2024/09/13 のログ
ご案内:「転移荒野」にリタ・ラルケさんが現れました。
■怪異討伐依頼書 >
転移荒野に、未知の怪異の出現を観測。
驚異的な速度で増殖し、有害物質を散布する性質を確認している。
可能な限り討伐せよ。根絶が望ましい。
■リタ・ラルケ >
――――ぬぼ、ぬぼ、ぬぼ、ぬぼ、ぬぼ
ぬぼぬぼぬぼぬぼぬぼぬぼぬぼぼぬぼぬぼぬぼぼぬぼぬぼぬぼぼぼぼぼぼ
「うわぁ……」
――その日、転移荒野の一角は大量のキノコで埋め尽くされていた――。
半ば習慣となった、異能のコントロール訓練を兼ねた怪異の討伐の仕事。
今日も依頼に従って指定地点に来た、のだが。
そこにあったのは、慣れてない者が見たら一種のトラウマになりそうな光景だった。
地面を埋め尽くす、半分溶けたキノコ。
しかも何やらゆっくりではあるが、動いている。
のそりのそりと、赤子が這うよりもゆっくりとした速度ではあるが――何やらこちらに近づいてくる。
手足が思わず震えるような鳴き声(と表現していいものか悩むが)と、妙な靄を周囲に振りまきながら。
「…………こわい」
なんだろう、特別危ない気配はしないはずなのに。
生理的に本能的に逃げたくなってしまうような、そんなオーラが、ここにある。
■リタ・ラルケ >
「ともかく……あれが件の怪異……で、いいんだよね」
特徴は依頼書と一致している。
……とりあえず、屠ればいいんだろうか。
あれを。
あの、言葉に言い表せぬ、夢に出てきそうな何かを。
「……終わらせるか。早めに」
ぐ、っと。右手を握りしめる。
それから少し経って手を開くと、何も存在していなかった右手の中から、陽炎を立てる小さな球が浮かび上がる。
「――ストラスフィア!」
《属性精霊》の力を込めた、小さな爆弾のようなもの、というのが最も近いだろう。一発、挨拶代わりに集団に叩きこむ。
球が爆ぜて、中に閉じ込められた力――今回は、炎が、その周りを焦がす。
■リタ・ラルケ >
焼く。吹き飛ばす。近づいてきたら魔力の剣で斬り伏せる。
一動作一動作が、確実に怪異を減らしていく。
「……予想よりも弱い」
数が数だけに、雰囲気もあってげんなりしていたけれど。
思った以上に早く終わりそうである――。
「っ」
――とも、いかない。
近寄ってきたその一体を作業のように斬った瞬間、怪異が爆ぜ、周囲に濃い靄を撒き散らす。
反射的に距離を取り、再び炎を閉じ込めた球体を右手に作って構える、と。
「……うわ」
靄が徐に地面に降りると、そこから数体のキノコ。
増殖。
「……これか……」
前言撤回。
これは、厄介なことになりそうだった。
ご案内:「転移荒野」に芥子風 菖蒲さんが現れました。
■芥子風 菖蒲 >
転移荒野にて、怪異発生中。
至急、風紀委員として、
現場の対処をすべし。
今日、風紀委員芥子風菖蒲には、
そういう仕事内容が与えられた。
なんでも、有害物質をばら撒くらしい。
「……もしかして、コレか?」
急いで現場に到着してみれば、
何か物凄い数のキノコが生えてる。
なんだコレ、しかも数も多い。
すごいなぁ、と感心する一方で、
既に事は始まっているようだ。
誰かが対処行動をしている。
その姿はには、見覚えがあった。
確か……。
「何処かであったな。……前と雰囲気が違う?
ねぇ、大丈夫?此処で何をしてるの?」
ふわり、黒い布をたなびかせ、
一足で彼女の元へ降り立った。
青空の双眸が、覗き込むように
彼女の顔をじぃ、と見つめる。
■リタ・ラルケ >
倒しても必ず増えるわけではないらしい。
それが救いでもあり、悩みの種でもある。
「……増える条件は……なんだ? 倒し方? 個体? タイミング? それとも運?」
考えている間にまた一体蹴り飛ばして仕留める。今度は爆ぜない。
やはり謎だ――というところで、また違う気配。
すわ新手か、と思ったけれど。敵意を感じない声。どうやら違うらしい。
「――――あー……えっと」
振り向けば、表情の薄い少年の姿。
はてどこかで会ったっけか。
――会ったのがかなり前だったからか、少し思い出すのに時間がかかった。
「……菖蒲、だっけ。たしか。
何をしてるかって言われたら……」
ぽい、と。所在なさげになっていた右手の球をその辺の集団に放り投げて、また数体。
「……見ての通り?」
怪異狩り。
■芥子風 菖蒲 >
うん、と小さく頷いた。
「そう、菖蒲。
芥子風菖蒲。
確か、アンタはリタ。リタ・ラルケ。
……何か前のちょっと違うような、同じような……。」
色だったっけっかな。
うーん、と顎に人指指を当て、
記憶を辿る。最近色々あったし、
何だかちょっとハッキリしない。
まぁいいか、とすぐに思考を止めた。
細かいことは気にしない主義。
リタはリタ。それでいい。
「リタも怪異退治?
委員会に入ってたりするの?
それとも、個人的に?」
個人でも討伐依頼を、受ける人がいるのは知っている。
でも、大体こういうのは委員会の仕事だ。
もしかしたら、彼女もそうなのかも。
地平線、ずらーっと並ぶ、キノコの群れ。
「にしても、凄いな。」
数が。
コレ幾つあるんだ?
少年はぐにぐにと適当なキノコを踏みつける。
ぐにぐにぐにぐに。めっちゃふむ。
なんという恐れ知らず。
実際、恐れ知らずの涼しい顔だ。
■リタ・ラルケ >
「そう。リタ。
……そうか。前は別の姿だったっけ」
このまま戦うとなれば、また別の姿を見せることになりそうだけど。
「私? 私は個人的なバイト。最近異能がコントロールできなくなってて……。
訓練にもなるし、お金も貰えるし。なかなか悪くない」
未だ異能のコントロールができなくなった理由はわからないけれど。いつか何かを掴めると信じて今は色々やってみている途中。
今度ダンジョンとかにも潜ってみたいな。そういえばなんだか面白そうな迷宮が近くにあるとかないとか聞いた気がする。
「あー……あんまり触らない方がいいかも。突然爆発して何か撒き散らしてくるから――」
球体を作る。
少し離れた集団に投げつける。
炸裂――爆発、濃い靄。
「――こんな風にっ!」
地面に残る火で、生まれた瞬間延焼したカナシイ個体もあるけれど。
やはり着地した靄から、数体のキノコがこんにちは。
お帰りください怪異様。
■芥子風 菖蒲 >
「もっと色が濃かったような……。
性格もなんかハキハキしてたような……。」
どうだったかな、まぁいいか。
どんな姿であろうと、彼女は彼女。
だから、そういう意味で気にしない。
ぐにぐにぐに。キノコをふん付けながら、
彼女が遠くに投げた球体が炸裂。
弾けて濃い霧が舞い上がり、
更に数体キノコがこんにちは。
あー、と納得の声。
「確かに、なんか増えた。
あのヘンな霧も、イヤな感じだ……。
……コレ、何処かに本体がいるとかないかな?」
一気に全部焼き払うのも、
一つの手ではあるだろうが、
この圧倒的な数だ。骨折り所ではない。
辺りを軽く見渡して、じ、と横目で彼女を見やる。
「オレは魔術とかからっきしだし、
リタはそういう探知とかは出来たりする?
ま、無理なら全部オレが刈り取ってみるけど。」
少年、思考は割と脳筋より。
■リタ・ラルケ >
「……はは」
間違いなく"自分"のことのはずなのに、私のことを言われている気がしない。
不思議な感覚。こういう反応は、決して初めてではないけれど。
それでも曖昧に笑うしかなかった。
「本体……」
ありえない話ではない、が。
増える……というか、靄を出す条件はわからずじまい。
コアとなる個体を見つけ出して叩けばOK、ならいいのだが。
問題は。
「探知……は、難しいかな。
手当たり次第に全部やる、ならできるけど」
要するにゴリ押し。自分の持つ選択肢にも、パワープレイ的なそういうのはある。
なんとかなれーッ、てなもんだ。
■芥子風 菖蒲 >
ぐにぐにぐに。ぺし。
んぶっきらぼうに蹴っ飛ばした。
本当に怖いもの知らずだ。
表情一つ変えない、無愛想な少年。
愛想こそないが、感情はある。
少年は、人の感情の機敏には、
少し、敏い所があった。
ぺ、とキノコから足を離し、
じ、と彼女の顔を覗き込んだ。
「それじゃあ、骨が折れるかも。
やってる最中に増えてくると、面倒だし。」
「……それよりも、どうかした?
ごめん、何かイヤな事言っちゃったかな?」
どことなく曖昧な感じ。
少なくとも、いい気はしていない。
何か気に触ったんだろうか。
心配そうに、彼女を見やった。