2024/09/14 のログ
リタ・ラルケ >  
「それはそうなんだよねえ……」

 とはいえ、このまま何もしないわけにもいかない。
 優先事項は、増える条件を突き止めること。

 どうしたか、と考えようとしたところで、少年の心配がかった声。
 見れば、その視線は少し強張っている。
 どうしたんだろう。もしかしてさっきの返事、そっけなさ過ぎただろうか。

「ああいや、別に何も……」

 そこで言葉を止める。
 愛想がないのは、も同じだった。
 ……変に話が拗れる前に、話しておこう。どうせ隠していることでもないし。

「いやまあ、変に誤解しないでほしいんだけど。
 私、性格を変えられるんだよ。
 ……性格というか、なんだろう。……言葉にしにくい……」

 どう伝えたものかと悩んだ、挙句。
 目を閉じる。

「やってみた方が早いな」

 ――精霊纏繞(せいれいてんじょう)
 そう呟いて始まる、変身タイム。

リタ・ラルケ >  
 リタの変化は、十秒しないうちに終わった。
 頭の天辺から、白い髪が深紅にと染まっていき。
 再び目を開ければ、鈍色だった瞳も、同じような紅になっていた。

 ぐっ、と右手を握りしめると同時、全身から火の粉が舞う。
 同時に周囲の気温がいくらか上昇したような感覚にも陥るだろうか。

「ま、こんな感じだ。
 言っておくが、演技とかじゃねーぞ。今のアタシの姿だったら、こういう立ち振る舞いがしっくりくるってだけだ。
 ――で、どうするよ。なんもなけりゃ、とっととやっちまうぞ? 増えるとか増えねえとか気にしねえで、全部まとめてふっ飛ばしてやる」

 思考は脳筋寄りになっている。間違いなく。

芥子風 菖蒲 >  
「性格を変えられる?
 ん……確かに変わった。
 前とは違うね。髪の色も変わった。」

前あったときとも違う。
今とはもっと違う、なんだろう。
口調も荒々しいし、何だか強気。
ほんの少し、空色の両目は丸くなった。
けど、驚きは彼女が思うよりも少ない。
それは、前も違ったから、という訳では無い。
理由はもっと、シンプル。

「けど、どんな姿になっても、どんな性格でも、
 リタはリタでしょ?どんな考えをしても、
 どう変わったって、オレにとってそうだよ。
 だから、もっとリタの事教えてよ。今度でいいからさ。」

彼女の根底が変わったわけじゃない。
少なくとも、少年はそう感じる。
物の捉え方は単純で、純粋な感性。
漆塗りの鞘から刀を抜き取り、一息。
その全身が、ほんのり青色のオーラに包まれ、
背中からは、青い糸が複数本生えてくる。
芥子風菖蒲の異能の一旦だ。
どことなく、全身からは朗らかな温かさが出ていた。

「……わかった。じゃあ、リタの言うことに従う。
 片っ端からやってくよ。二人なら、少しは速いでしょ?」

リタ・ラルケ >  
 隠しているわけでは、ない。この異能にコンプレックスを抱いたこともない。
 けれど、これを話した時の反応は様々で。露骨にでこそないものの、ちょっぴり距離を置かれたこともある。
 ――そして少年は、ただ純粋に、この力と、リタを受け入れていて。

「あっはっはっは! 菖蒲! お前はイイ奴だな!」

 豪快に笑う。笑ってしまう。

「いいぜ。今度な。お前、気に入った」

 不敵に笑って、少年の背中越しに怪異を見やる。
 少年が刀を抜いて。何か、青い気を纏うのを見る。
 アレが何かはわからないが――とにかく、戦う準備ができたとみなした。
 すう、と深呼吸。

「菖蒲! 好きなように暴れろ! 蹴散らせ!
 アイツらが増えるよりも、速く倒せばいい!!」

 最終的にはゴリ押し。だが考えなしなわけでもない。
 先ほど燃え残った炎から延焼したカナシイ個体がいたことが、一つの事実を指し示す。
 ――少なくとも、アイツらには発生即撃破(リスキル)が通じる。

芥子風 菖蒲 >  
「そうかな。あんまりそう思ったことはないけど。」

自分が良い奴とか、悪い奴とか、
そういうくくりで考えたことはない。
悪や膳というよりはシンプルに、
ただ個人を見据えるだけ。
青空は、誰にでも平等に見ている。

その穏やかな青空を、見開いた。
揺れ動く青の糸は一変、
朗らかな空気ではなく、
獣のように鋭く、荒々しい。

「──────わかった。」

ただ、一言。
それだけを残して、黒い風が吹き抜ける
血を踏み抜き、風の如し疾駆。
精度は気にしない。此の数だ。
圧倒的に、乱雑に、銀の刃を振り回し、
次へ、また次へキノコの肉片を弾き飛ばす。
青い糸は燃え残った炎に"接続"され、
燃え広がると文字通り、炎と鞭となり
周囲のキノコを薙ぎ払い、燃やしていく。
多くの前線を経験し、今も尚戦い続ける風紀委員。
その実力は伊達ではなく、黒い暴風が、
炎を撒き散らす旋風のなって、駆け巡る──────!

リタ・ラルケ >  
「そうさ。アタシが言うんだから間違いない。お前はイイ奴だ」

 無駄に自信一杯に言い切るリタ。
 細かいことは気にしない、バッサリとした性格だった。

 リタの発した鬨の声、それに呼応して少年が――黒い風が、疾走した。
 銀の閃光が怪異を捉え、切り刻む。斬る、斬る、爆ぜる、駆ける、斬る――。
 いつの間にか地面の残り火は、少年の青いオーラ……そこから伸びる糸に纏わり、
 燃えさしに枯草をくべるが如く。再び活性化した火は、鞭となってまた怪異を焼き尽くす。
 炎の旋風に撫でられた怪異はおしなべて命を散らし――所々で、このまま滅ぼされてなるかというように、爆ぜて靄を散らす。

「っしゃあ! 来た来た来た来たァッ!!」

 目の前に荒れ狂う炎に、リタのテンションはMAXだった。
 その高まったテンションのまま、右手を高く上げる。
 その上には、先ほどまでとは比べ物にならない大きさの炎の球体が生まれていた。

「菖蒲ェッ! 巻き込んだら悪ぃ! 後で助けてやるから怒るなよ!!
 ――ファイアァッ!!」

 そのまま、投擲。
 球体は飛翔しているその途中で爆裂、炎の奔流となって前に向かい。
 周囲に漂う靄ごと、怪異の集団を焼き尽くす。

「あの靄、燃えるぞ! イケる!!」

芥子風 菖蒲 >  
その異能の本質は、操作系異能。
燃え盛る炎に接続され、
残り火に命を吹き込むように操り、
焔と共に黒い風が舞い踊る。
繋ぎさえすれば、後は自在だ。
暴威となり、一切の容赦もなく
悉くを薙ぎ払っていく。

「──────ん。」

単独行動することもあるが、
少年はチームを組むだけの協調性はある。
メラメラと肌を焼く熱量は、彼女が作った火球。
無造作に投げられたそれの着弾地点から
逃げるように、大きく跳躍。
着弾と同時に炎の絨毯が燃え広がり、
漂う霧ごと、大地が真っ赤に染まっていく。

「凄いな。じゃあ、もっと広げよう。」

ああ言う魔術も使えるらしい。
じゃあ、その火力に更に一押しだ。
炎を纏わせた青い糸が、脚のように
焔の大地に突き刺さり、一息。

「……"広がれ"。」

更に、爆炎が爆ぜる。
操作系異能によるさらなる火力増強。
それこぞうねる生き物のように、
炎が、踊るように噴火する。
即興の能力の合わせ技だ。此れで決める……!

リタ・ラルケ >  
 炎の糸が突き刺さった炎が、文字通り爆発的に勢いを増し、怪異の群れを包み込んで焼き尽くす。
 時折爆ぜる靄すらも、炎に飲まれた途端、火の粉と化して消えた。
 転移荒野の一角を埋め尽くしていたキノコの群れも、もはや「数えきれない」と表現できる数ではなくなり。
 30、20、10――最後の一匹が、断末魔のように大量の靄を撒くが。

「ハッ。今更遅ぇんだよ。もうちょっとマシな抵抗しやがれ」

 左の腕を振るえば、そこから生まれた炎が、靄を飲み込んでそのまま消えた。
 最後の仕上げに、腕を引き戻し、同時に周囲の炎をその掌の中に収める
 体温が瞬間的に上昇し、変身したときと同じように火の粉を身体中から舞わせて――それで、おしまい。

「――――っ、し! ミッション完了!
 菖蒲ーっ! お前は最高だ!」

 まあ、辺り一帯は焼け焦げた跡が色濃く残っているわけだけども。
 少なくとも怪異はいなくなっている。

芥子風 菖蒲 >  
炎が全てを燃やしていく。
何もかもが灰に還っていく。
増殖する毒性の怪異。人にとって脅威となる。
ただ静かに青空はそれを見下ろしていた。
表情自体は、変わらない。唯、合掌。
日本式の、祈りの形。

「よっと。」

リタが炎を引き戻し、
あたかもその大火事は
なかったかのように、収まった。
トン、と青い糸で跳ねて地に着地。
数回、瞬きをすれば青いオーラは消え、
少年の背中から生えていた糸も消える。

先程の獣のような雰囲気も消え、
最初にあったときと変わらない少年がそこにいた。

「終わり。リタ、怪我はない?
 オレが最高じゃないよ。全部リタのおかげ。」

じ、と横目で彼女を見やる。

リタ・ラルケ >  
 空に浮かぶ少年は、何やら手を合わせる仕草をしていた。
 合掌。この世界に来て何度か見た、日本流の祈りの仕草なのだという。
 律儀な奴だぜ、と忍び笑い。
 そして、それが終わったのか、消し炭の残る大地に、少年が降り立つ。
 めちゃくちゃ器用だな、あの青い糸――なんて、今度は感心。

「お疲れさん! アタシは怪我も何もないぜ、ぴんぴんしてる。
 菖蒲こそ、なんともないか? アイツらの群れに突っ込んでったり、火に巻かれてたりしてたし、アタシより危ないことしてんじゃねえか。
 少しでもなんかあったら言えよ? アタシ……っつーか、別の力で治してやっからよ」

 戦いが終わって、その時の獰猛さを思わせる雰囲気が完全に霧散して。
 ――あんなことをしておいて、なお一歩引いたような態度。まったく。

「そりゃあ、アタシが強いのは当たり前だけどな?
 菖蒲の力が、アタシにない力を引き出したんだ。あんだけいたヤツらがもういねえ!
 だから謙遜すんな! お前も最高だ!」

 あっはっはっは、とまた豪快に笑う。

芥子風 菖蒲 >  
コン、と漆塗りの鞘を蹴り上げ、刀を収める。
適当に放り投げっちゃったけど、無事だ。
鞘で軽く肩を叩いて、何時もの調子。

「なら、良かった。オレも大丈夫。
 ちょっと吸っちゃったけど、体は"丈夫"だから。
 今のところ、特に問題もないし、大丈夫だよ。多分。」

あれだけど真ん中で大立ち回りをしたのだ。
当然、舞い上がる霧は何度か吸い込んだ。
勿論、なるべく息を止めたりはしたけど
限度というものがある。ただ、今は問題ない。
異能のお陰で、回復力も高いし、
多少の毒物には耐性がある。
軽く手をぐ、ぱ、して見せれば、
口元は僅かに笑みを浮かべた。

「強くはなりたいから、毎日頑張ってはいるよ。
 結果はでてればいいけど……そう?
 そういうつもりじゃないけど、そう言うなら。」

そういうことにしておこう。
事実、結果も出ているわけだし、
内容としては問題ないはずだ。
んー、と軽く伸びれば、再度周囲を見渡す。

「ん、大丈夫そう。
 そろそろ帰ろうか。リタはどうする?」

リタ・ラルケ >  
「吸ったって……本当かよ……まあ、お前がなんともないっていうならいいけどよ」

 ジト目で少年を見据える。
 一応、有害物質という話らしいし、あまり無理はしてほしくない。後で何かあったと聞かされても目覚めが悪いし。
 パッと見で特段何か異常がないなら、それより先に言えることはないのだが。

「アタシも負けてらんねぇな。今はまだこの力も制御しきれてねえけど、いつか絶対にモノにしてやる」

 一瞬、右手で小さい火を燃やして、すぐに握りこんで消した。

「さぁて。
 そうだな、帰るか。アタシもバイト先に報告しなきゃなんねえし」

 依頼元の望み通り、『根絶』したわけだし。
 それなりに報酬に色も付くだろう。期待に胸が膨らんでいる。

芥子風 菖蒲 >  
「オレにとってはコレくらい、よくあることだよ。」

様々な異能者や怪異と戦い続け、
そして、生き残り続けてきた。
時には上手く行かずとも、確かな功績を上げてきた。
少年自信は功績に興味はなくとも、
最前線に居続ける過酷さは、身を以て知っている。
まるで感覚が麻痺したような物言い。
けど、他意はない。少年には、よくあることだ。

「ん、異能訓練とかなら、オレも手伝うよ。
 そういうことなら、オレも出来るし。」

ずい、と右手を差し出した。
受け取るか受け取らないかは自由。
どっちにしろ、少年は気にしない。

「帰ろう。送ってくよ。」

僅かに微笑み、共に帰路へと付くのだろう。

ご案内:「転移荒野」から芥子風 菖蒲さんが去りました。
リタ・ラルケ >  
「いいのか? じゃあお言葉に甘えて――」

 差し出された右手を取ろうとして――ぱっ、と手を離した。

「ああ、悪ぃ。このままじゃお前が火傷しちまう――纏繞解除」

リタ・ラルケ >  
 元の姿に、戻る。
 あの姿のままで人に触れると、普通なら無事でないくらいに体温が高まっていたもので。

「……これで、よし。
 じゃ、帰ろうか。今日は手伝ってくれてありがと。助かった」

 今度こそ、差し出された右手を遠慮なく取ろうとして――。

(……あれ。これ、なんか……ちょっと……恥ずかしいな?)

 何となく気恥ずかしさから、やっぱりと手を降ろす。
 少年が気にしないのであれば、そのまま並んで帰るだろうが。

 何はともあれ、ミッション完了。
 少年と共に、帰路に就くのである。


 後日。
 確かに報酬に色は付いたのだが。
「もう少し周りの被害を慮った方法でやれ」と、苦言を呈されたとかいないとか。

ご案内:「転移荒野」からリタ・ラルケさんが去りました。
ご案内:「転移荒野」に???さんが現れました。
??? > 転移荒野
異世界からの物品や存在が流れ着きやすいこの場所
昼頃、鮮やかな紫の門が開いたかと思えば、そこから小さな影が荒野に放り出された


「――っ!ツ■■な!ぼおえもざ!
さおざよおとあ!!」

…放り出された影、少女の叫びを無理矢理聞こえる音にするならこういった形だろう
兎に角、何かに対して怒っていることは間違いない様子である
しかし、それも束の間
門が閉じ、日光にさらされた瞬間、驚愕にその顔が歪む

「~~~~~~~!!!
でいさ■…!?アそあ…!!~~~~………」

じゅう、じゅうと音を立てて露出している少女の肌が日光に焼けただれていく
すぐに、少女の影が立体化し、少女を覆うが…日光によってその影も段々と剥がれ落ちていっている
しばらくすれば、また焼ける痛みを味わうことになるだろう

「んらうとあ………。―――………」

しょぼん、と落ち込む少女
けれど、ここがどこかすらわからない
どちらに向かっていいのかすら
けれど、影のバリアが保っている間に、どこかへは向かわなければならない
結果、転移荒野に…謎の黒い球体がうろうろと彷徨うことになっていて

??? > 「めい…。でいさてろそさぞーー!」

じたばたと、影の球体バリアの中で暴れているが特に何も起こらない
ただただ、むなしく声が響くだけだ
なんとなく『人』のいる方向はわかるものの今の自分が行ってどうなるかわからない

とある理由から、不安感で支配されて黒い球体の動きが止まってしまった

「――――……」

ため息

??? > 結局、じわじわと肌を焼かれていたが
岩陰を見つけてそこで休み始めた――

また動き出すのは、日が落ちてからになるだろう

ご案内:「転移荒野」から???さんが去りました。