2024/08/06 のログ
> 「トカゲ…まぁ、デカいトカゲと言えなくもない…のかぁ?」

目を丸くする。ドラゴンの存在というものを知らない、といった感じの発言。
まぁ、そういう子も居るだろうなぁ、と直ぐ納得したが。この島、色んな連中が居るから。

仮に、自分と少女でタッグで挑んでも手足の一本持っていけるかも厳しい気はする。

「――まぁ、そりゃ運が良いって感じじゃねぇかなぁ…と、さて。」

そろそろ軽口交えたお喋りをする余裕も無さそうな距離感になってきた。
とはいえ、少女の落ち着きからして…おそらく獣との戦いには慣れている感じが何となくする。

「まぁ、今から逃げます!とか言われても手遅れだけどな~~…そうだなぁ。」

戦闘の方針。彼女が取り出すグルカナイフを一瞥する。近接戦闘主体か。

「――俺はアンタの戦い方わかんねーからなぁ…じゃ、こうしよう。アンタの動きに俺が合わせる。獣との戦いはアンタの方が経験ありそーだ。」

何となくだけど間違いでもない気がする。”獣殺し”ならおそらく自分より彼女の方が”専門”ではなかろうか?

シア > 「トカゲじゃない、あれ?」

どうやら違うらしい。では、トカゲの怪異、とかいうものだろうか。そんな風に考えて少女は首を傾げる。
口から変なものを吐くのも納得である。

「そっか。よかっただけ、運が。
 じゃあ返ってきた分だ、今は」

運よく障害を回避してきたというのなら、今、この魔獣が攻めてきているのはその分だろうか。

「ボク? いいけど……頑張って、うん」

自分に合わせる、と相手がいうのだから合わせるのだろう。
それができるだけの力がある、ということだろうし。

「行くね、じゃ」

向かってくる魔獣に向けて足を進める。良くも悪くも、相手は獣であった。
連携など無く、ただ突き進み襲うだけ。そのだめ、隊列もバラバラだ。

先陣を切ってきた魔獣を寸の間で、飛んで躱し頭蓋にグルカナイフを叩きつける。
鈍い音が響く。その背を蹴って、更に跳ぶ。

> 「――まぁ、そういう認識でもいいけど、普通にやべートカゲって感じになるな。」

さっきからこっちを様子見しているようだが、何時不意打ちやあの熱線ブレスが飛んでくるか分からないのが本当に怖い。
ただ、魔獣の団体さんが迫ってきているので、そればかり気にしてもいられない。

「因果応報…は違うか。何かそういうのを例えた言葉があったよーな…ぬーん。」

思い出せない。まぁいいか。ちなみに合わせると言い切ったが正直自信は無い!!

「はいよー…っと!」

少女が寸前で魔獣の突進を交わし、頭蓋にグルカナイフを叩き付ける――と、同時。

「やらせねーよ…ってな!」

真横から彼女に襲い掛かろうと飛び掛かる別の魔獣の顎を刀の鞘で打ち上げ、そのまま延髄辺りに蹴りを叩き込んで吹っ飛ばす。
丁度、彼女が跳んだ先に居た別の魔獣にその吹っ飛んだヤツが激突し動きが止まり…

「そっちの2体纏めてよろしくなー。」

と、ちゃっかりお任せしながら、1体彼女が仕留めて2体は激突で動きが止まっている。
残り7体。連携が取れていないので対処は意外と楽と言えば楽だ。
別の魔獣がこちらに襲い掛かってくるが、矢張り紙一重で避けながら懐に潜り込み――鞘の先端にて。

「――斬っちまうとまたモツとか浴びそうだからな!」

正確に魔獣の心臓?と思われる個所を”打ち抜いて”仕留める。

シア > 「ヤバいトカゲ、なるほど」

そういうものか、と納得する。知らないものは知らないのだし。

「お」

ぐじゃり、と頭を叩き潰して跳んだ先。その途中に自分に襲いかかろうとした魔獣が飛んでくる。
男のなした芸当だ。ただ飛んできただけではない。ちょうど狙っていた魔獣が道連れに巻き込まれ動きを止めている。

「合わせる、なるほど。」

フック付きのロープを取り出し、投げる。器用に魔獣の首に絡まったそれを引っ張り、勢いをつけて飛び込む。
魔獣へと着地を敢行し、同時にロープを絡みつけたものとは別の魔獣にナイフを叩きつける。
またも、鈍い音が響く。

「あっちは……」

男の方をみれば、別の個体を撃っている。
多少離れたが、さして問題はない。絡まったロープで窒息状態になった魔獣にとどめを刺す。

と、今度は男の方に魔獣が集まる。そういえば、先に戦っていたのは向こうだった。

「……よし」

走りながら、外したロープを男の横に飛び込もうとする魔獣に投げつける。
足に絡みついたそれを引きながら、跳ぶ。魔獣はバランスを崩し、少女はその上にナイフごと飛び降りる。

「5?これで。」

残る数を視認しながら、男に声を掛ける。

> 「さっすが…身軽っつーか動きに無駄がねぇなぁ。」

あのドラゴンと違って、魔獣の団体さんは落ち着いて対処すればそこまで脅威ではない。
しかも、今は二人で戦っているので効率も良い。流石に一人で全部仕留めるのはしんどいし。

「――だなぁ。じゃあ、俺があっちの3匹仕留めるからそっちの2匹頼める?」

顎で二方向を示す。どうやら単体では敵わないと見たか固まって、こちらを同時に仕留める戦法に切り替えた模様。

「――んで、全部仕留めたら…まぁ普通に逃げる方針がいいか。あのドラゴンの旦那の相手はしんどすぎる。」

ちらり、と一瞥する。魔獣の団体を相手にしている間も、一瞬たりともドラゴンから気を逸らしてはいない。
と、いうか油断すると確実に致命傷になりかねないのもある。ドラゴンだしなぁ…。

「―んじゃ、さっきリバースして腹も減ったし、さっさと仕留めましょうかね…っと。」

微妙に時間差で迫りくる3体へと、歩くような速度で前進。

――一匹目の突進は、ゆらり…と、スローな動きなのに紙一重で交わして、どてっ腹に右手の刀の鞘を抉るように打ち込んで仕留める。

――二匹目。跳躍して襲い掛かってくるソレの口の中に、躊躇なく左手の刀の鞘を正確に突っ込んで、脳髄ごと頭蓋を貫通破砕。

――三匹目。二匹目を仕留めた直後に、その陰から爪の横薙ぎが来るが、”読んでいた”のか状態を反らして回避――…

「悪いなー俺、三流剣士だから手癖足癖も悪いんだわ。」

上体を逸らした勢いのまま、右足を鋭く振り上げて顎を打ち抜いた。
ぐらり、と傾いだ体に両手の刀の鞘を交差するように首筋に左右から叩き込んで喉を潰す。

「――と、こんなもんか。」

さて、少女の方はどうだろう?と、そちらを見遣り――。

シア > 「残念、木がないのが。
 それと。無駄がない、そっちも」

評価はされたが、相手も凄腕だ。なんなく魔獣を仕留めているし、なにより正確に蹴り出して魔獣をまとめたやり口も大したものである。

「いい、二匹で?」

こっちが少ないけど、と首を傾げる。ただ、相手がいいというのならそれでいいだろう、と思い直す。
二匹のまとまりと向き合う。

それでも、横目で男の様子は見る。
奇妙な歩き……ゆったりとした動きで魔獣に迫り、魔獣を討つ。
あれは、歩法、とかいうものだろうか。

「なる、ほど」

その間に、魔獣が超速で突進してくる。ジャージの中から何かを取り出し、投げつけた。

ドズ

肉に重みのあるものが突き刺さった音がする。

「……だよね」

突き刺さった一頭はやや速度が落ちたが、そのまま向かってくる。ただ、二者の速度がずれた。
フック付きのロープを先に出た一頭の足元に投げると、躱す間もなく絡みつき転ばせる。

その間に、速度の落ちた一頭に飛びかかり、首にナイフを叩きつける。
ぐらりと揺れる肉を蹴り、転んでもがく魔獣の脳天にナイフを突き立てた。

「……さて」

男の方をみれば、もう三匹が倒されていた。

> 「俺の動きはまぁ、叩き込まれたのと独学で鍛えたのとごっちゃになってるからなぁ。」

何より、特徴的なのが両手のそれを含めて、4本も刀を携行していながら、一瞬たりとも抜刀しない事だ。
そもそも、よく見ればどの刀も、鍔と鞘を結ぶように幾重にも細い鎖が巻かれている。
つまり、意図的に抜けない仕様になっている。その理由は謎である。

「いやぁ、巻き込んだの俺の側だし、そっちが楽していいぜ本当に。」

結果的とはいえ加勢もして貰えてるので、ならこちらが一匹くらい多く引き受けるべきだ。
そして、流れるような動作であっさりと3匹を仕留めれば一息。

「――やっぱ鈍ってんなぁ…。」

何かそんな呟きをぼそっと漏らしつつも、少女の方に視線を向ければ。

「…うーむ、何と言うか熟練のハンターみたいなイメージが沸く動きだな…。」

もしかして、そういう経験が豊富なんだろうか?とか思いつつ魔獣の団体さんはこれで一段落だ。

「お見事。…で、あのドラゴンの旦那は――…。」

向けた視線の先、再びあの”溜め”の動作が視界に映った。
――まっずい!!

「うぉぉぉい!?わざわざ終わるまで待ってくれるとか紳士っぽいけど、いきなりまたそれかよ!!」

慌ててダッシュ!!あと、少女には全力でドラゴンを指さして避けろ!のジェスチャーをしておきたい。

シア > 「……変、やっぱり」

納刀したまま刀を使うということ自体が異様である。独学とかそういったものを超越している。
そこにはなんらかの意味があるのだろうが、奇妙なのは変わりない。
正直な感想を述べる。

「……鈍ってる、それで」

つぶやきを耳にして、首を傾げる。やはり化け物の類か。
この島はとかく、手練れが多い気がする。

そうこうする間に、魔獣の始末はついたので逃げるのみ、であった。
そこで、男の視線が上に移る。

「オオトカゲ……?」

視線の意味を理解して、同じく見上げてみれば、トカゲ(ドラゴン)の様子がおかしい。
なにか息を吸っているような……

「さっきの」

男が避けろ、とジェスチャーを送ってくるし、その上ですごい勢いで走り出している。
思い出してみても、あれは当たればまずそうである。

「……」

前傾姿勢になり、矢のように走り出す。ちらり、とドラゴンの様子を見ながら、どう逃げるかを算段して。

> 「え?俺って変人認定されてんの!?何で…!?」

女の子に、しかも初対面の子に言われるとハートにダメージが凄いんですが!
とはいえ、少年も自覚はある部分なので言われても仕方ないと思っている節はあるが。

「いやぁ…鍛錬サボってたりした時期もあったからさぁ。ま、三流剣士なんてこんなもんよ。」

ケラケラと気楽に笑いつつ…いや、笑っている場合ではないんだよな現在進行形で。

「――くっそ、気を配ってた筈なのにしくじった!…アンタ!兎に角ダッシュで…」

と、少女を見るがまるで飛ぶ矢の如く。と、いうか俺より速いじゃん!?
つまり回避するにしても、自分の方がピンチぽいという事だ…最後くらい普通に逃がしてくれよ!!

「――ギリギリまで引き付けてから、後は全力で跳んで回避するしかねぇか…!」

異能?…うん、俺の異能は何に対しても全く役に立たない。
じゃあ魔術?…凌げる可能性はあるが、タイミングがシビアすぎる。
…うむ、最初の熱線ブレスと同じく軌道をギリギリまで予測して神回避するしかない。

「―――来るぞ!!」

大声で少女に警告をすると同時、再びドラゴンが直線上の地面を抉り焼き尽くす熱線ブレスを放射する――!!

シア > 「……抜いてない、刀。たくさん、しかも」

二刀で十分なものを四本も持ち歩き、更にそれぞれが固く封をされている。
使わないのならともかく、それを振るっているのだから普通ではない。間違いなく。
少女はそう思っている。それなので、意外そうに言われれば首を傾げてしまう。

「三流?」

それこそおかしな話だ。が、刀を抜かないことを考えればそのへんが関係しているのかも知れない。
といっても、それ以上のことはわからないので考えるだけ無駄だと打ち切る、

「……ん」

ドラゴンの動き、姿勢を見る。
狙いは当然、小さな人間二人、なのはわかる。さて、どうする。
鱗は硬そうで、目は瞬膜の類があるかも知れない。武器や目眩ましは通用しないかも知れない。

「……通じるかな、大きいのに」

気休めでもやるしかないか、と懐から小さな袋を取り出す。
それをドラゴンの顔に向けて投げつけ……鼻先に届く辺りで炸裂するように、投げナイフを投げつける

飛び散った粉が、液体が、ドラゴンの鼻をくすぐる

「――!!」

今まさに、死の吐息を放とうとしたドラゴンが震えた

> 「あ~…昔からこのスタイルだからなぁ。抜いてないのは…まぁ、俺なりの”拘り”ってやつ?」

なんて、ケラケラと笑いながら適当に誤魔化していく。
少なくとも、何故わざわざ抜けない仕様にしたのに持ち歩いているのかも謎。
刀は本来斬る為のものなのだが、それを自ら封じているのは確かに変だろう。
三流?という呟きに「そーそー、三流。」と、笑ってそう返す。二流にすら己は遠い。

「…ちょっ!アンタ何やって……あ。」

彼女が何かをドラゴンの顔に投げつけた、かと思えば投げナイフで飛び散った粉や液体がドラゴンの鼻先に。

――瞬間、くしゃみのような勢いでブレスが斜め上…つまり上空発射された。
どうやら効果があったらしい…自分も一撃くらい与えたいが、この距離だと…。

「…けど、リバースした分の借りは返さないとな!!…そんで逃げる!!」

少年が徐に両手の刀を腰の後ろに交差させるように戻して。
何やら、ドラゴンを凝視したまま右手を向けて…グッ!と握り潰すような動作。
――瞬間、熱線ブレスが途切れる瞬間、何故かドラゴンの口が何かに押さえ付けられるように強制的に閉じられる。

…結果、口の中で行き場のなくなった熱線が爆発し、ドラゴンが衝撃に仰け反る…!!

「…よし、さっさと今のうちに逃げようぜ!…あ、俺は『赫』ってんだ。スラムで何でも屋をやってる!アンタは!?」

少女の方へと駆け寄って合流しつつ、そのままダッシュで逃げようとしながら自己紹介も。

シア > 「……変、やっぱり」

どんな拘りかは知らないし、分かるわけもないが間違いなくそれは変だ。
先と同じセリフをもう一度言った。

「投げた、トカゲの苦手汁と刺激の粉」

何やってるのか、と問われれば答えはそれ。トカゲが苦手とする酸と、刺激物のコンボである。
といって、大きいトカゲ、正確にはドラゴンに通じるのかは不明だったが、少なくともどちらかは効いたらしい。

「……?」

急にトカゲの口が閉じ、発射された吐息が口内に閉じ込められ爆発する。
わざわざ、本人がそんなことをするはずもない。男が、なにかしたのだろう、と推測は立つがそれ以上はわからない。
これが、異能というやつであろうか。

「……機会ではあるかな、逃げるための。」

謎は残るが、そんなことを立ち止まって考えるほど呆けてはいない。
走り寄ってきた男の言葉に頷く。

「ん。シア、ボクは。学生してる」

問われたので、名を答え……共に駆け出す。

> 「駄目押しで言われたよ!!…まぁ変なのは認めるけどさぁ。」

刀使いは数多く居ても、4本もあって全て抜けない状態に自分からしているのはこの少年くらいかもしれない。
ともあれ、彼女が投擲したブツの正体に成程、と頷く。
ドラゴンに通じるかは分からなかったが、どうやら一定の効果はあったらしい。

ちなみに、使ったのは少年の魔術なのだが…今は説明する暇も余裕も無いのだった。

「んじゃ、さっさと逃げようぜ、一泡吹かせただけでもマシだしな!」

少女のファインプレーのお陰でもあるから素直に感謝したい。
ともあれ、さっさと逃げながら互いに自己紹介。どうやら学生らしい。

「お、学生さんか。ともあれよろしくなシア!あと、何か依頼あれば何時でも受けるぜ!」

と、ちゃっかり宣伝はしておいた。ともあれ、そのまま二人で安全そうな場所まで逃げるのだろう。

――ちなみに、帰る道中できちんと何か食べ物はお礼として奢ったかもしれない。
そうすれば、少年はスラムが塒なので少女と別れてそちらへと帰っていくだろう。

ご案内:「転移荒野」からさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」からシアさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」にナナさんが現れました。
ナナ > 用事があろうと近付くべきではない場所
異界の化け物達が漏れ出す場所
そんな荒野に今、少女が1人立っている

「まさか本当に居るとはね、世界っていつから空想が混ざりだしたんだろ。」

遠くからでも分かる巨体
空想物語の存在、ドラゴン
ここにドラゴンが現れたと噂を聞いた時には疑った
そんなバカな話まではやりだしたのかと

ただ、魔法も異能も溢れる世界では万が一と言うものがある
態々危険を冒してまで遠出した結果、噂は本当だった

「半日走って伏せて隠れて跳んで、会いたかったよドラゴンちゃん。」

ご案内:「転移荒野」にさんが現れました。
ナナ > 口元に小さくない怪我、誰かが戦って仕留めそこなったらしい
辺りにはドラゴンの食事にされたのか八つ当たりされたのか他の生き物が居ない
手負いの獣との一対一、条件が整いすぎていて笑いがこみ上げる

「私1人じゃとても食べきれない量、動いてるのを実際に見てから食べれば馬鹿でも失敗しない。」

今は風下に立っているからまだバレてはいない
けどどうせすぐ気付くだろう、ならば最初が最大のチャンス

ベースは偶蹄目、骨と肉を厚く重ねて下半身を構築する
上半身は腕力を重点的に、掴むための爪は猛禽類のそれ
戦闘用の最適なパーツを組み合わせ段々と形が人から離れていく
文字通り合成獣、数多の生き物を人の頭で考え都合よく切り貼りした怪物

「恨みは無いけど私の目標の為なんだ、だから協力してねドラゴンちゃん。」

少女とは言えない姿の異形は構える、最大で渾身の力で駆ける為
化け物を怪物が狩る為に

> 昨日、命からがら知り合った学生のジャージ少女と共に逃げ帰ってからそれなりに時間が経過した現在。

「…勘弁してくれよ~何で転移荒野の調査の依頼が今度はドラゴン退治になってんの…。」

そんなボヤきを零しながら、少年は荒野を歩いていた。昨日の記憶が蘇る…アレとやり合うのかぁ…。
腰に提げた四刀をカチャカチャと鳴らしつつ、露骨に嫌そうな表情でやがて、”その場所”付近へと至るが。

「……うわぁ、相変わらず居やがるよあのドラゴンの旦那…って、ありゃ?」

てっきり、ドラゴンとサシでやり合う羽目になるかと思ったが、”先客”の姿があった。

「…えぇぇ…何か”怪物”さんが居るんだけど…聞いてねぇぞ…。」

ドラゴンの旦那は…まだ怪物に気付いていないらしい。風の流れからして、あの怪物さんは風下の位置かな?

(うーむ、流石に俺がここで出しゃばって”両方”から敵対されると面倒だし)

つーか死ぬ。普通に死ぬ!なので、適度な距離から様子見をする事にする。

「…あの怪物さんがドラゴンの旦那を仕留めてくれりゃ、こっちも楽に依頼達成出来るしなぁ。」

このくらいの打算はしてこそのスラムの住人であり何でも屋である。

ナナ > 準備はした、後はタイミング
集中が高まるタイミングで聞こえる何かの金属音?
ふと音の下方向を見れば武器を持った男が1人

自分と同じく噂を聞いてきたのかもしれない
邪魔をする様子もなく遠巻きにこちらとドラゴンの両方を見ている…

「なら、やる事は変わらないか。」

横槍を入れる気が無いなら獲物に視線を戻す
地面を蹴り、姿勢を低く、這う様に全力で駆けだす
距離が迫ればこちらに気付くだろうが構わない、ある程度近付く事が出来れば一気に跳び上がりドラゴンの頭へ向かう

鉤爪をドラゴンの顔に突き刺し組み付きにかかる、狙うは目玉…その奥の柔らかな中身()

> 少年はドラゴンと怪物から少々距離が離れた、やや小高い丘じみた一角で様子見中。

「…んー、不意打ちっぽいな。ドラゴンの旦那はまだ気付いてない…”初撃”で仕留める感じかねぇ。」

などと観察していたら、怪物さんが動いた――うっわ速い…どころか目でかろうじて追えるかどうか。

(あ、ドラゴンの旦那が気付いた――けど、怪物さんの方が”速い”。)

既にドラゴンが気付いた時には、怪物の鉤爪がその顔に突き刺し、組み付きに掛かるのを見た。

狙いは目玉?いや、そのまま脳まで貫く狙いか。――だけど相手はドラゴンだ。

「―――馬鹿!そんなあっさり行ったら苦労しねぇだろ!!今すぐ距離を取れ!!」

反射的に叫んでしまった…やべ、俺の存在もドラゴンの旦那にバレる!!
っていうか、何でおれは怪物さんのフォローしてんの?とついでに自問自答だ。ついうっかり。

だが、あのドラゴンと多分最初に対峙したから分かる…あれじゃ”届かない”…!!

ナナ > 顔に組み付ける、その後は頭の中をミンチにするだけ
思考の刹那に混じるノイズ、何もしないと思っていた男から発せられた距離を取れ、の言葉に隙が生まれる

「あ゛ぁっ!?」

油断、男と同時にこちらに気付くドラゴンが体を反転させ尻尾に薙ぎ払われる
防御もできず真面に胴体を薙ぎ払われれは当然の様に吹き飛ばされる

ドラゴンが狙ったかどうかは分からないが弾かれたナナは男の方へと吹き飛ばされ、そのまま地面に着弾する

「…べぇ、骨が少々と内臓も少し。まぁ生きてるんでいいんだけど……」

ドロリとした血を吐き出し、男の方を向く
ドラゴンの追撃を考えれば時間は多く割けない

端的に分かりやすく質問する

「邪魔するならお前から殺す、手伝うなら許すけどどうする?」

痛みと怒りでぎこちない笑みを見せる
口元にはサメに近い牙が並ぶ

> 「――って、うおぉぉい!?」

尻尾の薙ぎ払いにより、怪物さんがまともに胴体を薙がれるように吹っ飛ばされた――しかもこっちに。

――一瞬だけドラゴンと目線が合う。僅かにその竜眼が細まる…うわぁやっぱ覚えてるのねこっちの顔。

「って、それどころじゃないんだが!!」

怪物さんが地面に着弾する寸前に、ちょっとバックステップして距離を取って安全確保!
それでも抉れた地面と細かい岩片が飛び散る辺り、相当の衝撃だったのが分かる。

「おー生きてる…って、喋れるんかい!?…うわぁ、何か脅迫されてるよ俺…。」

いや、俺の一言のせいかもしれないというか、多分そうなので困ったねこりゃ。
両手を挙げて降参のポーズを取りつつ、視線は怪物さん…ではなく、その向こうのドラゴンを一瞥して。

「まぁ、俺も依頼であのドラゴン退治しに来たからなぁ、手伝うのは別にいーけど。
それに、あのドラゴンに最初に遭遇したの多分俺――…つーか、アンタ!後ろ後ろ!!」

視線を怪物さんに戻しつつ、その背後を必死に指さす。振りじゃないぞマジだぞ!!
何故なら、ドラゴンの旦那があの”溜め”動作に入っている…この前のかましたダメージがある口でやるか!!

――瞬間、怪物と少年へと目掛けて、超高熱の熱線ブレスが一直線に放射される――!!

ナナ > 「ならいい、次邪魔したらまじでそっちから終わらせるから。」

ブレス、いかにもドラゴンらしい攻撃はこちらを纏めて潰そうと放たれる
しかしなぜか襲い掛かった自分より声をかけた青年を狙っている様に見える
横に跳び、ドラゴンが男を狙うなら少し回復に集中する

「さっき最初に遭遇とか言ってたっけ、なら……
そこの4刀!あいつの頭に組み付けたら私なら殺せるけど何か考えある?」

ブレスが終われば今にも飛び掛かってきそうなドラゴンを尻目に声をかける
どうもあのドラゴン、余程あの青年に恨みが有るらしい

眼を見ればわかる、あれは怒り心頭の眼だ

> 「その前に終わりそうなんだけどなああああああ!?」

俊敏に回避した怪物さんと比べたら身体能力の差は歴然だ。
それでも明らかに場慣れした俊敏さで少年もブレスを回避!!
…あ、髪の毛が一部燃えたわ…お気に入りのジャケットも一部焦げた。つまり超ギリギリの紙一重。

「赫だテラシ!!考えがあるっちゃあるがあんま持たないからさっさと仕留めて欲しいね!!」

仕方なく腰の後ろの2本を抜刀――もとい抜鞘。少年の刀はそもそもすべて鎖が巻かれて鞘から抜けない仕様だ。
鞘を付けたままの刀を両手に携えつつ、心底嫌そうな表情でドラゴンの旦那を見据えて。

「あのドラゴンの旦那、どっちかというと俺狙いっぽいから俺が攪乱と囮やるわ。
…で、隙を見て頭を下げさせるから、そのタイミングでアンタが一撃で仕留める感じで。オーケー?」

怪物さんにそう確認を取るが、既に少年は自らドラゴンへと向けて駆け出しており。

(くっそ、囮なんて心底こえーけどやるしかないっての!!)

そもそも長くは時間を稼げない。今度こそあの怪物さんが一撃で仕留めてくれるのを祈ろう。
だが、その為には囮をやりつつ、あのドラゴンの旦那の頭を下ろさないといけない。

ナナ > 「赫?あぁ了解了解、もうちょっと頑張って~」

青年が狙われるお陰で集中して回復が出来た
骨も肉も元通り、彼が燃え尽きる前に何とかしなければ

「おっけ、最初とやる事変わんないから問題ないよ。」

瞬発力が求められるなら下半身のベースをウサギに近く変えていく
自分で頭を下げてくれるなら仰々しい爪も必要ない、手が甲殻めいた鎧に覆われていく

囮と攪乱が失敗した時は…

「隠れてあいつを食ってる時に改めて、かな。」

物騒な未来も考慮しつつドラゴンからある程度の距離を取って位置取る

> 「気楽に言ってくれるよなぁ、ちっくしょーー!!」

明らかに怪物さんの時より殺意がマシマシなんですが…豪快に振り下ろされた剛腕の爪撃を、走る勢いを殺さずに横っ飛びに回避!!
着地同時に素早くドラゴンの旦那の”足元”へと滑り込むように移動し――

「…くっそ、こんなの風紀時代でも経験しなかったっつーの!!」

ボヤきながら、ドラゴンの足と足の間をすり抜けざまに左手の鞘で殴打。
――瞬間、物凄い打撃音が木霊した――が、ドラゴンの旦那は痛がりはしたが怯まない。さっすが…。

「――っていうかやっぱ硬てーなぁ!!腕が圧し折れるかと思った…!!」

ちらり、と怪物さんへとさりげなく視線を送る。…うわぁ、回復してるわ…超便利。
そのまま、ドラゴンの旦那の背後へと回り込みつつ、跳躍して背中に一撃――ぞくり、と悪寒。

「やっ…べ!?」

反射的に独楽のように身を回転、先ほど、怪物を薙ぎ払った尻尾の一撃と激突する――

(ぐおおおおおおお!?)

衝撃で全身折れそうだが、回転する事で尻尾の”上を転がるように”してやり過ごす!!
そのまま、着地と同時に再びダッシュ!一瞬たりとも気が抜けない!!

「…殺意高すぎだろ…!!これ、どうやって旦那の頭を下げさせるべ――…。」

言い終わる前に、ドラゴンの周囲に不可思議な魔力の陣が形成される…あ、まっずい!!

「…竜言語魔法…!?ブレスと尻尾と爪だけにしとけよ!!ハードすぎだろ…!!」

少年の抗議を搔き消すように、竜の咆哮を合図に四方八方へと魔力の轟雷が迸る!!

ナナ > 「気楽…ではあるか、うん。」

自分が狙われていた場合失敗ができない
先程の様に失敗すれば相当な痛手をおうからだ
だが、今はドラゴンのヘイトが完全に青年に向かっておりゆっくりと考える余裕もある

ドラゴンへの打撃はかなりの音だったが意にも介さない様子
そう言えばなぜ彼は刃を使わず鞘のまま闘うのか、何か条件でもあるのだろうか

「ん~…これはあの人死んだかな?」

陣の外に飛びのき魔力の雷を回避する
ドラゴンの足元を翻弄していた彼があれを避け切れるのかどうか
普通は無理だろう、自分なら諦めて防御に専念する

だが、青年の行動も無駄ではなく明らかにドラゴンも余裕が薄れつつある
最早頭を下げるまではいかなくともこれだけ疲労させてくれれば儲けもの
彼が死んでいた時に備えて構える、次はこちらに襲い掛かるであろうドラゴンを見つめて

> 轟雷の威力は凄まじく、ドラゴンの周囲の地面は抉れ、吹き飛び、まるで無数の爆撃を受けたような有様だ。

衝撃と熱で煙が濛々と立ち込める…それも直ぐに晴れるが、赤毛の少年の姿は何処にも見えない。

――直撃して消し飛んだか?他愛も無い…人間め。

ドラゴンが普通に喋れるなら、そう呟いていただろう。
実際、怪物――少女からの視点でも、到底無事には見えないかもしれない。

とはいえ、多少なり疲弊させたのは無駄でもない。
それでも、ドラゴンは忌々しい人間を仕留めたと判断したのか、唸りながら怪物へと視線を向けようとして…

「――いや、勝手に殺さないでくんない?こんな所で死にたくねぇよ俺は。」

その声は”上”から響いた。反射的に竜が顔を上げようとした直後、その眉間に左右の刀の鞘を叩き込む。
再び打撃音が木霊するが、それで怯むドラゴンではない…が。

「――先日の”アレ”、旦那は覚えてるよな?賢いみたいだし…じゃあ、次は何をするか分かるかい?」

あちこち衣服が焼け焦げたり肌に裂傷や火傷を負いつつも、ニヤリ、と笑ってみせて。

「――怪物さん!!―――外すなよ!!」

叫ぶと同時、不意に”見えない何か”に圧されるように、ドラゴンが頭から地面へ叩き付けられる。

その反動と衝撃で少年も転がり落ちるように吹っ飛ぶが、その表情は笑っていた。

――さぁ、怪物さんよ。舞台は整えてやったぜ?

ナナ > 死体も残らず死んだ、状況的にはそれが妥当
しかし距離があるおかげかナナはそれを知覚した

「結構やるねぇ、邪魔した事は忘れてあげる。」

ドラゴンの頭上からの一撃
打撃音は先程と同じくかなりのものだが効かなかった攻撃を同じく繰り返すほど愚かではない筈
外すな、その声と共に駆け出す

「失敗したら絶対殺す!」

何をするかは分からない、けれど決まれば千載一遇
突然転ぶようにドラゴンの頭が地面へ、文字通り首を垂れた

「それじゃぁドラゴンちゃん、バイバイ。」

貫手の如く目玉から一閃
通常の生き物よりは硬いがそんな物は関係ない
柔らかなブドウが弾けての先は頭蓋の内側へ

そしてナナの腕は途端に伸びる
頭蓋の中を乱反射するように伸ばされた甲殻付きの腕は容易に柔らかな中身を蹂躙し、ドラゴンは物言わぬ肉に変わる

> 「お見事……何かめっちゃエグい気がすっけど…。」

落下しながらそれを見届けて苦笑いを浮かべつつ。くるん、と姿勢を整えて足元から着地。
…が、流石にしんどいのか両手の刀を腰の後ろに戻してから座り込んでしまう。

「あーーーしんどかったーーー!!ともあれ依頼達成だちくしょー!!」

後は証拠として記録映像とか画像を依頼人に転送すればいい。あと、サンプルとして肉体の一部も持って帰らないといけない。依頼人の指示だ。

「…もう二度とドラゴンの相手なんかしたくねーわ…。つか、怪物さんは何でコイツ仕留めにきたんよ?」

疲れた表情で尋ねてみる。まぁ、言いたくないなら別に無理に聞きはしない。そういうのは弁えてますとも。

ナナ > 「逆に、そこらの金属より硬い体を貫通できるならやり方教えてほしいわ。
こうでもしないと死なないでしょ、心臓潰すのなんてアバラ通せる気がしないし。」

腕を引き抜き、ドラゴンの死を確認する
この状態では生き物なら生きてはいないだろう

「依頼なんて出てたんだ、ならやっぱりこいつさっさと仕留めに来て正解ね。
私はこいつを食べる為に来たの、かなり手伝ってもらったし半分はあげるわ。

あ、あと怪物さんじゃなくて私はナナ。次怪物って言ったら貴方にもこいつと同じことしてあげる。」

特に隠す事もないので素直に答える
最後の言葉にはにっこりと笑顔のおまけつき

> 「貫通は無理だけど、衝撃を内部に伝播させればいけるんじゃね?ドラゴンの旦那の体の強度次第だけどなー。」

あと、竜の心臓か…何か魔力器官とか生命力が詰まってるとか聞いた気がする。…ふむ。

「あーまぁ、そういうもの好きか研究者もゴロゴロ居るからなこの島って。
いんや、俺が欲しいのは”心臓”くらい?依頼には含まれてねーから、俺の個人的な興味で。」

あとは肉体の一部さえこっちにくれれば全部進呈しても構わない気持ちだ。
ちなみに、心臓をどうするかと言うと焼いて食べるつもりである。ちょっとデカい焼き鳥のハツだと思えばイケる筈。

「オーケー、ナナ。あとその笑顔怖いからな!!こっちはズタボロなんだし勘弁してくれっての。」

怪我が増えるのも死ぬのも御免だ、とばかりに肩を竦めて。