には入っていた。
ふと気がつけば、男が一人。ドラゴンと他のよくわからない生き物が争っていることに気づいた。

「……人?」

小さく首を傾げる

> 「…ハァ…ハァ…俺の折角の昼飯が…くっそ、逃げたいけど一発くらい喰らわせてぇなあのドラゴンの旦那に。」

リバース終了。口の中が酸っぱいあの感覚が本当に最悪だ。
失礼。取り敢えず骨が折れたりとか筋繊維を痛めたりはしてないぽいのを確認。
…良かった、風紀委員時代に地道に鍛えておいて。でもガードしたのに両腕がめっちゃ痺れてます。

それはそれとして、俺の昼飯をお釈迦にした恨みは晴らしたい。…いやでも無謀かなぁ。
とか、考えてる間にも小回りの利く魔獣の連中は襲い掛かってくる。
ドラゴンの旦那は…様子見なのかこちらを見据えたままだ。くっそ、上から目線の余裕かよ!!

「…まぁ、実際…俺みたいな…三流剣士じゃ…っ…ドラゴンなんて…!無理ゲー…だけど…な!」

独り言を漏らしながら、魔獣の突進、爪の攻撃、噛み付きなどを全てギリギリで回避していく。
1対多数の不規則戦も経験があるのか、両手の刀…もとい鞘でいなし、弾き、反撃で打撃。
打撃の筈が、何故か腕や足や胴体を切り裂いているが、それはそれ。

(…何とか半分くらいは魔獣の団体さんの数は減らしたか…?…って)

ふと視線を感じた気がする。おそらくその人物と少年との間にはそれなりの距離がある。
それでも、反射的にそちらへと紅い双眸を向けた。……あ、誰か居るっぽい?

「え?誰か居る?…って、それどころじゃねーーーー!!!」

せめて逃げろ!とか警告したいがそんな余裕を消し飛ばすように、様子見していたドラゴンの不意打ち。
意外と機敏な動きで接近したかと思えば、真上からの打ち下ろしじみた剛腕の爪撃。
反射的に少年は思いっきり横に転がるようにして回避した瞬間。

――一瞬前まで少年が居た場所に剛腕が振り下ろされ、衝撃で地面が抉れるように陥没した。

「のわああああああああ!?」

ついでに、衝撃波で少年も転がりながら吹っ飛んだ。

シア > 「……大きい、熊より」

ドラゴンの威容に、のんびりと感想を述べながら動向を見守る。
視線の先、争う男は奇妙なことに納刀したままの刀で魔獣たちの攻撃を華麗に捌き続けている。
よく見れば、納刀したままのはずの刀で切傷を作っている。

「あ」

一瞬、こちらを見たと思った瞬間、ドラゴンの不意打ちのような一撃が振り下ろされた。
かろうじて回避はしたが、その動きと衝撃でこちらまで彼が転がってくる。

「……おつかれさま?」

多少の距離があったとはいっても、魔獣やドラゴンにとってはまだまだ戦闘圏内。
そんな状況下ではあるが、激しい戦いを繰り広げていた男に、とりあえず声をかけてみた。

「生きてるかな、まだ」

回避しているのは見えているので直撃は食らっていないはずである。
とはいっても、衝撃でダメージは食らっているかも知れない。

> 「おぅ…お疲れどころかご臨終しそうだけどな…。」

奇しくも様子見をしていた少女の所まで偶然吹っ飛んできたらしい。
仰向けにぐったりした感じで倒れていたが、少女の声に疲れた声ながらも軽口を返す。
…まぁ、軽口が現実になりかねない相手なので、油断は出来ないのだが。

「…っと!やっぱ防御は無理そうだ…ってか、アンタ何でこんな所に居るんだ?退避した方がいいんじゃね?」

と、そちらに赤い双眸を向けつつ。…ジャージに軍手姿。中々斬新だな…いや普通なのか?

ちなみに、ドラゴンは相変わらず強者の余裕?なのか直ぐにこちらに追撃してくる様子はない。
代わりに、残る魔獣の団体さん…もう10体も居ないが…こちらに突進してくる。

「うわぁ、熱烈なファンみてぇだ…全く嬉しくねーけど。」

ウンザリした様子で、吹っ飛んで転がっても手放さなかった両手の刀の柄を握り直し。

「そんで、アンタはどーする?さっさと逃げた方がいいと思うけど。」

少年もトンズラするつもりだが、せめて魔獣の団体は片づけないと面倒だと判断。
ドラゴンが様子見している間に、魔獣を始末しておきたいのが本音。

シア > 「大変そう、なるほど」

相手の疲弊した様子に頷く。確かに大変そうだ。よく見れば返り血、というか返り内蔵っぽいものとか色々浴びているっぽい。
ちょっと臭う?

「ボク? 見物に来た、転移荒野の。大きいの見えたから、よくみようと」

なんで、と言われれば理由はそれだけである。正直にそれを答えた。
ドラゴンなんて初めてみたので、当然気になったし。

「……モテモテ?貴方」

魔獣が駆け寄ってくる様子に、首を傾げる。ファン、というからにはそういうことなのだろう、と思った。
もちろん、そんなわけはない。

「うん。相手にするの面倒そうだ、大きいのは。
 さばけるかな、小さい方なら」

流石にドラゴンの相手などは無理そうだ。周りの魔獣なら、なんとかなりそうである。
突進してくる様子を見ながら、分析した。

「闘うの、貴方は?」

逆に問い返す。

> 「…つーか、少なくとも俺じゃあのドラゴンの旦那を討伐とかは無理そーだな。」

刀を持ったまま右手で王者の風格を見せるドラゴンを指さして。
黒光りする鱗、強靭な四肢、大きく鋭い爪、爛々と光る黄金色の瞳。
…黒竜って奴だろうか?門から来たのは確かだ…何処の異世界か知らんけど。

「…え、見物?マジで?ここ、割と危険地帯な筈なんだけどな…。」

そりゃ、調査とか討伐とか訓練目的で足を運ぶ生徒もちらほら居るらしいけど。
彼女の格好…で、その力量を決めつける愚は犯さないが、それにしても余裕過ぎる!
…もしかして、天然属性とか超絶マイペースな子なんだろうか?という疑惑。

「いや、女の子にはモテたいけどああいうのはノーサンキュー。」

真顔できっぱり即答しながら両手の刀でわざわざ×の字を作ってみせた。
さて、迫る魔獣の団体。浴びた体液とモツの臭いもアレだし、さっさと帰りたい…。

「――正直さっさと逃げたいけどあの魔獣、足が速いから追撃が面倒なんで、連中だけ片づけようかなって。」

勿論、ドラゴンの旦那とは流石にやりあえん。あ、でもやっぱり一発かましたいけど。
もう10メートルを切った自分たちと魔獣の距離。両手に鞘に納めたままの刀を提げつつ…。

「――アンタ、戦えるならちょっとでいいんで加勢してくんない?飯くらいは奢るからさ。」

なんて、軽い調子で尋ねながら、魔獣との距離を測る。既に5メートルを切ろうとしている。

シア > 「手ごわそう、あの大きいトカゲ。無理?貴方でも」

ドラゴン、という言葉も存在も知らない。ゆえに、認識はなんだか巨大なトカゲ、でしかない。
ただ、その風格、威圧感、威容で様々なことは伝わる。
それに、納刀したままの刀で斬れる眼の前の男の強さも、わかる。

「危険?そう。大したことなかったから、さっきまで。」

ここまで来る間は、特に害と言えるような害はなかった。
たまたまなのかは、わからない。ただ、少なくとも目の前の相手は脅威なのは流石に判った。

「なるほど」

確かに、魔獣は速い。猪とかと同じような感じだ。けれど、それなら見慣れている。
対処は可能だ。

「うん。逃げるのは難しそう、貴方だけ置いても。
 やるね、だから。」

眼の前の男が狙いであれば、放置していけば逃げられるかもしれない、が。こういう状況なら、自分も狙われる可能性は高い。
それなら、一緒に戦ったほうが効率は良い。

「……殺す、それぞれで? 固まる、二人で?」

ジャージの中から、大ぶりのグルカナイフを取り出しながら問う。